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第九章 浮遊諸島の聖女と時の遺跡
エピローグ 風に舞う祈りと、その名を呼ぶ者
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浮遊諸島の最奥、見送りの丘――。
淡い空の光に包まれ、揺れる草花の先に、巨大な飛空艇が停泊していた。白銀の船体が陽光を受け、まるで天の舟のように輝いている。
「……いよいよ、だね」
クラリスが風になびく金髪を押さえながら、寂しげに呟いた。
「名残惜しいけど、仕方ないにゃん。浮遊諸島の人たち、ずっと手を振ってるにゃ」
ミュリルが耳をピコピコと動かしながら、丘の下の人々を指さす。子供たちが笑顔で、手製の旗を振っていた。
「……ああいうの、見てるとさ。ちょっとだけ泣きそうになるウサ」
フィーナが肩をすくめながらも、目元をこっそり拭っていた。
「……この旅路が、彼らにとって希望の始まりになるといいね」
シャルロッテが囁くように言い、静かに頷いた。
浮遊諸島に巻き起こった瘴気の騒乱、封印の地での死闘、そして星霊の啓示。
すべてが過ぎ去り、残されたのは、空を翔るための新たな地図。
「そろそろ時間だ」
イッセイが振り返ると、仲間たちはそれぞれの表情で応えてくれた。
ルーナが歩み寄って、小さく言った。
「……空の上でも、私たち一緒だよね?」
「もちろん。何があっても離れない」
そのときだった。イッセイはふと、風の音に紛れて――どこかで聞いた声を耳にした。
「――また会いましょう、イッセイ様」
はっとして振り返る。誰もいないはずの丘の端に、銀の髪が揺れていた。
「……リアナ……?」
淡く揺らぐ幻影のような姿。笑っていた。寂しげで、けれど――あたたかく。
「今度こそ……私の想いを、あなたに伝えるために」
その声は風と共に空へと溶け、草原に白い花びらがひとひら、ふわりと舞い落ちた。
「……行こうか」
イッセイは仲間たちを振り返った。
「俺たちは、あの空の先へ向かう」
クラリスが静かに頷き、ルーナがそっと手を差し出す。サーシャが凛とした表情で、剣の柄を握り、リリィがにやりと笑う。
ミュリルが小さく跳ねて、フィーナが気泡魔石を軽く振って音を鳴らす。
「……この旅が、俺たちの“本当の物語”になる」
その言葉と共に、飛空艇の甲板へと一行は足を踏み出した。
浮遊諸島が、風に包まれた大地が、彼らの背中にそっと祈りを託すように、陽光を送り続けていた。
そして、空の彼方に向かって――物語は、またひとつ、幕を開ける。
淡い空の光に包まれ、揺れる草花の先に、巨大な飛空艇が停泊していた。白銀の船体が陽光を受け、まるで天の舟のように輝いている。
「……いよいよ、だね」
クラリスが風になびく金髪を押さえながら、寂しげに呟いた。
「名残惜しいけど、仕方ないにゃん。浮遊諸島の人たち、ずっと手を振ってるにゃ」
ミュリルが耳をピコピコと動かしながら、丘の下の人々を指さす。子供たちが笑顔で、手製の旗を振っていた。
「……ああいうの、見てるとさ。ちょっとだけ泣きそうになるウサ」
フィーナが肩をすくめながらも、目元をこっそり拭っていた。
「……この旅路が、彼らにとって希望の始まりになるといいね」
シャルロッテが囁くように言い、静かに頷いた。
浮遊諸島に巻き起こった瘴気の騒乱、封印の地での死闘、そして星霊の啓示。
すべてが過ぎ去り、残されたのは、空を翔るための新たな地図。
「そろそろ時間だ」
イッセイが振り返ると、仲間たちはそれぞれの表情で応えてくれた。
ルーナが歩み寄って、小さく言った。
「……空の上でも、私たち一緒だよね?」
「もちろん。何があっても離れない」
そのときだった。イッセイはふと、風の音に紛れて――どこかで聞いた声を耳にした。
「――また会いましょう、イッセイ様」
はっとして振り返る。誰もいないはずの丘の端に、銀の髪が揺れていた。
「……リアナ……?」
淡く揺らぐ幻影のような姿。笑っていた。寂しげで、けれど――あたたかく。
「今度こそ……私の想いを、あなたに伝えるために」
その声は風と共に空へと溶け、草原に白い花びらがひとひら、ふわりと舞い落ちた。
「……行こうか」
イッセイは仲間たちを振り返った。
「俺たちは、あの空の先へ向かう」
クラリスが静かに頷き、ルーナがそっと手を差し出す。サーシャが凛とした表情で、剣の柄を握り、リリィがにやりと笑う。
ミュリルが小さく跳ねて、フィーナが気泡魔石を軽く振って音を鳴らす。
「……この旅が、俺たちの“本当の物語”になる」
その言葉と共に、飛空艇の甲板へと一行は足を踏み出した。
浮遊諸島が、風に包まれた大地が、彼らの背中にそっと祈りを託すように、陽光を送り続けていた。
そして、空の彼方に向かって――物語は、またひとつ、幕を開ける。
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