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百科事典を駆使するラフィ
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翌日私は水盤を抱え、広場外れの巨木の所へ来た。
今日からの学びはここで行う。
「少し早く来すぎたか…」
ラフィやブランカと共に、子供達より早めに来て机や椅子などの準備をする事になっている。
「とりあえず、水盤を置く台座が必要か…」
私は指を鳴らし、ガラス製の小さなテーブル型の台座を用意した。
自室の大きな水盤の台座と同じ材質だ。
私が台座に水盤を設置していると、ラフィとブランカがやって来た。
「サビィ、お待たせ。それが水盤なのね?キラキラして綺麗ね~」
ブランカが興味深そうに水盤を見ている。
「あれ?水盤のサイズ小さくない?前に見た時はもっと大きかったよね?」
「ラフィ、これは水盤の分身なのだ。その為小さいらしい」
「へぇ~。分身なんだ。つくづく不思議だね」
ラフィが感心したように呟いている。
「ねぇ…サビィ。水盤なのに水が張られてないわね」
ブランカが不思議そうに首を傾げている。
「水はこれから張る」
私は目を瞑り水盤に声を掛ける。
「水盤よ、水を満たしてくれ」
私の言葉に答えるかのように、見る見る間に水が満たされていく。
「サビィ、凄いね。水盤を使いこなしてる。大変だったんじゃない?」
ラフィの言葉に私は頷く。
「ああ、ここまで来るのまで苦労した。学びに間に合って安心している」
「ホント、間に合って良かったわ。ラフィも百科事典を使いこなせるようになったの?」
「うん。問題ないよ」
「サビィもラフィも凄いわ。私も負けていられないわね。さあ、子供達が来る前に準備しましょう」
私達は、机や椅子などを用意し子供達の到着を待った。
暫くすると、子供達の賑やかな声が聞こえてきた。
「あ!先生達が待ってる」
「机と椅子が用意されてるよ!」
子供達が嬉しそうにやって来て、私達に挨拶をする。
「おはようございま~す」
「みんな、おはよう」
ブランカが笑顔で子供達を迎える。
「おはよう。今日から本格的な学びがスタートする。頑張ってくれ」
私も笑顔で子供達に声を掛ける。
「は~い」
「サビィ先生は、やっぱり綺麗だよね」
「ホントに綺麗…ウットリしちゃう」
子供達がざわついている。
すると、ラフィが満面の笑みで子供達に話し掛けた。
「みんな、おはよう。そうだよ。サビィは、天使の中で一番美しいよ。君達が見惚れてるのも当然だよね。所作も綺麗だし。それに、サビィはとても努力家なんだよ」
「ラフィ…もうやめてくれ」
ラフィが手放しで褒め始め、私は心がくすぐったくなり動揺した。
「あれ?サビィ…もしかして照れてる?」
私をからかうような目で見ているラフィ。
「ハァ…」
私が溜め息をつきながら軽く睨むと、ラフィはクスクス笑った。
「あはは。ごめんごめん。からかうつもりはないんだよ。僕はホントにそう思ってるんだ」
私達のやり取りを見ていた子供達の目が点になっている。
「サビィ先生のイメージが変わった…」
「うん。なんだか身近に感じる…」
「サビィ先生も、あんな表情するんだね~」
再び子供達がざわつき始めた。
すると、それまで黙って見ていたブランカがクスクス笑い出した。
「ウフフ、子供達がビックリしてるわよ」
「ホントだ。みんなビックリさせてごめんね。でも、サビィは知れば知るほど味が出てくるよ~」
「味が出る…それはどういう意味だ?」
「まぁ…そのままの意味だよ。あ!悪い意味じゃないからね」
ラフィは、そう言うとウィンクをした。
「まぁまぁ、それくらいにして学びを始めましょうよ」
「そうだな、ブランカ。子供達も待っているからな」
ラフィの言葉にいささか疑問は残るものの、気にしない事にした。
「それじゃ…始めようか。僕から始めても良いかな?」
ラフィが脇に抱えていた百科事典を持ち上げ、ブランカと私に見せる。
「ええ。ラフィお願い」
「勿論だ。ラフィ頼む」
「OK!任せて」
ラフィはウィンクをすると、子供達に向き合った。
「みんな、お待たせ!学びを始めるよ。まずは…席に着こうか。好きな所に座って良いからね」
「は~い」
子供達が席に着いた事を確認すると、ラフィは百科事典を広げた。
「僕の学びは、この百科事典を使うよ。この本は凄く不思議でね、何でも見たい物を実際に見る事ができるんだ」
ラフィが、百科事典をパラパラとめくる。
「そうだな~何が良いかな…」
子供達はキラキラと輝いた瞳で、興味深そうにラフィを見つめている。
「うん!決めた。これが良い!」
ラフィは呟くと、開いたページの端を指でトントンと叩いた。
すると、そのページから羽が生えた小さな少女が何人も飛び出してきた。
「え!百科事典から何か飛び出してきたよ。」
「小さくて可愛いね」
「あれは何?」
子供達は、突然の事に驚き目を丸くしている。
「これは妖精だよ」
ラフィがニコニコしながら答えた。
「妖精も羽があるけど、僕達の羽とはちょっと違うんだ。一見、透明に見えるけど…角度によっては青や緑、紫、黄色、オレンジ色等に見えるよ。虹をイメージすると分かりやすいかな」
「わぁ…妖精って小さい」
「可愛い~」
子供達は嬉しそうに声を上げ、手を伸ばし妖精に触れようとした。
しかし、妖精に触れる事はできず手は突き抜けてしまう。
「あれ?触れない…」
「手が突き抜けちゃうよ」
子供達は不思議そうな顔で、妖精と自分の手を交互に見ている。
「うん。残念だけど触る事はできないよ。こんなにハッキリ見えてるんだけどね」
ラフィが再びページの端を指で叩くと、妖精達は百科事典に吸い込まれるように消えていった。
「うわ~凄い!」
「不思議な百科事典だ!」
子供達は目を丸くしラフィを見た。
「うん。不思議だよね。僕も最初は驚いたよ」
ラフィは、その時の事を思い出したのかクスクス笑っている。
「それじゃ、次は君達が見たいものを順番に出すからね。何を見たいか決めてね」
ラフィの言葉に子供達はざわつき始める。
興奮気味に何を出してもらうか、話し合っているのだ。
「は~い!静かにしてね~相談しないで決めるんだよ。自分が見たいものを一つ決めるんだ」
「は~い」
子供達は、途端にピタリと話しを止め神妙な顔で考え始めた。
「ラフィ…君の百科事典は、なかなか興味深いな…」
百科事典を抱えて、笑顔で子供達を見ているラフィに私は声を掛けた。
「うん。実はさ…昨日、リラムーンに教えてもらったんだ」
「リラムーンにか?」
あのリラムーンがラフィに教えるとは、ますます興味深い…植物が教示する事などあるのか…
「え!リラムーンに何を教えてもらったの?」
私達の話しを聞いていたブランカが驚きの声を上げた。
「うん。リラムーンが枝を伸ばしてきて、ページの端を叩いて教えてくれたんだ」
「そうなの?植物が教えるなんて不思議ね~」
「リラムーンが突然生えてきた時は驚いたけど、今では大切な相棒みたいな感じかな」
相棒か…私はその言葉を聞いてクルックを思い浮かべた。
うるさい事も多いが、私にとってはなくてはならない存在となっている。
私が感慨に耽っていると、子供達の声が聞こえた。
「ラフィ先生!みんな決めました」
「決まったんだね。それじゃ、順番に聞いていくからね」
この後、ラフィは子供達のリクエストに答えて、百科事典から虹や雲、珍しい動物や虫、植物や星空…と様々なものを出し、賞賛の声を浴びたのだった。
今日からの学びはここで行う。
「少し早く来すぎたか…」
ラフィやブランカと共に、子供達より早めに来て机や椅子などの準備をする事になっている。
「とりあえず、水盤を置く台座が必要か…」
私は指を鳴らし、ガラス製の小さなテーブル型の台座を用意した。
自室の大きな水盤の台座と同じ材質だ。
私が台座に水盤を設置していると、ラフィとブランカがやって来た。
「サビィ、お待たせ。それが水盤なのね?キラキラして綺麗ね~」
ブランカが興味深そうに水盤を見ている。
「あれ?水盤のサイズ小さくない?前に見た時はもっと大きかったよね?」
「ラフィ、これは水盤の分身なのだ。その為小さいらしい」
「へぇ~。分身なんだ。つくづく不思議だね」
ラフィが感心したように呟いている。
「ねぇ…サビィ。水盤なのに水が張られてないわね」
ブランカが不思議そうに首を傾げている。
「水はこれから張る」
私は目を瞑り水盤に声を掛ける。
「水盤よ、水を満たしてくれ」
私の言葉に答えるかのように、見る見る間に水が満たされていく。
「サビィ、凄いね。水盤を使いこなしてる。大変だったんじゃない?」
ラフィの言葉に私は頷く。
「ああ、ここまで来るのまで苦労した。学びに間に合って安心している」
「ホント、間に合って良かったわ。ラフィも百科事典を使いこなせるようになったの?」
「うん。問題ないよ」
「サビィもラフィも凄いわ。私も負けていられないわね。さあ、子供達が来る前に準備しましょう」
私達は、机や椅子などを用意し子供達の到着を待った。
暫くすると、子供達の賑やかな声が聞こえてきた。
「あ!先生達が待ってる」
「机と椅子が用意されてるよ!」
子供達が嬉しそうにやって来て、私達に挨拶をする。
「おはようございま~す」
「みんな、おはよう」
ブランカが笑顔で子供達を迎える。
「おはよう。今日から本格的な学びがスタートする。頑張ってくれ」
私も笑顔で子供達に声を掛ける。
「は~い」
「サビィ先生は、やっぱり綺麗だよね」
「ホントに綺麗…ウットリしちゃう」
子供達がざわついている。
すると、ラフィが満面の笑みで子供達に話し掛けた。
「みんな、おはよう。そうだよ。サビィは、天使の中で一番美しいよ。君達が見惚れてるのも当然だよね。所作も綺麗だし。それに、サビィはとても努力家なんだよ」
「ラフィ…もうやめてくれ」
ラフィが手放しで褒め始め、私は心がくすぐったくなり動揺した。
「あれ?サビィ…もしかして照れてる?」
私をからかうような目で見ているラフィ。
「ハァ…」
私が溜め息をつきながら軽く睨むと、ラフィはクスクス笑った。
「あはは。ごめんごめん。からかうつもりはないんだよ。僕はホントにそう思ってるんだ」
私達のやり取りを見ていた子供達の目が点になっている。
「サビィ先生のイメージが変わった…」
「うん。なんだか身近に感じる…」
「サビィ先生も、あんな表情するんだね~」
再び子供達がざわつき始めた。
すると、それまで黙って見ていたブランカがクスクス笑い出した。
「ウフフ、子供達がビックリしてるわよ」
「ホントだ。みんなビックリさせてごめんね。でも、サビィは知れば知るほど味が出てくるよ~」
「味が出る…それはどういう意味だ?」
「まぁ…そのままの意味だよ。あ!悪い意味じゃないからね」
ラフィは、そう言うとウィンクをした。
「まぁまぁ、それくらいにして学びを始めましょうよ」
「そうだな、ブランカ。子供達も待っているからな」
ラフィの言葉にいささか疑問は残るものの、気にしない事にした。
「それじゃ…始めようか。僕から始めても良いかな?」
ラフィが脇に抱えていた百科事典を持ち上げ、ブランカと私に見せる。
「ええ。ラフィお願い」
「勿論だ。ラフィ頼む」
「OK!任せて」
ラフィはウィンクをすると、子供達に向き合った。
「みんな、お待たせ!学びを始めるよ。まずは…席に着こうか。好きな所に座って良いからね」
「は~い」
子供達が席に着いた事を確認すると、ラフィは百科事典を広げた。
「僕の学びは、この百科事典を使うよ。この本は凄く不思議でね、何でも見たい物を実際に見る事ができるんだ」
ラフィが、百科事典をパラパラとめくる。
「そうだな~何が良いかな…」
子供達はキラキラと輝いた瞳で、興味深そうにラフィを見つめている。
「うん!決めた。これが良い!」
ラフィは呟くと、開いたページの端を指でトントンと叩いた。
すると、そのページから羽が生えた小さな少女が何人も飛び出してきた。
「え!百科事典から何か飛び出してきたよ。」
「小さくて可愛いね」
「あれは何?」
子供達は、突然の事に驚き目を丸くしている。
「これは妖精だよ」
ラフィがニコニコしながら答えた。
「妖精も羽があるけど、僕達の羽とはちょっと違うんだ。一見、透明に見えるけど…角度によっては青や緑、紫、黄色、オレンジ色等に見えるよ。虹をイメージすると分かりやすいかな」
「わぁ…妖精って小さい」
「可愛い~」
子供達は嬉しそうに声を上げ、手を伸ばし妖精に触れようとした。
しかし、妖精に触れる事はできず手は突き抜けてしまう。
「あれ?触れない…」
「手が突き抜けちゃうよ」
子供達は不思議そうな顔で、妖精と自分の手を交互に見ている。
「うん。残念だけど触る事はできないよ。こんなにハッキリ見えてるんだけどね」
ラフィが再びページの端を指で叩くと、妖精達は百科事典に吸い込まれるように消えていった。
「うわ~凄い!」
「不思議な百科事典だ!」
子供達は目を丸くしラフィを見た。
「うん。不思議だよね。僕も最初は驚いたよ」
ラフィは、その時の事を思い出したのかクスクス笑っている。
「それじゃ、次は君達が見たいものを順番に出すからね。何を見たいか決めてね」
ラフィの言葉に子供達はざわつき始める。
興奮気味に何を出してもらうか、話し合っているのだ。
「は~い!静かにしてね~相談しないで決めるんだよ。自分が見たいものを一つ決めるんだ」
「は~い」
子供達は、途端にピタリと話しを止め神妙な顔で考え始めた。
「ラフィ…君の百科事典は、なかなか興味深いな…」
百科事典を抱えて、笑顔で子供達を見ているラフィに私は声を掛けた。
「うん。実はさ…昨日、リラムーンに教えてもらったんだ」
「リラムーンにか?」
あのリラムーンがラフィに教えるとは、ますます興味深い…植物が教示する事などあるのか…
「え!リラムーンに何を教えてもらったの?」
私達の話しを聞いていたブランカが驚きの声を上げた。
「うん。リラムーンが枝を伸ばしてきて、ページの端を叩いて教えてくれたんだ」
「そうなの?植物が教えるなんて不思議ね~」
「リラムーンが突然生えてきた時は驚いたけど、今では大切な相棒みたいな感じかな」
相棒か…私はその言葉を聞いてクルックを思い浮かべた。
うるさい事も多いが、私にとってはなくてはならない存在となっている。
私が感慨に耽っていると、子供達の声が聞こえた。
「ラフィ先生!みんな決めました」
「決まったんだね。それじゃ、順番に聞いていくからね」
この後、ラフィは子供達のリクエストに答えて、百科事典から虹や雲、珍しい動物や虫、植物や星空…と様々なものを出し、賞賛の声を浴びたのだった。
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