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第22話
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うちの学校は午後7時までに完全下校なので、午後7時半にはナツキも帰ってきているかな?と思ったが、念のため午後8時まで待って、「帰ってきてるか?」とラインのメッセージを送った。
送って数十秒後にナツキから、「帰ってるけど。何?」と返信があった。俺はすぐに、「話があるから窓開けてくれるか?」と返信したあと、自分の部屋の窓を開けて隣の家のナツキの部屋の窓が開くのを待った。
数秒後、ナツキが窓を開けて、「何、話って?」と聞いてきた。
もうあとは事情を説明して偽の本命の彼女になってくれるように頼むだけだ!と頭では理解しているのだけど、どう説明したらいいか考えてなかったので、最初の一言が出てこなかった。
カジワラに愛人にしかなりたくないっていう理由で振られたんだけど、諦めきれなくてカジワラを振り向かせるために中間試験や球技大会でいい所を見せようとしたんだ。でもうまく行かなかったから、もうカジワラに愛人として付き合ってもらうために、俺と付き合うふりをしてくれ!って、そのまま言えば理解してもらえるかな?いや、そもそもカジワラが愛人にしかなりたくないという点が引っかかるかな?あれ?そういえばカジワラが愛人にしかなりたくない理由って何なんだろう?
あれこれと頭の中で考えていて何も言わなかったので、ナツキの方から話しかけてきた。
「もしかして球技大会の話?セイのクラス、結構いい所まで行ってたよね?準決勝だっけ?」
「え?何で知ってるんだよ?」
「何で?って言われても、私も隣のコートで女子のバスケに出てたからだよ。」
「そうだったのか。気付かなくてごめん。」
「キョウヘイは気付いて応援に来てくれたのになぁ。」
「キョウヘイが?ナツキのクラスはどのくらい勝ち進んだんだ?」
「私たちのクラスも準決勝まで行ったよ。」
そっか。飲み物を買って体育館に戻った時、キョウヘイがいなかったのは隣のコートでナツキの応援をしていたからか。俺は謎が解決してかなりすっきりした。
だが、ナツキはすっきりしてないらしく、「セイはホントにひどいよね。私はすぐに気が付いたのに、全然気が付かないんだもん。」と文句を言っていた。
俺は話を変えた方がいいな。と思い、「ホントにごめん!ていうか俺がしたかった話は球技大会の話ではないんだけど!」と無理やり話題を変えようとした。
「え?じゃあ、セイがしたかった話って何?」
話題を変えることには成功したが、まだ本題の話をどう話せばいいか決めてなかった。そのため、俺は、「あ……それは……その……。」とまごついてしまった。
そんな俺の様子を見たナツキは、はぁ~とため息をつきながら、「話がないならもういい?私、球技大会と部活で疲れてるから、早く休みたいんだけど。」と話を切り上げようとしてきた。俺はそれを聞いて、早く言わなきゃ!えーい!もうどうにでもなれ!と思い、「俺と付き合うふりをしてくれないか?」と話を切り出してしまった。
俺はナツキのリアクションを見るのが怖くて、目をつぶり、顔を下に向けて話してしまった。そこから恐る恐る顔を上げると、顔を真っ赤にして硬直したナツキが見えた。
「あの……ナツキ?」
これはどういう反応なんだろう?と思いながら、恐る恐るナツキに話しかけた。
するとナツキは、「『付き合ってくれ!』って、あんたカジワラさんが好きだったんじゃなかったの?振り向かせるために特訓もしてるって言ってたのに諦めたの?カジワラさんを諦めて誰でもいいから付き合いたいと思って告白してるなら許さないけど!」と顔を真っ赤にして言ってきた。
「いや、諦めてないよ。『付き合うふりをしてくれ!』って言っただろ?カジワラと付き合うために俺と付き合うふりをしてほしいんだ!」
俺の発言を聞いて、ナツキは訳が分からないという表情をしながら、「え?カジワラさんと付き合いたいから、私と付き合うってどういう意味?」と聞き返してきた。
俺は今日までの経緯をナツキに説明した。それを聞き終えたナツキは、「なるほど。事情はよく分からないけど分かったわ。つまり、セイは愛人にしかなる気がないカジワラさんと付き合うために、私に彼女のふりをしてほしいってことね?」と聞いてきた。
「そうそう!そういうことなんだ!ダメかな?もちろん、俺とナツキが付き合ってるってことは言いふらさないし、デートとかもしなくていいし、ナツキに迷惑をかけないようにするから!」
ナツキは考え込んでいる様子だったが、数十秒後には、「分かった!いいよ!付き合うふりをしてあげる!」と返答してきた。
「ホントに!いいんだな?俺と付き合うふりをしてくれるんだな?」
「うん。いいよ。ただし1つ条件がある!」
「条件?」
「うん。もうあの下級生の女子とは会わないで。それを守ってくれればいいよ。」
「下級生の女子?」
「ほら、本の話をしたっていう下級生の女子!」
「ああ!ハナザワさんか!」
俺がハナザワさんの名前を出すと、ナツキは見る見るうちに不機嫌そうな表情になった。
「名前も知ってるんだ?いつの間にそんなに仲良くなったの?」
「3,4回会って本の話をしただけだよ!でもナツキが嫌ならもう会わないよ!」
「ホントに?」
「本当だよ!」
「分かった!それならいいよ!」
「それじゃあ、今から俺とナツキは付き合っているということでよろしく!」
「分かった!私がセイの初めての彼女ってことだよね?」
「うん。まあそうだな。一応そういうことになるな。」
「そっか。えへへへへへ。」
「ナツキありがとな。こんな無茶なお願い聞いてもらって。」
「別にいいよ。こんなお願い聞いてあげられるのは、セイには私しかいないからね!」
「感謝してます。あ!もう9時か!長い時間話し込んでごめんな。それじゃ、おやすみ~。」
「うん。おやすみ~。」
ナツキが窓を閉めるのを確認してから、俺も窓を閉めた。俺は嬉しさからじっとしていられず、自分の部屋が2階だということも忘れてドタバタと動き回った。
よっしゃー!これであとはカジワラにナツキと付き合い始めたことを伝えて愛人になってもらえばいいだけだな!キョウヘイは無理だって言ってたけど、俺とナツキの仲だからうまく行ったぜ!ああ、明日が楽しみだ!
俺はこの日、興奮からか、なかなか寝付けなかった。
送って数十秒後にナツキから、「帰ってるけど。何?」と返信があった。俺はすぐに、「話があるから窓開けてくれるか?」と返信したあと、自分の部屋の窓を開けて隣の家のナツキの部屋の窓が開くのを待った。
数秒後、ナツキが窓を開けて、「何、話って?」と聞いてきた。
もうあとは事情を説明して偽の本命の彼女になってくれるように頼むだけだ!と頭では理解しているのだけど、どう説明したらいいか考えてなかったので、最初の一言が出てこなかった。
カジワラに愛人にしかなりたくないっていう理由で振られたんだけど、諦めきれなくてカジワラを振り向かせるために中間試験や球技大会でいい所を見せようとしたんだ。でもうまく行かなかったから、もうカジワラに愛人として付き合ってもらうために、俺と付き合うふりをしてくれ!って、そのまま言えば理解してもらえるかな?いや、そもそもカジワラが愛人にしかなりたくないという点が引っかかるかな?あれ?そういえばカジワラが愛人にしかなりたくない理由って何なんだろう?
あれこれと頭の中で考えていて何も言わなかったので、ナツキの方から話しかけてきた。
「もしかして球技大会の話?セイのクラス、結構いい所まで行ってたよね?準決勝だっけ?」
「え?何で知ってるんだよ?」
「何で?って言われても、私も隣のコートで女子のバスケに出てたからだよ。」
「そうだったのか。気付かなくてごめん。」
「キョウヘイは気付いて応援に来てくれたのになぁ。」
「キョウヘイが?ナツキのクラスはどのくらい勝ち進んだんだ?」
「私たちのクラスも準決勝まで行ったよ。」
そっか。飲み物を買って体育館に戻った時、キョウヘイがいなかったのは隣のコートでナツキの応援をしていたからか。俺は謎が解決してかなりすっきりした。
だが、ナツキはすっきりしてないらしく、「セイはホントにひどいよね。私はすぐに気が付いたのに、全然気が付かないんだもん。」と文句を言っていた。
俺は話を変えた方がいいな。と思い、「ホントにごめん!ていうか俺がしたかった話は球技大会の話ではないんだけど!」と無理やり話題を変えようとした。
「え?じゃあ、セイがしたかった話って何?」
話題を変えることには成功したが、まだ本題の話をどう話せばいいか決めてなかった。そのため、俺は、「あ……それは……その……。」とまごついてしまった。
そんな俺の様子を見たナツキは、はぁ~とため息をつきながら、「話がないならもういい?私、球技大会と部活で疲れてるから、早く休みたいんだけど。」と話を切り上げようとしてきた。俺はそれを聞いて、早く言わなきゃ!えーい!もうどうにでもなれ!と思い、「俺と付き合うふりをしてくれないか?」と話を切り出してしまった。
俺はナツキのリアクションを見るのが怖くて、目をつぶり、顔を下に向けて話してしまった。そこから恐る恐る顔を上げると、顔を真っ赤にして硬直したナツキが見えた。
「あの……ナツキ?」
これはどういう反応なんだろう?と思いながら、恐る恐るナツキに話しかけた。
するとナツキは、「『付き合ってくれ!』って、あんたカジワラさんが好きだったんじゃなかったの?振り向かせるために特訓もしてるって言ってたのに諦めたの?カジワラさんを諦めて誰でもいいから付き合いたいと思って告白してるなら許さないけど!」と顔を真っ赤にして言ってきた。
「いや、諦めてないよ。『付き合うふりをしてくれ!』って言っただろ?カジワラと付き合うために俺と付き合うふりをしてほしいんだ!」
俺の発言を聞いて、ナツキは訳が分からないという表情をしながら、「え?カジワラさんと付き合いたいから、私と付き合うってどういう意味?」と聞き返してきた。
俺は今日までの経緯をナツキに説明した。それを聞き終えたナツキは、「なるほど。事情はよく分からないけど分かったわ。つまり、セイは愛人にしかなる気がないカジワラさんと付き合うために、私に彼女のふりをしてほしいってことね?」と聞いてきた。
「そうそう!そういうことなんだ!ダメかな?もちろん、俺とナツキが付き合ってるってことは言いふらさないし、デートとかもしなくていいし、ナツキに迷惑をかけないようにするから!」
ナツキは考え込んでいる様子だったが、数十秒後には、「分かった!いいよ!付き合うふりをしてあげる!」と返答してきた。
「ホントに!いいんだな?俺と付き合うふりをしてくれるんだな?」
「うん。いいよ。ただし1つ条件がある!」
「条件?」
「うん。もうあの下級生の女子とは会わないで。それを守ってくれればいいよ。」
「下級生の女子?」
「ほら、本の話をしたっていう下級生の女子!」
「ああ!ハナザワさんか!」
俺がハナザワさんの名前を出すと、ナツキは見る見るうちに不機嫌そうな表情になった。
「名前も知ってるんだ?いつの間にそんなに仲良くなったの?」
「3,4回会って本の話をしただけだよ!でもナツキが嫌ならもう会わないよ!」
「ホントに?」
「本当だよ!」
「分かった!それならいいよ!」
「それじゃあ、今から俺とナツキは付き合っているということでよろしく!」
「分かった!私がセイの初めての彼女ってことだよね?」
「うん。まあそうだな。一応そういうことになるな。」
「そっか。えへへへへへ。」
「ナツキありがとな。こんな無茶なお願い聞いてもらって。」
「別にいいよ。こんなお願い聞いてあげられるのは、セイには私しかいないからね!」
「感謝してます。あ!もう9時か!長い時間話し込んでごめんな。それじゃ、おやすみ~。」
「うん。おやすみ~。」
ナツキが窓を閉めるのを確認してから、俺も窓を閉めた。俺は嬉しさからじっとしていられず、自分の部屋が2階だということも忘れてドタバタと動き回った。
よっしゃー!これであとはカジワラにナツキと付き合い始めたことを伝えて愛人になってもらえばいいだけだな!キョウヘイは無理だって言ってたけど、俺とナツキの仲だからうまく行ったぜ!ああ、明日が楽しみだ!
俺はこの日、興奮からか、なかなか寝付けなかった。
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