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パーティーの閉幕とラフィの懸念
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ブランカ城のホールには、サビィ達やハーニー達音楽隊、そして子供達が集まった。
「それでは皆様、これから私の特技を披露致しましょう。」
ラフィは、深々と一礼しフフッと笑った。
「それじゃ…みんな目を瞑って。僕が良いと言うまで目を開けてはいけないよ。」
皆は目を瞑り、ラフィの次の言葉を待った。
「うん!良いよ。ゆっくりと目を開けて。」
数分経過した頃にラフィの朗らかな声が聞こえ、皆がゆっくりと目を開けると、ホール全体が星空に変わり、皆は無数の美しく輝く星に囲まれていた。
「わぁ…綺麗…」
「あ!流れ星だよ。」
「私達、星空の中に立ってるの?」
突然、目の前に現れた無数の星に子供達はざわめいた。
(やっぱり、ラフィ先生は凄いや…)
シャイニーは、星のあまりの美しさに息を呑んだ。
「これで、終わりじゃないよ。」
ラフィがパチンと指を鳴らすと、星が一つまた一つと流れ始め、その数はどんどん増えていった。
沢山の星が降り注ぐ様を、皆はウットリと見つめていた。
(沢山の流れ星…僕が作ったベッドの何十倍…ううん。何百倍も綺麗だ…どうしたらこんな事ができるようになるんだろう?僕にもできるようになるのかな…)
シャイニーは、沢山の流れ星を見つめながら考えていた。
ラフィがパチンと再び指を鳴らすと、流れ星は徐々に数を減らしていき、星空も少しずつ白み始めた。
まるで夜が明けるかのように星空は消え、すっかり明るくなると、先程と変わらないホールの姿に戻っていた。
皆は美しい星空と流れ星の余韻に浸りながら、ラフィに惜しみない拍手を送った。
「私からは以上です。失礼致します。」
ラフィは、恭しく一礼するとニッコリと笑った。
「ラフィ、大変美しく素晴らしい星空であった。感謝する。それでは、本日のパーティーは以上で終了する。それぞれの部屋へ戻り、ゆっくり休みなさい。明日からは、本格的に学びがスタートする。」
サビィは、美しく微笑みながら子供達を見た。
「では、ラフィ。私は、そろそろ失礼する。」
サビィが、ライルとマロンに目配せをした時、ラフィが声をかけた。
「サビィ、話しがあるから、後で君の部屋に行く。」
サビィは、いつになく真剣な表情のラフィを見て眉根を寄せた。
しかし、それはほんの一瞬の事だった為、サビィ以外気付く者はいなかった。
「分かった。とっておきのマレンジュリティーの用意をして待っている。」
サビィは。ライルとマロンと共にフッと消えて行った。
「シャイニー、フレーム、私達も戻るわね。これから様々な学びが待っているわ。始めてで、とまどいもあるだろうけど、あなた達なら大丈夫。頑張ってね。」
ハーニーはそう言うと、シャイニーとフレームをギュッと抱き締めた。
「ハーニー…僕、頑張るよ。」
「ハーニー、心配いらないぜ。俺、立派な天使に絶対なるからな!」
そんな2人の言葉を聞き、ハーニーはフッと優しく笑い2人の瞳を交互に見た。
「あなた達は、お互いの良い所を引き出し合いながら成長できるの。初めて2人が出会った時の事を覚えているかしら?」
「もちろん!」
2人が同時に答えると、ハーニーはクスクス笑いながら続けた。
「良く聞いて。あなた達は、足りないものを上手に補い支え合っているの。今は分からないと思うけど…自分に何が足りないか、いつか分かる時が来るわ。その時が来たら、2人が初めて出会った時の気持ちを思い出して欲しいの。」
ハーニーの話しを聞いたシャイニーとフレームは、顔を見合わせ首を傾げた。
「今は、私の言っている事は分からないわよね…いつか、その時が来たら分かるわ。それじゃ、私は戻るわね。」
「うん。ハーニー、また後でね。」
「ハーニー、また後で会おうぜ。」
ハーニーは2人の言葉に頷き、寂し気に笑うと他の音楽隊のメンバーと共にフッと消えた。
全ての大人の天使達は戻り、ホールにはラフィと子供達だけとなっていた。
「今日は、初めての事ばかりで疲れたよね。君達の部屋づくりは素晴らしかったよ。さぁ、明日からの学びに備えて今日は休むんだ。それぞれの部屋の壁に掛け時計がある。この時計が毎日のスケジュールを教えてくれる。部屋に戻ったら、明日のスケジュールを時計に聞いてごらん。ちゃんと教えてくれるよ。ただし、時間にはとても厳しいから、起床時間に起きないと叩き起こされるからね。」
「時計が叩き起こすって…」
「どうやって起こすの?」
「ちゃんと起きられるか不安だよ…」
子供達が不安になり、ざわつき始めるとラフィは笑いながら説明を続けた。
「あはは!ごめん。ごめん。みんなを不安にさせちゃったね。大丈夫だよ。時計は最初から叩き起こしたりはしない。始めはゆったりとした美しいメロディーで起こすんだ。それで起きない時は、ちょっとテンポの早い軽快なメロディー。その次は、音量も大きい激しいメロディーになり、それでも起きない時は…」
ラフィは一旦、話しを止め子供達を見回した。
子供達は、静かにラフィを見つめ次の言葉を待っていた。
「叩き起こす!」
ラフィが勢いよく言うと、子供達が再びざわつき始めた。
「え~!本当に叩き起こすの?」
「時計がどうやって叩くんだ?」
「壁から飛んで来てバンバンぶつかってくるとか?」
「え!ずいぶん気が短い時計じゃない?」
子供達は時計が叩き起こす姿を想像し、思い思いに声を上げた。
「どうやって叩き起こすかは、明日のお楽しみだよ。まぁ…ほとんどの子が最後の激しいメロディーまでには起きるから大丈夫だよ。」
「ラフィ先生!今までに時計に叩き起こされた天使はいるのか?」
フレームが手を挙げ、興味津々に質問した。
「そうだね。何人かいるけど…過去に1人、毎朝のように時計と戦っていた天使がいたよ。」
ラフィが、その時の事を思い出したのかクスクス笑い始めた。
「まぁ…心配しなくても大丈夫だよ。時計に叩き起こされても、そのうち慣れて起きられるようになるからね。」
ラフィの話しを聞いて、子供達はホッとしたのか笑顔が戻っていた。
「それじゃ、部屋に戻ってね。明日の学びはホールで行うよ。戻ったら、時計に必ずスケジュールを確認する事。分かったかな?」
「は~い!」
「うん。いい返事だ。それじゃ、おやすみ。また明日ね。」
「ラフィ先生、おやすみなさい。」
子供達はラフィに挨拶をすると、1人また1人と自分達の部屋に戻っていった。
シャイニーは、ハーニーが見せた寂し気な笑顔が頭から離れずにいた。
(ハーニーは、どうしてあんなに寂しそうだったのかな…)
「シャイニー!ボーッとしてどうしたんだ?時計に叩き起こされないか心配してるのか?」
フレームが、シャイニーの顔を覗き込みながらニカッと笑った。
「ううん。違うよ。」
「な~に、大丈夫だって!俺が時計からシャイニーを守ってやるって!」
「え!フレーム、だから違うってば。」
「照れなくてもいいから。俺に任せておけって!」
フレームは、ニヤニヤしながらシャイニーの肩をバンバン叩いた。
「も~、違うのにな~」
「ほら!シャイニー、部屋に帰るぞ!」
「あ!フレーム、待ってよ~」
最後にシャイニーとフレームがホールから消えると、ラフィは深く息を吐いた。
「さてと…サビィの部屋に行くとするか…」
呟いたラフィの表情は、いつになく固く険しいものであった。
「それでは皆様、これから私の特技を披露致しましょう。」
ラフィは、深々と一礼しフフッと笑った。
「それじゃ…みんな目を瞑って。僕が良いと言うまで目を開けてはいけないよ。」
皆は目を瞑り、ラフィの次の言葉を待った。
「うん!良いよ。ゆっくりと目を開けて。」
数分経過した頃にラフィの朗らかな声が聞こえ、皆がゆっくりと目を開けると、ホール全体が星空に変わり、皆は無数の美しく輝く星に囲まれていた。
「わぁ…綺麗…」
「あ!流れ星だよ。」
「私達、星空の中に立ってるの?」
突然、目の前に現れた無数の星に子供達はざわめいた。
(やっぱり、ラフィ先生は凄いや…)
シャイニーは、星のあまりの美しさに息を呑んだ。
「これで、終わりじゃないよ。」
ラフィがパチンと指を鳴らすと、星が一つまた一つと流れ始め、その数はどんどん増えていった。
沢山の星が降り注ぐ様を、皆はウットリと見つめていた。
(沢山の流れ星…僕が作ったベッドの何十倍…ううん。何百倍も綺麗だ…どうしたらこんな事ができるようになるんだろう?僕にもできるようになるのかな…)
シャイニーは、沢山の流れ星を見つめながら考えていた。
ラフィがパチンと再び指を鳴らすと、流れ星は徐々に数を減らしていき、星空も少しずつ白み始めた。
まるで夜が明けるかのように星空は消え、すっかり明るくなると、先程と変わらないホールの姿に戻っていた。
皆は美しい星空と流れ星の余韻に浸りながら、ラフィに惜しみない拍手を送った。
「私からは以上です。失礼致します。」
ラフィは、恭しく一礼するとニッコリと笑った。
「ラフィ、大変美しく素晴らしい星空であった。感謝する。それでは、本日のパーティーは以上で終了する。それぞれの部屋へ戻り、ゆっくり休みなさい。明日からは、本格的に学びがスタートする。」
サビィは、美しく微笑みながら子供達を見た。
「では、ラフィ。私は、そろそろ失礼する。」
サビィが、ライルとマロンに目配せをした時、ラフィが声をかけた。
「サビィ、話しがあるから、後で君の部屋に行く。」
サビィは、いつになく真剣な表情のラフィを見て眉根を寄せた。
しかし、それはほんの一瞬の事だった為、サビィ以外気付く者はいなかった。
「分かった。とっておきのマレンジュリティーの用意をして待っている。」
サビィは。ライルとマロンと共にフッと消えて行った。
「シャイニー、フレーム、私達も戻るわね。これから様々な学びが待っているわ。始めてで、とまどいもあるだろうけど、あなた達なら大丈夫。頑張ってね。」
ハーニーはそう言うと、シャイニーとフレームをギュッと抱き締めた。
「ハーニー…僕、頑張るよ。」
「ハーニー、心配いらないぜ。俺、立派な天使に絶対なるからな!」
そんな2人の言葉を聞き、ハーニーはフッと優しく笑い2人の瞳を交互に見た。
「あなた達は、お互いの良い所を引き出し合いながら成長できるの。初めて2人が出会った時の事を覚えているかしら?」
「もちろん!」
2人が同時に答えると、ハーニーはクスクス笑いながら続けた。
「良く聞いて。あなた達は、足りないものを上手に補い支え合っているの。今は分からないと思うけど…自分に何が足りないか、いつか分かる時が来るわ。その時が来たら、2人が初めて出会った時の気持ちを思い出して欲しいの。」
ハーニーの話しを聞いたシャイニーとフレームは、顔を見合わせ首を傾げた。
「今は、私の言っている事は分からないわよね…いつか、その時が来たら分かるわ。それじゃ、私は戻るわね。」
「うん。ハーニー、また後でね。」
「ハーニー、また後で会おうぜ。」
ハーニーは2人の言葉に頷き、寂し気に笑うと他の音楽隊のメンバーと共にフッと消えた。
全ての大人の天使達は戻り、ホールにはラフィと子供達だけとなっていた。
「今日は、初めての事ばかりで疲れたよね。君達の部屋づくりは素晴らしかったよ。さぁ、明日からの学びに備えて今日は休むんだ。それぞれの部屋の壁に掛け時計がある。この時計が毎日のスケジュールを教えてくれる。部屋に戻ったら、明日のスケジュールを時計に聞いてごらん。ちゃんと教えてくれるよ。ただし、時間にはとても厳しいから、起床時間に起きないと叩き起こされるからね。」
「時計が叩き起こすって…」
「どうやって起こすの?」
「ちゃんと起きられるか不安だよ…」
子供達が不安になり、ざわつき始めるとラフィは笑いながら説明を続けた。
「あはは!ごめん。ごめん。みんなを不安にさせちゃったね。大丈夫だよ。時計は最初から叩き起こしたりはしない。始めはゆったりとした美しいメロディーで起こすんだ。それで起きない時は、ちょっとテンポの早い軽快なメロディー。その次は、音量も大きい激しいメロディーになり、それでも起きない時は…」
ラフィは一旦、話しを止め子供達を見回した。
子供達は、静かにラフィを見つめ次の言葉を待っていた。
「叩き起こす!」
ラフィが勢いよく言うと、子供達が再びざわつき始めた。
「え~!本当に叩き起こすの?」
「時計がどうやって叩くんだ?」
「壁から飛んで来てバンバンぶつかってくるとか?」
「え!ずいぶん気が短い時計じゃない?」
子供達は時計が叩き起こす姿を想像し、思い思いに声を上げた。
「どうやって叩き起こすかは、明日のお楽しみだよ。まぁ…ほとんどの子が最後の激しいメロディーまでには起きるから大丈夫だよ。」
「ラフィ先生!今までに時計に叩き起こされた天使はいるのか?」
フレームが手を挙げ、興味津々に質問した。
「そうだね。何人かいるけど…過去に1人、毎朝のように時計と戦っていた天使がいたよ。」
ラフィが、その時の事を思い出したのかクスクス笑い始めた。
「まぁ…心配しなくても大丈夫だよ。時計に叩き起こされても、そのうち慣れて起きられるようになるからね。」
ラフィの話しを聞いて、子供達はホッとしたのか笑顔が戻っていた。
「それじゃ、部屋に戻ってね。明日の学びはホールで行うよ。戻ったら、時計に必ずスケジュールを確認する事。分かったかな?」
「は~い!」
「うん。いい返事だ。それじゃ、おやすみ。また明日ね。」
「ラフィ先生、おやすみなさい。」
子供達はラフィに挨拶をすると、1人また1人と自分達の部屋に戻っていった。
シャイニーは、ハーニーが見せた寂し気な笑顔が頭から離れずにいた。
(ハーニーは、どうしてあんなに寂しそうだったのかな…)
「シャイニー!ボーッとしてどうしたんだ?時計に叩き起こされないか心配してるのか?」
フレームが、シャイニーの顔を覗き込みながらニカッと笑った。
「ううん。違うよ。」
「な~に、大丈夫だって!俺が時計からシャイニーを守ってやるって!」
「え!フレーム、だから違うってば。」
「照れなくてもいいから。俺に任せておけって!」
フレームは、ニヤニヤしながらシャイニーの肩をバンバン叩いた。
「も~、違うのにな~」
「ほら!シャイニー、部屋に帰るぞ!」
「あ!フレーム、待ってよ~」
最後にシャイニーとフレームがホールから消えると、ラフィは深く息を吐いた。
「さてと…サビィの部屋に行くとするか…」
呟いたラフィの表情は、いつになく固く険しいものであった。
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