君は僕だけの

アラレ

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13時45分

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それから、何事もなく



ただいつも通りの毎日が続いた









「うわ、昼飯忘れた…」

せっかく弁当を買っておいたのに冷蔵庫に置きっぱなしのままだ




「まじか、半分やろうか?」


「いや、コンビニ近いし、行ってくる」


気を利かせて自分の昼飯を分けようとしてくれた同僚に礼を言い、財布だけ持って会社を後にした






はぁ…今日暑っついな





春も終わりに近づき、暑い日が多くなったのに加え、
ゴールデンウィークが迫っており、いつにも増して多い人の量が益々暑さを際立たせる






ーースッ



「あれ…」


今、あいつの匂いがしたような





慌てて辺りをきょろきょろするが、それらしい人は見つからない





…気のせいか




そう思って、目的地までの道を急いだ











そのときは特に気にしなかったが、もしかしたらこれが合図だったのかもしれない


だがこの時の俺にはそんなこと知る由もなく、




ただ、暑さに顔を歪めながら歩いていた

















「吉高先輩!飲みに行く約束、明日にしません?」


「…えー、覚えてたのそれ」


「当たり前ですよ!いいじゃないですか~先輩の同窓会の日から2週間も待ったんですよ!明後日休みだし!ね?」


「…分かったよ、一応借りがあるしね」

帰りはタクシーで自分で帰ってもらうことを条件に、俺は美咲と飲みに行くことにした





運命の歯車が徐々に動き始めていることに、全く気づきもせずに









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