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side ラト
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ルイス様がお庭に出るようになってしばらくがたち、表情が柔らかくなってきたルイス様にこの穏やかな日々が続いてほしいと心から願った。
けれどそれも長くは続かず、アーサー様がこちらにいらっしゃった次の日にルイス様は体調を崩され、熱を出してしまった。
せめてなにかお腹に入れてほしいと、スープを持ってきた時、眠っているルイス様がうなされ涙を流されていた。悪い夢を見ているのだろうか……
「ひとりにしないで……」
っ、ひとりにしないで?なぜ、そんな。人を避けていたのは、ルイス様だというのに…
寂しい、ひとりぼっちは嫌だと泣くルイス様に私は呆然と立ち尽くした。
違和感はあった、あの日、ルイス様の揺れる瞳を見た時から。
ルイス様は……人が嫌いなのでは、ないのかもしれない。
だったらなぜ、お避けになるのか、分からないけれど、絶対に、気の所為なんかで終わらせてはいけない、そう思う。
お目覚めになり、スープを召し上がっている様子に安心しつつも、さっきの言葉が耳から離れない。
何となくぎこちなくなってしまいルイス様がこちらを見てくる。
つとめて明るく振る舞い、元気になってもらおうと、流行りの本などを持って来れば、嬉しそうに受け取ってくれ、私はますます分からなくなってしまった。
最近ルイス様がお部屋でなにかなさっているみたいだ。道具が欲しいとおっしゃったり、散歩はなさっているが、図書棟に行く回数は少なくなった。
どうしたのだろう、気になっていたある日、キッチンを使いたいとおっしゃった。すみっこだけ、近づかないでもらえればいいから、と言うルイス様。
一応先に行って話は通したが、不安だ。ルイス様が傷つくようなことがなければいいのだが。
しかし案の定、ルイス様を見るとみな、顔を顰めたり、睨んだりした。
私は思わず睨み返した、自分の中に生まれた感情に、少し戸惑う。お守りしたい、笑っていて欲しい、そんな願い。
鋭い目で睨みつけると、冷や汗をかいて壁に張り付いていく、最初からそうしていればいいものを。
キッチンの者も黙らせ、ルイス様の作業を拝見する。なにやら白い粒を水に浸しているようだ。
ルイス様の言葉にしぶしぶ、作業を続けて良いと告げ、作業を再開したキッチンを木箱に座って眺めるルイス様。
木箱にお座りになるなんて、と思ったけれどほかの方ならいざ知らず、ルイス様なら気にしないのだろうな、なんて思ってしまう自分もいる。
滅多に外すことの無い手袋を外して、白い粒を洗い、鍋に水とそれを入れて、時々火加減を調節しながら熱していく。
しばらくするといい香りがしてきて、どうやら出来上がったみたいだ。
ルイス様が不安そうにそれを口に入れた。っ……ルイス様の瞳が潤んで、満面の笑みを浮かべた。やっと……そうつぶやくルイス様。
私にもくださるとおっしゃるので。有難くいただく。不安げな視線を感じつつ、それを口に入れた。
途端、ふわりと広がる感じたことの無い優しい味に目を見開いた。
美味しい、そう告げると心底嬉しそうな顔をする。
なんとこれはオリュ草なのだと、あの雑草が?信じられない、まだまだ改善点があるとおっしゃるルイス様、できることならば、私にもお手伝いさせて欲しい。そうお伝えし、嬉しそうなルイス様に心がなにやらぽかぽかとする。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ルイス様ガチ勢のセコムに着々となっていくラトさんでした。
いよいよルイスくんがキッチンまで行けるようになりましたー!ラトさんの方も回収完了!
もうちょい、もうちょいでディウィス様出てきますから、頑張ります。
けれどそれも長くは続かず、アーサー様がこちらにいらっしゃった次の日にルイス様は体調を崩され、熱を出してしまった。
せめてなにかお腹に入れてほしいと、スープを持ってきた時、眠っているルイス様がうなされ涙を流されていた。悪い夢を見ているのだろうか……
「ひとりにしないで……」
っ、ひとりにしないで?なぜ、そんな。人を避けていたのは、ルイス様だというのに…
寂しい、ひとりぼっちは嫌だと泣くルイス様に私は呆然と立ち尽くした。
違和感はあった、あの日、ルイス様の揺れる瞳を見た時から。
ルイス様は……人が嫌いなのでは、ないのかもしれない。
だったらなぜ、お避けになるのか、分からないけれど、絶対に、気の所為なんかで終わらせてはいけない、そう思う。
お目覚めになり、スープを召し上がっている様子に安心しつつも、さっきの言葉が耳から離れない。
何となくぎこちなくなってしまいルイス様がこちらを見てくる。
つとめて明るく振る舞い、元気になってもらおうと、流行りの本などを持って来れば、嬉しそうに受け取ってくれ、私はますます分からなくなってしまった。
最近ルイス様がお部屋でなにかなさっているみたいだ。道具が欲しいとおっしゃったり、散歩はなさっているが、図書棟に行く回数は少なくなった。
どうしたのだろう、気になっていたある日、キッチンを使いたいとおっしゃった。すみっこだけ、近づかないでもらえればいいから、と言うルイス様。
一応先に行って話は通したが、不安だ。ルイス様が傷つくようなことがなければいいのだが。
しかし案の定、ルイス様を見るとみな、顔を顰めたり、睨んだりした。
私は思わず睨み返した、自分の中に生まれた感情に、少し戸惑う。お守りしたい、笑っていて欲しい、そんな願い。
鋭い目で睨みつけると、冷や汗をかいて壁に張り付いていく、最初からそうしていればいいものを。
キッチンの者も黙らせ、ルイス様の作業を拝見する。なにやら白い粒を水に浸しているようだ。
ルイス様の言葉にしぶしぶ、作業を続けて良いと告げ、作業を再開したキッチンを木箱に座って眺めるルイス様。
木箱にお座りになるなんて、と思ったけれどほかの方ならいざ知らず、ルイス様なら気にしないのだろうな、なんて思ってしまう自分もいる。
滅多に外すことの無い手袋を外して、白い粒を洗い、鍋に水とそれを入れて、時々火加減を調節しながら熱していく。
しばらくするといい香りがしてきて、どうやら出来上がったみたいだ。
ルイス様が不安そうにそれを口に入れた。っ……ルイス様の瞳が潤んで、満面の笑みを浮かべた。やっと……そうつぶやくルイス様。
私にもくださるとおっしゃるので。有難くいただく。不安げな視線を感じつつ、それを口に入れた。
途端、ふわりと広がる感じたことの無い優しい味に目を見開いた。
美味しい、そう告げると心底嬉しそうな顔をする。
なんとこれはオリュ草なのだと、あの雑草が?信じられない、まだまだ改善点があるとおっしゃるルイス様、できることならば、私にもお手伝いさせて欲しい。そうお伝えし、嬉しそうなルイス様に心がなにやらぽかぽかとする。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ルイス様ガチ勢のセコムに着々となっていくラトさんでした。
いよいよルイスくんがキッチンまで行けるようになりましたー!ラトさんの方も回収完了!
もうちょい、もうちょいでディウィス様出てきますから、頑張ります。
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