君は僕だけの

アラレ

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5時35分※

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「ババン!!」


「…」


「バババン!!!」


「…うるさいな、何だよ」



鬱陶しがる俺にはお構い無しという様子で、俺の手からゲームを取り上げる






「それでは始めましょう!
第1回!腹割って話そーぜ大会ぃぃぃ!
ドンドンパフパフ!」


「それ自分で言うの?」


てか何それ、ちょっとださいし






今日は休日で、部活終わりに結希が俺の家に来ている

別に付き合いたてでもない俺たちは普通にゲームをしたり、漫画を読んだりしていた




…のに、


「なに」



「あなた私に言いたいことありますよね、おそらくたくさん」



急に何を言い出すのかと思えば…


「…ないよ別に」


「今の間はなんでしょうか、気になりますね。どうですか、これを機に吐き出してみませんか。」


「今日はまた何キャラなの」




なかなか乗らない俺についにお願い!!と手を合わせる




「…だってさぁ、私だいぶ伊央のこと怒らせてる自信あるよ」


「…なにそれ、怒ってないよ別に」




「伊央は優しいからそう思ってるかもしれないけど!伊央は、言いたいこと飲み込んじゃう癖があると思う!

伊央はよくても、私は嫌なの

小さいことでもいいから、不満があるなら言って欲しい」




「…不満とか、…別に」



「伊央、昨日からちょっと怒ってる」



「…分かったよ、やろう」






自分の言葉で人を傷つけることはあっても、言葉にしないことで傷つけることがあるなんて


思いもしなかったな



「じゃーんけんぽん!私の勝ち!私からね~」


「…はい」




「ん?あれ、私もう言っちゃったかも。
伊央が言いたいことを言ってくれないのが嫌です!!


あと、この漫画借りて帰ってもいい? 」




「…いいけど別に
それ今言うことじゃないでしょ」




「私は普段から言わなくていい事まで言っちゃうから、改まって言うことないの!」


それも俺の悩みのひとつだったりするんだけど



「次俺の番でいいの?」

「はい!なんでも好きなだけどうぞ!」


確かに、結希に対してイラッとすることはあるけど

別に言いたいのを我慢してるとかではなくて


ただ本人から悪気がないのがすごい伝わってくるから、言う気が失せてしまう




「結希は何でも言い過ぎだと思う」

「…といいますと?」




「倉田(同クラ男子)と隣の席になってからそいつの話多い。ちょいちょい名前出てくる度にあんまりいい気しない

…でもやましいことない感じがして悪いとも言えないから直せって訳でもない」


「あちゃー!ごめん無意識だわ!気をつける!」





まぁ分かってるけどね




「あと全体的に距離感が近い」



俺たちは、付き合ってることを別に隠してるわけではない

ただ俺が冷やかされるのとかが苦手だから、わりかしひっそりと付き合ってる感じ



そういうのもあって、結構信じてない男子もいて、本人は気づいてないけど結希のこと気にしてる男子も多いわけで





俺は結構ひやっひやだったりする


…まぁそれは隠したがった俺が100%悪いんだけど



「あと、言い過ぎってやつの続きだけど、

趣味とか最近の出来事とか、俺にも言うけどみんなにも言うから、なんか俺だけが知ってることってほとんどない気がする


…昨日も、この前見つけたいい感じの喫茶店みんなに教えてたし…」




俺的には2人の秘密基地見つけたみたいだったのにさ



こう考えると俺が言ってるのぜんぶ嫉妬じゃん

…なんかすごい恥ずかしくなってきた



「それで昨日怒ってたの…?」


「…そうだよ」


しょうもないって思ってるだろ、俺も思ったけど


でも、俺にとっては結構大切なことなんだよ





「そっか~…よかったああ」

「…なに」


反応が予想外なのはもう慣れた




「なんか、しつこ過ぎて嫌われたかなって思ってた。ゲームとかすぐ邪魔しちゃうしさ、自覚はあるんだけど…」


「…?そんなんで嫌わないけど、しつこいはあんまり思ったことない」



そもそもゲームは、本人もやってるだけあって、プレイ中じゃないときに邪魔してくるし、

…あと普通に可愛いし




「いや~私パーソナルスペース分からないからさー!」


「それはそうだね」

「ですよね!」



そうか、でも嫌われてるまで思われてるのは予想外だったな



「安心して、嫌いになったら無理せずすぐに別れるから」


て、冗談のつもりで言ったのに



「伊央のそういうとこほんとに信頼してる!付き合ってくれてるうちは好きってことだもんね!」

満面の笑みでそういう彼女に、嬉しいやら情けないやら、よく分からない感情が押し寄せる









「…あと、ありがとうね

意外と言ったらすっきりするもんだね」




「そうでしょ!!」



伊央はもっと思ったこと言うべきだよ!

と熱弁し続ける結希の腕を引いて



その耳元で呟くように




「…好き」


たまには言っとかないと

嫌われてるなんて思われないように




「え、ごめん聞こえなかったもう1回」



「…その顔は聞こえてたでしょ」


自分はいっつも好き好き言うくせに、たまにこっちが言ったら耳まで真っ赤にするから


その反応が可愛くてたまらなかったりする




「ねぇお願い!もっかいだけ!」


「絶対に言わない」




ニヤニヤしながら擦り寄ってくる結希に顔を見られぬようにと抱き締めれば、すぐに腕を回して応えてくれる




「ふふ、伊央って手はつめたいのに体はあったかいよね」

「そういうもんでしょ冷え性って」

「そんなもんですか!ねぇマリカーしよ後で」

「後でね」






今はもうちょっと、このままで




┈┈┈┈┈┈┈┈


「え、倉田くん昨日あの映画見に行ったの?」

「そうそう、最高だった」


「やっぱりか~!この前伊央と話しててさ、どうなんだろうねって」

「また吉高かい、無意識なんだろうけど」

「あ!待って内緒!昨日怒られたばっかなんだ!」

「?うん、いいけど、吉高も怒るんだな」



実は無意識に伊央のことも結構話に出しちゃう結希だった













































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