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王都断罪編①
魔界の歓楽街
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貯蔵庫に食材が一つも残されていないと気づいてから数時間後、ファウストとイリスは魔界の中心地区に広がる繁華街へと足を運んでいた。
そこにあるのは、サキュバス族の長・ローザが仕切る店だ。
店の外観は、派手に派手を重ねたようなギラついた装飾で遠目にも目立つが、内側は意外にも簡素で、複数の小部屋に区切られているだけの質素な造りである。
体のラインをいやらしく浮かび上がらせる衣装を身に纏ったサキュバス達が、獲物を見定める獣のような視線を客に投げかけながら店内を練り歩いていた。
甘い香を放つ香炉があちこちに置かれ、立ちのぼる煙が空気を曖昧に濁らせ、官能的な雰囲気を一層際立たせている。
壁の向こうからは、男女の囁き声や甘ったるい吐息、時に艶めかしい音までもが漏れ伝わってくる。
そんな店の最奥に構えられた部屋こそ、女主人ローザの間であった。
そこでは、空腹でご機嫌斜めのイリスが、拳でテーブルを叩きながら「どうして自分達がこの店に来たのか」を早口で説明していた。
「ほんとに有り得ないんだけどっ!」
バンッ――――。
叩きつけられた衝撃で、テーブルがカタカタと揺れる。
「……ちょっと、壊さないでくれる? その中、薬品とか大事なものが詰まってるんだから」
「あっ、ご、ごめん」
ローザは面倒くさそうに片手でイリスを制しながら、もう片方の手では慣れた手つきで薬草を刻み、瓶に移している。
どうやらファウストに頼まれた薬を調合しているらしい。
「ファウストが人間の食べ物しか受け付けないのは理解できるけど……あなたまで人間の食事にこだわる必要はないでしょ? 体の仕組みは、魔族と同じなんだから」
「っ……だ、だって、美味しいんだもん……!」
イリスは唇を尖らせ、負け惜しみのように言い返すと、ローザが出した茶をふてくされた顔で啜った。
湯気に揺れる頬は、拗ねた少女そのものだった。
「確かに、彼が作った料理は絶品だけど。そんなに拘る必要があるかしら?」
ローザは背後の棚に指を弾く。
カチリと音を立てて扉が勝手に開き、中から乾ききった“何か”が浮かび上がった。
「ほら。コレなんかオススメよ」
「……魔界の食べ物は、どれもパサパサしてて嫌い」
イリスは差し出された乾燥物を、人差し指でツン、と突く。
明らかに渋い顔だ。
「あら失礼ね。美容と健康に効くって、サキュバス族の間では大人気なのよ?」
「……魔族って、いつも“結果さえ良ければいい”みたいな食べ方するから嫌なんだよ。だいたい、コレが何からできてるか知ってるわけ?」
イリスの疑いの視線を受けながら、乾燥物。
仮に『物体A』と呼ぼう。
物体Aは、手の中でカチリと硬質な音を立てて割れた。
その瞬間、カラカラに乾いていたはずの断面から、琥珀色の蜜がとろりと溢れ出す。
「……え?」
イリスが思わず目を丸くする。
「さぁ? 効果があるなら何でもいいじゃない」
ローザは肩をすくめると、乾いた外殻に口を寄せジュルリ、と艶めかしい音を立てて蜜を吸い上げた。
「うへぇえ……」
イリスは目を背ける。
正体もわからない物を平気で口にできるなんて、と呆れ顔でローザを睨む。
「コレね、本当に凄いのよ。中の蜜をちょっと舐めるだけで、体が芯からポカポカしてくるんだから」
言われてみれば、ローザの頬にはうっすら紅が差し始めていた。
「仕事の前にこれを食べるとね……ほんと、すっごいんだから」
彼女の頬は高揚で赤みを増し、潤んだ瞳が熱を帯び、吐息が徐々に乱れ始める。
明らかにただの滋養強壮では済まない作用が出ていた。
「いや、それって――――」
イリスが眉をひそめかけたその瞬間、ローザがぽつりと笑みを漏らす。
異変を感じ取ったイリスは、言いかけた言葉を飲み込み、唇を噛んだ。
余計なことを言って面倒に巻き込まれるのは御免だった。
「ま、私にはほとんど効かないんだけどね」
先ほどまでの艶めかしい様子はどこへやら。
ローザはけろりとした顔で肩をすくめ、残った蜜を啜りきった。
物体Aの正体を、薄々察していたイリスは眉をひそめつつ、それを自分から遠ざける。
「……それより、ファウストはどこに行ったの?」
気がつけば、隣にいたはずの彼の姿が見えない。
イリスは辺りを見回した。
「あぁ、彼なら――さっきアレクに捕まってたわよ」
「なっ……! それならもっと早く言いなさいよ!」
“アレク”という名を耳にした途端、イリスの表情が青ざめた。
その時、部屋の外から、ドタバタと騒がしい音が響いてきた。
まさかと思ったイリスは慌てて扉を開け放つ。
そこではファウストと一人のインキュバスが、取っ組み合いを繰り広げていた。
「なぁ、ちょっとだけだから! 減るもんじゃないし、いいだろ?」
「だから! 俺にそんな趣味はねぇって言ってんだろ!」
さすがはインキュバスと呼ぶべきか。
女なら誰もが振り返るほど整った顔立ちに、甘やかで上品な雰囲気すら漂わせる。
インキュバス族の長、アレク。
だが、その美貌を惜しげもなく使って縋りつかれるファウストは、心底嫌そうに顔を歪めていた。
「本当に少しだけでいいんだ! 俺はただ……アンタの精気の味を知りたいだけなんだよ!」
「っ、気持ち悪ぃこと言うんじゃねぇよ!」
「分かった、分かったから! じゃあ、俺がアンタの好みの女に姿を変える。それでどうだ?」
「はぁ? 姿を変える?」
「俺はインキュバスだぜ? 相手の望む姿になって、最高の夢を見せてやるのが仕事なんだよ」
そう言うなり、アレクは指を軽く弾いた。
パチンッ――。
その音と同時に、アレクの姿は揺らめき、瞬きする間にまだあどけなさが残る女性へと変貌する。
「なっ…………」
その姿を見た瞬間、ファウストは息を呑んだ。
腰まで伸びる陽光のようなブロンドの髪。
空を映す澄んだ蒼の瞳。
ファウスト自身と瓜二つの容貌を持ちながら、誰よりも愛おしく、遠へと離れてしまった存在。
ファウストが心の底から再会を望み続けてきた相手が、いま目の前に立っていた。
「アンタの記憶に一番残ってる人に変えてみたんだけど……なんか、お前にそっくりだな」
「な、なんで……リュドミラが……」
震える声で名を呼ぶ。
だが、目の前でうっとりと鏡を覗き込むのは妹ではない。
「ふふんっ! さすが俺。インキュバス随一の変身魔法の実力者だな」
アレクはすっかり気に入ったらしく、恍惚の笑みを浮かべながらその姿を愛でていた。
「どうだ? この姿なら……アンタも、その気になるんじゃないか?」
次の瞬間、リュドミラの姿をしたアレクがファウストに抱きつき、潤んだ瞳で見上げた。
そこにあるのは、サキュバス族の長・ローザが仕切る店だ。
店の外観は、派手に派手を重ねたようなギラついた装飾で遠目にも目立つが、内側は意外にも簡素で、複数の小部屋に区切られているだけの質素な造りである。
体のラインをいやらしく浮かび上がらせる衣装を身に纏ったサキュバス達が、獲物を見定める獣のような視線を客に投げかけながら店内を練り歩いていた。
甘い香を放つ香炉があちこちに置かれ、立ちのぼる煙が空気を曖昧に濁らせ、官能的な雰囲気を一層際立たせている。
壁の向こうからは、男女の囁き声や甘ったるい吐息、時に艶めかしい音までもが漏れ伝わってくる。
そんな店の最奥に構えられた部屋こそ、女主人ローザの間であった。
そこでは、空腹でご機嫌斜めのイリスが、拳でテーブルを叩きながら「どうして自分達がこの店に来たのか」を早口で説明していた。
「ほんとに有り得ないんだけどっ!」
バンッ――――。
叩きつけられた衝撃で、テーブルがカタカタと揺れる。
「……ちょっと、壊さないでくれる? その中、薬品とか大事なものが詰まってるんだから」
「あっ、ご、ごめん」
ローザは面倒くさそうに片手でイリスを制しながら、もう片方の手では慣れた手つきで薬草を刻み、瓶に移している。
どうやらファウストに頼まれた薬を調合しているらしい。
「ファウストが人間の食べ物しか受け付けないのは理解できるけど……あなたまで人間の食事にこだわる必要はないでしょ? 体の仕組みは、魔族と同じなんだから」
「っ……だ、だって、美味しいんだもん……!」
イリスは唇を尖らせ、負け惜しみのように言い返すと、ローザが出した茶をふてくされた顔で啜った。
湯気に揺れる頬は、拗ねた少女そのものだった。
「確かに、彼が作った料理は絶品だけど。そんなに拘る必要があるかしら?」
ローザは背後の棚に指を弾く。
カチリと音を立てて扉が勝手に開き、中から乾ききった“何か”が浮かび上がった。
「ほら。コレなんかオススメよ」
「……魔界の食べ物は、どれもパサパサしてて嫌い」
イリスは差し出された乾燥物を、人差し指でツン、と突く。
明らかに渋い顔だ。
「あら失礼ね。美容と健康に効くって、サキュバス族の間では大人気なのよ?」
「……魔族って、いつも“結果さえ良ければいい”みたいな食べ方するから嫌なんだよ。だいたい、コレが何からできてるか知ってるわけ?」
イリスの疑いの視線を受けながら、乾燥物。
仮に『物体A』と呼ぼう。
物体Aは、手の中でカチリと硬質な音を立てて割れた。
その瞬間、カラカラに乾いていたはずの断面から、琥珀色の蜜がとろりと溢れ出す。
「……え?」
イリスが思わず目を丸くする。
「さぁ? 効果があるなら何でもいいじゃない」
ローザは肩をすくめると、乾いた外殻に口を寄せジュルリ、と艶めかしい音を立てて蜜を吸い上げた。
「うへぇえ……」
イリスは目を背ける。
正体もわからない物を平気で口にできるなんて、と呆れ顔でローザを睨む。
「コレね、本当に凄いのよ。中の蜜をちょっと舐めるだけで、体が芯からポカポカしてくるんだから」
言われてみれば、ローザの頬にはうっすら紅が差し始めていた。
「仕事の前にこれを食べるとね……ほんと、すっごいんだから」
彼女の頬は高揚で赤みを増し、潤んだ瞳が熱を帯び、吐息が徐々に乱れ始める。
明らかにただの滋養強壮では済まない作用が出ていた。
「いや、それって――――」
イリスが眉をひそめかけたその瞬間、ローザがぽつりと笑みを漏らす。
異変を感じ取ったイリスは、言いかけた言葉を飲み込み、唇を噛んだ。
余計なことを言って面倒に巻き込まれるのは御免だった。
「ま、私にはほとんど効かないんだけどね」
先ほどまでの艶めかしい様子はどこへやら。
ローザはけろりとした顔で肩をすくめ、残った蜜を啜りきった。
物体Aの正体を、薄々察していたイリスは眉をひそめつつ、それを自分から遠ざける。
「……それより、ファウストはどこに行ったの?」
気がつけば、隣にいたはずの彼の姿が見えない。
イリスは辺りを見回した。
「あぁ、彼なら――さっきアレクに捕まってたわよ」
「なっ……! それならもっと早く言いなさいよ!」
“アレク”という名を耳にした途端、イリスの表情が青ざめた。
その時、部屋の外から、ドタバタと騒がしい音が響いてきた。
まさかと思ったイリスは慌てて扉を開け放つ。
そこではファウストと一人のインキュバスが、取っ組み合いを繰り広げていた。
「なぁ、ちょっとだけだから! 減るもんじゃないし、いいだろ?」
「だから! 俺にそんな趣味はねぇって言ってんだろ!」
さすがはインキュバスと呼ぶべきか。
女なら誰もが振り返るほど整った顔立ちに、甘やかで上品な雰囲気すら漂わせる。
インキュバス族の長、アレク。
だが、その美貌を惜しげもなく使って縋りつかれるファウストは、心底嫌そうに顔を歪めていた。
「本当に少しだけでいいんだ! 俺はただ……アンタの精気の味を知りたいだけなんだよ!」
「っ、気持ち悪ぃこと言うんじゃねぇよ!」
「分かった、分かったから! じゃあ、俺がアンタの好みの女に姿を変える。それでどうだ?」
「はぁ? 姿を変える?」
「俺はインキュバスだぜ? 相手の望む姿になって、最高の夢を見せてやるのが仕事なんだよ」
そう言うなり、アレクは指を軽く弾いた。
パチンッ――。
その音と同時に、アレクの姿は揺らめき、瞬きする間にまだあどけなさが残る女性へと変貌する。
「なっ…………」
その姿を見た瞬間、ファウストは息を呑んだ。
腰まで伸びる陽光のようなブロンドの髪。
空を映す澄んだ蒼の瞳。
ファウスト自身と瓜二つの容貌を持ちながら、誰よりも愛おしく、遠へと離れてしまった存在。
ファウストが心の底から再会を望み続けてきた相手が、いま目の前に立っていた。
「アンタの記憶に一番残ってる人に変えてみたんだけど……なんか、お前にそっくりだな」
「な、なんで……リュドミラが……」
震える声で名を呼ぶ。
だが、目の前でうっとりと鏡を覗き込むのは妹ではない。
「ふふんっ! さすが俺。インキュバス随一の変身魔法の実力者だな」
アレクはすっかり気に入ったらしく、恍惚の笑みを浮かべながらその姿を愛でていた。
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