愛することを忘れた彼の不器用な愛し方

あさの紅茶

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重い事実

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飲み会がお開きになり、酔いを覚ますためにコンビニで水とアイスを買った。

コンビニの袋をゆらゆらと振りながら、暗い夜道をアパートへ向かってとぼとぼと歩く。星は綺麗に瞬いているのに、私の心は灰色に荒んでいた。

飲みすぎでベロンベロンに酔っているはずなのに、妙に頭は冴えている。

飲み会自体は楽しかった。
皆とわいわい騒ぐのは楽しい。
けれど日下さんの事情の衝撃は大きく、私の頭の中はそのことでいっぱいだ。

笑えなくなった日下さんを見ていた曽我さんや回りの人たちも苦しかったのだろう。今、日下さんが笑えるようになってよかったと思っている人はたくさんいるに違いない。

でも私には本当の笑顔には見えないんだ。

いつも無理して笑っているような、そんな雰囲気が漂ってくる。そんなことを勝手に感じて失礼だとは思う。だけど、今日曽我さんから話を聞いて、その想いが一層強くなった。

金木犀で私とママのやり取りを見て笑ってくれたような、あの時の笑顔をまた見たい。あんな風にまた笑ってほしい。

日下さんは私を抱いてくれた。
例えそれが私に対する慰めだったとしても、日下さんの欲求の捌け口だったとしても、それでいい気がした。

私が日下さんを幸せにしてあげたい。

おこがましいかもしれないけど、この時私は心に誓った。
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