癒やしの小児科医と秘密の契約

あさの紅茶

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15.好きという気持ち

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おでこに仰々しく湿布を貼られ、千里さんに連れられたのは『焼肉モーちゃん』だ。

「あー、心和ちゃん来た来た。おでこ大丈夫?」

「お肉を食べて元気になりましょう!」

いつも優しい笑顔を浮かべる杏子さんと、トング片手にやる気満々の桜子さんだ。桜子さんは今回も焼肉奉行をやりたいらしい。嬉々としてお肉を焼き始め、いちいち杏子さんがフォローしてあげている。きっとこのお店が気に入ったんだな。

「お腹すきましたー」

「まー、いろいろあったからねぇ」

千里さんが訳知り顔で苦笑した。

「とりあえずビール?」

「あ、私は今日はアルコールは控えます。一応頭打っちゃったんで」

「え、頭打つとビール飲んじゃダメなの?」

「アルコールが血流を促進しちゃうからよくないんですよぉ。というわけで、ウーロン茶で」

なんだか最近俊介さんの真面目さが移ってきた気がする。前の私だったら、それくらいどうってことないなんて思いながら飲んでいたはずだ。

「聞いたよー、心和ちゃん。とんだ災難だったね」

「はい、でも莉々花ちゃんが怪我しなくてよかったです。私がもっと力強かったら倒れることもなかったんですけど」

「何言ってるの、心和ちゃんが救世主じゃないの」

「そうそう、普通は受け止められないって。名誉の負傷ってやつでしょ」

「かっこいい心和ちゃん」

「さすが釈迦心和」

どうやら千里さんが今日の出来事を杏子さんと桜子さんに話してくれていたみたいだ。

皆さんが私を褒めてくれる。それがちょっぴりくすぐったい。沈んでいた気持ちが少し上向きになるから、とてもありがたい。

「で、なに? その子を佐々木先生が家まで送って行ったんですって?」

「でも、部長に言われちゃ断れないよね。気持ち的には断ってほしいような気もするけど」

「杏子さん桜子さん、聞いてください。うちの心和は、自ら佐々木先生の背中を押したんですよ。送ってあげてくださいって。なんて出来た娘なのかしら」

千里さんが大げさに私を褒め称えた。心の中はモヤモヤなのでそんな褒められたものではないけれど、それでも褒めてもらえるのは嬉しく感じる。
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