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16.君の存在 佐々木side
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処置室の騒ぎに気づいて駆けつけたとき、一番に目にしたのは、心和が牧野くんに介抱されてるところだった。意味がわからないと思いつつ全体を見回せば、莉々花ちゃんも部長に介抱されている。ひとまず心和の元へ行けば、「莉々花ちゃんが倒れちゃって」と、自分のことはそっちのけで他人の心配をしていた。
机の角で打ったという心和の額には、ひどい瘤ができていた。見た様子や会話をする限り心配なさそうだったけれど、医療的観点はどうでもよくて、心和が怪我をしたということ自体が心配でたまらない。
牧野くんが持ってきてくれた保冷剤をタオルに包んで心和の瘤に当てる。
「ふわあ、つめたーい」
「ちゃんと冷やして。立てる?」
「はい、大丈夫です」
支えながら立たせると、部長と目が合った。そうだ良いこと思いついちゃったみたいなニヤニヤ顔をする部長。嫌な予感。
「あー、ちょうどいい、佐々木くん。君、もう仕事終わるだろう? 小谷さんを送ってやれないか?」
まったく、何を言い出すのかこの人は。いつも突拍子もないことを言う人なのであまり驚きはしなかったけれど、俺の代わりに心和が目を丸くして驚いていた。
……なにか試されている気がする。困った。
「実家暮らしみたいだから、家わかるだろ? 子どもの頃近所だって言ってなかった?」
「……はい、そうですね」
とは言ったものの、俺が莉々花ちゃんを送っていくことに心和は良い気持ちではないはずだ。だから迷ってしまった。たぶん今までの俺だったら親切心で了承していた。状況からして、断るのもおかしな話だからだ。
初めて、気持ちが天秤にかけられた。
答えが出るより早く、心和が俺の背中を押す。
「佐々木先生、送ってあげてください。莉々花ちゃんすごく顔色悪かったから、一人で帰るのは危ないと思う」
「心和は大丈夫?」
「私? 全然平気です! 保冷剤で冷やしてるから、痛みもなくなってきました。それに私はまだ仕事も残ってるし。ほら、早く行ってあげてください」
ね、とニコッと笑う。
後ろ髪を引かれつつも心和に送り出されて、俺は莉々花ちゃんを送ることになったのだった。
机の角で打ったという心和の額には、ひどい瘤ができていた。見た様子や会話をする限り心配なさそうだったけれど、医療的観点はどうでもよくて、心和が怪我をしたということ自体が心配でたまらない。
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「ふわあ、つめたーい」
「ちゃんと冷やして。立てる?」
「はい、大丈夫です」
支えながら立たせると、部長と目が合った。そうだ良いこと思いついちゃったみたいなニヤニヤ顔をする部長。嫌な予感。
「あー、ちょうどいい、佐々木くん。君、もう仕事終わるだろう? 小谷さんを送ってやれないか?」
まったく、何を言い出すのかこの人は。いつも突拍子もないことを言う人なのであまり驚きはしなかったけれど、俺の代わりに心和が目を丸くして驚いていた。
……なにか試されている気がする。困った。
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