わんこ騎士団長は伝えたい!〜2度目の異世界転移、助けた子犬が大型犬に成長してました〜

佐藤 あまり

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プロローグ

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 「レイ……?」

 ぽさり、抱えていた花束が足元に落ちたのに目もくれず、俺は走り出していた。

 きっと夢だ。そんなことありえない、だってレイは15年前のあの日、この海に沈んでしまったのだから。

 陽だまりをまとったような1番幸せな記憶の中のまま、何度も夢に見ては恋焦がれたその人が今、俺の腕の中にいる。

 海水が滴る体は冷たくて、15年前と変わらないその姿は、きっとレイがあまりに綺麗で海もこのままにしたかったからなのだろう。

 そっと目を伏せ抱きしめた体から、トクトクと音がする。きっと幻だ。幻でもいいから、なんだっていいから少しだけ、もう少しだけ……

 そう願った次の瞬間───ふるりと震えた瞼が開き、揺れる瞳に俺が映った。

 「……コハク?」

 名前を呼ばれた途端、喉の奥からおかしな声が漏れ、視界がぼやけて滲んでいく。

 「レイ…!レイ…!」

 「ふふ…やっぱりコハクだ…」

 15年前抱きしめてもらっていた優しい腕は小さく感じ、それはきっと俺が大きくなったからで、すっぽりと包んでしまえることに言いようのない気持ちが込み上げた。

 体を屈め、昔のように胸の中に収まる。優しく抱きしめられ、鼓動を感じるたびに涙がぼろぼろと止めどなく溢れた。

 「ただいま、コハク」

 あなたがいつかみたいに、まるでなんでもないように笑って名前を呼ぶから、俺も笑って返すよ。

 「っ……おかえり!レイ」

 



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感想 3

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