影の薄い悪役に転生してしまった僕と大食らい竜公爵様

佐藤 あまり

文字の大きさ
13 / 28

11

しおりを挟む
 さて、魔道具だ。確かとても腕のいい人がいたはず……ガルムさんだ!
 ガルムさんは数多くの魔道具を開発している国1番の魔道具職人で、王宮からも声かかるくらいの職人なのだが、それを突っぱね、昔から営んできた工房に店を構えている。

 依頼を受けてもらうにはまずガルムさんのお眼鏡にかなわなくてはならない。
 自分が作らないと決めれば、どんな貴族、王族にも首を縦に振らず、逆に作ると決めればお金を持っていなくたって、どんな立場の人にも魔道具を作る、ガルムさんはそんな人だ。

 依頼を受けてもらえるか……不安だけど、まずは行動しない事には何にもならない。
 ラトさんに街に行きたいと伝えることにしたのだけど、街には人がいっぱいいるよなぁ……我らがラトさんに聞こう。

 「街へ……ですか?」

 「ガルム工房に行きたくて、でも、人がいるからどうしたらいいか……」

 「人混みでしたら、馬車で参りましょうか?」

 その手があったか!流石ラトさん!

 「そうなると、護衛がいりますね。私も戦えなくはないですが、1人となると何かと不便なこともありますから。」

 護衛か……いらない、とかはなしだよね。仮にも王族だし、それに僕、嫌われてるんだった……身の危険ありありだ。

 「王家の晩餐でお伝えして参りますね。」

 王家の晩餐、そんなのもあったっけ。王族と言えど家族、同じ食卓を囲もうと、何代か前の王様が作ったんだよね。ちなみに晩餐とあるのだけど、朝ごはんも一緒に食べる。

 護衛さん、どんな人かなぁ、その前に許可が降りない可能性だってあるんだよね。
 うぅ……行けますように、行けますように。ラトさんお願いします、もぎ取ってきてください。

 まるで戦場へ向かう兵士を送り出すみたいな心境だ。ラトさん、健闘を祈る。心の中の隊長が激励の言葉をおくった。


しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

ヴァレンツィア家だけ、形勢が逆転している

狼蝶
BL
美醜逆転世界で”悪食伯爵”と呼ばれる男の話。

2度目の異世界移転。あの時の少年がいい歳になっていて殺気立って睨んでくるんだけど。

ありま氷炎
BL
高校一年の時、道路陥没の事故に巻き込まれ、三日間記憶がない。 異世界転移した記憶はあるんだけど、夢だと思っていた。 二年後、どうやら異世界転移してしまったらしい。 しかもこれは二度目で、あれは夢ではなかったようだった。 再会した少年はすっかりいい歳になっていて、殺気立って睨んでくるんだけど。

完結·氷の宰相の寝かしつけ係に任命されました

BL
幼い頃から心に穴が空いたような虚無感があった亮。 その穴を埋めた子を探しながら、寂しさから逃げるようにボイス配信をする日々。 そんなある日、亮は突然異世界に召喚された。 その目的は―――――― 異世界召喚された青年が美貌の宰相の寝かしつけをする話 ※小説家になろうにも掲載中

弟がガチ勢すぎて愛が重い~魔王の座をささげられたんだけど、どうしたらいい?~

マツヲ。
BL
久しぶりに会った弟は、現魔王の長兄への謀反を企てた張本人だった。 王家を恨む弟の気持ちを知る主人公は死を覚悟するものの、なぜかその弟は王の座を捧げてきて……。 というヤンデレ弟×良識派の兄の話が読みたくて書いたものです。 この先はきっと弟にめっちゃ執着されて、おいしく食われるにちがいない。

拾った異世界の子どもがどタイプ男子に育つなんて聞いてない。

おまめ
BL
召喚に巻き込まれ異世界から来た少年、ハルを流れで引き取ることになった男、ソラ。立派に親代わりを務めようとしていたのに、一緒に暮らしていくうちに少年がどタイプ男子になっちゃって困ってます。

獣人将軍のヒモ

kouta
BL
巻き込まれて異世界移転した高校生が異世界でお金持ちの獣人に飼われて幸せになるお話 ※ムーンライトノベルにも投稿しています

魔王様の瘴気を払った俺、何だかんだ愛されてます。

柴傘
BL
ごく普通の高校生東雲 叶太(しののめ かなた)は、ある日突然異世界に召喚されてしまった。 そこで初めて出会った大型の狼の獣に助けられ、その獣の瘴気を無意識に払ってしまう。 すると突然獣は大柄な男性へと姿を変え、この世界の魔王オリオンだと名乗る。そしてそのまま、叶太は魔王城へと連れて行かれてしまった。 「カナタ、君を私の伴侶として迎えたい」 そう真摯に告白する魔王の姿に、不覚にもときめいてしまい…。 魔王×高校生、ド天然攻め×絆され受け。 甘々ハピエン。

公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜

上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。 体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。 両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。 せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない? しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……? どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに? 偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも? ……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない?? ――― 病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。 ※別名義で連載していた作品になります。 (名義を統合しこちらに移動することになりました)

処理中です...