テントくん

よこいみさと

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テントくん

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きいろいさんかく テントくん。
みんなを あめかぜからまもります。

おや? あんなところに、きゅうなあめにふられた こいぬくんが。

「わー、どうしよう。このままじゃ、かぜをひいちゃうよお」

かさをもっていない、こいぬくん。
ちょっとおでかけするつもりが、
ちょうちょさんと あそぶのにむちゅうで おうちにかえりそびれてしまったみたい。

すると、テントくんはいいました。

「こいぬくん、ぼくのなかにどうぞ」
「いいのかい?」
「もちろん。きみのためにあけておいたよ」

テントくんはそういって、こいぬくんをじぶんのなかで あまやどりさせてあげました。

「こいぬくん、あめがやむまで ゆっくりしていってね」
「そうだね、それがいい。ちょっとあそびつかれちゃったから」

あめがやむまで、ちょっと おひるね。
テントくんのなかは つめたいあめにうたれないし、あったかいおふとんもあって きもちがいいなあ。

あめが くもといっしょにさっていくと、
そこには あおいそらがひろがっていました。

これでこいぬくんは おうちにかえることができます。

「テントくん、ありがとう。このおんは、わすれないよ」

こいぬくんはそういって、げんきいっぱいにかえっていきました。

そのせなかをみつめる テントくんは、そのままぽつんとひとりぼっち。

こいぬくんには 「きみのためにあけておいたよ」なんていっていたけれど、
ほんとうは テントくんに はいってくれるひとはいないのです。

もちぬしだった にんげんのかぞくとなかよくキャンプにきたテントくん。

しかし、かえりじたくの そのときに、
にんげんのかぞくはテントくんを「もういらない」と、おいていってしまったそうです。

だから テントくんには、かえるおうちがありませんでした。


きいろいさんかく テントくん。
みんなを あめかぜからまもります。

おや? あそこにいるのは、テントくんがあまやどりさせてあげた あのこいぬくんです。

「やあ テントくん! このあいだはありがとう」
「どういたしまして。こいぬくんは これからおでかけかい?」
「そう。ともだちとあそぶやくそくをしているんだ」

すると、テントくんはいいました。

「よかったら、ぼくとあそんでくれないかい? ほら、おともだちもよんでさ?」
「ああ、ごめんよ。きょうはともだちのおうちであそぶやくそくなんだ」

ざんねんなことに おさそいをことわられてしまいました。
それもしかたない。テントくんはここからうごくことができません。だってテントだから。

「じゃあ、またこんど」
「うん。またこんどあそぼうね」

こいぬくんはそういって、もうしわけなさそうに さっていきました。

おさそいをことわられたテントくんは、そのままぽつんとひとりぼっち。

こいぬくんには「よかったら」なんて こえをかけてみたけれど、
ほんとうは みんなにあそぶばしょや かえるばしょがあることをしっています。

いままでだって そう。
どんなにながくいっしょにいても、どんなにたのしくすごしても、
さいごには「バイバイ、またね」とかえっていってしまう。

だから テントくんには、ずっといっしょのおともだちはいませんでした。


きいろいさんかく テントくん。
みんなを あめかぜからまもります。

おや? きょうはなんだか かぜがつよくふいているようです。

ごうごうと つよくふくかぜは きのえだをぐんにゃりとまげ、
テントくんの ぬののからだはバタバタとおとをたてて、いまにもとんでいってしまいそう。

すると、とおくでおれたきのえだが テントくんのもとへとんできたのです!

テントくんはうごくことができません。だってテントだから。

そのまま きのえだをうけとめてしまい、
テントくんのきいろいからだは おおきくおおきく やぶれてしまいました。

あんなにひどくふいていたかぜがさっていくと、
ようやく あおいそらがかえってきました。

ですが、テントくんのからだには おおきなあながあいています。
このからだでは、もうだれもむかえいれてあげられません。

「ああ、ぼくはもういらなくなってしまうんだね」

テントくんは、そのままぽつんとひとりぼっち。
このまま すてられてしまうのをまつしかありません。そんなとき。

「だいじょうぶかい、テントくん!」

テントくんのもとにあらわれたのは、あのこいぬくんでした。

「こいぬくん、どうして?」
「いったじゃないか、おんはわすれないよって。それに、ほら!」

どうやらテントくんのもとにかけつけたのは、こいぬくんだけではなかったようです。

そこにいたのは、いままでにテントくんがたすけてあげた おともだちのすがたでした。

「おようふくをもってきたよ」
「ぼくのバンダナ!」
「カーテンもあるよ」

みんな テントくんのきずをふさげるものをもちより、あつまってきてくれたのです。

そして、あつまったみんなのやることはひとつ。

「よ~し、みんなできょうりょくして テントくんにおんがえしだ!」
『お~!』

こいぬくんのこえかけで、みんなでいっせいにおんがえし。
もちよったものを おもいおもいにきりとって、テントくんにとりつけます。

あかいろ、あおいろ、みどりいろ。
きいろだけじゃなく、いろんないろで。

みんなのおかげで、テントくんのきずはみるみるふさがっていきました。そして。

『かんせ~い!』

あたらしいテントくんのできあがりです。
みんなになおしてもらった ぬののからだは、もとのきいろではありません。
それでも、なんだかまえより すてきなテントになりました。

なないろさんかく テントくん。
みんなを あめかぜからまもります。

きみのばしょもあけてあるよ。いつでもおいで。
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