『転生悪役令嬢、スライムで世界を変える』 ~追放先で見つけたヌルヌルが産業革命を巻き起こしました~

のびすけ。

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第二部 ぷるぷる王国建国記

スライム、美を制す! 王都ビューティ・ウォーズ

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古代スライムの守護神「ぷにアルファ」様が仲間(?)に加わり、私の工房が「ぷるぷる神殿」という観光名所(?)になってから数週間。ようやく日常の落ち着きを取り戻したかと思った矢先、工房の扉がまたしても勢いよく開かれた。

「ティアナ様ぁあああああっ!!」
「ノエル、落ち着いて。今度は何? スリィがまた勝手に看板を立てた? それともぷにアルファ様が村の井戸で泳いでた?」
「違うッス!! ――超絶イケメンが、また来ました!!」
「……何の緊急性もない報告ね」

『ティアナ様、イケメン遭遇率がバグレベルに達しており、感覚が麻痺しています。一度、初期化をお勧めします』
「あなたたち二人して失礼ね!?」

そうして工房に現れたのは、ノエルの報告通り、息を呑むような美青年だった。
サラリと流れる銀髪。涼やかでありながら、情熱を秘めた瞳。そして、その両手には、まるで商売道具とは思えないほど美しく輝く、ハサミとブラシが握られていた。

「やあ、はじめまして。麗しき“ぷるぷるの導き手”よ。私はセリオ・ルシフェル。王都で“美の福音”を振りまく、しがないカリスマ美容師さ。――そして、君のスライム美容液の、熱烈な虜だよ」
「え? え? 最後の自己紹介、何ですって?」

『どうやら、また変なのが増えましたね』と冷静に分析するスリィ。
聞けばセリオは、シャルロッテの香水商会を通じてスライム製品の存在を知り、その驚異的な美容効果に衝撃を受けたのだという。

「あの“ぬめぬめ保湿ジェル”は奇跡だ! あの潤い、あの浸透力! これを使えば、美容業界に革命を起こせる! だからお願いだ、ティアナさん! 私に、この工房に“スライム美容部門”を立ち上げさせてほしい!」
「え、展開が急!? 雇用契約書を出す前に、まずはお茶でもどうかしら!?」

情熱的すぎる彼に若干引き気味の私だったが、その夜、セリオは寂しげな顔でぽつりと本音を漏らした。

「……王都美容連盟の奴らは、頭が固くてね。“スライムなんて下品な魔物から抽出した液体で、美が作れるものか”と、私を破門したんだ。美の可能性を信じない彼らに、本物の輝きを見せてやりたい」

王都、相変わらず偏見がすごいわね!
『ぷるぷるに貴賤なし……。私の言葉として、後世に伝えておきましょう』
「スリィ、あなた最近、偉人みたいなこと言うわよね!?」

こうして、保守的な美容界 vs 革新的なスライム界の、美の価値観を巡る全面対決が始まることとなった。

◆ ◆ ◆

翌週、スライム商会とセリオの共同主催で、王都の広場を貸し切った一大イベントが開催された。
その名も──『美ぷる杯 ~スライムコスメ頂上決戦~』!

参加者は、王都の有名美容師たち、美意識の高い貴族婦人、そして一般の村娘たち。審査員席には、腕を組んでこちらを睨みつける美容連盟の重鎮たちの姿もあった。
そして、なぜか私も、審査員兼デモンストレーションモデルとして、ステージに引っ張り出されるハメになっていた。

「またドレス!? また人前に出るの!? 私、いつからそんな出たがりキャラになったのよ!」
『ご安心を。今回の“スライムドレスver.2”は、前回よりぷるぷる度が30%増量されております。防御力も格段にアップしました』
「そういう問題じゃないのよーーーッ!!」

コンテストは、セリオの独壇場だった。
スライム保湿ジェルをベースにしたメイクは、モデルの肌に内側から発光するような透明感を与え、スライム粘体を使った即席ヘアスタイリングは、髪に天使の輪のような輝きを生み出した。(一度、魔力調整をミスってモデルの髪型が爆発したが、それもご愛嬌だ)

そして、イベントのフィナーレ。セリオはマイクを握り、私をステージ中央へと導いた。

「皆様、ご覧ください! 我らがプロデューサー、ティアナ様のこのお肌を! これこそ、スライムがもたらす“本物の輝き”です!」

スポットライトを浴び、観客の視線が一斉に私に集まる。
セリオが開発した新作「スライム艶出しダイヤモンドミスト」が、私の顔にふわりと振りかけられる。
その瞬間、私の肌は、まるで内側に星屑を宿したかのように、きらきらと輝き始めた。

会場から、どよめきが起きる。
「嘘……!? あの透明感、魔法じゃないの!?」
「肌が……発光している……!」

「やだ……私、今すごく……肌が強そう……!」

『ぷるぷる、ついに世界を制します。次は銀河です』
「だんだん話が壮大になってきたわね!?」

イベントは大成功。
美容連盟の重鎮たちは、ぐうの音も出ずに退席し、王都の美容界に“スライム革命”が起きた日として、歴史にその名を刻むこととなった。

セリオは正式にスライム商会の美容部門長に就任し、私の肩書きには、いつの間にか「ビューティ・プロデューサー」が勝手に追加されていた。

「え、待って!? 私、一体いくつの職業を兼務してるの!?」
『ぷるぷる業界のすべてです』
「答えが壮大すぎるのよ!!」

その様子を遠巻きに見ていた王都のとある学者が、静かに手記にこう記した。

「スライムとは……もはや“存在”ではない。それは“概念”であり、一つの“文化”である……」

こうして、また一歩、ティアナとスライムは、世界征ふ……もとい、美容革命の道を突き進んでいくのであった。
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