天使の国のシャイニー

悠月かな(ゆづきかな)

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琴の成長とシャイニーの寂しさ

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数日経つと小麦は、環境にだいぶ慣れケージから出て遊べるまでになっていた。
ある日、小麦が部屋の探検をしていると、フルルがシャイニーの髪の中から飛び出し、小麦と追いかけっこを始めた。

ーーータタターーー
ーーービュンーーー
ーーータタターーー
ーーービュンーーー

「ちょっと小麦、そんなに走り回ってどうしたの?」

琴は、突然走り出した小麦に驚き、オロオロしている。

「フルル!ちょっと落ち着いて!」

シャイニーが、フルルに飛び付き何とか押さえ込むと、小麦もピタッと動きを止めた。

「小麦、琴ちゃんが困ってるよ。」

シャイニーの言葉に小麦はハッとすると、琴の元に走って行った。

「チチチ…(琴ちゃん…ごめんね。)」

小麦は立ち上がると、琴が差し出した手にソッと前足を乗せた。

「小麦、突然どうしたの?」

小麦を手の平に乗せ優しく撫でていると、フルルがシャイニーの腕の中から飛び出し、琴の目の前でユラユラと揺れた。

「あれ?フルル?ぼやけて見えるけど…フルルだ!そっか、小麦はフルルと遊んでたんだね。」

琴はニコニコしながら、小麦とフルルを交互に見た。

「それなら、シャイニーもいるの?」

キョロキョロとシャイニーを探していると、突然ジンワリと心が温かくなるのを感じた。
シャイニーが琴を優しく抱き締めたからだった。

「琴の心がポカポカ温かい…やっぱり近くにいるんだね。琴には、天使の姿は見えないのかな…」

シャイニーは少し考えると、琴の後ろに立ち翼をバサバサと羽ばたかせ、そのまま翼で首から頬を優しく撫で上げた。

「え!何?バサバサって聞こえて何か触ったよ。」

琴は驚き、撫でられた首を押さえながら振り返った。その時、頭上から日差しを受け、虹色に輝く羽が舞い降りてきた。

「シャイニーだ!やっぱりシャイニーが近くにいてくれてるんだね。小麦、琴の側にはシャイニーっていう天使がいるんだよ。」
「チチチッ!(うん。知ってるよ。)」

小麦は膝に乗って背伸びをし、琴の肩越しを見て鳴き始めた。

「ピッ!ピッ!ピッ!(琴ちゃん、シャイニーは後ろに立ってるよ!)」

小麦は、近くにシャイニーがいる事を教える為に鳴き続けた。

「ピッ!ピッ!ピッ!」

琴は、鳴き続ける小麦を見て首を傾げた。

「琴の後ろを見て鳴いてるの?」

「ピッ!ピッ!ピッ!(そうだよ。後ろだよ。)」

後ろを振り返ると、光を受け虹色に輝く翼が一瞬見えた。

「虹色に輝く翼が見えた…」

琴は自分が見たものが何だか分からず、ボカンとしていたが、すぐにハッとし顔を輝かせた。

「シャイニー…シャイニーの翼が見えた!」

嬉しくなった琴は小麦を抱き締め、その場でクルクルと回った。

「初めてシャイニーが見えたよ。ヤッター!」
「ピー、チィー、ピー(琴ちゃん、回り過ぎ!目が回る~)」

何度もクルクルと回るので、小麦は目が回り腕の中でモゾモゾともがいた。
ようやく琴は回る事をやめ、小麦を床に下ろしたが、目が回った小麦はヨロヨロと歩いた後、ぺたんと尻餅をついてしまった。

「あれ?どうしたの?目が回っちゃったかな?ごめんね。大丈夫?」

「ピィピィピィ(大丈夫だよ。琴ちゃんもシャイニーも良かったね。)」
「うん。小麦ありがとう。君が琴ちゃんに教えてくれたからだよ。」

小麦は2人に優しく撫でられ、気持ち良さそうに目を細めていた。

「あ!そうだ!」

琴は小麦を抱き、両親が写っている写真立てに向き合った。

「ママ、パパ。あのね…琴の側には天使がいるんだよ。シャイニーっていうの。それにね、不思議な音符のフルルもいるんだ。それから、この子は小麦。じいじとばぁばが買ってくれたの。凄く可愛いよ。ママとパパが急にいなくなって、琴…どうして良いか分からなかったんだ…じいじとばぁばは優しいけど…琴は、ひとりぼっちだと思ってた。」

琴は、腕の中の小麦をギュッと抱き締めた。

「でもね、琴はひとりぼっちじゃないよ。シャイニーもフルルも小麦もいる。じいじとばぁばもいる。だから、琴はもう大丈夫。ママとパパも心配してたよね…ごめんね。天国から見守っててね。」

琴は、写真立ての中で笑う両親を指でソッと撫でた。
その瞬間、小麦が腕からピョンと飛び出し写真立ての前で座り琴を振り返った。

「小麦、この写真に写っているのは琴のママとパパなんだよ。」

小麦は写真をジッと見つめた後、再び琴を振り返り一鳴きした。

「チィー!」
「ウフフ、小麦は琴が言ってる事が分かるみたいだね。」

琴は優しく笑う両親の写真と、小麦を見ながらニコニコと笑うのだった。
シャイニーはそんな琴を見て、心に灯りがともったように温かくなった。

「琴ちゃんは、優しくて良い子だね。前に進もうとする琴ちゃんを見て、ママもパパもきっと喜んでるよ。」

シャイニーは琴の成長を嬉しく感じながらも、いよいよ別れの近さを感じ、言いようのない寂しさが胸に広がっていくのを感じていた。

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