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(ルイスさんが私を?ライクじゃなくてラブの方で好き!?)
シャルだけならまだしも、ルイスにまで好意を抱かれるなんて、そんなことはあるはずないと思っていた。ルイスの腕の中、あいなは夢を見ているかのような気持ちになる。恋愛結婚をしたい。そう願う一方で、自分が異性に求められる日なんて永遠に訪れないのかもしれないという諦めの感情もわずかにあったからだ。
(恋する情熱だけは誰にも負けない自信があった。でも私は、男の人の目にとまるほど魅力がない。昔から痛いほど思い知らされてきた。男子が可愛い女の子に惹かれるのは当たり前のことなんだって……。)
中学2年の頃、同じクラスの男子にこう言われたことがある。
「あいなは女って感じしないよな。男前だし」
その横にいた別の男子は、さらにこんなことを言ってくれた。
「いっつも秋葉(あきは)と一緒にいるからなおさらそう思うよな。友達としてならあいなの方が楽しいんだけど、秋葉みたいな女と色々したいってのは男の夢!」
「だな。秋葉って今彼氏いんのかなー?オーラが違うし声かけづれぇけど」
生々しいリアルなボーイズトークに衝撃を受けつつ、世の中そんなものなのかもしれないと妙に冷静な気持ちで受け止めた当時のあいなは、切なさを隠し懸命に笑った。
「秋葉は可愛い!私もそう思うけど、遊び半分で秋葉に近付いたら許さないからね!?」
「やべっ。あいな怒らせたらヤバいぞ!空手人間だし!」
「悪かったって!つーか、本気で好きになったって秋葉は相手してくれなさそうだけどなー」
(うん……。男子に特別扱いされないのを寂しく思う一方で、私はそういう立ち位置に慣れていたんだよ。それが私らしさなんだとすら思ってた。)
フレンドシップゆえのスキンシップ。ルイスと抱きしめ合うことも友情の証。そのはずだったのに、告白された瞬間から彼との抱擁(ほうよう)の意味合いはガラリと変わってしまった。
(ルイスさんは私を女として見てる。だからこうやって優しく抱きしめてくるの!?)
そう考えたら、突然恥ずかしくなった。
「あの、すいません、離れます…!」
両手でルイスの胸を押し、あいなは真っ赤な顔で彼から一歩距離をおいた。
「……あいな様、申し訳ありません……」
切なそうな、傷ついたような、後悔しているような。明らかに今までとは違う表情でうつむくルイスを見て、あいなは罪悪感を覚えた。
「ち、違うんです!ルイスさんを嫌いとか、そういうことじゃなくて、あの……」
(こんな時、どうしたらいいんだろう!?)
シャルに求婚されたかと思えば、ルイスにまで好きだと言われてしまった。こういう役回りは常に自分以外の女子の担当だったので、いざ自分がその立場になるとどう振る舞ったらいいのか分からない。シャルに好意を告げられた時と同様、混乱してしまうのは仕方のないことだった。
いつかクラスの友達数人が語っていた“告白された時にどうするか”という話。彼女達の本音トークを参考に、あいなは今後の対応を考えるべく頭をひねった。
『今まで興味なかった人からの告白でも、されたらやっぱり嬉しいよ。彼氏いなかったらとりあえず付き合ってみるかな』
『友達からよろしく!って感じだね』
『そこから好きになるかもしれないし、合わなかったら別れればいいしね』
彼女達の話を聞いている最中は「なるほど~、勉強になるなぁ」とノンキな返事をしつつ、“私には無縁の話だから想像するのが楽しい”という心持ちで楽しめていたのに、どの子の話も今の自分には落とし込めそうになかった。
(ルイスさんとは友達だから「友達から始めたい」って返すのも変だし、素敵な人だとは思うけど私はシャルと婚約してるから軽々しく「付き合う」なんて言えないし……。)
今まで誰に対してもそうしてきたように、思ったことをありのまま伝えるしかない。あいなはそんな結論を導き出した。
「ルイスさんの気持ちを聞いてビックリしたけどすごく嬉しかったです。まさか、そんな風に思ってくれてる人がいるなんて、ちょっと前の私には想像できないことだったから……」
あいなはルイスの目をまっすぐ見つめた。どんな言葉も余(あま)すことなく受け止める。彼の目はそう訴えているようだ。
「もし私が誰のことも好きじゃなかったら、ルイスさんとの未来を前向きに考えたと思います。でも、今はシャルがいるから……」
ルイスにも異性としての魅力を感じていた。でも、それが明確な恋だと言えない以上、無責任に曖昧(あいまい)な言葉を返すわけにはいかない。
「せっかく告白してくれたのにこんなことしか言えなくてごめんなさい……。ルイスさんのことを大切に思っている気持ちはこれから先も変わりません。でも私は、シャルと結婚して幸せになるって決めたから、ルイスさんの気持ちに答えることはできません」
ひとときの静寂。ルイスの背後で、吹き抜けの天井を通した朝日に照らされプールの水面がキラキラと輝いている。その色彩は、喜びとも悲しみともつかないルイスの表情の意味を深くしているようだった。
それを見たあいなの胸に、彼女自身の片想いの経験が去来した。告白して振られるまでの瞬間は本当に一瞬の話。長い間あたためた好きの想いが散るのはあっけなくて悲しいものだった。振られた時は笑ってごまかしたものの、あのやる瀬なさは半端(はんぱ)ない。
(私は今、ルイスさんにそんな思いをさせてるんだ。今までずっと親身になって励ましてくれた人なのに、そんな人を傷付け悲しませているんだ――。)
振られる痛みを知っているだけに、よけいに苦しくなる。自分が他人にそんな思いをさせているなんて……。
(恋は、振られる側だけがつらいんだと思ってた。でも、振る方も同じくらいつらいんだ……。)
気持ちに答えることができたならどちらも幸せになれるのに。
(どうして、恋は思うようにならないの?)
心が痛い――。
それに加え、あいなの胸には別の寂しさが広がっていった。
(こんなことがあったんだ。ルイスさんとはもう二度と友達に戻れないかもしれない。)
これまで傍にいてくれた人が遠ざかる悲しみ。想像したとたん、頭が嫌な熱を持ち、瞳には涙がにじんでくる。
(今までもそうだった。好きになった人と元通りの友達になれたためしがない。)
ルイスに対しどれだけ深い友情を感じていたか、今、改めて思い知る。
(泣いたらダメだ…!気持ちに答えられないクセに、これ以上ルイスさんに甘えるわけにはいかない!心配かけたらダメだ!)
グッと眉間(みけん)にシワを寄せ涙をこぼさないようにしていると、ルイスが柔らかく笑みをこぼした。
「あいな様。どうか、これから先も変わらず友人としてお付き合いさせていただけないでしょうか」
穏やかな顔でルイスは言った。
「ただ、好きだとお伝えしたかっただけなのです。この気持ちが存在していた、そのことだけを」
「ルイスさん……」
「あいな様が幸せでいて下さるのなら、私にとってそれ以上の喜びはありません。シャル様とのご結婚を心からお祝いいたします。もちろん、あなたに友情以上のものを求めるつもりはありません。どうかご安心下さい」
ルイスの言葉に安堵(あんど)しつつ、彼が無理をしてそう言っているのではないかとあいなは思った。今までの自分がそうだったからだ。
「つらく、ないんですか?好きな人に告白して振られた時、私はそんな風に思えなかったんです。だから、思いっきり嫌って、憎んで、避けてもらってもいいんですよ……?」
言いながら、あいなの体は震えていた。本当は嫌われたくないし、憎まれるのも恐い――。
優しい眼差(まなざ)しであいなを見つめ、ルイスは語る。
「あなたのように愛らしい方を嫌うなんて、一生無理だと思います。
傷付くのが嫌で、生まれてからこれまで人との深い付き合いを避けてきましたが、そんな私を変えて下さったのがあいな様でした。あなたとの交流を通して知ったのです。避けてばかりいたら本当に大切なものまで見失うということを。
……あいな様にそのつもりはなかったのかもしれませんが、私はあなたと重ねた時間の中でたくさんの愛をいただいたと思っています。それだけで充分幸せな人間なのです。あいな様は、出会うことすらできなかったはずの異世界の方なのですから」
この出会いは、一生に一度あるかないかの奇跡。だだっ広い砂漠から指先ほどの大きさの宝石を見つけ出すくらい貴重で稀(まれ)なひとすじの出会い。ルイスはそう思っていた。
「同じ感情をあいな様に抱いていただきたい、そう思わなくないと言ったらウソになります。でも、あなたがそれを望まないのなら、私も今以上を求めません。シャル様と共に歩むことがあいな様の幸せだとおっしゃるのならば、私はそれを見守りたいのです」
無理などしていない。それが心から出た言葉だということはあいなにも伝わっていた。
「……じゃあ、私、今までのようにルイスさんと仲良くしてもいいんですか?」
「はい。そうしていただけると光栄です」
安心したら、体から力が抜ける。足を崩し倒れそうになるあいなを、ルイスはすかさず支えた。アクアマリンを連想させられる爽やかな香りがふわりと広がる。ルイスの肌から漂う匂いだった。その香りと力強い腕にドキッとしながら、あいなは目眩(めまい)を感じる。
「ルイス、さん……。すいません……」
しっかり自分の足で立たなくては。そう思うのに、あいなは脱力するばかりで全く力を入れられなかった。ルイスとの友情を保っていられる。その安心感ゆえに倒れたのだと、この時は思っていた。
「失礼いたします」
ルイスの手のひらがあいなの額に触れる。
「……少し熱いですね。今すぐ客室に戻りましょう」
「…………」
「あいな様…!」
あいながうっすら目を開けると、深刻な顔で見つめてくるルイスと目が合った。
(ルイスさん、ありがとう。気持ちに答えられなかったのに変わらず優しくしてくれて……。恋愛にはならなかったけど、きっと、ずっと大好きです。)
あたたかい腕。高鳴る鼓動。彼に横抱きにされた感覚を最後に、あいなの意識は途切れたのだった。ついさっきまで頭が冴えていたのがウソだったかのような意識の失い方だった――。
客室のベッドで目覚めたシャルは重たい体でおもむろに立ち上がった。
(もう昼過ぎてるのか。昨夜はさすがに飲み過ぎたな。)
よく眠ったはずなのに、あまり時間が経っていない気もする。けれど、疲労感は消えている。充分な睡眠は取れたようだ。
(あいな……。)
隣の客室との間に隔(へだ)たった壁を見つめる。まるで、あいなとの心の間に立ち塞(ふさ)がる壁そのものに感じられた。
(酔ってたからって、あんなこと……。)
唇に指先を当てると、頬が熱くなる。あいなとの口づけから全く時が流れていないような感覚すら感じた。
(ちゃんと気持ちが通じあってからしたかった。ルイスに、あいなを傷つけるようなことしたら許さないなんて言っておきながら自分はこれか……。)
あいなの気持ちを無視してキスをし気持ちを押し付けたことで、彼女に嫌われたかもしれない。シャルは深く反省した。
(もう二度と酒は飲まないぞ!)
心に誓う。
(でも、あの時あいなに言ったことはウソじゃない。あいつのことは好きだけど、あいつが別の男を好きになったのなら俺はそれを邪魔したくはない。)
はるか昔、ロールシャイン王国の王室は一妻多夫制度を基本としていた。近代ではそれも廃止され一妻一夫制に落ち着いたが、一部の古い王族関係者は現代の結婚制度についていけず「一妻多夫制度に戻すべきだ」と主張している。
万が一、一妻多夫制度に戻れば、あいなはシャルと結婚しながら他の男性とも婚姻関係を結ぶことができる。
(いや、違う。俺は一妻多夫制度に反対している人間だぞ。そういう問題じゃなくてだな!あいなの気持ちを大切にしたいんだ。うん。)
自分の中で相反(あいはん)する意見をこねくりまわし、思考を統一しようとして失敗し、頭が混乱しそうになった所でシャルは深呼吸をした。
アルコールに強い体質なのか、頭痛や吐き気で苦しまずに済んでいるのは助かる点か。酔っている間の記憶もしっかりある。
(恋愛感情に関しては今すぐどうこうできることじゃない。まずは、考えて対処できることから解決していこう。まだ、決着してない問題がある!)
城内で迷い倉庫で眠ってしまったというあいなのウソを、シャルは見破っていたのである。
(ルイスも気付いているだろう。倉庫の鍵は執事とメイドが管理している。彼らが解錠(かいじょう)しない限り、あいながそこへ入り込むことはできないんだ…!)
だがしかし、そうやって問いつめたところであいなは本当のことを語りはしないだろう。それが分かっていたから、彼女のウソを信じたフリをしてみせたのだ。
昨日のこともそうだし、あいなの様子も気になる。私服に着替えたシャルはあいなの客室に向かった。
遊泳施設であいなを介抱し、空間転移の魔法を使って彼女の客室に移動したルイスは、酔いでふらつく自身の体のバランスを保ちながらあいなの体を水着ごと魔法で渇かすと彼女にバスローブを羽織らせ、ベッドへ寝かせた。そうしているうちに、わずかに酔いも覚めた気がする。
(シャル様にこのことを報告しなければ……。)
とはいえ、シャルはちょうど眠ったばかりの時間。起こすのも憚(はばか)られる。
意識を失ったあいなは熱を出してうなされていた。悪い夢を見ているのか、時折消え入りそうな声で「置いていかないで」と口にしていた。彼女を寝かせたらすぐさま自分の客室に引っ込むつもりだったのに、そうできなくなってしまうだけの威力がその寝言にはあった。
「待って……。ママ…!」
「あいな様…?」
「……いや、だ…。一人は…」
常に明るくて前向きな彼女らしくない、寂しいセリフ。
寝言とはいえ、ルイスはただならない気持ちになった。悪夢を見ているだけ。彼女の本心から出る言葉ではない。彼女の日常生活とは関係のない空想上のセリフ。そう捉えることもできたのに、ルイスはそうできないと感じた。
「あいな様。あなたは愛されるために生まれてきたのです。シャル様と私はそう思っています、心から……」
ベッド脇に屈(かが)みあいなの小さな手を握ると、それに呼応するように彼女の手はルイスの腕を強く掴(つか)み離さなかった。
「こわ、い……。私…」
「大丈夫ですよ。私はずっとここにいますから」
小さい子供をあやすように優しく声をかけると、あいなの寝言はおさまり静かな寝息を立て始める。
(あいな様……。)
胸が、甘く痛く激しく高揚(こうよう)する。ルイスは彼女に掴まれた手に導かれるかのように静かにベッドに身を沈め、あいなの寝顔を見つめた。
「……あいな様。ありがとう。こんな気持ちを私に教えてくれて」
そして、眠る彼女を、壊さぬように、守るように、力一杯抱きしめた。悪夢にうなされるあいなを安心させるにはこうするしかないと思った。
(叶わなくてもいい。私はあなたを愛しています。ありのままのあなたを――。)
このまま時が止まればいいのに。そう願った。
彼女の匂いと柔らかさに生理的反応を起こしてしまう自分に嫌悪し歯をくいしばりながら、圧倒的に勝る感情をルイスは大切にした。
シャルだけならまだしも、ルイスにまで好意を抱かれるなんて、そんなことはあるはずないと思っていた。ルイスの腕の中、あいなは夢を見ているかのような気持ちになる。恋愛結婚をしたい。そう願う一方で、自分が異性に求められる日なんて永遠に訪れないのかもしれないという諦めの感情もわずかにあったからだ。
(恋する情熱だけは誰にも負けない自信があった。でも私は、男の人の目にとまるほど魅力がない。昔から痛いほど思い知らされてきた。男子が可愛い女の子に惹かれるのは当たり前のことなんだって……。)
中学2年の頃、同じクラスの男子にこう言われたことがある。
「あいなは女って感じしないよな。男前だし」
その横にいた別の男子は、さらにこんなことを言ってくれた。
「いっつも秋葉(あきは)と一緒にいるからなおさらそう思うよな。友達としてならあいなの方が楽しいんだけど、秋葉みたいな女と色々したいってのは男の夢!」
「だな。秋葉って今彼氏いんのかなー?オーラが違うし声かけづれぇけど」
生々しいリアルなボーイズトークに衝撃を受けつつ、世の中そんなものなのかもしれないと妙に冷静な気持ちで受け止めた当時のあいなは、切なさを隠し懸命に笑った。
「秋葉は可愛い!私もそう思うけど、遊び半分で秋葉に近付いたら許さないからね!?」
「やべっ。あいな怒らせたらヤバいぞ!空手人間だし!」
「悪かったって!つーか、本気で好きになったって秋葉は相手してくれなさそうだけどなー」
(うん……。男子に特別扱いされないのを寂しく思う一方で、私はそういう立ち位置に慣れていたんだよ。それが私らしさなんだとすら思ってた。)
フレンドシップゆえのスキンシップ。ルイスと抱きしめ合うことも友情の証。そのはずだったのに、告白された瞬間から彼との抱擁(ほうよう)の意味合いはガラリと変わってしまった。
(ルイスさんは私を女として見てる。だからこうやって優しく抱きしめてくるの!?)
そう考えたら、突然恥ずかしくなった。
「あの、すいません、離れます…!」
両手でルイスの胸を押し、あいなは真っ赤な顔で彼から一歩距離をおいた。
「……あいな様、申し訳ありません……」
切なそうな、傷ついたような、後悔しているような。明らかに今までとは違う表情でうつむくルイスを見て、あいなは罪悪感を覚えた。
「ち、違うんです!ルイスさんを嫌いとか、そういうことじゃなくて、あの……」
(こんな時、どうしたらいいんだろう!?)
シャルに求婚されたかと思えば、ルイスにまで好きだと言われてしまった。こういう役回りは常に自分以外の女子の担当だったので、いざ自分がその立場になるとどう振る舞ったらいいのか分からない。シャルに好意を告げられた時と同様、混乱してしまうのは仕方のないことだった。
いつかクラスの友達数人が語っていた“告白された時にどうするか”という話。彼女達の本音トークを参考に、あいなは今後の対応を考えるべく頭をひねった。
『今まで興味なかった人からの告白でも、されたらやっぱり嬉しいよ。彼氏いなかったらとりあえず付き合ってみるかな』
『友達からよろしく!って感じだね』
『そこから好きになるかもしれないし、合わなかったら別れればいいしね』
彼女達の話を聞いている最中は「なるほど~、勉強になるなぁ」とノンキな返事をしつつ、“私には無縁の話だから想像するのが楽しい”という心持ちで楽しめていたのに、どの子の話も今の自分には落とし込めそうになかった。
(ルイスさんとは友達だから「友達から始めたい」って返すのも変だし、素敵な人だとは思うけど私はシャルと婚約してるから軽々しく「付き合う」なんて言えないし……。)
今まで誰に対してもそうしてきたように、思ったことをありのまま伝えるしかない。あいなはそんな結論を導き出した。
「ルイスさんの気持ちを聞いてビックリしたけどすごく嬉しかったです。まさか、そんな風に思ってくれてる人がいるなんて、ちょっと前の私には想像できないことだったから……」
あいなはルイスの目をまっすぐ見つめた。どんな言葉も余(あま)すことなく受け止める。彼の目はそう訴えているようだ。
「もし私が誰のことも好きじゃなかったら、ルイスさんとの未来を前向きに考えたと思います。でも、今はシャルがいるから……」
ルイスにも異性としての魅力を感じていた。でも、それが明確な恋だと言えない以上、無責任に曖昧(あいまい)な言葉を返すわけにはいかない。
「せっかく告白してくれたのにこんなことしか言えなくてごめんなさい……。ルイスさんのことを大切に思っている気持ちはこれから先も変わりません。でも私は、シャルと結婚して幸せになるって決めたから、ルイスさんの気持ちに答えることはできません」
ひとときの静寂。ルイスの背後で、吹き抜けの天井を通した朝日に照らされプールの水面がキラキラと輝いている。その色彩は、喜びとも悲しみともつかないルイスの表情の意味を深くしているようだった。
それを見たあいなの胸に、彼女自身の片想いの経験が去来した。告白して振られるまでの瞬間は本当に一瞬の話。長い間あたためた好きの想いが散るのはあっけなくて悲しいものだった。振られた時は笑ってごまかしたものの、あのやる瀬なさは半端(はんぱ)ない。
(私は今、ルイスさんにそんな思いをさせてるんだ。今までずっと親身になって励ましてくれた人なのに、そんな人を傷付け悲しませているんだ――。)
振られる痛みを知っているだけに、よけいに苦しくなる。自分が他人にそんな思いをさせているなんて……。
(恋は、振られる側だけがつらいんだと思ってた。でも、振る方も同じくらいつらいんだ……。)
気持ちに答えることができたならどちらも幸せになれるのに。
(どうして、恋は思うようにならないの?)
心が痛い――。
それに加え、あいなの胸には別の寂しさが広がっていった。
(こんなことがあったんだ。ルイスさんとはもう二度と友達に戻れないかもしれない。)
これまで傍にいてくれた人が遠ざかる悲しみ。想像したとたん、頭が嫌な熱を持ち、瞳には涙がにじんでくる。
(今までもそうだった。好きになった人と元通りの友達になれたためしがない。)
ルイスに対しどれだけ深い友情を感じていたか、今、改めて思い知る。
(泣いたらダメだ…!気持ちに答えられないクセに、これ以上ルイスさんに甘えるわけにはいかない!心配かけたらダメだ!)
グッと眉間(みけん)にシワを寄せ涙をこぼさないようにしていると、ルイスが柔らかく笑みをこぼした。
「あいな様。どうか、これから先も変わらず友人としてお付き合いさせていただけないでしょうか」
穏やかな顔でルイスは言った。
「ただ、好きだとお伝えしたかっただけなのです。この気持ちが存在していた、そのことだけを」
「ルイスさん……」
「あいな様が幸せでいて下さるのなら、私にとってそれ以上の喜びはありません。シャル様とのご結婚を心からお祝いいたします。もちろん、あなたに友情以上のものを求めるつもりはありません。どうかご安心下さい」
ルイスの言葉に安堵(あんど)しつつ、彼が無理をしてそう言っているのではないかとあいなは思った。今までの自分がそうだったからだ。
「つらく、ないんですか?好きな人に告白して振られた時、私はそんな風に思えなかったんです。だから、思いっきり嫌って、憎んで、避けてもらってもいいんですよ……?」
言いながら、あいなの体は震えていた。本当は嫌われたくないし、憎まれるのも恐い――。
優しい眼差(まなざ)しであいなを見つめ、ルイスは語る。
「あなたのように愛らしい方を嫌うなんて、一生無理だと思います。
傷付くのが嫌で、生まれてからこれまで人との深い付き合いを避けてきましたが、そんな私を変えて下さったのがあいな様でした。あなたとの交流を通して知ったのです。避けてばかりいたら本当に大切なものまで見失うということを。
……あいな様にそのつもりはなかったのかもしれませんが、私はあなたと重ねた時間の中でたくさんの愛をいただいたと思っています。それだけで充分幸せな人間なのです。あいな様は、出会うことすらできなかったはずの異世界の方なのですから」
この出会いは、一生に一度あるかないかの奇跡。だだっ広い砂漠から指先ほどの大きさの宝石を見つけ出すくらい貴重で稀(まれ)なひとすじの出会い。ルイスはそう思っていた。
「同じ感情をあいな様に抱いていただきたい、そう思わなくないと言ったらウソになります。でも、あなたがそれを望まないのなら、私も今以上を求めません。シャル様と共に歩むことがあいな様の幸せだとおっしゃるのならば、私はそれを見守りたいのです」
無理などしていない。それが心から出た言葉だということはあいなにも伝わっていた。
「……じゃあ、私、今までのようにルイスさんと仲良くしてもいいんですか?」
「はい。そうしていただけると光栄です」
安心したら、体から力が抜ける。足を崩し倒れそうになるあいなを、ルイスはすかさず支えた。アクアマリンを連想させられる爽やかな香りがふわりと広がる。ルイスの肌から漂う匂いだった。その香りと力強い腕にドキッとしながら、あいなは目眩(めまい)を感じる。
「ルイス、さん……。すいません……」
しっかり自分の足で立たなくては。そう思うのに、あいなは脱力するばかりで全く力を入れられなかった。ルイスとの友情を保っていられる。その安心感ゆえに倒れたのだと、この時は思っていた。
「失礼いたします」
ルイスの手のひらがあいなの額に触れる。
「……少し熱いですね。今すぐ客室に戻りましょう」
「…………」
「あいな様…!」
あいながうっすら目を開けると、深刻な顔で見つめてくるルイスと目が合った。
(ルイスさん、ありがとう。気持ちに答えられなかったのに変わらず優しくしてくれて……。恋愛にはならなかったけど、きっと、ずっと大好きです。)
あたたかい腕。高鳴る鼓動。彼に横抱きにされた感覚を最後に、あいなの意識は途切れたのだった。ついさっきまで頭が冴えていたのがウソだったかのような意識の失い方だった――。
客室のベッドで目覚めたシャルは重たい体でおもむろに立ち上がった。
(もう昼過ぎてるのか。昨夜はさすがに飲み過ぎたな。)
よく眠ったはずなのに、あまり時間が経っていない気もする。けれど、疲労感は消えている。充分な睡眠は取れたようだ。
(あいな……。)
隣の客室との間に隔(へだ)たった壁を見つめる。まるで、あいなとの心の間に立ち塞(ふさ)がる壁そのものに感じられた。
(酔ってたからって、あんなこと……。)
唇に指先を当てると、頬が熱くなる。あいなとの口づけから全く時が流れていないような感覚すら感じた。
(ちゃんと気持ちが通じあってからしたかった。ルイスに、あいなを傷つけるようなことしたら許さないなんて言っておきながら自分はこれか……。)
あいなの気持ちを無視してキスをし気持ちを押し付けたことで、彼女に嫌われたかもしれない。シャルは深く反省した。
(もう二度と酒は飲まないぞ!)
心に誓う。
(でも、あの時あいなに言ったことはウソじゃない。あいつのことは好きだけど、あいつが別の男を好きになったのなら俺はそれを邪魔したくはない。)
はるか昔、ロールシャイン王国の王室は一妻多夫制度を基本としていた。近代ではそれも廃止され一妻一夫制に落ち着いたが、一部の古い王族関係者は現代の結婚制度についていけず「一妻多夫制度に戻すべきだ」と主張している。
万が一、一妻多夫制度に戻れば、あいなはシャルと結婚しながら他の男性とも婚姻関係を結ぶことができる。
(いや、違う。俺は一妻多夫制度に反対している人間だぞ。そういう問題じゃなくてだな!あいなの気持ちを大切にしたいんだ。うん。)
自分の中で相反(あいはん)する意見をこねくりまわし、思考を統一しようとして失敗し、頭が混乱しそうになった所でシャルは深呼吸をした。
アルコールに強い体質なのか、頭痛や吐き気で苦しまずに済んでいるのは助かる点か。酔っている間の記憶もしっかりある。
(恋愛感情に関しては今すぐどうこうできることじゃない。まずは、考えて対処できることから解決していこう。まだ、決着してない問題がある!)
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(ルイスも気付いているだろう。倉庫の鍵は執事とメイドが管理している。彼らが解錠(かいじょう)しない限り、あいながそこへ入り込むことはできないんだ…!)
だがしかし、そうやって問いつめたところであいなは本当のことを語りはしないだろう。それが分かっていたから、彼女のウソを信じたフリをしてみせたのだ。
昨日のこともそうだし、あいなの様子も気になる。私服に着替えたシャルはあいなの客室に向かった。
遊泳施設であいなを介抱し、空間転移の魔法を使って彼女の客室に移動したルイスは、酔いでふらつく自身の体のバランスを保ちながらあいなの体を水着ごと魔法で渇かすと彼女にバスローブを羽織らせ、ベッドへ寝かせた。そうしているうちに、わずかに酔いも覚めた気がする。
(シャル様にこのことを報告しなければ……。)
とはいえ、シャルはちょうど眠ったばかりの時間。起こすのも憚(はばか)られる。
意識を失ったあいなは熱を出してうなされていた。悪い夢を見ているのか、時折消え入りそうな声で「置いていかないで」と口にしていた。彼女を寝かせたらすぐさま自分の客室に引っ込むつもりだったのに、そうできなくなってしまうだけの威力がその寝言にはあった。
「待って……。ママ…!」
「あいな様…?」
「……いや、だ…。一人は…」
常に明るくて前向きな彼女らしくない、寂しいセリフ。
寝言とはいえ、ルイスはただならない気持ちになった。悪夢を見ているだけ。彼女の本心から出る言葉ではない。彼女の日常生活とは関係のない空想上のセリフ。そう捉えることもできたのに、ルイスはそうできないと感じた。
「あいな様。あなたは愛されるために生まれてきたのです。シャル様と私はそう思っています、心から……」
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「こわ、い……。私…」
「大丈夫ですよ。私はずっとここにいますから」
小さい子供をあやすように優しく声をかけると、あいなの寝言はおさまり静かな寝息を立て始める。
(あいな様……。)
胸が、甘く痛く激しく高揚(こうよう)する。ルイスは彼女に掴まれた手に導かれるかのように静かにベッドに身を沈め、あいなの寝顔を見つめた。
「……あいな様。ありがとう。こんな気持ちを私に教えてくれて」
そして、眠る彼女を、壊さぬように、守るように、力一杯抱きしめた。悪夢にうなされるあいなを安心させるにはこうするしかないと思った。
(叶わなくてもいい。私はあなたを愛しています。ありのままのあなたを――。)
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