20 / 106
他人の過去には悲劇は付き物
しおりを挟む
魔獣や魔物の死骸を買い取ってもらって、18万ルター近くを儲けれた。
先刻の気絶した静也、魔物&魔獣もらってる事件でもう十分怖い目にあっているのでこれでもかというほどの準備をすることにした。
まずは防具を見繕う。攻撃を受けても死なないようにするためだ。
しかし静也は防具を売っている所を知らない。
だからといって適当に見つけた店で買うのも気が引けるようだ。
それもそうだ。
命を預けるのも同然の防具を適当に見つけた店で適当に買って狩りにいくというのは流石に無謀が過ぎる。
なのでここは、門番のデカルトに聞くことにした。
「防具を買いたいから良い店を紹介しろ?俺にか?」
「はい。身近で聞ける人はデカルトさんくらいなんですよ。良い店を知りませんか?」
デカルトは嬉しいのか口角を少し上げたのち、唸り声をあげながら顎に手を当て
「お前さんはどういう戦い方してんだ?まずそこだろ。」
と言われ今度は静也が唸り声をあげる。
「今まで、金がなくてたまたま傘があったのでそれを使っていたんで…戦いかたを知らないです。」
「お、お前はちょっと変わってんだよな…ならよ。アイツに頼んでみるわ。」
と言って関所近くの簡単な建物の中に入っていく。
そのあとすぐにデカルトと同じ装備を身につけた男が来た。
「よし、紹介するぜ。こいつは『トマス』だ。武器、防具に関することに詳しい男で、門番の武器、防具を手入れする仕事をしてくれている。」
「よろしくね。話は聞いてるよ。
得物は傘、防具なし。んー、とても興味深いね。
確かに傘でも戦うことはできるよ。だけど直接な殺傷能力はほとんど無いから、どうやって魔獣や魔物を倒すのか実に気になるねぇ。
ねぇ、みせてくれないかい?君の戦いかたを。あぁ、いや、タダでって訳じゃないよ?勿論、君に合った防具を進呈するよ。勿論、僕の財布から。さぁ、先ずはその傘を見せてはくれないかい?」
と、男が初対面相手に持ち前の饒舌っぷりを披露する。
静也は若干引いていた。
静也はデカルトを見るとデカルトは顔に手を当てると首を振る。
つまり、デカルトにもこの癖はどうにもできないらしい。
「ちょちょっ!待ってください!待ってください!」
トマスの饒舌っぷりに戸惑っている静也にデカルトは
「諦めてくれ。こいつのこういうところは天性の性ってやつだ。どうにもならないんだよ…これが。」
トマスの方を見るとにこやかにペラペラとまだその饒舌っぷりを披露していた。
静也はガックリと頭を垂れた。
「その傘なんかおかしくないですか?」
トマスから指摘が入る。しかし、静也の傘にはなんの仕掛けもない。ただの傘に見える。
「見た目は変わらないと思いますけど…」
「いえ、そうではなく、何だか分からないのですが…傘から異様なほど変な気配を感じるんですよ。」
「そうですか?別に何も感じないですが…」
魔力眼を持つものなら何となくでその物(者)に宿る魔力を視ることができる。トマスは魔力眼の才覚が多少あったので傘から溢れる魔力に感づいた。スキル<魔力眼>を所有していないのにも関わらず魔力に感づいた才覚は末恐ろしいものでもある。
「大変失礼ですが…その傘を貸してくれませんか?」
「え?いいですよ?」
と、軽く了承した静也。普通の冒険者は自分の得物を触られるのを極端に嫌う。それは己の命を預けている物を他人に触れさせる行いで、他人に自分の命を触られていると考える者が多く、それがいつしか伝染していき、殆どの冒険者は鍛冶屋位にしか触らせない。
「この傘は…凄く重いっ!訓練で使用するフルプレートの鎧と同じくらいにありますよ!」
「え?!そんなに重いんですか?!大丈夫ですか?!」
「えぇこのくらいなら持てますよ。伊達に訓練してきてませんから。ですが…よくこんなのをブンブン振り回せるものですね…自分なら腕が飛んでいたと思いますよ。」
静也はまだ言っていないが、この傘は異界産の傘なのだ。
その性能も能力も計り知れないものである故、担い手は傘に選ばれる。
「それに…この傘はシズヤさんのところへ戻りたがっている気がします。」
ありがとうございますといい、傘を丁寧に返してくれた。
「もしかすると、スキルに何かありますか?」
と、試すかのような目で聞いてきた。
先刻、ジョアンの忠告に従いここは隠すことにした。
「まぁ、そりゃ話してくれる人はいませんからね。では約束通り防具を見繕って差し上げます。」
と言って関所の簡素な建物へ駆け込んだ。
嵐みたいなひとだな、と思っているとデカルトが静也に近付いて、
「本当にありがとうな。あいつはもともと武器、防具鍛冶の家の出だったんだ。ここから馬車で一週間する所の町の有名な鍛冶屋の長男だった。ある日、『スタンピード』があってその町は壊滅。多くの人間が死んでいったのを目の当たりにしたもんだから、正義感の強いあいつは人を守るこの職業に就いた訳だが…」
関所のトマスの入っていった建物の方へ目をやると言った。
「もともと鍛冶が好きだったもんだから、武器や防具を見繕ったりするのがやっぱりしっくりくるんだろうな…」
そんな過去があったのかと思うと胸の苦しい思いをしたんだなと同情する気持ちがたかまっていった。
すると建物からトマスが大きな木箱を何段にも積み重ねてやって来た。中には金属製の全身鎧などが入っていた。
どうやってこんなものを持ってこれたのかと聞くと、傘を触らせてくれたお礼と言って教えてくれた。
トマスは世界のなかでも珍しい魔法保有者で、身体強化の魔法を使用することができる。
ただ、トマス自身魔力が少ないので持続力は無いとのことだ。
そんな余談をしながらも、トマスは静也の防具を真剣に身繕い始めた。
先刻の気絶した静也、魔物&魔獣もらってる事件でもう十分怖い目にあっているのでこれでもかというほどの準備をすることにした。
まずは防具を見繕う。攻撃を受けても死なないようにするためだ。
しかし静也は防具を売っている所を知らない。
だからといって適当に見つけた店で買うのも気が引けるようだ。
それもそうだ。
命を預けるのも同然の防具を適当に見つけた店で適当に買って狩りにいくというのは流石に無謀が過ぎる。
なのでここは、門番のデカルトに聞くことにした。
「防具を買いたいから良い店を紹介しろ?俺にか?」
「はい。身近で聞ける人はデカルトさんくらいなんですよ。良い店を知りませんか?」
デカルトは嬉しいのか口角を少し上げたのち、唸り声をあげながら顎に手を当て
「お前さんはどういう戦い方してんだ?まずそこだろ。」
と言われ今度は静也が唸り声をあげる。
「今まで、金がなくてたまたま傘があったのでそれを使っていたんで…戦いかたを知らないです。」
「お、お前はちょっと変わってんだよな…ならよ。アイツに頼んでみるわ。」
と言って関所近くの簡単な建物の中に入っていく。
そのあとすぐにデカルトと同じ装備を身につけた男が来た。
「よし、紹介するぜ。こいつは『トマス』だ。武器、防具に関することに詳しい男で、門番の武器、防具を手入れする仕事をしてくれている。」
「よろしくね。話は聞いてるよ。
得物は傘、防具なし。んー、とても興味深いね。
確かに傘でも戦うことはできるよ。だけど直接な殺傷能力はほとんど無いから、どうやって魔獣や魔物を倒すのか実に気になるねぇ。
ねぇ、みせてくれないかい?君の戦いかたを。あぁ、いや、タダでって訳じゃないよ?勿論、君に合った防具を進呈するよ。勿論、僕の財布から。さぁ、先ずはその傘を見せてはくれないかい?」
と、男が初対面相手に持ち前の饒舌っぷりを披露する。
静也は若干引いていた。
静也はデカルトを見るとデカルトは顔に手を当てると首を振る。
つまり、デカルトにもこの癖はどうにもできないらしい。
「ちょちょっ!待ってください!待ってください!」
トマスの饒舌っぷりに戸惑っている静也にデカルトは
「諦めてくれ。こいつのこういうところは天性の性ってやつだ。どうにもならないんだよ…これが。」
トマスの方を見るとにこやかにペラペラとまだその饒舌っぷりを披露していた。
静也はガックリと頭を垂れた。
「その傘なんかおかしくないですか?」
トマスから指摘が入る。しかし、静也の傘にはなんの仕掛けもない。ただの傘に見える。
「見た目は変わらないと思いますけど…」
「いえ、そうではなく、何だか分からないのですが…傘から異様なほど変な気配を感じるんですよ。」
「そうですか?別に何も感じないですが…」
魔力眼を持つものなら何となくでその物(者)に宿る魔力を視ることができる。トマスは魔力眼の才覚が多少あったので傘から溢れる魔力に感づいた。スキル<魔力眼>を所有していないのにも関わらず魔力に感づいた才覚は末恐ろしいものでもある。
「大変失礼ですが…その傘を貸してくれませんか?」
「え?いいですよ?」
と、軽く了承した静也。普通の冒険者は自分の得物を触られるのを極端に嫌う。それは己の命を預けている物を他人に触れさせる行いで、他人に自分の命を触られていると考える者が多く、それがいつしか伝染していき、殆どの冒険者は鍛冶屋位にしか触らせない。
「この傘は…凄く重いっ!訓練で使用するフルプレートの鎧と同じくらいにありますよ!」
「え?!そんなに重いんですか?!大丈夫ですか?!」
「えぇこのくらいなら持てますよ。伊達に訓練してきてませんから。ですが…よくこんなのをブンブン振り回せるものですね…自分なら腕が飛んでいたと思いますよ。」
静也はまだ言っていないが、この傘は異界産の傘なのだ。
その性能も能力も計り知れないものである故、担い手は傘に選ばれる。
「それに…この傘はシズヤさんのところへ戻りたがっている気がします。」
ありがとうございますといい、傘を丁寧に返してくれた。
「もしかすると、スキルに何かありますか?」
と、試すかのような目で聞いてきた。
先刻、ジョアンの忠告に従いここは隠すことにした。
「まぁ、そりゃ話してくれる人はいませんからね。では約束通り防具を見繕って差し上げます。」
と言って関所の簡素な建物へ駆け込んだ。
嵐みたいなひとだな、と思っているとデカルトが静也に近付いて、
「本当にありがとうな。あいつはもともと武器、防具鍛冶の家の出だったんだ。ここから馬車で一週間する所の町の有名な鍛冶屋の長男だった。ある日、『スタンピード』があってその町は壊滅。多くの人間が死んでいったのを目の当たりにしたもんだから、正義感の強いあいつは人を守るこの職業に就いた訳だが…」
関所のトマスの入っていった建物の方へ目をやると言った。
「もともと鍛冶が好きだったもんだから、武器や防具を見繕ったりするのがやっぱりしっくりくるんだろうな…」
そんな過去があったのかと思うと胸の苦しい思いをしたんだなと同情する気持ちがたかまっていった。
すると建物からトマスが大きな木箱を何段にも積み重ねてやって来た。中には金属製の全身鎧などが入っていた。
どうやってこんなものを持ってこれたのかと聞くと、傘を触らせてくれたお礼と言って教えてくれた。
トマスは世界のなかでも珍しい魔法保有者で、身体強化の魔法を使用することができる。
ただ、トマス自身魔力が少ないので持続力は無いとのことだ。
そんな余談をしながらも、トマスは静也の防具を真剣に身繕い始めた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
自力で帰還した錬金術師の爛れた日常
ちょす氏
ファンタジー
「この先は分からないな」
帰れると言っても、時間まで同じかどうかわからない。
さて。
「とりあえず──妹と家族は救わないと」
あと金持ちになって、ニート三昧だな。
こっちは地球と環境が違いすぎるし。
やりたい事が多いな。
「さ、お別れの時間だ」
これは、異世界で全てを手に入れた男の爛れた日常の物語である。
※物語に出てくる組織、人物など全てフィクションです。
※主人公の癖が若干終わっているのは師匠のせいです。
ゆっくり投稿です。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~
シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。
主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。
追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。
さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。
疫病? これ飲めば治りますよ?
これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。
『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる
仙道
ファンタジー
気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。 この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。 俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。 オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。 腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。 俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。 こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。
12/23 HOT男性向け1位
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
異世界へ行って帰って来た
バルサック
ファンタジー
ダンジョンの出現した日本で、じいさんの形見となった指輪で異世界へ行ってしまった。
そして帰って来た。2つの世界を往来できる力で様々な体験をする神須勇だった。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる