君は僕だけの

アラレ

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14時50分

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「はいじゃーんけーん、ぽんっ

俺の勝ち、俺からね」




「待って伊央、」

「結希は何も言わなくていいよ。
言いたくないことは言わなくていい。

でも俺の話は聞いて?」

「…うん、分かった」





あの頃は、いつも結希が主導権を握ってたっけ




言いたいこと全部言って、一度終わったら絶対に後に引きずらないルール





「俺、ずっと結希のこと探してた」


「…え、ずっとって」


「うん、別れてからずっと、6年間」




結希は、俺の事なんかきっとすぐに忘れて、

その後もいろんな人と出会って、いろんな恋をしただろう



「ずっと会いたかった」


そんな君に、こんな小っ恥ずかしいことを大暴露してる訳だけど、

意外と緊張はしなかった





「もしまた会えたらって思って、部屋もわざわざここにして、あの部屋も、結希のためにずっと前から用意してた」




「…うそ」




「食器だってそうだし、アイロンだって、昔から結希が、くせっ毛なの気にして毎朝アイロンしてたから。

わざわざ朝コンセント挿していったんだよ、

それで彼女がいると思われたのは予想外だったけどね笑」




彼女は信じられないという顔で俺を見る



まぁそりゃそうか

あんなに面倒くさがりだった俺がこんなマメな事してるなんてね


自分でもびっくりだけど、



君のことになると、こんなに動ける自分がいるんだよ






「まぁそんな感じなので、 結希と別れてから、彼女なんてものはいませんので、ご心配なく」



「…あ、そか、勘違いしてごめん」

「あーあと、今ので伝わったか微妙だけど、俺はずーっと探し求めていた結希をやっと見つけたんだよ。

今すごく幸せなの。

だから出来ればさ、せめて家が見つかるまでは、




ここに居てくれない?」




俺の言葉に彼女が大きく目を見開く




頷いてくれるのを願い、徐々に鼓動が早まる



「それと、料理もまた作って欲しい」



ダメ押しにもう一言


俺には君が必要だって、伝わるように





「うん」


「…え」


「じゃあしばらく、お世話になります」




ソファーの上で星座して、頭を下げる彼女に思わず口元が緩む




「よかった、こっちこそ、よろしくお願いします」





お互いに顔を上げて、ちょっと笑いあった



「…あのさ、私」



言おうか、言うまいか、というところだろうか


彼女の顔が少し曇る





「結希、さっきも言ったけど、言いたくないことは言わなくていいから。

いつかもし言いたくなったら、そのときはまた開催して、腹割って話そーぜ大会」



「…それ今考えたらださいなぁ」


「はは、俺は気に入ってるけどね」



本当は

最初、何それださいって思った


でも、この大会とは、もう少し長い付き合いになりそうだ





「私、詳しくはちょっと、言いづらいんだけど…」


「…うん」


「仕事、辞めたの」



告げられた事実に非常におどろいたが、とりあえず話を聞く




「今まで、その寮に同僚と2人で住んでたんだけど、辞めちゃったから出ないと行けなくて、

本当は住む所見つかるまではいてもいいって言われてるんだけど、どうしても…」





「そっか…」





「…それであの日も、帰りたくなくて飲んでたんだけど…」



そこで俺と再開したってわけか




「ほんとにありえないんだけど、あんまり覚えてない…」



「…なるほど」


まぁあの状態じゃそれもそうか




俺も美咲といたしむしろ覚えてなくてありがたいかも…




「ごめんなさい…とりあえずこれが、今話せる全てです」





全部ではないけど、それでも話してくれたことがうれしい



「話してくれてありがとう」




「すみません、つまりはプー太郎です」


「じゃあ、こき使ってやろうかな」


冗談で言ったのに、結希があまりにも無反応で不安になる



「…ちょっと、何か言ってよ」




今度は盛大に笑い出して、ほんとに意味がわからない




「…ええ」



「いや、ふふふ

伊央の毒舌が何だかなつかしくて笑」




「何それ…」


急に恥ずかしくなって結希から顔を逸らすとさらに笑われた



「はぁー、苦しい

なんか、安心した。やっぱり伊央は伊央だね」



楽しそうに笑う結希は、少し複雑だけどなんだかんだ嬉しい




結希にここに居てもらいたくて、優しくすることしかできなかったけど




確かにこっちの方が俺達らしいな



「あ~よかった!伊央がすっごい大人になっちゃったと思って!」



「結希が子供のまま成長してないだけでしょ」




確かに俺は大人になんてなれてない

だけど確実に、昔とは違うよ



何もできなかったあの頃とはね























































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