傘使いの過ごす日々

あたりめ

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初めまして、異世界

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気がつけば回りは木々に囲まれた場所。
どうやら森?にいるらしい。
ここはどこの県?…異世界だったか。
目が覚めてここがどこかわからないがただ一つだけわかったのが、ここが異世界だということだけだ。
ちゃんと言葉通じる?スキルは?あの<傘使い>は?
不安要素しかない出だし。右も左もわからない状態からのスタート。<傘使い>の事を思い出すと傘が頭に落ちてきた。
傘は黒色のよくある長傘。前世から愛用している。愛用歴5年。
俺これからどう戦うの?魔物とかいるんでしょ?これじゃぁ、戦うどころか殺されちまうよ。あの神様クソガキが…絶対に謀ったな。
傘ごときじゃなにもできないと思いほぼやけになりつつあった。
傘をてに持った瞬間体に電流が流れるような感じがした。

《スキル<傘の極意>を習得しました。》

そんなアナウンスが頭のなかに響いた。
<傘の極意>ってなんだ、と今のアナウンスはいったいどこからと周りをキョロキョロと見渡す。
現状、力が漲っていることが分かる。万能感すら感じている。
試しに木の枝を広いへし折るともっと太いのもへし折った。溢れんばかりの力で試しに樹立している木を底掌を放つと木が折れた。
<傘の極意>は本当にあったんだと、歓喜していた。
しかし本当に凄いのは疲れないことだ。疲労感が一切ない。どれだけ走り回ろうが疲れないのだ。
年甲斐もなくはしゃぎ回っているとあることに気づいた。
木々の間からナニかがこちらを見ているのを。
半固形の蠢く物体スライムと呼ばれるモノ、二足歩行の狼犬、健脚狼犬
こいつらが魔獣なのか?新しいものを見る男の目は爛々としている。

健脚狼犬がこちらに飛び掛かる。受け止めて撫でまわす。
最近犬とじゃれてなかったからなぁ、癒しが足りなかったんだよな。
魔物であるとは知らない男は犬とじゃれるように、背中を撫で、顎を撫で、腹を撫でる。
健脚狼犬は爪で引っ掻いてくるが、皮膚にはかすり傷みたいなものができるだけで特に問題はない。
痛くないな…可愛いなぁ…実家に柴犬がいたけどこんなに凶悪そうな面してなかったなと、そんなことを思っていたら、今度はスライムが足元から這い上ってきた。
スライムが上ってくると服の色が落ちていく。
動くスライムを素手で持って肌触りを確かめる、冷たくスベスベとしている。
小さい頃学校でスライムを作ったよな、と昔のことを懐かしみながらスライムを弄りまくる。

スライムをこねること約10分スライムは蒸発してしまった。
蒸発してしまったことに驚いたが、こねるだけでスライムを殺せることにも驚いた。
ふと健脚狼犬の方を見ると動く気配は全くしない。
健脚狼犬の体を揺するも動く気配もなく、呼吸を確認すると呼吸をしていないことが確認できた。
殺した?どうしよう、焦燥、罪悪感が込み上げてくる。

秘技「とりあえず埋葬」をするしてとりあえずなにもなかったことにする。
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