首が勝手に右へ右へ回る奇病!~プロ棋士を目指す長男と中学受験の長女を抱えながらのジストニア闘病記~

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「病名判明」 ~真実のための冒険者~

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痙性斜頸けいせいしゃけいですね」と医者は一目見て言った。
 ピンとはこないが、なんだそうだったのか!と目の前が開けた気分だ。
 病名が判明して、安堵感が胸に広がっていくのがわかる。

「首のジストニアですね。辛いでしょう?」
「ジストニア」こちらの言葉もやはりピンとこない。

 目の前の、神様のように見えた医者は色々と説明してくれた。
 
痙性斜頸けいせいしゃけい」は、
 脳の機能異常が原因の病気だという。

 脳神経が「右を向け」という指令を常に出し続けるという
 いわば、脳の誤作動による病である。
 脳が正常な姿勢を右向きと認識してしまっていて、
 首が右に回っていくのだそうだ。

「とりあえず、辛いでしょうから、麻酔打ちます」
「効くかはわかりませんが」とも言われた。

 医者は手慣れたもので、
 私の首にあっという間に注射を打っていく。
 
 しかも、驚くことに五本だ。
 生まれて初めて、一気に五本も注射を打たれた。

 看護士に補助を頼むことなく、
 手早く済ませ「治療についてですが」と説明を続ける。

 痛いなどと言っている暇はない。

「東京で治療すると、3か月待ちです。埼玉であれば、今月診てもらえます」

 ジストニアの治療を待っている人は多いのだとそこで初めて知った。
 専門医も少ないらしい。

 医者はさらに続ける。
「治療法は大きくは分けて3つです」

 私と妻は揃って頷く。

「注射、投薬、手術です」

 手術と聞いて、心臓が早鐘を打つ。
 当然、脳の手術ということになる。

「治療どうされます?埼玉にしますか?それとも、待ちますか?」

 日に日に悪化している状態なので、
 一刻も早く治療してほしい。
「埼玉でお願いします」と答える。

 その場で、埼玉で治療にあたっている医師に連絡してくれた。
 週末の土曜日に専門医が診てくれることになった。

「先生……」
 妻が口を開いた。
「ずっと右に首が曲がっている状態なのですが、
 前を向くようにした方がいいのでしょうか?」

「奥さん」
 先生が椅子をこちらに回して言う。

「この病気は脳神経の機能異常ですから、
 自分の意思とは関係なく右を向いてしまうんですよ。
 前を向こうと思っても、できないのがこの病気です」

 そのとおりである。 

 結局、麻酔は利かなかったが、
 病名が判明しただけでも成果だ。

 これで治療が始められる。
 
※6話副題
 福山雅治さんの「HUMAN」の歌詞の一部です。
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