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第6話
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俺はお腹がすいていたので、車が発進するとすぐにサンドイッチの包みを開けて食べようとした。
しかし、そこであることが気になった。それはキョウヘイが自分の分を持ってきているのか?ということだった。さすがにキョウヘイもお腹がすいているだろうから、キョウヘイが何も食べずにいる中、俺だけ食べるというのはおかしい気がする。そこで俺はサンドイッチの包みを開ける前に、「キョウヘイ!お前も食べるか?」と尋ねた。
するとキョウヘイは、「大丈夫。俺の分は持ってきてるから。」と言って、包みを見せてきた。
それを見て安心した俺は、「そうか。」と返事をしてサンドイッチの包みを開けて食べ始めた。パンに挟まれている具材はうちで出るサンドイッチとは違って、ローストビーフやスモークサーモンなどが挟まれていた。具材が凝っているのに加えて運動した後ですごくお腹がすいていたので、おいしさもひとしおだった。あっという間に平らげた俺は「すごくおいしかったよ!」とキョウヘイに感想を伝えると、キョウヘイが「そりゃ良かった。」と笑って返事をした。
サンドイッチを食べて喉が渇いた俺は水筒の蓋を取って、中身を蓋に注いだ。どうやら中身は色や香りからカフェオレらしかった。俺がブラックコーヒーを飲めないことをキョウヘイは知っていたからカフェオレにしてくれたんだろう。小学生からの付き合いだからキョウヘイは俺のことを大体知っていた。
キョウヘイは最初、高飛車なお金持ちの子が多く通う私立の小学校に通っていたらしいが、なじめずにいくつも学校を転々として最終的には俺が通う公立の小学校に転入してきた。キョウヘイが今でも付き合いがあるのは小学校の時から一緒の奴らだけだった。
中学の時、キョウヘイに近づいてきたキョウヘイの背後にある親の財力目当ての奴らとは一定の距離を保って接していた。俺はキョウヘイの親の財力など知らずに友だちになったが、キョウヘイには世話になってばかりだった。なので、どうしてキョウヘイは今でも俺と友達でいてくれるのか疑問に思う時も時々あった。
友だちでいてくれる理由は分からないが今日キョウヘイが俺と友だちで良かったと言っていたので、何かしらキョウヘイが俺と友だちでいたいという理由があることは分かった。キョウヘイの優しさに報いるためにも絶対にカジワラを俺に振り向かせなくては!と俺が決意を新たにしていると、俺のスマホからラインのメッセージの着信音がした。
すぐにスマホを見ると、カジワラからメッセージが来ていた。俺が少しドキドキしながらメッセージを見ると、「今日いつもと様子が違ったのはやっぱり私のせい?」とあった。「そりゃそうだろ!」とすぐに返信したかったが、そんなことを言うとせっかくハタケやキョウヘイの前でいつも通りに接してくれたカジワラの優しさを無駄にしてしまう気がする(キョウヘイには俺がカジワラに振られたことを話しているので実際無駄なのだが)のと振られたことを引きずっているのをカジワラに感じさせて嫌われてしまう気がしたのでスマホに入力する前にやめた。
まったく気にしてないふりをするのもカジワラに振られたことなんてどうでもいいと感じさせてしまう気がしたので、「それも少しあるけど、本当に中間試験が気になっていただけだよ。」と、少し気にしているが、いつもと様子が違ったのは別な理由もあるというふりをする返信をカジワラに送った。俺が送ったメッセージはすぐに既読にはならなかった。
それから数分後に車が俺の家の前に着いた。
俺は車を降りて玄関のドアを開けて、「ただいまー。」と言って、家の中に入って行った。するとすぐに母さんが玄関までやって来た。
「お帰りー!遅かったじゃない!『8時過ぎには帰る。』って言ってたのに、もう9時近くよ!それにそもそも帰りが遅れる連絡が遅い!」
「ごめん。母さん。次から気を付けるよ。」
「分かってくれたのならいいけど。あ!キョウヘイくん来てたのね?ごめんね。全然気が付かなかった。」
俺も母さんに言われるまで気が付かなかったが、いつの間にか俺の後ろにキョウヘイがいた。
「お久しぶりです。セイのお母さん。今日は俺が急に誘ったため、セイの帰りが遅れる連絡が遅れてしまって申し訳ありません。それだけではなく、帰宅の時間も約束の時間より遅れてしまい申し訳ありません。」
キョウヘイが深々と頭を下げると、母さんは慌てて、「そんな、いいのよ。キョウヘイくん。一応親としては、『心配したんだよ。』ってことをセイに分かってもらえて、次から気を付けてもらえればそれでいいんだから。」と言って、キョウヘイの頭を上げさせようとした。
キョウヘイは頭を上げて、「そう言っていただけるとありがたいです。今言うのは不躾なお願いだというのは重々承知しているのですが、明日からも中間試験までセイと試験勉強したいと思うのですが、許可していただけますか?もちろん、明日からはちゃんと8時にはセイを家まで送りますので。」と、今度は母さんの目をしっかり見て話していた。
「全然大丈夫よ!むしろこちらからお願いしたいくらい。セイにはもう少し勉強を頑張ってほしいと思っていたから。」
「ありがとうございます。用事も済みましたので、これでお暇させていただきます。それでは夜分遅くに失礼いたしました。」
そう言うとキョウヘイは玄関を出て車の方に歩いて行った。
俺がキョウヘイに向かって「また明日な!」と言うと、キョウヘイは振り向いて「ああ、また明日。」と返事をして車に乗り込み帰宅していった。
「相変わらずしっかりした子ね。セイには見習ってほしいくらい。」
「キョウヘイがしっかりしているのは分かってるよ。キョウヘイに言われなかったら帰りが遅れる連絡をしなかったかもしれないしね。」
「でも、もう少し早い方が良かったけどね。」
「それはごめんって。」
「夕飯はどうする?キョウヘイくんは用意してるって言ってたけど、母さんも用意してたのよね。」
「え!どうして?」
「6時過ぎに帰りが遅れるって連絡されてもねぇ。6時前には夕飯の準備し始めてるからねぇ。」
「ごめんなさい。」
「フフッ。まあ反省してるみたいだから、この辺で許してあげるかな。で?どうする?食べる?」
正直、キョウヘイが用意してくれたサンドイッチだけでは、食べ盛りの男子高校生の胃袋は満たされなかったので、
「食べる食べる!今日の夕飯は何?」と答えた。
「分かった。今揚げるわね。今日はとんかつよ。」
そう言って母さんはキッチンに向かって歩いて行った。
俺は靴を脱いできれいに並べるとうがい手洗いをしに洗面所へ向かった。洗面所の隣のお風呂に父さんが入っていた(うちは3人家族なので父さんがお風呂に入っていると分かった)ので、「父さんただいま。」と一応挨拶しておいた。
すると父さんが「おう。お帰り。」と返してきた。それ以上何も言ってこなかったので、どうやら母さんが俺の帰りが遅れるという連絡があったことを伝えておいてくれたのだなと察した。何も言わないのなら、こちらも何も言わないでおこう。と考え、うがい手洗いをするとリビングへ向かった。
リビングへ行くと、キッチンで母さんがとんかつを揚げるための油を温めていた。俺は自分がいつも座る席に座ってスマホを開いた。するとカジワラからラインのメッセージが来ていた。すぐに確認すると、「それじゃあ、そういうことにしとくね。」とあった。
カジワラは俺が中間試験を気にしていたわけじゃないことを理解しているが、俺との関係がこじれるのが嫌で俺の言ったことを信じるふりまでしてくれた。それほどまでに気遣いができるのに、何で「私、愛人志望なんだ。」という訳の分からない理由で俺を振ったのか理解できない。嘘でもいいからもっと分かりやすい理由で振ってほしかった。
でも、とりあえず今はカジワラに何て返事をすればいいのか考えよう。ここでまた「本当に中間試験が気になってたんだよ!」と送るのは良くない気がしたので、お互いにそういうことにしておこうという意味を込めて「ありがとう。」と送った。「ありがとう。」ならスタンプの方がいいかな?とも思ったが、やっぱり言葉で伝えたかったので「ありがとう。」とメッセージで送った。
しかし、そこであることが気になった。それはキョウヘイが自分の分を持ってきているのか?ということだった。さすがにキョウヘイもお腹がすいているだろうから、キョウヘイが何も食べずにいる中、俺だけ食べるというのはおかしい気がする。そこで俺はサンドイッチの包みを開ける前に、「キョウヘイ!お前も食べるか?」と尋ねた。
するとキョウヘイは、「大丈夫。俺の分は持ってきてるから。」と言って、包みを見せてきた。
それを見て安心した俺は、「そうか。」と返事をしてサンドイッチの包みを開けて食べ始めた。パンに挟まれている具材はうちで出るサンドイッチとは違って、ローストビーフやスモークサーモンなどが挟まれていた。具材が凝っているのに加えて運動した後ですごくお腹がすいていたので、おいしさもひとしおだった。あっという間に平らげた俺は「すごくおいしかったよ!」とキョウヘイに感想を伝えると、キョウヘイが「そりゃ良かった。」と笑って返事をした。
サンドイッチを食べて喉が渇いた俺は水筒の蓋を取って、中身を蓋に注いだ。どうやら中身は色や香りからカフェオレらしかった。俺がブラックコーヒーを飲めないことをキョウヘイは知っていたからカフェオレにしてくれたんだろう。小学生からの付き合いだからキョウヘイは俺のことを大体知っていた。
キョウヘイは最初、高飛車なお金持ちの子が多く通う私立の小学校に通っていたらしいが、なじめずにいくつも学校を転々として最終的には俺が通う公立の小学校に転入してきた。キョウヘイが今でも付き合いがあるのは小学校の時から一緒の奴らだけだった。
中学の時、キョウヘイに近づいてきたキョウヘイの背後にある親の財力目当ての奴らとは一定の距離を保って接していた。俺はキョウヘイの親の財力など知らずに友だちになったが、キョウヘイには世話になってばかりだった。なので、どうしてキョウヘイは今でも俺と友達でいてくれるのか疑問に思う時も時々あった。
友だちでいてくれる理由は分からないが今日キョウヘイが俺と友だちで良かったと言っていたので、何かしらキョウヘイが俺と友だちでいたいという理由があることは分かった。キョウヘイの優しさに報いるためにも絶対にカジワラを俺に振り向かせなくては!と俺が決意を新たにしていると、俺のスマホからラインのメッセージの着信音がした。
すぐにスマホを見ると、カジワラからメッセージが来ていた。俺が少しドキドキしながらメッセージを見ると、「今日いつもと様子が違ったのはやっぱり私のせい?」とあった。「そりゃそうだろ!」とすぐに返信したかったが、そんなことを言うとせっかくハタケやキョウヘイの前でいつも通りに接してくれたカジワラの優しさを無駄にしてしまう気がする(キョウヘイには俺がカジワラに振られたことを話しているので実際無駄なのだが)のと振られたことを引きずっているのをカジワラに感じさせて嫌われてしまう気がしたのでスマホに入力する前にやめた。
まったく気にしてないふりをするのもカジワラに振られたことなんてどうでもいいと感じさせてしまう気がしたので、「それも少しあるけど、本当に中間試験が気になっていただけだよ。」と、少し気にしているが、いつもと様子が違ったのは別な理由もあるというふりをする返信をカジワラに送った。俺が送ったメッセージはすぐに既読にはならなかった。
それから数分後に車が俺の家の前に着いた。
俺は車を降りて玄関のドアを開けて、「ただいまー。」と言って、家の中に入って行った。するとすぐに母さんが玄関までやって来た。
「お帰りー!遅かったじゃない!『8時過ぎには帰る。』って言ってたのに、もう9時近くよ!それにそもそも帰りが遅れる連絡が遅い!」
「ごめん。母さん。次から気を付けるよ。」
「分かってくれたのならいいけど。あ!キョウヘイくん来てたのね?ごめんね。全然気が付かなかった。」
俺も母さんに言われるまで気が付かなかったが、いつの間にか俺の後ろにキョウヘイがいた。
「お久しぶりです。セイのお母さん。今日は俺が急に誘ったため、セイの帰りが遅れる連絡が遅れてしまって申し訳ありません。それだけではなく、帰宅の時間も約束の時間より遅れてしまい申し訳ありません。」
キョウヘイが深々と頭を下げると、母さんは慌てて、「そんな、いいのよ。キョウヘイくん。一応親としては、『心配したんだよ。』ってことをセイに分かってもらえて、次から気を付けてもらえればそれでいいんだから。」と言って、キョウヘイの頭を上げさせようとした。
キョウヘイは頭を上げて、「そう言っていただけるとありがたいです。今言うのは不躾なお願いだというのは重々承知しているのですが、明日からも中間試験までセイと試験勉強したいと思うのですが、許可していただけますか?もちろん、明日からはちゃんと8時にはセイを家まで送りますので。」と、今度は母さんの目をしっかり見て話していた。
「全然大丈夫よ!むしろこちらからお願いしたいくらい。セイにはもう少し勉強を頑張ってほしいと思っていたから。」
「ありがとうございます。用事も済みましたので、これでお暇させていただきます。それでは夜分遅くに失礼いたしました。」
そう言うとキョウヘイは玄関を出て車の方に歩いて行った。
俺がキョウヘイに向かって「また明日な!」と言うと、キョウヘイは振り向いて「ああ、また明日。」と返事をして車に乗り込み帰宅していった。
「相変わらずしっかりした子ね。セイには見習ってほしいくらい。」
「キョウヘイがしっかりしているのは分かってるよ。キョウヘイに言われなかったら帰りが遅れる連絡をしなかったかもしれないしね。」
「でも、もう少し早い方が良かったけどね。」
「それはごめんって。」
「夕飯はどうする?キョウヘイくんは用意してるって言ってたけど、母さんも用意してたのよね。」
「え!どうして?」
「6時過ぎに帰りが遅れるって連絡されてもねぇ。6時前には夕飯の準備し始めてるからねぇ。」
「ごめんなさい。」
「フフッ。まあ反省してるみたいだから、この辺で許してあげるかな。で?どうする?食べる?」
正直、キョウヘイが用意してくれたサンドイッチだけでは、食べ盛りの男子高校生の胃袋は満たされなかったので、
「食べる食べる!今日の夕飯は何?」と答えた。
「分かった。今揚げるわね。今日はとんかつよ。」
そう言って母さんはキッチンに向かって歩いて行った。
俺は靴を脱いできれいに並べるとうがい手洗いをしに洗面所へ向かった。洗面所の隣のお風呂に父さんが入っていた(うちは3人家族なので父さんがお風呂に入っていると分かった)ので、「父さんただいま。」と一応挨拶しておいた。
すると父さんが「おう。お帰り。」と返してきた。それ以上何も言ってこなかったので、どうやら母さんが俺の帰りが遅れるという連絡があったことを伝えておいてくれたのだなと察した。何も言わないのなら、こちらも何も言わないでおこう。と考え、うがい手洗いをするとリビングへ向かった。
リビングへ行くと、キッチンで母さんがとんかつを揚げるための油を温めていた。俺は自分がいつも座る席に座ってスマホを開いた。するとカジワラからラインのメッセージが来ていた。すぐに確認すると、「それじゃあ、そういうことにしとくね。」とあった。
カジワラは俺が中間試験を気にしていたわけじゃないことを理解しているが、俺との関係がこじれるのが嫌で俺の言ったことを信じるふりまでしてくれた。それほどまでに気遣いができるのに、何で「私、愛人志望なんだ。」という訳の分からない理由で俺を振ったのか理解できない。嘘でもいいからもっと分かりやすい理由で振ってほしかった。
でも、とりあえず今はカジワラに何て返事をすればいいのか考えよう。ここでまた「本当に中間試験が気になってたんだよ!」と送るのは良くない気がしたので、お互いにそういうことにしておこうという意味を込めて「ありがとう。」と送った。「ありがとう。」ならスタンプの方がいいかな?とも思ったが、やっぱり言葉で伝えたかったので「ありがとう。」とメッセージで送った。
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