俺の定食屋

あさの紅茶

文字の大きさ
2 / 9

02

しおりを挟む

翌日、小金井の圧に負けて、俺は渋々ランチに出た。
編集なんて仕事をしていると昼の時間がずれることはよくある。

昼のピークも過ぎたころ、俺は小金井先導のもと、会社からすぐ近くのこじんまりとした店を訪れた。

『定食屋』と暖簾が掲げられて昔ながらの店なのかと思いきや、窓は大きなガラス張りでおしゃれ。ちぐはぐさが拭えないが、綺麗に改装されたであろう外観に、最近できた店なのだろうと予測する。

オフィス街にある店はしばしば入れ替わることがあり、最近まであった店が突然なくなったり知らぬ間に新店舗が出来ていたりとめまぐるしい。たぶん立地がいいから土地代は高いし、それなりの売り上げがないと立ち行かなくなるのだろう。

「最近できたお店で、入ってみたかったんですよ」

小金井がテンション高く盛り上がるので「一人で行けばいいじゃん」と呟けば、どうやら聞こえたらしく、キッと睨まれてしまった。

「……ちょっと入りづらかったんですよ」

「なんで?」

「だって、一見おしゃれなカフェみたいに見えて、暖簾はかかってるし名前はそのものずばりだし。どんなのかなーって思って」

だから俺を道づれにしたわけだ。
小金井、なかなかあざとい奴だ。

「お前、仮にも編集の端くれだろ? それくらい取材と思って入れよ」

昨日言われたことを言い返してやった。
小金井はぷうっと頬を膨らませて「先輩に言われたくありません」と怒った。
なんでだよ、お前が先に言ったくせに。

小金井は放っておいて先に店に入る。
暖簾をくぐれば「いらっしゃいませ」と朗らかな声に迎えられ、人のよさそうな年配の女性がエプロンに三角巾をつけて寄ってきた。

「お二人様ね。お好きな席にどうぞ」

どうやら放っておいた小金井も俺についてきたらしい。
ちゃっかりお二人様と捉えられている。
俺たちは窓際の席に腰を下ろした。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

身体の繋がりしかない関係

詩織
恋愛
会社の飲み会の帰り、たまたま同じ帰りが方向だった3つ年下の後輩。 その後勢いで身体の関係になった。

【完結済】25億で極道に売られた女。姐になります!

satomi
恋愛
昼夜問わずに働く18才の主人公南ユキ。 働けども働けどもその収入は両親に搾取されるだけ…。睡眠時間だって2時間程度しかないのに、それでもまだ働き口を増やせと言う両親。 早朝のバイトで頭は朦朧としていたけれど、そんな時にうちにやってきたのは白虎商事CEOの白川大雄さん。ポーンっと25億で私を買っていった。 そんな大雄さん、白虎商事のCEOとは別に白虎組組長の顔を持っていて、私に『姐』になれとのこと。 大丈夫なのかなぁ?

せんせいとおばさん

悠生ゆう
恋愛
創作百合 樹梨は小学校の教師をしている。今年になりはじめてクラス担任を持つことになった。毎日張り詰めている中、クラスの児童の流里が怪我をした。母親に連絡をしたところ、引き取りに現れたのは流里の叔母のすみ枝だった。樹梨は、飄々としたすみ枝に惹かれていく。 ※学校の先生のお仕事の実情は知りませんので、間違っている部分がっあたらすみません。

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様を書いたストーリーです。

危険な残業

詩織
恋愛
いつも残業の多い奈津美。そこにある人が現れいつもの残業でなくなる

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語

jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
 中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ  ★作品はマリーの語り、一人称で進行します。

処理中です...