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3.トラウマ持ちの葛藤 side一真
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『あー……。じゃあ次も考えるけど……』
次ってなんだ、次って。本当にそれでいいのか?
この返事が正しいのか、冷静に判断できない。だって目の前の杏子はいたって真剣なんだから。そして次があることに嬉しそうに笑う。
その無垢な笑顔に、ますます罪悪感がつのった。俺はなんてことをしたのだろうと。謝るなら今だろうかとぐるぐる頭を巡らせていると、杏子は診察代はいくらだと聞いてきた。
……どうしてそうなるんだ?
杏子の思考がよくわからない。本気なのか冗談なのか、これが天然ってやつなのか? ぶつぶつと考え込む彼女の顔は、百面相のようにくるくると変わる。あげくの果てにローンは組めるかと聞いてきた。
いや、本当に、どうしてそうなるんだよ。
あまりにも真剣な顔で聞いてくるものだから、杏子の想像力の豊かさに俺もいい加減笑いがこみ上げてきて、思わず吹き出してしまう。
『二人だけの秘密だ。誰かに漏らしたら、呪いが発動する』
『呪い?!』
『あはは! なんで信じるの?』
『え、嘘? え、何が本当? からかってる?』
杏子とは昨夜出会ったばかり。一緒に飲み屋に行ってラブホで一晩過ごしただけだけれど、なんとなく彼女の人となりが見えてきている。
きっと杏子は素直な性格なんだろうな。だから前の彼氏に「濡れない」って言われて、それを真に受けてずっと気にしてるんだろう。本当はそうじゃないのに。
そんなこんなで曖昧に“次”を約束して帰ってきてしまったわけだ。
これでよかったのか、ずっと自問自答している。杏子には悪いことをしたと思っているが、これは杏子も希望したことなのだ。だからきっと、よかったんだろう……。そうやって、どこか杏子のせいにして、自分を正当化していた。
いつか杏子に謝らないとな……。
気づけばずっと杏子のことを考えていて、あの無垢で可愛らしい笑顔を思い出しては胸がズキッと痛む。いつか連絡をと思いながらも躊躇う気持ちのほうが大きくて、さらには仕事の忙しさにもかまけて、闇雲に日々だけが過ぎていった。
次ってなんだ、次って。本当にそれでいいのか?
この返事が正しいのか、冷静に判断できない。だって目の前の杏子はいたって真剣なんだから。そして次があることに嬉しそうに笑う。
その無垢な笑顔に、ますます罪悪感がつのった。俺はなんてことをしたのだろうと。謝るなら今だろうかとぐるぐる頭を巡らせていると、杏子は診察代はいくらだと聞いてきた。
……どうしてそうなるんだ?
杏子の思考がよくわからない。本気なのか冗談なのか、これが天然ってやつなのか? ぶつぶつと考え込む彼女の顔は、百面相のようにくるくると変わる。あげくの果てにローンは組めるかと聞いてきた。
いや、本当に、どうしてそうなるんだよ。
あまりにも真剣な顔で聞いてくるものだから、杏子の想像力の豊かさに俺もいい加減笑いがこみ上げてきて、思わず吹き出してしまう。
『二人だけの秘密だ。誰かに漏らしたら、呪いが発動する』
『呪い?!』
『あはは! なんで信じるの?』
『え、嘘? え、何が本当? からかってる?』
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そんなこんなで曖昧に“次”を約束して帰ってきてしまったわけだ。
これでよかったのか、ずっと自問自答している。杏子には悪いことをしたと思っているが、これは杏子も希望したことなのだ。だからきっと、よかったんだろう……。そうやって、どこか杏子のせいにして、自分を正当化していた。
いつか杏子に謝らないとな……。
気づけばずっと杏子のことを考えていて、あの無垢で可愛らしい笑顔を思い出しては胸がズキッと痛む。いつか連絡をと思いながらも躊躇う気持ちのほうが大きくて、さらには仕事の忙しさにもかまけて、闇雲に日々だけが過ぎていった。
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