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しおりを挟むどちらかともなく城門前に着いたシャルとルイスは、公務に向かうための馬車に乗り、対面する形で車内に座った。
二人の乗る馬車は護衛の者達が乗る馬車に挟まれ、遅くも早くもないスピードで目的地を目指している。
あいなのことで口論になったのはついさっきのことだが、お互いに冷静さを取り戻した二人は、同時に口を開いた。
「ルイス、さっきは……」
「シャル様、さきほどは……」
声音から放たれる感情も、二人してよく似ている。
「お前から言え。先に聞く」
「それでは、失礼します。さきほどは立場をわきまえぬ発言をしてしまい、本当に申し訳ありませんでした。以後、気を付けます」
「もういい。考えなしな俺が悪かったんだ。お前の言う通り、今回の結婚はあいなを傷付ける結果に終わっていたかもしれない。お前の言うことはいつだって正しい」
「……しかし、私はあなたの執事。私情を挟むなどもってのほかです。黙って命令に従うべきでした」
冷静に語るルイスを、シャルは一瞥(いちべつ)する。
「そうだな。あんなに感情をあらわにして反発するお前は初めてだったから俺も戸惑っている。さっきあいなから聞いたが、アイツと友達になったそうだな」
「恐縮ですが、その通りです。ですが、それ以上でも以下でもありません。使用人である自分の立場は十二分(じゅうにぶん)にわきまえております」
わずかな沈黙。次の言葉を探りながら、お互いに相手の出方を見ているような空気が流れる。
「お前はただの執事じゃない。世界有数のレベルの高い魔法使いであるだけではなく、我が国最高の爵位(しゃくい)を持つ貴族・フォクシード家の人間だ。お前が思っている以上に、お前の肩書きが意味するものは大きいぞ。それらを生かし自由に生きることもできるはずだ」
「遠回しに私の解雇を願っておられますか?」
「いや、そうではない。自由になれば、不自由なく恋もできるのに、そう思ってな。国の未来を担う俺なんかよりずっと未来の選択肢が多いのになぜ縛られた暮らしをしている?疑問でならない」
やや羨望(せんぼう)の混じった切ない目つきで、シャルはルイスを見やった。ルイスは顔色を変えずに淡々とつぶやく。
「財産や地位といった形あるものに、価値があるとは思えません。私には、先人の価値観により創(つく)られた人間社会の仕組みが儚(はかな)い物に感じられるのです。
それに、仮に私が城を出て自由に生きることを望んだ場合、国王様の反対なさるお姿が想像にかたくありません。私はあのお方に義理があります。労働力を捧げることで国王様がお喜びになるのなら、私は一生涯(いっしょうがい)それを捧げ続けるつもりです。
それに、一国の王子であるシャル様に仕える身ならば魔法を極めるのは当然のこと……。
口にするのは憚(はばか)られますが、二度とあのようなことが起きてはなりません。あの場で痛手を負ったのは、私ではなくシャル様だったのかもしれないのですから」
昔、魔物に襲われシャルを庇(かば)い大怪我(おおけが)した時のことを、ルイスは指摘する。シャルは押し黙った。
「それに、私は養子。名は貴族ですがそれだけで、貧村(ひんそん)の生まれであることに変わりはありません。フォクシード家の親族からも疎(うと)まれておりますし、その時が来たら遺産相続権など全て放棄するつもりです」
「金に目の眩(くら)んだ貴族様のために、フォクシード夫妻にかけられた愛を捨てるのか?」
「言葉で語り尽くせないほどフォクシード夫妻には感謝しています。ですが、私には彼らの記憶がありません。物心つく前にはカスティタ城へ来ていましたから。遺産に愛があるとも思えませんしね」
「だが、愛する女を守る手段にはなりうる」
「たとえ今の職を失っても、私は自立できます。もっとも、愛する女性など私には存在しませんが」
「平然と嘘を口にするのは執事の得意技か?」
「どうでしょう?その人の性格によるのではないでしょうか」
まるで客人を相手にしているかのような微笑を浮かべるルイスに、シャルは不快感をあらわにした。偽(いつわ)りに彩られたルイスの本音を、シャルは独自の感覚で見抜いていた。
「……質問を変える。『城を出てあいな以外の女を愛せ』と命令したら、お前は従うか?」
「仮定の話は時間の無駄です」
シャルが遠回しに何かを伝えたがっていることをルイスは察していたが、あえてかわした。唇を噛(か)み、シャルは鋭い視線をルイスに向ける。
「あいなと再会して以来、恋わずらいを悪化させているな。俺も、お前も……」
「シャル様はともかく、そのような感情、執事にはありません。いいえ、あってはならないのです。さきほどの私の発言ですが、どうか全てお忘れ下さい。あいな様が望んでおられるような友人になる、私に与えられた彼女との関わりはそれだけなのですから」
「もう嘘をつくな、ルイス。もっとも信用しているお前を、これ以上疑いたくはない」
咎(とが)めるような目でシャルは言った。
「さっき、あいなの髪からお前の香りがした。お前がいつも自室で焚(た)いている魔力回復を促(うながす)すお香(こう)の匂いだ。魔法を使わないあいなには感じない匂いだろうが、俺には分かる」
「……!」
ルイスは驚いていた。あいなを抱きしめたことを気付かれたからではない。自室でお香を焚く習慣は誰にも話したことがないのに、それをシャルが知っていたからだ。それに、魔力回復のお香の匂いは長くはもたない。
「俺はお前の部屋に入ったことがないのになぜ知っている?そう言いたげな顔だな。他人に無関心なお前は、自分に気をかけている人間のことにも無関心だよな。でも、お前が考えている以上に、俺はお前のことを知っている。
魔力は体力同様睡眠と栄養で回復する。お前は普段から魔法をよく使うのに疲弊(ひへい)している素振(そぶ)りがないからな。心配になり、以前メイドにお前の部屋を調べさせたんだ」
「そうでしたか。そこまでシャル様にご心配をおかけしてしまうとは、私はまだまだ未熟者ですね」
「そういう話をしているのではない。昔から言っている。俺は、お前のことを執事として以前に家族だと思っていると。未熟でもかまわない。関心があるから、心配するんだ」
「どのような返事をすればいいのか、分かりかねます。……私にとって、他人は皆同じですから」
「他人、か……。天涯孤独(てんがいこどく)のお前がそう感じるのは仕方のないことだと理解はできるが、生まれた時から傍(そば)にいる人間にそう言われると、ひどく寂しい気持ちになるな」
深い悲しみが漂うシャルの言葉に、ルイスは何も返さない。
「あいなも“他人”か?違うだろ?お前の行動は今までにないほど正直だ。
これまで他者から向けられる皮肉や心ない対応にもポーカーフェイスを貫いていたお前が、あいなに対しては一切感情を隠そうとしない。アイツの髪からお香の香りがしたのがいい証拠だ。
人間は、自分に変化を起こす時今まででもっとも正直になるんだと、俺は思う」
「…………」
「俺が秋葉の客室に向かった後、お前とあいなは王族の間で二人きりになった。その時お前は何をしていた?」
「……」
それまで平然としていたルイスが顔をこわばらせるのに気付きつつ、シャルは言葉を続けた。
「言うまでもないだろうが、あいなは鈍いからお前の気持ちにまだ気付いていない。アイツの気持ちがこちらに向くかお前に向くか、俺にも分からない。だから、気持ちが安定するまで待つとアイツに伝えた」
「お戯(たわむ)れを。あいな様がシャル様以外の人間に惹かれた場合、エトリアの指輪はどうなるのです?あいな様自身によからぬ事象(じしょう)が起こる可能性もありますよ」
「指輪はキッカケに過ぎない。アイツの気持ちを尊重したいと、今は思ってる。
だからといって、アイツを傷付けるようなことをしたら、たとえ身内でも俺はお前を赦(ゆる)さない」
「……ええ。賢明な判断です。その時は、どうか私を裁いて下さいませ」
ルイスはうつむく。影になり、その表情は見えない。
「さきほどシャル様がおっしゃっていたように、私は城を離れ今とは別の生き方をするべきなのかもしれません。シャル様が命じられるのなら、すぐにでも……」
「国王様への…いや、俺の父親に義理があるのではなかったか?」
観念したルイスは両手をかたく握りしめ、本音を吐露(とろ)した。
「国王様への義理があるから。執事だから。シャル様の婚約者だから。――あいな様と再会し、彼女が城へ訪れた日から毎日自分に言い聞かせてきましたが、もう、限界です…!」
あいなの内面は、昔ルイスが想像した以上に美しくて可憐(かれん)だった。
この胸を掴んで放さないあいなの魅力。他人を思いやる心。同性の友人に対する懐(ふところ)の深さ。逆境にも腐(くさ)ることなく自分を大切にできる自尊心の強さ。母性的であり男性的でもある彼女の性格は甘美(かんび)でありながら、誘惑と言う名の毒で底無しの痛みをちりばめる可能性があるとルイスは感じた。高揚(こうよう)と切なさの波に溺(おぼ)れると言ってもいい。それはまるで麻薬のように――。
「これが恋わずらいだと言うのなら、私はいつかこの病で自分の身を滅ぼしてしまいそうです。シャル様がお考えでいらっしゃるように、私はいつか自分の中の凶暴な本音に抗(あらが)えずあいな様を傷付けてしまうかもしれない。だからこそこの感情から目をそらし自分の中で消し去るつもりだったのに、なぜあなたはそうやって私にあいな様への想いを自覚させようとするのです!?周囲のことなど考えず、あいな様の意思すら無視して自由気ままに彼女をさらっておきながら、今さら私にどうしろとおっしゃるのですか…!?」
「悪かった。ルイス……」
あいなに触れたい。時間をかけて互いを知り、いつか深く愛し合いたい。たとえ、気付くべきではない感情であり赦(ゆる)されない恋だとしても――。自分の内側から絶えず溢れる感情を、ルイスは嫌でも目にしなくてはならなくなった。
「エトリアの指輪の行方を操作することで俺は、あいなだけでなくお前の人生の選択肢すら奪っていたんだな」
あいなに結婚のことを受け入れてもらえた今だからこそ、シャルは理解できたのだ。自分の行動が周囲にもたらす影響を。
「エトリアの指輪を利用すること以外に、あいなに想いを伝える方法はあった。ルイスと俺、同時に異世界のあいなを訪ね、時間をかけてアイツと仲良くし、いつかアイツに俺達のどちらかを選んでもらう。そういうやり方もできたはずだよな」
でも、シャルがそうしなかったのは、何が何でもあいなと結婚したかったからだ。
「今さら遅いかもしれないけど、これからは正々堂々と戦わないか?」
「シャル様、正気(しょうき)ですか…!?婚礼パーティーの日取りは刻一刻と迫っております。あいな様を無意味に混乱させてしまうだけですし、何より無責任です…!」
「お前とならあいなは幸せになれるかもしれないと、一瞬でも思ってしまったからだ。この気持ちのまま、結婚はできない」
「……今さら……。戯(たわむ)れが過ぎますよ?」
「真剣だ。俺は、お前のことが羨(うらや)ましい」
ルイスなら、あいなの気持ちを尊重しながら段階を踏んでプロポーズをしただろう。彼女を困らせることなく自然な形で気持ちを通じ合わせていただろう。
「俺にもお前のような冷静さがあれば、こんなややこしいことにはならなかったかもしれない。でも、あの時はああするしかなかった」
主(あるじ)の勝手な言い分に怒りを通り越し脱力感すら覚えるルイスだったが、シャルなりに自分の短気を反省しているということもよく理解できる。静かにため息をつくことで気持ちを落ち着かせ、ルイスは答えた。
「……“後悔先に立たず”ですよ。シャル様のお気持ちは充分伝わりました。ですが、この件はこうしてあいな様のいない場所で勝手に決められることではありません。あいな様の意思があります。なにより彼女はシャル様とのご結婚を受け入れ、良い夫婦生活を送ろうと努力されてみえます。反省するのはご自由ですが、シャル様が結婚に躊躇(ためら)いを抱いていることを知ったら、それこそあいな様を深く傷付け失望させるのではありませんか?」
シャルは鈍器(どんき)で頭を殴りつけられたような気持ちになった。
「……そうだな。悪い。血迷った。今の話は忘れてくれ」
「ですが……」
ルイスは警告する。
「あなたがあいな様を不幸にしそうだと判断するような事態に直面した場合、私はもう遠慮しません。友人の域を越えてあいな様に尽くします。それだけは覚えておいて下さい」
シャルほど深くあいなを好いている男ならば、そんな事態にはならない。そう確信めいた気持ちが存在する一方、ルイスはこうも考えていた。
(人生の中で、心から愛せる人に出会う機会は限られている。それならば、自分の気持ちに正直に生きたい。)
立場上そんなことはできないが、何も考えず欲求に忠実な生き方をするシャルのことが羨ましいと、ルイスは思った。
「地位も財力もあって、女受けする性格で、ルックスにも恵まれている。俺がお前だったら、執事なんて辞めて好きな女と自由に暮らすのに。ホント、俺にないものばかりで羨ましい限りだ」
諦めたようにつぶやくシャルの姿を視界の端(はじ)にやり、ルイスは車内の窓から外の景色を見つめた。
「あいな様に好きになってもらえなければ、そんなものは何の意味もありませんよ。シャル様は、ご自分が持つ要素を今一度見つめ直されてはいかがですか?」
恵まれていることに、気付くために。
「そうだな……」
馬車の車輪が地面を回転する音が、二人の心にさざ波のごとく響いた。目的地に着くその時まで――。
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