58 / 62
第七部 悪役令嬢、前世(ブラック企業)を救う
潜入、黒金商事! ~わたくしの武器はぷにと経営理論ですの~
しおりを挟む
わたくしたちの「ぷるぷるな働き方改革」計画。その第一歩は、ターゲット企業のトップ、すなわち黒金商事のワンマン社長、黒金巌(くろがねいわお)とのファーストコンタクトにあった。
「いいこと、スリィ。前世の記憶によれば、黒金社長は毎朝五時きっかりに、会社の近くにあるこの黒金神社へ参拝し、自社の武運長久を祈願するのが日課よ。わたくしたちは、そこで“神の使い”として、彼に接触するの」
早朝の、まだ薄暗い神社の境内で、わたくしは最終確認を行っていた。服装は、どこかの小国の王族が忍びで視察に来たかのような、気品とミステリアスさを両立させた紺色のセットアップ。手には、何の変哲もない、最新型のスマートフォン。――のフリをした、わが相棒スリィ。
『ティアナ様、作戦の成功確率は3.2%。完全に運任せの博打ですが、よろしいのですか?』
スマホのスピーカーから、冷静すぎるスリィの声が漏れる。
「運も実力のうち、とはこの世界での格言よ。それに、わたくしの“悪運”の強さを、あなたは一番よく知っているはずでしょう?」
やがて、重厚な黒塗りの社用車が、神社の鳥居の前に停まった。降りてきたのは、還暦を過ぎているとは思えぬほど頑強な体躯と、全てを威圧する鋭い眼光を持つ男。黒金巌、その人だ。
彼は、わたくしたちには目もくれず、厳かな足取りで拝殿へと向かう。そして、深々と頭を下げ、柏手を打った。
その瞬間を、わたくしは見逃さなかった。
「――今よ、スリィ! オペレーション“天啓”、開始!」
『承知しました。残り少ないぷに力を、奇跡の演出に全振りします』
黒金社長が、ふと、境内にある立派な松の盆栽に目を向けた。それは、彼が数年前に奉納した自慢の逸品だが、ここ最近は元気がなく、葉の色も褪せていた。
彼が、その枯れかけた盆栽を見て、小さくため息をついた、まさにその時。
ぽわんっ。
盆栽が、まるで内側から発光するかのように、淡い、優しい光を放った。そして、枯れていたはずの松の葉が、見る見るうちに生き生きとした緑色を取り戻し、あろうことか、その枝先に、一つだけ、可憐な桜の花が咲いたのだ。
「なっ……!?」
黒金社長が、我が目を疑い、硬直する。
松に、桜……!? ありえない。ありえないが、現実に目の前で起きている。
彼が動揺しているところへ、わたくしは、まるで風に運ばれてきたかのように、音もなく、彼の隣に立った。
「――社長。貴方のその、凝り固まった肩、天の神々も憂いておりますわ」
わたくしはそう言うと、彼の肩に、そっと指先で触れた。スリィが、わたくしの指先から、ナノレベルのぷに粒子を彼の体内へと送り込む。長年の無理がたたった、岩のように硬い彼の肩の筋肉が、まるで雪解け水のように、ふわりと弛緩していく。
「な、なんだ、これは……!? 肩が……軽い……! まるで、羽が生えたようだ……!」
黒金社長は、驚愕の表情でわたくしを見つめた。
わたくしは、ミステリアスな微笑みを浮かべ、天を仰ぐ。
「わたくしは、ティアナ・フォン・ルクレール。天の采配により、この地に遣わされた者。貴社に巣食う“淀み”を払い、その輝きを取り戻すために参りました」
「て、天の……使い……!?」
オカルト好きの彼の瞳が、完全に、狂信者のそれへと変わった。
わたくしは、ダメ押しの一言を、彼の耳元で囁いた。
「三日後、貴社の株価は、ストップ高になりますわ。……わたくしの“予言”です」
もちろん、何の根拠もない、ハッタリだ。
だが、そのハッタリこそが、この乾いた世界で、わたくしたちが最初に掴んだ、唯一の武器だった。
――三日後。黒金商事の株価は、本当に、ストップ高になった。
理由は、海外の投資ファンドによる、気まぐれな大量買い。完全に偶然の産物だった。
だが、結果が全てだ。
「先生! ティアナ先生! あなた様こそ、我が社を救う、現代のジャンヌ・ダルクだ!」
社長室で、黒金社長は、わたくしの手を握りしめ、涙ながらに感謝した。
こうしてわたくしは、特別経営顧問という、破格の待遇で、黒金商事への潜入に、いとも容易く成功したのである。
わたくしが配属されたのは、前世のわたくし、「佐藤さん」が所属していた、営業三課だった。
一歩、そのフロアに足を踏み入れた瞬間、わたくしは、あまりの光景に絶句した。
ジリリリリリリ!
「はい! 黒金商事営業三課!」「だから、うちの責任じゃないと何度言えば分かるんだ!」「申し訳ございません! 誠に申し訳ございません!」
怒号、謝罪、そして、鳴りやまない電話のコール音。
空気は、澱み、重く、そこかしこから、社員たちの深い、深いため息が聞こえてくる。壁には「気合!」「根性!」「24時間戦えますか?」といった、時代錯誤な標語が、黄ばんだセロハンテープで貼り付けられていた。
「……地獄ですわね」
わたくしの呟きに、スマホ形態のスリィが、ブルっとバイブレーション機能で同意する。
『観測データ、魔王城の最下層レベルのストレス粒子を検出。生命維持活動に支障をきたすレベルです』
そして、わたくしは、見つけてしまった。
フロアの隅の席で、青白い顔をして、パソコンのモニターを睨みつけている、一人の女性。
佐藤さん。前世の、わたくしだ。
彼女のデスクの上には、エナジードリンクの空き缶が、まるで墓標のように林立していた。
その時だった。
「おい、佐藤ォ!」
腹の底から響くような、不快なダミ声。
営業三課の課長、鬼瓦(おにがわら)が、仁王のような形相で、佐藤さんのデスクを拳で叩いた。
「この資料、なんだ! 誤字が三つもあるじゃねえか! やる気あんのか、あぁ!?」
「も、申し訳ありません! すぐに、修正いたします……!」
「当たり前だ! 今日中に、この百倍の量のデータをまとめとけ! いいな! 返事は!?」
「は、はいッ!」
佐藤さんの、か細い声が、フロアに虚しく響く。
わたくしの、心の奥底で、何かが、ブチリと音を立てて切れた。
悪役令嬢だった頃の、冷たい怒りが、全身を駆け巡る。
『ティアナ様、冷静に。今はまだ、動く時ではありません』
「……分かっていますわ。まずは、この“戦場”の兵士たちに、ささやかな“癒し”という名の武器を配るところから、始めましょうか」
その夜。
誰もいなくなったオフィスに、わたくしは一人、忍び込んだ。
そして、営業三課の全社員のデスクに、ささやかな“革命”の種を蒔いていった。
翌朝。
いつものように、死んだ魚のような目をして出社してきた社員たちが、自分のデスクを見て、小さく、しかし、確かに、どよめいた。
「……ん? なんだ、このマウスパッド……」
「うわっ、ぷにぷにする……! なにこれ、気持ちいい……!」
そう。わたくしは、スリィに命じて、残り少ないぷに力を振り絞らせ、全員分のマウスパッドを、特殊なジェルを内蔵した「ぷにマウスパッド」に、こっそりと交換しておいたのだ。
手首を乗せると、まるで雲の上にいるかのような、極上の柔らかさ。そして、内部のぷに粒子が、血行を促進し、長時間のデスクワークで凝り固まった肩と首を、じんわりと癒していく。
「……あれ? なんか、肩が軽い……」
「昨日までの、悪魔みたいな肩こりが……嘘みたいだ……」
社員たちの間に、小さな、ささやかな“癒し”の波紋が広がっていく。
わたくしは、その光景を、満足げに眺めながら、第二の矢を放った。
給湯室の、安物のティーバッグが詰め込まれた箱。わたくしはそれを、こっそりと、異世界から持ってきた特殊なハーブと、スリィの粘体を乾燥させて作った、オリジナルの茶葉にすり替えておいた。
その名も、「ぷにリフレッシュ・ティー」。
昼過ぎ。
企画会議で行き詰まり、鬼瓦課長に「アイデアが出るまで帰ってくるな!」と罵倒されていた佐藤さんが、青い顔で給湯室にやってきた。
彼女は、何気なく、その新しいお茶を淹れて、一口、飲んだ。
その瞬間。
「……おいしい……」
彼女の、ずっと強張っていた表情が、ふわりと、緩んだ。
ハーブの優しい香りが、ささくれた神経を落ち着かせ、スリィのぷに成分が、疲弊した脳細胞に、穏やかな活力を与える。
彼女は、カップを持ったまま、ぼーっと窓の外を眺めていたが、やがて、その瞳に、ほんの少しだけ、思考の光が戻ってきた。
「……そうだ。あの案件、ターゲット層を少し変えて、SNSと連動させたキャンペーンを打てば……いけるかもしれない……!」
彼女は、まるで何かに取り憑かれたかのように、自分のデスクに戻ると、猛烈な勢いで企画書を書き始めた。
その日の夕方。彼女が提出した新しい企画書は、鬼瓦課長を、そして、他の部署の人間たちをも、唸らせることになる。
「……佐藤、お前、いつの間にこんな力を……」
課長に、生まれて初めて、手放しで褒められた佐藤さんは、きょとんとした顔で、自分の手元にある、空になったマグカップを見つめていた。
社員たちの間で、噂が広まり始めた。
「最近、ウチの課、なんか調子良くないか?」
「あの、謎の美人コンサルが来てからだ……」
「彼女、一体、何者なんだ……?」
わたくしの、ささやかな“ぷに革命”は、静かに、しかし、確実に、この乾ききったオフィスの空気を、変え始めていた。
だが、その変化を、冷ややかに見つめる、氷の視線があることを、わたくしはまだ、知らなかった。
「いいこと、スリィ。前世の記憶によれば、黒金社長は毎朝五時きっかりに、会社の近くにあるこの黒金神社へ参拝し、自社の武運長久を祈願するのが日課よ。わたくしたちは、そこで“神の使い”として、彼に接触するの」
早朝の、まだ薄暗い神社の境内で、わたくしは最終確認を行っていた。服装は、どこかの小国の王族が忍びで視察に来たかのような、気品とミステリアスさを両立させた紺色のセットアップ。手には、何の変哲もない、最新型のスマートフォン。――のフリをした、わが相棒スリィ。
『ティアナ様、作戦の成功確率は3.2%。完全に運任せの博打ですが、よろしいのですか?』
スマホのスピーカーから、冷静すぎるスリィの声が漏れる。
「運も実力のうち、とはこの世界での格言よ。それに、わたくしの“悪運”の強さを、あなたは一番よく知っているはずでしょう?」
やがて、重厚な黒塗りの社用車が、神社の鳥居の前に停まった。降りてきたのは、還暦を過ぎているとは思えぬほど頑強な体躯と、全てを威圧する鋭い眼光を持つ男。黒金巌、その人だ。
彼は、わたくしたちには目もくれず、厳かな足取りで拝殿へと向かう。そして、深々と頭を下げ、柏手を打った。
その瞬間を、わたくしは見逃さなかった。
「――今よ、スリィ! オペレーション“天啓”、開始!」
『承知しました。残り少ないぷに力を、奇跡の演出に全振りします』
黒金社長が、ふと、境内にある立派な松の盆栽に目を向けた。それは、彼が数年前に奉納した自慢の逸品だが、ここ最近は元気がなく、葉の色も褪せていた。
彼が、その枯れかけた盆栽を見て、小さくため息をついた、まさにその時。
ぽわんっ。
盆栽が、まるで内側から発光するかのように、淡い、優しい光を放った。そして、枯れていたはずの松の葉が、見る見るうちに生き生きとした緑色を取り戻し、あろうことか、その枝先に、一つだけ、可憐な桜の花が咲いたのだ。
「なっ……!?」
黒金社長が、我が目を疑い、硬直する。
松に、桜……!? ありえない。ありえないが、現実に目の前で起きている。
彼が動揺しているところへ、わたくしは、まるで風に運ばれてきたかのように、音もなく、彼の隣に立った。
「――社長。貴方のその、凝り固まった肩、天の神々も憂いておりますわ」
わたくしはそう言うと、彼の肩に、そっと指先で触れた。スリィが、わたくしの指先から、ナノレベルのぷに粒子を彼の体内へと送り込む。長年の無理がたたった、岩のように硬い彼の肩の筋肉が、まるで雪解け水のように、ふわりと弛緩していく。
「な、なんだ、これは……!? 肩が……軽い……! まるで、羽が生えたようだ……!」
黒金社長は、驚愕の表情でわたくしを見つめた。
わたくしは、ミステリアスな微笑みを浮かべ、天を仰ぐ。
「わたくしは、ティアナ・フォン・ルクレール。天の采配により、この地に遣わされた者。貴社に巣食う“淀み”を払い、その輝きを取り戻すために参りました」
「て、天の……使い……!?」
オカルト好きの彼の瞳が、完全に、狂信者のそれへと変わった。
わたくしは、ダメ押しの一言を、彼の耳元で囁いた。
「三日後、貴社の株価は、ストップ高になりますわ。……わたくしの“予言”です」
もちろん、何の根拠もない、ハッタリだ。
だが、そのハッタリこそが、この乾いた世界で、わたくしたちが最初に掴んだ、唯一の武器だった。
――三日後。黒金商事の株価は、本当に、ストップ高になった。
理由は、海外の投資ファンドによる、気まぐれな大量買い。完全に偶然の産物だった。
だが、結果が全てだ。
「先生! ティアナ先生! あなた様こそ、我が社を救う、現代のジャンヌ・ダルクだ!」
社長室で、黒金社長は、わたくしの手を握りしめ、涙ながらに感謝した。
こうしてわたくしは、特別経営顧問という、破格の待遇で、黒金商事への潜入に、いとも容易く成功したのである。
わたくしが配属されたのは、前世のわたくし、「佐藤さん」が所属していた、営業三課だった。
一歩、そのフロアに足を踏み入れた瞬間、わたくしは、あまりの光景に絶句した。
ジリリリリリリ!
「はい! 黒金商事営業三課!」「だから、うちの責任じゃないと何度言えば分かるんだ!」「申し訳ございません! 誠に申し訳ございません!」
怒号、謝罪、そして、鳴りやまない電話のコール音。
空気は、澱み、重く、そこかしこから、社員たちの深い、深いため息が聞こえてくる。壁には「気合!」「根性!」「24時間戦えますか?」といった、時代錯誤な標語が、黄ばんだセロハンテープで貼り付けられていた。
「……地獄ですわね」
わたくしの呟きに、スマホ形態のスリィが、ブルっとバイブレーション機能で同意する。
『観測データ、魔王城の最下層レベルのストレス粒子を検出。生命維持活動に支障をきたすレベルです』
そして、わたくしは、見つけてしまった。
フロアの隅の席で、青白い顔をして、パソコンのモニターを睨みつけている、一人の女性。
佐藤さん。前世の、わたくしだ。
彼女のデスクの上には、エナジードリンクの空き缶が、まるで墓標のように林立していた。
その時だった。
「おい、佐藤ォ!」
腹の底から響くような、不快なダミ声。
営業三課の課長、鬼瓦(おにがわら)が、仁王のような形相で、佐藤さんのデスクを拳で叩いた。
「この資料、なんだ! 誤字が三つもあるじゃねえか! やる気あんのか、あぁ!?」
「も、申し訳ありません! すぐに、修正いたします……!」
「当たり前だ! 今日中に、この百倍の量のデータをまとめとけ! いいな! 返事は!?」
「は、はいッ!」
佐藤さんの、か細い声が、フロアに虚しく響く。
わたくしの、心の奥底で、何かが、ブチリと音を立てて切れた。
悪役令嬢だった頃の、冷たい怒りが、全身を駆け巡る。
『ティアナ様、冷静に。今はまだ、動く時ではありません』
「……分かっていますわ。まずは、この“戦場”の兵士たちに、ささやかな“癒し”という名の武器を配るところから、始めましょうか」
その夜。
誰もいなくなったオフィスに、わたくしは一人、忍び込んだ。
そして、営業三課の全社員のデスクに、ささやかな“革命”の種を蒔いていった。
翌朝。
いつものように、死んだ魚のような目をして出社してきた社員たちが、自分のデスクを見て、小さく、しかし、確かに、どよめいた。
「……ん? なんだ、このマウスパッド……」
「うわっ、ぷにぷにする……! なにこれ、気持ちいい……!」
そう。わたくしは、スリィに命じて、残り少ないぷに力を振り絞らせ、全員分のマウスパッドを、特殊なジェルを内蔵した「ぷにマウスパッド」に、こっそりと交換しておいたのだ。
手首を乗せると、まるで雲の上にいるかのような、極上の柔らかさ。そして、内部のぷに粒子が、血行を促進し、長時間のデスクワークで凝り固まった肩と首を、じんわりと癒していく。
「……あれ? なんか、肩が軽い……」
「昨日までの、悪魔みたいな肩こりが……嘘みたいだ……」
社員たちの間に、小さな、ささやかな“癒し”の波紋が広がっていく。
わたくしは、その光景を、満足げに眺めながら、第二の矢を放った。
給湯室の、安物のティーバッグが詰め込まれた箱。わたくしはそれを、こっそりと、異世界から持ってきた特殊なハーブと、スリィの粘体を乾燥させて作った、オリジナルの茶葉にすり替えておいた。
その名も、「ぷにリフレッシュ・ティー」。
昼過ぎ。
企画会議で行き詰まり、鬼瓦課長に「アイデアが出るまで帰ってくるな!」と罵倒されていた佐藤さんが、青い顔で給湯室にやってきた。
彼女は、何気なく、その新しいお茶を淹れて、一口、飲んだ。
その瞬間。
「……おいしい……」
彼女の、ずっと強張っていた表情が、ふわりと、緩んだ。
ハーブの優しい香りが、ささくれた神経を落ち着かせ、スリィのぷに成分が、疲弊した脳細胞に、穏やかな活力を与える。
彼女は、カップを持ったまま、ぼーっと窓の外を眺めていたが、やがて、その瞳に、ほんの少しだけ、思考の光が戻ってきた。
「……そうだ。あの案件、ターゲット層を少し変えて、SNSと連動させたキャンペーンを打てば……いけるかもしれない……!」
彼女は、まるで何かに取り憑かれたかのように、自分のデスクに戻ると、猛烈な勢いで企画書を書き始めた。
その日の夕方。彼女が提出した新しい企画書は、鬼瓦課長を、そして、他の部署の人間たちをも、唸らせることになる。
「……佐藤、お前、いつの間にこんな力を……」
課長に、生まれて初めて、手放しで褒められた佐藤さんは、きょとんとした顔で、自分の手元にある、空になったマグカップを見つめていた。
社員たちの間で、噂が広まり始めた。
「最近、ウチの課、なんか調子良くないか?」
「あの、謎の美人コンサルが来てからだ……」
「彼女、一体、何者なんだ……?」
わたくしの、ささやかな“ぷに革命”は、静かに、しかし、確実に、この乾ききったオフィスの空気を、変え始めていた。
だが、その変化を、冷ややかに見つめる、氷の視線があることを、わたくしはまだ、知らなかった。
0
あなたにおすすめの小説
オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!
みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した!
転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!!
前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。
とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。
森で調合師して暮らすこと!
ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが…
無理そうです……
更に隣で笑う幼なじみが気になります…
完結済みです。
なろう様にも掲載しています。
副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。
エピローグで完結です。
番外編になります。
※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。
処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜
放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!?
「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」
不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。
35年ローンと共に異世界転生! スキル『マイホーム』で快適5LDK引きこもり生活 ~数学教師、合気道と三節根で異世界を論破する~
月神世一
ファンタジー
紹介文
「結婚しよう。白い壁の素敵なお家が欲しいな♡」
そう言われて35年ローンで新築一戸建て(5LDK)を買った直後、俺、加藤真守(25歳)は婚約者に捨てられた。
失意の中、猫を助けてトラックに轢かれ、気づけばジャージ姿の女神ルチアナに異世界へと放り出されていた。
「あげるのは『言語理解』と『マイホーム』でーす」
手に入れたのは、ローン残高ごと召喚できる最強の現代住宅。
電気・ガス・水道完備。お風呂は全自動、リビングは床暖房。
さらには貯めたポイントで、地球の「赤マル」から「最新家電」までお取り寄せ!?
森で拾った純情な狩人の美少女に胃袋を掴まれ、
罠にかかったポンコツ天使(自称聖騎士)が居候し、
競馬好きの魔族公爵がビールを飲みにやってくる。
これは、借金まみれの数学教師が、三節根と計算能力を武器に、快適なマイホームを守り抜く物語。
……頼むから、家の壁で爪を研ぐのはやめてくれ!
スローライフ 転生したら竜騎士に?
梨香
ファンタジー
『田舎でスローライフをしたい』バカップルの死神に前世の記憶を消去ミスされて赤ちゃんとして転生したユーリは竜を見て異世界だと知る。農家の娘としての生活に不満は無かったが、両親には秘密がありそうだ。魔法が存在する世界だが、普通の農民は狼と話したりしないし、農家の女将さんは植物に働きかけない。ユーリは両親から魔力を受け継いでいた。竜のイリスと絆を結んだユーリは竜騎士を目指す。竜騎士修行や前世の知識を生かして物を売り出したり、忙しいユーリは恋には奥手。スローライフとはかけ離れた人生をおくります。
積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!
ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。
悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。
ヒロイン? 玉の輿? 興味ありませんわ! お嬢様はお仕事がしたい様です。
彩世幻夜
ファンタジー
「働きもせずぐうたら三昧なんてつまんないわ!」
お嬢様はご不満の様です。
海に面した豊かな国。その港から船で一泊二日の距離にある少々大きな離島を領地に持つとある伯爵家。
名前こそ辺境伯だが、両親も現当主の祖父母夫妻も王都から戻って来ない。
使用人と領民しか居ない田舎の島ですくすく育った精霊姫に、『玉の輿』と羨まれる様な縁談が持ち込まれるが……。
王道中の王道の俺様王子様と地元民のイケメンと。そして隠された王子と。
乙女ゲームのヒロインとして生まれながら、その役を拒否するお嬢様が選ぶのは果たして誰だ?
※5/4完結しました。
新作
【あやかしたちのとまり木の日常】
連載開始しました
異世界に転生したら?(改)
まさ
ファンタジー
事故で死んでしまった主人公のマサムネ(奥田 政宗)は41歳、独身、彼女無し、最近の楽しみと言えば、従兄弟から借りて読んだラノベにハマり、今ではアパートの部屋に数十冊の『転生』系小説、通称『ラノベ』がところ狭しと重なっていた。
そして今日も残業の帰り道、脳内で転生したら、あーしよ、こーしよと現実逃避よろしくで想像しながら歩いていた。
物語はまさに、その時に起きる!
横断歩道を歩き目的他のアパートまで、もうすぐ、、、だったのに居眠り運転のトラックに轢かれ、意識を失った。
そして再び意識を取り戻した時、目の前に女神がいた。
◇
5年前の作品の改稿板になります。
少し(?)年数があって文章がおかしい所があるかもですが、素人の作品。
生暖かい目で見て下されば幸いです。
転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。
琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。
ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!!
スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。
ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!?
氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。
このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる