目が覚めたら夫と子供がいました

青井陸

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ピクニック ほのぼの編

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「お母様!!」

 

シャルロットが部屋で本を読んでいると勢いよくドアが開き、エリックが入ってきた。

 
「あら、リック。お勉強は終わったの?」

 
「うん、終わったよ!」

 
エリックはそのままシャルロットの膝の上に座った。

 
「お母様、僕ね、いいこと思いついたんだけど……」

 
「なに?」

 
「明日ピクニックするでしょ?その時、お父様には内緒で僕とお母様でお弁当を作らない?」

 
「まぁ!良い考えね!素敵だわ。そうね、作りましょう」

 
「お父様びっくりするかな」

 
「えぇ、きっと驚くわね。ふふっ。楽しみだわ」

 
翌日、ハロルドが書斎で朝から仕事をしている間、シャルロットとエリックは厨房でピクニック用のお弁当を料理長たちと作ることにした。

 
「エリック様と作るのでサンドウィッチが宜しいかと」

 
「そうね……野菜とハムのサンドウィッチとバターとお砂糖の甘いサンドウィッチが良いわね」

 
ハルは、ああ見えて甘いのが好きなのよね

 
「リックはバターが柔らかくなったらと砂糖を入れて混ぜてくれる?」

 
「はーい!」

 

♢♢♢

 

「これで完成だね!」

 
「リック、ハルを呼んできてもらってもいい?」

 
「うん!」

 
エリックは急いで書斎に向かった。

 

 

―――コンコン

 

 

「お父様、お仕事終わった?ピクニックの時間だよ!」

 
 ハロルドは、手を止めてエリックをみる。

 
「あぁ、もうそんな時間か。すまない、もう終わるから先に行っていてくれ。すぐに行く」

 

「わかった!お母様と先に行ってるね!」

 

 

シャルロットとエリックが庭の水仙が綺麗に咲いているそばの木の下に布を広げ昼食の準備をし始めた。

家族そろってピクニックをするときは、庭ということもあり使用人たちは離れたところにいる。

 

 
ちょうど準備が整ったころ、

 
「遅れてすまない」

 
「いえ、今準備が終わったところですよ」

 
「お父様お腹空いてる?」

 
「あぁ。空いている」

 
「みて!!!!今日のお弁当は僕とお母様が作ったんだよ!!」

 
「……リックとシャルが?」

 
「うん!!食べてみて!はい!」

 
「そうか……」

 
ハロルドはエリックに渡されたレタスとハムのサンドウィッチを一口食べた。

 
「おいしい。ありがとう」

 
ニコッと笑いサンドウィッチを持った反対の手でエリックの頭をなでる。

 

ハロルドは、以前のような眉間にしわをよせる顔はみせることがなくなり、今ではいつも笑顔をみせるようになった。

 

「シャルもありがとう」

 
「喜んでもらえて良かったです。昨日リックが、ハルに内緒でお弁当を作りたいと張り切っていたので」

 
「そうか」

 
「お父様、食べ終わったらボールで遊ぼう」
 

「あぁ、いいよ」

 

 

 

 

 

 

「ごちそうさま。……あ!!ちょうちょだ!」

 
エリックは蝶々を見つけ追いかけた。

 
「ふふっ。エリックは子供らしくて可愛いですね」

 
「ははっ。そうだな。それに、シャルに似て優しい子だ」

 
シャルロットは、そっと隣に座るハロルドの手をとり繋いだ。

 

「!!!!!」

 
「優しいのは、きっとハルに似たんですわ」

 

 
ハロルドは顔を真っ赤にして繋いだ手にぎゅっと力をこめた。

 
ふふっ。ハル、照れているわ。可愛い……幸せだわ

 

 

来週の旅行が楽しみね

 

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