傘使いの過ごす日々

あたりめ

文字の大きさ
22 / 106

依頼で暫く稼ごうと思う。

しおりを挟む
視界の端に見えたのは建物と建物の間にゴミのように捨てられていた何かが入っている布。
不思議な感じがするそれを好奇心が勝ってしまい、拾ってしまった。
中には金属のようなプレートが入っており、どこかの鍛冶屋が捨てていったものじゃないのかと思ったが、妙に艶のある金属だったので傘の中に入れて宿に行くことにした。

《システム<傘ストレージ確認>を取得》

そんなアナウンスに気づくことなく静也は昨日泊まった宿へ部屋をとりに急ぐ。
また一階の四番の部屋をとれた。
念のため10日分宿代を払っておいた。
部屋の風呂で疲れを癒し、明日も稼ぎに行く。
今度は防具もある、道具を買いに行く。
必要なものは何なのか分からないので、道具を売っているところへ行き、需要のありそうなものを買っていく。

今日一日を振り替えると本当に濃い一日だったと静也はしみじみと思っていた。
気絶をする、決闘と称して再試験をする。無論再試験ではない。ただの決闘だ。
ジョアンの言ってた『自分の切り札を見せない』とはスキルのことだろうと静也は考える。

この世界異世界にやって来てから慣れないことことばかりで困惑する毎日、しかし、充実している。死にかけたこともあったが、充実していると静也は思っている。

今日のことを胸にしまいこみ、眠った。


三日目の今日は安全な依頼を組合で探していた。
討伐には暫く赴きたくないとのことで、依頼で稼ごうと考えていた。
その中に木材移動の手伝いと言うものがあった。
静也は傘に入れて運ぼうと考えていた。
しかしその傘にどうやって入れるのか、むしろ入るのかという心配していた。どのくらいの大きさ、太さ、重さなのか、分からないのでやめようと思ったが、他の依頼は町の外に運ぶものだったり、討伐依頼が多く、やむを得ずこの依頼を受けようと思った。

この依頼の成功報酬は130ルターだ。
宿2日分が1日て稼げ、付加に飯は出してくれるとのこと、飯を出してくれるところに惹かれたというのもあった。

「おはようございます。どのようなご用件でしょうか?」

今は別の受付嬢がカウンターで働いている。

「この依頼を受けたいです。」

すると受付嬢は怪訝そうな顔をした。

「この依頼でよろしいのですね?」
「はい、どうしたんですか?そんな顔をされて…」
「いえ、なんでもございませんよ。」

と言い、誤魔化した。

「この依頼は関所を入って右の農業区で、奥の方、大きな倉庫で依頼を行ってもらいます。」
「わかりました…と言いたいのですが…この町の地図みたいなのってありますか?」
「ありますよ。一枚5ルターです。」

5ルターを払い地図を貰う。
地図はこの村の全体を書き表していた。
地図によるとこの村は農業区、産業区と現在いる大通りに別れていた。
農業区、産業区、大通りは5:3:2の割合で分割されていた。
村の地図はとても見易く方角も書かれていたので、どっちがどっちか迷うことはなくなった。
静也にとってこの上ない最強兵器だ。

農業区へ向かう道中、屋台で適当に食べ歩き、腹をおこし、依頼場所へ向かうのだった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

自力で帰還した錬金術師の爛れた日常

ちょす氏
ファンタジー
「この先は分からないな」 帰れると言っても、時間まで同じかどうかわからない。 さて。 「とりあえず──妹と家族は救わないと」 あと金持ちになって、ニート三昧だな。 こっちは地球と環境が違いすぎるし。 やりたい事が多いな。 「さ、お別れの時間だ」 これは、異世界で全てを手に入れた男の爛れた日常の物語である。 ※物語に出てくる組織、人物など全てフィクションです。 ※主人公の癖が若干終わっているのは師匠のせいです。 ゆっくり投稿です。

エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~

シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。 主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。 追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。 さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。 疫病? これ飲めば治りますよ? これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。 12/23 HOT男性向け1位

悪意のパーティー《完結》

アーエル
ファンタジー
私が目を覚ましたのは王城で行われたパーティーで毒を盛られてから1年になろうかという時期でした。 ある意味でダークな内容です ‪☆他社でも公開

処理中です...