傘使いの過ごす日々

あたりめ

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組員

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「あー、まぁ、ギルドコードを受け取ったら、同時に組員になったと言う証拠の判もおすぞい。あとは、誓約もじゃ。」

ロドムが気を取り直し、話を続けた。

「別に組員にならないという手あったんじゃよ?儂は黙っておったが…いいんじゃな?」

始めて聞かされるその事実に一瞬、静也は戸惑った。
しかし、静也の決心は決まっている。

「はい、組員になります。」

情報が欲しいというのもある、しかし、やはりロドムの言っていた『何となくで』があるのもまた事実。
静也は組員になり、『何となく』ではなく、『確かな』を掴みたいからここで学ぼうと考えたのだ。

「わかった、…君を組員に招待する。『秘密を守ること』を誓いなさい。そうすれば、君も組員だ。」

ロドムの発言に重さを感じた。口約束みたいなものだろうが、これは違う。確かな結束力のある言葉だ。

「誓います。」

何の迷いもなく即答する。
ロドムから目には見えない何かが静也に向かって行くと、その何かは静也の身体に溶け込んだ。

(何か分からないが、急に体にむしがはいったような気持ち悪い感覚がする、モゾモゾって背中のなかを這っているような…うひぃ…!)

背中から這いずるような気色の悪い感覚に、静也は思わず両手の指をワキワキと動かし、むずかゆい感覚を掻けないが、掻こうとする。
言葉がでないほど、それは気持ちの悪いものだった。

1分もしない内にその感覚は消えていた。
嫌な汗が背中をビッショリと濡らし、冷え始めており背中がとても冷たい。

「ほい、儀式は終わったわい。どうじゃった?」

と、ロドムはニヤニヤとにやけながら静也に質問をしてきた。
意地の悪いご老人も居たものだと、静也は呆れながら腰を屈めため息を吐き

「最悪ですよ…今まで一度も味わったことのない気色の悪い感覚でした…お陰で背中は汗ビッショリですよ…」

ロドムは声を高らかに笑いだした。

「そりゃ良かったわい!人間である証拠じゃ!」
「?…どういう意味ですか?」
『人間である証拠』という言葉に静也は理解が出来なかった。
「儂のスキルの一つでの、人間以外には効果を成さないんじゃ。人間じゃなかったときには…どうしようかのぉー」

ロドムの表情は何かをたくらんでいる、冷えかけている背中にまた虫酸が走る。
今日だけであり得ないほど発汗していた。特に背中に。
早く宿に帰って風呂に入りたくなったのは言うまでもない。

ロドムが冒険者カードに印を押すと

「さあ、これで君も銀級冒険者、加えてマルナ村組合の組員に成ったわけだが、組合の組員には、独自のルールがある。それを目に通しておきなさい。」

と言いどこからか出てきた一冊の冊子を渡した。

(俺の傘みたいな能力があるんだろうな…凄い…)

と、尊敬する気持ちが出てきた。


―――ロドムside―――

静也が組合長室から出ていったその後のこと。

(『インタクロ文明人』では無かった…残念じゃ。儂の研究の糧になってもらおうと思っておったのじゃがな…)

ロドムは静也が去っていった今尚残念そうに肩を落とし、頭を垂らしていた。

ロドムには冒険者になって暫くしてからの野望があった。
ロドムは稀少な魔法を使う者だ。
冒険者になって3年で国中に名が通るほどの高位の冒険者になっていた。
ある日のこと、ロドムは依頼である迷宮へ足を運んだ。
それがロドムの野望の始まりだった。

迷宮の魔物はとても強く、当時のロドムですら手こずっていた程固く、早く、鋭い攻撃をしてくる。しかも数が多かった。

ロドムのどの属性の魔法も中々通らない程、堅牢な防御力を誇る岩石の巨大人形『ゴーレム』
当時から最速の魔法であった『追尾する雷撃』をも軽々避ける獣『シャドーウルフ』
一撃の重さもさることながら、その体捌きは本業の拳闘士も目を見開く『グラップラー・ゴブリン』など厄介な魔物ばかりだった。

やっとの思いで最深部と思われる空間に着いた。
そこは巨大な空間、薄暗い空間の巨大壁画がロドムを野望に動かした。
元々ロドムの父が古代文明研究家だったのもあって古代文字の解読は何とか出来たのだ。
国ほどの敷地の岩石を魔法で産み出したり、生身の状態で神木程の丸太を叩き倒す。そんな人間?が蔓延るような世界だったと記述もされていた。

長い年月が経ち、ロドムはある村へと向かった。
人々から目を眩まし、隠居する形でいまのマルナ村に住んでいるのだが、そこに隠居した理由は…

―――ロドムside end―――


静也は背中の汗が気持ち悪くて、足早に宿に帰った。
部屋ごとにある風呂で体の汗を洗い流した。

時間はまだ昼にも届かない頃。早いところ家を買いたいと思う気持ちは変わらずのままだ。
手っ取り早く依頼で稼ぎ、家を買いこの村で生活しようと思っているのだ。


組合に入り、張り出されている依頼を見ていると一つの依頼書が目に入る。
依頼内容は魔物研究の手伝い。依頼主は『ランダン・ホーセン』という者だ。
報酬は45000ルターと思いきりの良いもので、他の者もそれを受けるかどうか話している。
こんなにも思いきりの良い依頼はそうそう無いのだからさっさと受ければいいのに、と思っていた。
依頼とは、早い者勝ち、若干弱肉強食じみたところがあるのも面白い。
それで、傷害事件が起こるのは問題だが。

この依頼は2日前にある一組の冒険者が報酬の良さに受けたのだが、依頼主がかなりの変わり者で追い付けなくなり依頼を放棄したらしい。
報酬がいいのだから止めるなんて勿体ないと思っていたが、聞くところによると、その依頼主のランダン・ホーセンは『ヤバイ』の一言に尽きるとのことだ。
以前、ホーセンは別の依頼を頼んでいたようだが、内容がこれまた『ヤバかった』ようで、「二度とアイツの依頼は受けない」と言う者もいる位だ。

静也も別の依頼を見ていくが、報酬が最も多いのは今のところホーセンの依頼だった。
周りの人間の言っていたことに若干疑いの気持ちはあったものの噂に巻き込まれホーセンの依頼を受けようとはしなかった。

「貴方…シズヤさんじゃないですか?」

話しかけてきたのはアイナだ。

「あ、どうもアイナさん、薬草採取以来ですね。どうかしましたか?」
「いや、貴方が銀級冒険者になったと聞きまして…組員になったんですか?」
「はい、組員になりました。」

すると、アイナは心配そうな顔をして

を受けたのですね…お体は大丈夫ですか?」
「はい、背中に虫が這ったような感覚に思わず震えましたよ…」
は本当に気持ち悪いですよね…ところで、何をしていたんですか?と言っても依頼を探していたのはわかってるんですが…」
「ええ、何を受けようかと、いい依頼を探してたんですよ。」

すると、アイナは目を爛々とさせて

「でしたら、私と薬草採取に行きましょう!」

と凄い勢いで迫ってきたので了承をせざるを得なかった。

「わ、わかりましたから!わかりました!その…近いです…」
「あ、すいません、つい勢い余って…では、私が依頼を取ってきますので先に準備をしてきて下さい。集合は…昼頃で関所の外で会いましょう。」
「わかりました。ではまたお昼に。」

そうして、二人は一旦わかれた。
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