誤り婚-こんなはずじゃなかった!-

蒼崎 恵生

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 あいなは秋葉から聞いた合コンでの話を脳裏に浮かべ、顔を赤くした。

『昨日の合コン、途中で抜けてきたよ。誰かが王様ゲームやろって言い出してさ。男が王様やると絶対エロ系の命令入るから断るのも面倒でさ』

 自分には関係のない世界の出来事。そう思っていたのに、こんな形でそれが堂々と目の前にやってくるなんてあいなは夢にも思っていなかった。それに、これでも一応結婚を控えた身である。そうでなくても、誰彼かまわずキスできるほど軽い女ではないつもりだ。

(なっ、何でキスのことなんか考えてるんだろ私!)

 『1番と2番がキスをする!』王様ゲームでは定番の命令。過去にどこかで耳にした情報が、すっと記憶の引き出しから飛び出した。

 ――キスしたら、ラブかライクか、見分けられるよ――。
 秋葉のアドバイスを思い出してしまい、あいなはさらに顔を熱くする。

(シャルとすらまだキスしてないのに、この状況はマズイんじゃ……。ハロルドの接近からは逃げられるけど、もしルイスさんとキスしなきゃならなくなったら……。)

 あいなの様子を気にしつつ、シャルは関心を持ってハロルドに尋ねた。

「王様ゲーム?何だそれは。どこかの貴族が考えた遊びか?」
「普段できないことを叶えられる魅惑(みわく)のゲームだよ、シャル。興味出た?」
「気にはなるが、お前が言うとアヤシイ話にしか聞こえないな」

 地球にあいなを迎えに行く前、日本についてあらゆる調査をしていたルイスは王様ゲームが何なのかを知っていたし、だからこそ彼女の戸惑いが手に取るように分かった。嬉々とするハロルドの提案をピシャリと斥(しりぞ)ける。

「考えるまでもなく却下です」
「ルイスは固(かた)いね。たまにはこういうのもいいじゃない。身も心も本能のまま自由に解き放って優しくほぐさないと」
「そういう遊びをされたいのであれば他所(よそ)でお願いします。シャル様とあいな様は婚礼を控えておられるのですよ。私はシュークリームで結構ですから」
「はじめからそう言ってくれればいいのに」

 珍しくげんなりした顔で額を押さえるルイスと、ポカンとしたシャル。二人を交互に見て、あいなはようやく安心できた。

(良かった。ルイスさんがいなかったらハロルドの強引さは止められなかったよ。)

 焼きたてシュークリームの甘い香りがほのかに漂う。崩れそうで崩れない安定したシュークリームの山を見て、シャルもうなずいた。

「そうだな。せっかく用意してくれたんだし、ロシアンルーレットをしよう。王様ゲームにも興味はあるがそれはまたの機会でいいだろ」
「シャル様まで…!よくお調べになってからそういう発言をして下さいっ」
「分かったよルイス。まあ、とにかく始めよう。俺からでいいか?」

 山積みになったシュークリームを真上からひとつつまみ、シャルがそれをポイッと口に放り込んだことで、ロシアンルーレットは始った。

「シャルは話が分かるね。そういう所、大好きだよ」
「とはいえ、俺は改めて告白するような秘密なんてないんだけどな」
「だから最初このゲームにノリ気じゃなかったんだね」
「まあな。せっかく楽しむ場を設(もう)けてもらったんだ。場違いな話をして盛り下げたくない」
「ふふ、何に対しても全力投球するシャルらしいね。気にしなくていいよ。秘密がないなら思い出話とかでも」
「そうか。ならそうする」
「あいなとルイスもそれでいいかな?」
「うん!全然いいよ。皆の話ならどんな内容でも興味あるから」
「私も賛成です」

 うなずく二人を見て微笑すると、ハロルドがシュークリームに手を伸ばした。

「じゃあ、そういうことでよろしく。あ、でも、秘密があるのにないフリをするのはダメだからね?次は僕の番」

 シャル、ハロルド、ルイス、あいなの順でシュークリームを食べていく。

 シュークリームを使ってのロシアンルーレット。序盤は何の問題もなく進んでいた。甘い物を口にしての語らいは自然と明るいものになる。

「ねえねえ、シャルはあいなのどういう所が一番好きなの?」
 ハロルドの質問に、あいなはびっくりして固まった。
「ハロルドっ、いきなり何言ってるの?」
 アタフタするあいなを一瞥(いちべつ)し、シャルは戸惑うこともなく堂々と答えた。
「一番なんてない。全部好きだ。あいなを形作るもの全てに意味がある。順位などつけられるわけがないだろ」

 一同、目を丸くして沈黙する。わざと明るい口調で、ハロルドが静寂を破った。

「全部って、それ本当!?無理してない?あいなの前だからってかっこいいこと言ってもいつかボロが出るよ?もちろん、シャルがあいなを好きなのは見ていて充分に伝わってくるけど、どれだけ好きな相手でもひとつやふたつ受け入れられない部分があるものじゃないかな?相手の全てを受け入れられる恋愛なんて、僕はないと思うけど……」
「“恋”はそうかもしれないな。でも、俺は恋だけでなく愛を持ってあいなを見ている。でなければ結婚など申し込まない」

 シャルの凛々りりしい顔。ためらいが微塵(みじん)もない綺麗な瞳。胸を張って話すその姿を見て、あいなは自分の中で何かが弾けたような感覚を覚えた。胸の奥がキュッとなる。

「なるほど、それもそうだよね。訊(き)くだけ野暮(やぼ)だったかな。ホント妬けるよ、君達の関係には」
 苦笑するハロルド。シャルはわざと悪戯(いたずら)な笑みをあいなに向ける。
「まあ、言わせてもらうなら、ひとつ気に入らない所はあるけどな」
「なっ、何!?」
 あいなは歯を食いしばって横目でシャルを見る。
(私は欠点だらけだよっ。可愛くないし色気もないしスタイルも悪いし…!)
 もしコンプレックスを刺激されたり理不尽なことを言われたら倍にして言い返してやる、と、反抗心が湧く。

 シャルは口角をわずかに上げ、あいなの手をそっと握ると愛しげに彼女を見つめた。
「俺に振り向いてくれない所が嫌いだ。迷わずこの手を取ってくれたら、もっと深く愛してやれるっていうのに」
「……シャル」
 エメラルドグリーンの瞳に浮かぶ感情はどこまでもあたたかく、この世に二人だけだという錯覚すら覚えてしまう。シャルに握られた手を中心に、あいなの体は熱くなった。
「まったく残念なやつだ。何をためらうことがある?こんないい男、世界中探したってどこにもいないぞ?」
 最後、ふざけた言い方をするシャルにあいなは肩透かしをくらい、面食らう。唇をわななかせ絶句した。
(一瞬でもドキッとした私がバカだった!!)
 真っ赤になったまま、あいなはシャルの手を振り払う。
「冗談か!真面目に聞いて損したよ。分かってたことだけどっ」
「シャル、こっちから質問しておいて何だけど、聞いてる方は穴に入りたいくらい恥ずかしいセリフだったよ。普段どういう恋愛小説を読んだらそんなに糖度(とうど)高くなるの?」
 さすがのハロルドも笑いながら困っている。
「冗談を言ったつもりはないが。ちなみに小説は歴史物しか読まない」
 ふざけていたかと思えば、深みを表すシャルの声。
「欠点ですら好きだと思えるんだ。それは覚えておいてくれ、あいな。短所があるって言うのなら俺にもダメなところはたくさんあるし、お互い様だ」
「シャル……」
「人間はみんな不完全だ。それでいいと思う。でも、俺はあいなと居れば今より成長できる。そんな気がするんだ」

 いつもと違う大人びた口調のシャルに、不覚にもあいなの胸はさざ波のような鼓動を生んだのだった。無意識に近い静かな感情でありながら、そこには確かな変化があった――。


 それまでの間、誰の元にも辛子(からし)入りのシュークリームは当たっていなかった。
 シュークリームの山が三分の一くらい減った頃、ハロルドが休憩したいと言い出した。

「そうですね。ひとまず休みましょうか。お茶を淹(い)れてきます」
 ルイスが立ち上がると、あいなも合わせて席を立ち、
「私も手伝います」
「それでは、お願いいたします」
 いつもなら、執事である自分の立場を優先し彼女に手伝いなどさせないが、この時は別だった。立場など関係なく友人として、気さくにあいなと接したいと思ったのだ。

 広い通路をしばらく歩き最初の曲がり角にくると、あいなは隣のルイスを見上げた。
「さっきは、ありがとうございました。王様ゲームをやらずに済んだの、ルイスさんのおかげです」
「いえ、当然のことをしたまでです。当たり障(さわ)りない命令で済めば良いのですが、ハロルド様のことですから悪ノリしかねませんしね」
「ホントですね。私もそう思ってちょっとヒヤヒヤしてました」

 目を合わせ、どちらかともなく笑い合う。

「でも、ハロルドのシュークリーム、とってもおいしかったです。甘い物に飽きてる人が作ったとは思えないくらい!皮は甘味(かんみ)欲を誘う香ばしい香りがして口当たりはふわっふわ、生クリームとカスタードは濃厚なコクがあるのにさっぱりした後味で、何個でも食べられます!」
 熱をこめて語るあいなに、ルイスは思わず笑みをこぼした。
「あいな様は、今も甘い物がお好きなのですね。昔カスティタ城にお越しになられた時も、ああいった甘いお菓子を好んで食べていらっしゃいました」

 その瞬間を懐かしむように話すルイスに、あいなはドキドキしてしまう。

「そんなつまらないことまで覚えててくれたんですね。忘れられているより嬉しいけど、やっぱりちょっと恥ずかしいです。18になったのに私は全然進歩ないですよね。いつまでも子供みたいで……」
「進歩していないなんてことはないと思いますよ。身長も高くなり、日々お綺麗になられています」
 どこか艶(つや)っぽいルイスの眼差(まなざ)しに、あいなはまた、頬を赤らめてしまう。
「でも、シャルには色気がないって言われてしまって。平気なフリしてましたが、実はちょっとヘコんでます」
「プールサイドでもそのようなことをつぶやいてみえましたね」

 やっぱり、あの独(ひと)り言は聞かれてしまっていた!あいなは耳まで赤くし、たどたどしい口調になる。

「変なこと言ってごめんなさいっ。今言ったことは忘れてくださいっ。恥ずかしいので」
「分かりました。でも、恥ずかしく思うことはありませんよ」
「え……?」
「あいな様は充分可愛い女性でいらっしゃいます。シャル様は不器用な方ですから愛情を示したくてもその伝え方を間違えてしまうことがよくあるかとは思いますが、あいな様が気にしてみえる部分も含め、あの方はあいな様をお好きなのです。自信を持って下さい」
「そんな、なんか照れますね。ありがとうございます」
「いえ、差し出がましいことを言ってしまいました。私が言うまでもないことでしたね」
「そんなことないですっ!聞いてもらってスッキリしました。やっぱり、ルイスさんはすごいなぁ」

(私は何もしていません。シャル様の人柄が、あいな様を明るい気持ちにさせているのですよ。)
 卑屈になっているわけではなく、ただまっさらな気持ちでルイスはそう思った。

「あいな様は料理の他に甘い物なども作ってみえたのですか?」
「いえ。今朝みたいに簡単なフルーツジュースくらいしか。本格的なお菓子作りはしたことないんです。いつかやれたらいいんですけどキッカケもなくて。そういえば、ルイスさんは甘い物平気なんですか?」
「ええ。わりと好きなのですよ。食べるのはもちろん、作るのも」
 ルイスは照れたようにうつむく。冷静で大人びた普段の彼とは別人のようで、あいなは意外に思った。
「じゃあ、今度一緒にお菓子を作りませんか?教えてほしいんです。もちろん、ルイスさんの都合の良い時で」
「あいな様のご都合に合わせたいのは山々なのですが、そうできなくて申し訳ありません。城に戻ったらスケジュールを確認してみますね」
「ありがとうございます、嬉しいです!」
「私も楽しみです」



 お茶を用意すると言いあいなとルイスが出て行った後、ハロルドはテーブルに頬杖をつき閉まった扉を意味ありげに見た。
「二人で行かせて良かったの?シャル」
「……」
「父から君達の結婚を報告された時は本当に驚いたんだよ。でも、まさか、あいなはシャルに振り向いてすらいなかったなんて……」
「いいんだよ。そんな結婚、王家では珍しくないだろ」
「そうだけどさ、シャルは王家の人間としてあいなを選んだわけじゃないんでしょ?このまま彼女の心が手に入らなかったら寂しくならない?」
「そうだな」

 それきりシャルは黙り込み、半分ほどシャンパンが残っているグラスの縁(ふち)を指先でなぞった。さきほどあいなに手当てされた傷が絆創膏(ばんそうこう)の奥でチクリと痛む。
 初対面の頃より、あいなは好意的な言動を見せてくれるようになった。それだけでシャルは充分幸せだと思っている。

「好きになってもらえないのは寂しいけど、好きでもない女と一緒にいるよりずっといい。あいなの傍にいられる俺は恵まれている。後悔はない」
「あいなにもいつかその想いが届くといいね。シャルの幸せは僕の幸せでもあるから」
「……すまない。無神経なことを言った」
「大丈夫だよ。むしろ素直に話してくれて嬉しいくらいだよ」

 昔ほどあからさまではないが、今でもハロルドから特別な感情を向けられていることをシャルは知っていた。

「でも、エルザ姫はどう思っているかな?君とあいなの結婚を」
「エルザか……。近いうちに彼女とも直接話をしないとな」

 エルザ姫改めエルザ=ベラルディは、ロールシャイン王国と懇意(こんい)にしている貴族の娘で、シャルの婚約者候補の中でもっとも有力だと言われていた女性である。エルザはベラルディ家の長女なので、幼い頃よりシャルと結婚することを親をはじめ周囲の人々から期待されていた。

「エルザ姫がシャルと結婚したら、ベラルディ家の権力は揺るがないものになると言われていたものね」
「そうだな。ロールシャイン王国と手を結べば、ベラルディ家の人間は貴族としての地位も上がり一生安泰だからな」

 エルザとシャルの間で行われようとしていたのは、まさに政略結婚であった。

「シャルを狙う女性…というより貴族は多かったから、それだけに、あいなとの結婚には皆驚きを隠せないみたいだよ。僕の兄達も半信半疑って顔をしてた」
「……」
「でも、今回の件、エルザ姫はあっさり納得してそうだよね。彼女、君にもっとも近い婚約者候補だったわりに、他の女性みたいにギラギラしてなかったし。有力候補の余裕がそうさせてたのかもね」
「どうだろうな。エルザは珍しいくらい無欲というか、貴族らしくないタイプだったのは確かだが。ベラルディ家とは懇意にしていたし揉(も)めずに済むならその方がいい。でも、反発される覚悟はできている」

 ここまでやりたいようにやってきたシャルも、あいなとの結婚を貫くために越えなければならないものが多いことは理解していた。聞いた所、エルザの両親はシャルの身勝手な行いに憤慨(ふんがい)しているという。エトリアの指輪があるとはいえ、ベラルディ家の人間を納得させなければあいなとの結婚は周囲の圧力で破談にされてしまうかもしれない。

「しかし、シャルが結婚か。感慨(かんがい)深いね」
「こういうことを言うのは何だが、無理はするな。俺は一度お前を振ったんだ。祝ってほしいとは思っていない。あいなとのことを妨害しないでいてくれる、それだけでいい」
「そういう優しさ、憎いけど本当に好きだよ」

 ハロルドは満足げに笑う。その青い瞳にはうっすら涙が滲(にじ)んでいた。

「ルイスに本当のことを話すよ。僕達が演技で仲の悪いフリをしてるってことも、シャルが僕の恋心を隠すためにそうしてくれてたってことも、全部」
「もしかして、そのためにこれを用意したのか?」
 崩れかけたシュークリーム盛りを、二人は同時に見る。
「そうだよ。こうでもしないと、僕はいつまでも君の優しさに甘えて自分から口を開く気にはなれないから」
「秘密を告白するゲームだなんて、妙なことを言い出すとは思ったが……。しかし、どういう心境の変化だ?」
 ハロルドは昔、ルイスにだけは自分の恋を知られたくないと頑(かたく)なに主張していた。
「あいなのおかげだよ。僕のせいで彼女を面倒事に巻き込みたくないと強く思ったんだ。それに、昔はともかく今のルイスは嫌いじゃないから本当のこと教えてあげてもいいかなって」
「お前ってやつは……」
「最近の彼、雰囲気変わったよね」
「そうだな。俺もそう思う」
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