傘使いの過ごす日々

あたりめ

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戦いは終わり…

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戦いの跡を見ると、魔樹海の木の根っこからひっくり返って、地面ははげたり、普段の魔樹海ならば、見ることの出来ない空が見える。
周辺の木々は折られ、吹き飛ばされ、荒れに荒れていた。

魔樹海の木々はなんと高価らしい。
木としての材質はさながら、魔術師が使うロッドやステッキに使えば効果の増大が見込めるため、高級住宅にも、高位の魔術師にも引っ張りだこだとか。
特に魔術師には。

魔樹海の木は鉱石と同じくらいの硬度があり、木こりも一本伐採するのに何日も斧を振るわなければいけないため、あまり木こりには人気のない木だとか。

魔樹海は植物の生成、成長が早くなり、ここら周辺の禿げ土地は、一週間もしない内に元通りになるんだとか。魔樹海はすごいと、改めて思った。


「妾達魔族の中には魔樹海のような魔境で住む者も居るのでな、魔力に対する耐性は強いぞ?妾もそのうちの一人だったからの。」
「へぇ。中域でも平気ってことは、かなり深いところで住んでたのか?」
「うむ。まぁ、どのくらいに住んでおったかは忘れたが、かなり深かったとは思うぞ?それ故妾達魔族は順応や対応しなければならなかったから、適応力も高く戦闘面でも強いのだ。」

だから、物覚えがいいし、要領もいいのか…
いいなぁ…
だが、種族の違いを今更どうこうすることはできないから頑張るしかないな。

「さぁ、村に帰るか…でも折角だし魔物を何体か狩って帰ろう。」
「うむ、そろそろ家計簿的にもよろしくないのでな。稼ぐのを手伝ってやるかの。」
「ははは…ありがとうございます…」
「落ち込むでない。魔境の魔物は強い分、人間の世界ではかなり高く売れるそうじゃからの。沢山狩っておきたいの。食える魔物に関しては美味であるから、なおさらのことじゃ。妾も美味なるものを食べたいし作ってはシズヤに食わせたいからの。」
「はは。いい嫁さんになるなぁ。」
「ははは、貰われても良いぞ。」

冗談ながらに言うも内心本気の二人。
ポーカーフェイスを貫いていると思っている両者の表情は、真っ赤になっている。隠しきれていない。
茹でダコのようだ。

静也とノーナは両者の発言にこれはGOサインか?と思ったのだった。

心臓の鼓動は高鳴り、顔が熱い。
恥ずかしいという感情と、何かもうひとつの感情が俺のなかでまじりあう。
ここでいかなきゃ男が廃る。
ここで告白するんだ、でもフラれたら…いや、ここまできたなら言うしかないだろ!

俺の中にいるふたつの意見が議論しあう。
たぶん俺のなかで国会が始まっているんだろうな、という感覚だ。

そして、脳内議論の結果



俺は告白することにする。

―――ノーナside―――

や、やってしもうたぁ!
なにが「貰われても良いぞ。」だ!
何を上から目線で言っておるんだ…

流石に静也に嫌われたかの…
あーあ…妾の恋は終わったかの…

「ノーナ」

妾はびくリと跳ねた。
流石に言われるわな…これで別れやもしれん。
また独りになるのか…心細い。

「じ、実は…俺。」

心臓が破裂しそう。
駄目だ、ソレ以上は言わないで。
このままの関係で居させて…側に居させて…

「ノーナのことが好きだ。」

はぇ?

頭が回らんよう馬鹿になってしもうた。

―――ノーナside 終わり―――

「ノーナのことが好きだ。」

言ってしまったぁ!その場の勢いに任せて言ってしまったぁ!
あ!あとは、なんて言うんだっけ?えっと、結婚してください?いや、いきなりすぎるだろ!えーっとえっとー!

俺はてんぱりすぎて頭が回らない。

葉が風に揺られ、葉同士が擦れる優しい音が二人を包む。

ヤバい、俺今滅茶苦茶緊張している。
心臓が張り裂けそうだし、顔が沸騰しそうなくらい熱い。
前世じゃ、彼女もいなかったし、告白したことが一回あったけど、フラれてから怖くてあとに進めなかった。

でも今、告白したことに後悔はない。
すごく緊張しているし、フラれたらって思うと怖いけど。

やばい、この静寂が妙に心にくる。
やばい、ノーナの顔を見れない、俺は目を反らし、目を閉じて、ノーナの顔を見ないようにしている。
どんな表情をしているのか、見るのが怖い。

そこでやっとノーナが開口した。

「妾なんかで良かったら…いや、妾の方から言うべきであったのかもしれん。」
「え、と、いうことは…」
「言っておろうが。何度も言わせるな……恥ずかしい…」

ノーナは赤面する。
俺も状況にようやく気付き、再び赤面してしまう。

「よ、よろしくお願いします。」
「う、うむ。妾の方からもお願いします。」

両者ともに双方の顔を見ることができず下に俯く。
照れ臭くて、どんな顔をしているのかわからないから、両者とも顔を見せたくないのだ。



時と場所を弁えて告白するべきだっただろうが、今を逃してしまえばもうなかったかもしれない。

俺たちは、交際関係になった。
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