好きになった女子が愛人にしかなる気がないと言っていたので、形だけの彼女を作って愛人として付き合ってもらった。

無自信

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第7話

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 「セイ~。そろそろとんかつ揚がるから、スマホを見るのやめなさい。」

そう母さんが言ってきたので、俺は、「分かった~。」と返事をするとスマホをカバンの中に入れた。それから2,3分後、トレーにご飯やみそ汁、とんかつなどを載せて母さんがやって来た。

「はい。お待たせ。」

「母さんありがとう。いただきます。」

俺が二度目の夕飯を食べ始めると、父さんがお風呂から上がってきた。父さんは冷蔵庫から麦茶を出してコップに注ぐとリビングにやってきて自分の席に座りテレビを点けた。そして父さんは麦茶を一口飲むと、「キョウヘイくんと中間試験の勉強してるんだって?」と聞いてきた。

俺は口に入っている物を飲み込んだ後、「そうなんだ。ごめん。連絡が遅れて。」と返答した。

「いや、いいんだ。部活や予備校があれば、高校生ならもっと帰りが遅れるものだからな。でも、母さんも言ったと思うが、帰りが遅れる連絡はもう少し早い方がいいな。」

「分かった。それと明日からもキョウヘイと試験勉強するから帰るのが遅れるけどいい?」

「ああ、いいよ。ただし、帰りが遅れる連絡は入れるんだぞ。」

「分かった。」

父さんとの会話が終わって、また夕飯を食べ始めると今度は母さんが、「セイ~。夕飯食べ終わったら、お風呂に入りなさいね。」と言ってきた。

「分かった~。」
と返事をすると、あとは父さんも母さんも話しかけてくることはなく、ゆっくり夕飯を食べ終えられた。

夕飯を食べ終えるとまず自室に行って、カバンを置いたり、お風呂に入るために着替えを用意したりした。その最中にまたラインのメッセージの着信音が鳴った。カジワラからかな?と思ってドキドキしながらスマホを見ると「窓開けて!」とカジワラに比べたら全然ドキドキしない奴からメッセージが来ていた。俺が渋々窓を開けると隣の家の窓からこっちを見てる奴がいた。

「今日帰って来るの遅かったじゃん。何してたの?」

「何でもいいだろ。今日は俺の方が遅かったけど、いつもは夏希ナツキの方が帰って来るの遅いじゃん。」

「それは私が部活やってるからでしょ!部活やってないセイが私より遅く帰って来るのはおかしいでしょ!キョウヘイに送ってもらったみたいだから、キョウヘイと何かしてたんでしょうけど、私に言えないようなことしてたの⁈」

さっきから隣の家の窓から俺のことをずけずけと聞いてくる女子の名前は日向夏希ヒナタ・ナツキと言って、俺の保育園の時からの幼馴染だ。ちなみに小学2年の時に転校してきたキョウヘイとも幼馴染だ。中学・高校も同じでバレー部に所属していた。詳しくは知らないが今はバレー部のエースと言っても過言ではないくらい活躍してるらしい。

「うるさいなぁ。中間試験の勉強をキョウヘイとやっていただけだよ!別にやましいことはしてないよ!」

「それならそうとすぐ言いなさいよ!……そっか。中間試験の勉強していただけか。中間試験の勉強?ねぇ、何で3週間も先の中間試験の勉強してるの?人それぞれだとは思うけど、3週間前から始めるのは早くない?」

「別にいいだろ!いい点とりたいんだよ!」

「それはそうだろうけど……。セイ、昨日から何か変だなぁ?と思ってたけど、昨日何かあった?」

ナツキとは昨日家に帰ってきた後に今みたいにちょっと話しただけ(カジワラに振られたことは話していない)なのに、ナツキは俺の様子がおかしいことに気付いていたみたいだ。俺はそのことに驚いたが、俺が驚いたことを悟らせたらまずいと思い、努めて平静を装いながら、「別に、何もないよ。」と答えた。

ナツキは俺の返答に納得できなかったのか、「嘘!そんなの嘘だ!私たち何年の付き合いになると思ってるの!そんなの嘘だってすぐ分かる!ねぇ?本当のことを話してよ。」と始めは強い口調で否定し、後にお願いするときは優しく弱い口調で話すという話し方に強弱をつけて俺から本当のことを話させようとしてきた。

それでも俺はカジワラに振られたことをキョウヘイ以外に知られたくなかったので、「ナツキが俺を心配してくれてるのは分かったよ。でも、今はまだ誰にも話したくないから話せない。」と答えた。

俺としてはこれでも十分さらけ出したつもりなのだが、ナツキはそれでも納得できない顔をしていた。しかし、ナツキは数秒後何かをやっと飲み込んだような表情をすると、「分かった!これ以上は聞かない!でも話したくなったら、いつでも話して!」と言ってきた。

「分かった。それじゃあ、もう寝るよ。おやすみ~。」

「おやすみ。」

俺は窓を閉めてカーテンも閉めると着替えを持ってお風呂に入るため洗面所へ向かった。
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