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犬
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「好きです、藍川先輩」
頬を染めた少女にそう告白され、藍川誠司は張り付けた笑みで返事をする。
「ごめん、僕好きな人がいるから」
嘘っぱちだ。他人を愛したことなんてない。恋愛というものがなんなのか、よくわからないのだ。そう、きっと彼女のことも。
家族が寝静まったころ、足音を立てずに部屋に入る。
「美月しよう」
そう囁いたら彼女はびくりと身体を震わせて、だけど誠司を拒みはしない。
誠司に逆らうことがどういうことか知ってるから。
彼女は誠司を拒みはしない。
義理の妹と関係を持っている。
誰も知らない秘密。
知られてはいけない秘密。
だから興奮するんだろうか?
「っ……」
義妹の喘ぎが、暗い部屋にかすかに響く。肌はひどく熱くて、まるで熱でもあるようだ。暗さゆえに、涙でうるんだ瞳が輝いて見える。ぐちゅ、と性器を挿入したら息をつめた。
美月はいつも声を出さない。
強要されているのだから、誠司のことなど嫌いなのだから、声を出すのは違うのだとでも言いたげに。
腹立たしい。苛立ちのあまり服をハサミできりきざんでやったこともある。
その三角の瞳は誠司を睨む。
快楽に溺れても負けはしないとでも言うように。
それが余計にこちらを煽るのだとも知らずに。
暗闇で彼女を犯すのが好きだ。
闇に響く微かな矯声が好きだ。
頬を流れる涙が光るのが好きだ。
達する時にそらす白い首筋が好きだ。
セックスが好きだ。愛など知らずとも、彼女と繋がる行為が好きだ。
行為が終わったあとはしばらく彼女を抱き締めて眠る。美月はいつもこちらを見ない。
だけどずっとこちらを意識している。そうして眠れないでいる。
彼女に不安を与えるのが好きだ。
いつ何をされるのか、怯える彼女が好きだから、学校でも見かけたら声をかける。
美月は嫌悪感を隠しもせずこちらを睨み付ける。
怯えるくせに、彼女は誠司に反抗する。
だから彼女を抱くのだ。
震える身体を抱き締めてやるのだ。
もう反抗も抵抗もできないように、何回も、何回も。
いつか彼女が結婚して家を出たとしても、誠司を忘れられないくらいに。
誠司はバスケ部に所属している。バスケが好きなわけではない。中学からやっていたから続けただけだ。それに、スポーツをしている間は他のことは考えずにすんだ。
部活終わりに帰宅したら、美月が段ボール箱を持って、家の前でうろうろしていた。
この寒いのに、一体何をしているのだろう。
「美月?」
声をかけたら、彼女はびくりと肩を跳ねさせた。警戒心の強い目でこちらを見る。
「な……なに」
「そっちこそなにしてるんだ?」
「別に、あんたに関係ないでしょ」
その言いぐさに苛ついた。手首を掴むと、美月が手にしていた段ボール箱が落下する。
「なっ……」
「別に……この場で犯してやってもいいんだぞ?」
そういって寒さで血の気の引いた足をするりと撫であげた。美月が真っ青になってもがく。
「やっ」
きゅーん。誠司は、突然響いた間抜けな声に下を見た。
「なんだ?」
「あ、こら、出てきちゃだめ」
美月が慌てて、段ボールから出てきた「それ」を拾い上げる。
「犬?」
誠司が手を伸ばしたら、美月が庇うように犬を抱き締めた。
「触んないで」
「それをどうする気だ?」
「飼うのよ」
「僕は犬が嫌いなんだ」
「知ってるわよ」
だから家に入るのをためらっていたわけだ。
「父さんも確か嫌いだし──大体世話できるのか?」
「できるわよ、新しい飼い主見つけるまで」
「そう簡単に見つかるかな」
「あんたに迷惑はかけないわよ」
へえ。誠司はそうつぶやいて目を細めた。犬を飼って家族に迷惑がかからないなんてことが、果たしてあるのだろうか。
「その言葉、忘れるなよ」
翌朝、けたたましい犬の鳴き声で目が覚めた。
目覚ましを見たら普段より一時間早い。
(勘弁しろ。こっちはこれから部活なんだ)
苛立ちにまかせてドアを開け、美月の部屋へ押し入る。
「しーっ、しーっだってば、ひかり!」
「わんわん」
美月は犬を抱えて右往左往していた。
誠司が無言で部屋に入ると、彼女はハッとしてこちらを見る。犬を奪って外に投げようと振りかぶると、美月が慌てて抱きついてきた。
「ち、ちょっと!なげることないでしょ!」
「放り投げれば静かになる」
「それ明らかに死んでるじゃないの!とにかく、やめっ……」
美月ともつれあってベッドに倒れ込むと、視線が絡みあう。
誠司に押し倒される格好になった美月は、怯えた瞳でこちらを見あげた。普段気が強い彼女の、こういう顔を見るのが好きだ、と思う。征服欲が満たされる。
なめらかな?を撫でて、ゆっくり唇を寄せたら、シーツに倒された細い身体が震えた。
白い首筋を舌でなぞるとびくりと肩が跳ねる。
「僕に迷惑はかけないと……そう言ったよな?」
「それは、悪かった、わよ……っ」
唇を重ねると、小さな肩が揺れて、シーツに沈んだ体が抵抗を示す。その肩を押さえつけ、色気のないパジャマのボタンを外していった。
露になった白い肌に手を這わせる。
「おまえは体温が高いな」
そう囁いて、寒い室内を忘れさせるような、暖かいからだをなぞる。豊かな胸を柔らかく掴んで、乳首を撫でたら、すでに硬くなっていた。指先ではじいて、頭を埋める。乳首を舐めあげたら、美月が身体を震わせた。
「んっ……や、だ」
パジャマのズボンに手をかけようとしたとき──。
「わんわんわんわんわん」
犬がぐるぐる回りながら吠えた。
「……なんて言ってる」
「し、知らないわよ」美月が慌ててパジャマの前をあわせる。
藍川はため息をついて立ち上がる。
「ああ、興ざめだ。その犬、僕が帰るまでに処分しておけよ」
「そんなことできるわけないでしょ!」
美月は犬を庇うように抱き込んだ。
割と豊かな胸におさまった子犬を見て、誠司は舌打ちした。
教室は、昼休み特有の気だるい空気に満ちていた。みなそれぞれに、午後の授業に備えた余暇を過ごしている。誠司はくあ、とあくびをした。それだけで周囲の目が集まる。
その反応に、内心舌打ちする。完璧な優等生のふりも楽じゃないというのに、あの毛玉。
「どうした藍川、眠そうじゃん」
同級生の声に笑顔を作る。
「いや、昨日夜更かししてしまって」
「藍川が夜更かしー?まじかー」
夜更かしすらしないと思われているのか。実際には、夜遅くに美月とセックスしていることもあるのに。
「ん?あれお前の義妹じゃね?」
その言葉に目線を窓の下に向ける。
裏庭に茶色い頭が見え隠れする。
その近くに似たような色の毛玉らしきもの。
(なにをやってるんだあいつは)
誠司は眠気を押さえ立ち上がった。
校舎から出て、裏庭にたどりつくと、家では滅多に聞けない元気のいい声が聞こえた。
「もー!なんでできないの?お手!それはお座りでしょー!」
「美月」
一声かけるとびくりと固まる。足元には、茶色い毛玉がうずくまっていた。誠司は冷たい目で犬を見下ろし、
「なんでその犬がいる」
「だっ……って、家においといたら、あんたが殺すかもしんないし」
美月は小声でつぶやいた。殺すとはなんだ、物騒な。
「精々動けなくするくらいだ」
「それ殺してんじゃない!へくしっ」
美月はくしゃみをしてぶるぶる震える。
「大体こんな寒空に何をやってるんだ」
「可愛らしく芸をしてるのを見たら、誰かもらってくれるかもしれないじゃない」
「どう見てもただの馬鹿な犬だったがな。──お手」
誠司がしゃがむと、犬が寄って来てお手をする。美月が目を丸くした。
「餌」
「え、あ、はい」
美月は慌てて持っていたビーフジャーキーを渡す。誠司はビーフジャーキーを犬に食べさせた。
「おかわり」
食べ終わったところでまた指示をして、餌を与える。
犬は従順に尻尾を振る。
美月は納得いかない、という顔をしていた。
「なんであんたの言うことは聞くのよ……」
「お前の命令には無駄が多い。簡潔にしなければ犬には伝わらない」
「ふーん」
美月はそう相槌を打って、誠司の側にしゃがみこむ。それから、ふわりと笑って犬の頭を撫でた。
「いいこいいこ」
彼女の髪から、シャンプーの甘い香りがする。
藍川は彼女の髪に顔を近づけた。距離の近さにびくりと震え、美月は固まる。
「な、に」
「別に」
くるくると髪を指先で丸める。ちゅ、と口付けた。
美月は頼りにでもするように犬を引き寄せた。だが逃げようとはしない。珍しいこともあるものだ。誠司は、彼女の髪に唇を寄せたまま言う。
「置いてもいい」
「は?」
「その毛玉……しばらく家に置いてもいい。だけどさっさと飼い主を探せ」
「言われなくたって、そうするわよ」
「どうだかな。お前は絶対情を移すタイプだ」
「情けもなにもないあんたに言われたくない」
まあそうかもしれない
誠司は、美月の髪から唇を離す。すかさず美月が立ち上がった。
誠司から早く離れたいがために小走りでかけていく。
ああそうか。
彼女にてって、とついていく毛玉を見る。
あの犬がいなければ美月が寄ってくることなどないから。
「……馬鹿馬鹿しい」
呟きは冬空に吸い込まれた。
頬を染めた少女にそう告白され、藍川誠司は張り付けた笑みで返事をする。
「ごめん、僕好きな人がいるから」
嘘っぱちだ。他人を愛したことなんてない。恋愛というものがなんなのか、よくわからないのだ。そう、きっと彼女のことも。
家族が寝静まったころ、足音を立てずに部屋に入る。
「美月しよう」
そう囁いたら彼女はびくりと身体を震わせて、だけど誠司を拒みはしない。
誠司に逆らうことがどういうことか知ってるから。
彼女は誠司を拒みはしない。
義理の妹と関係を持っている。
誰も知らない秘密。
知られてはいけない秘密。
だから興奮するんだろうか?
「っ……」
義妹の喘ぎが、暗い部屋にかすかに響く。肌はひどく熱くて、まるで熱でもあるようだ。暗さゆえに、涙でうるんだ瞳が輝いて見える。ぐちゅ、と性器を挿入したら息をつめた。
美月はいつも声を出さない。
強要されているのだから、誠司のことなど嫌いなのだから、声を出すのは違うのだとでも言いたげに。
腹立たしい。苛立ちのあまり服をハサミできりきざんでやったこともある。
その三角の瞳は誠司を睨む。
快楽に溺れても負けはしないとでも言うように。
それが余計にこちらを煽るのだとも知らずに。
暗闇で彼女を犯すのが好きだ。
闇に響く微かな矯声が好きだ。
頬を流れる涙が光るのが好きだ。
達する時にそらす白い首筋が好きだ。
セックスが好きだ。愛など知らずとも、彼女と繋がる行為が好きだ。
行為が終わったあとはしばらく彼女を抱き締めて眠る。美月はいつもこちらを見ない。
だけどずっとこちらを意識している。そうして眠れないでいる。
彼女に不安を与えるのが好きだ。
いつ何をされるのか、怯える彼女が好きだから、学校でも見かけたら声をかける。
美月は嫌悪感を隠しもせずこちらを睨み付ける。
怯えるくせに、彼女は誠司に反抗する。
だから彼女を抱くのだ。
震える身体を抱き締めてやるのだ。
もう反抗も抵抗もできないように、何回も、何回も。
いつか彼女が結婚して家を出たとしても、誠司を忘れられないくらいに。
誠司はバスケ部に所属している。バスケが好きなわけではない。中学からやっていたから続けただけだ。それに、スポーツをしている間は他のことは考えずにすんだ。
部活終わりに帰宅したら、美月が段ボール箱を持って、家の前でうろうろしていた。
この寒いのに、一体何をしているのだろう。
「美月?」
声をかけたら、彼女はびくりと肩を跳ねさせた。警戒心の強い目でこちらを見る。
「な……なに」
「そっちこそなにしてるんだ?」
「別に、あんたに関係ないでしょ」
その言いぐさに苛ついた。手首を掴むと、美月が手にしていた段ボール箱が落下する。
「なっ……」
「別に……この場で犯してやってもいいんだぞ?」
そういって寒さで血の気の引いた足をするりと撫であげた。美月が真っ青になってもがく。
「やっ」
きゅーん。誠司は、突然響いた間抜けな声に下を見た。
「なんだ?」
「あ、こら、出てきちゃだめ」
美月が慌てて、段ボールから出てきた「それ」を拾い上げる。
「犬?」
誠司が手を伸ばしたら、美月が庇うように犬を抱き締めた。
「触んないで」
「それをどうする気だ?」
「飼うのよ」
「僕は犬が嫌いなんだ」
「知ってるわよ」
だから家に入るのをためらっていたわけだ。
「父さんも確か嫌いだし──大体世話できるのか?」
「できるわよ、新しい飼い主見つけるまで」
「そう簡単に見つかるかな」
「あんたに迷惑はかけないわよ」
へえ。誠司はそうつぶやいて目を細めた。犬を飼って家族に迷惑がかからないなんてことが、果たしてあるのだろうか。
「その言葉、忘れるなよ」
翌朝、けたたましい犬の鳴き声で目が覚めた。
目覚ましを見たら普段より一時間早い。
(勘弁しろ。こっちはこれから部活なんだ)
苛立ちにまかせてドアを開け、美月の部屋へ押し入る。
「しーっ、しーっだってば、ひかり!」
「わんわん」
美月は犬を抱えて右往左往していた。
誠司が無言で部屋に入ると、彼女はハッとしてこちらを見る。犬を奪って外に投げようと振りかぶると、美月が慌てて抱きついてきた。
「ち、ちょっと!なげることないでしょ!」
「放り投げれば静かになる」
「それ明らかに死んでるじゃないの!とにかく、やめっ……」
美月ともつれあってベッドに倒れ込むと、視線が絡みあう。
誠司に押し倒される格好になった美月は、怯えた瞳でこちらを見あげた。普段気が強い彼女の、こういう顔を見るのが好きだ、と思う。征服欲が満たされる。
なめらかな?を撫でて、ゆっくり唇を寄せたら、シーツに倒された細い身体が震えた。
白い首筋を舌でなぞるとびくりと肩が跳ねる。
「僕に迷惑はかけないと……そう言ったよな?」
「それは、悪かった、わよ……っ」
唇を重ねると、小さな肩が揺れて、シーツに沈んだ体が抵抗を示す。その肩を押さえつけ、色気のないパジャマのボタンを外していった。
露になった白い肌に手を這わせる。
「おまえは体温が高いな」
そう囁いて、寒い室内を忘れさせるような、暖かいからだをなぞる。豊かな胸を柔らかく掴んで、乳首を撫でたら、すでに硬くなっていた。指先ではじいて、頭を埋める。乳首を舐めあげたら、美月が身体を震わせた。
「んっ……や、だ」
パジャマのズボンに手をかけようとしたとき──。
「わんわんわんわんわん」
犬がぐるぐる回りながら吠えた。
「……なんて言ってる」
「し、知らないわよ」美月が慌ててパジャマの前をあわせる。
藍川はため息をついて立ち上がる。
「ああ、興ざめだ。その犬、僕が帰るまでに処分しておけよ」
「そんなことできるわけないでしょ!」
美月は犬を庇うように抱き込んだ。
割と豊かな胸におさまった子犬を見て、誠司は舌打ちした。
教室は、昼休み特有の気だるい空気に満ちていた。みなそれぞれに、午後の授業に備えた余暇を過ごしている。誠司はくあ、とあくびをした。それだけで周囲の目が集まる。
その反応に、内心舌打ちする。完璧な優等生のふりも楽じゃないというのに、あの毛玉。
「どうした藍川、眠そうじゃん」
同級生の声に笑顔を作る。
「いや、昨日夜更かししてしまって」
「藍川が夜更かしー?まじかー」
夜更かしすらしないと思われているのか。実際には、夜遅くに美月とセックスしていることもあるのに。
「ん?あれお前の義妹じゃね?」
その言葉に目線を窓の下に向ける。
裏庭に茶色い頭が見え隠れする。
その近くに似たような色の毛玉らしきもの。
(なにをやってるんだあいつは)
誠司は眠気を押さえ立ち上がった。
校舎から出て、裏庭にたどりつくと、家では滅多に聞けない元気のいい声が聞こえた。
「もー!なんでできないの?お手!それはお座りでしょー!」
「美月」
一声かけるとびくりと固まる。足元には、茶色い毛玉がうずくまっていた。誠司は冷たい目で犬を見下ろし、
「なんでその犬がいる」
「だっ……って、家においといたら、あんたが殺すかもしんないし」
美月は小声でつぶやいた。殺すとはなんだ、物騒な。
「精々動けなくするくらいだ」
「それ殺してんじゃない!へくしっ」
美月はくしゃみをしてぶるぶる震える。
「大体こんな寒空に何をやってるんだ」
「可愛らしく芸をしてるのを見たら、誰かもらってくれるかもしれないじゃない」
「どう見てもただの馬鹿な犬だったがな。──お手」
誠司がしゃがむと、犬が寄って来てお手をする。美月が目を丸くした。
「餌」
「え、あ、はい」
美月は慌てて持っていたビーフジャーキーを渡す。誠司はビーフジャーキーを犬に食べさせた。
「おかわり」
食べ終わったところでまた指示をして、餌を与える。
犬は従順に尻尾を振る。
美月は納得いかない、という顔をしていた。
「なんであんたの言うことは聞くのよ……」
「お前の命令には無駄が多い。簡潔にしなければ犬には伝わらない」
「ふーん」
美月はそう相槌を打って、誠司の側にしゃがみこむ。それから、ふわりと笑って犬の頭を撫でた。
「いいこいいこ」
彼女の髪から、シャンプーの甘い香りがする。
藍川は彼女の髪に顔を近づけた。距離の近さにびくりと震え、美月は固まる。
「な、に」
「別に」
くるくると髪を指先で丸める。ちゅ、と口付けた。
美月は頼りにでもするように犬を引き寄せた。だが逃げようとはしない。珍しいこともあるものだ。誠司は、彼女の髪に唇を寄せたまま言う。
「置いてもいい」
「は?」
「その毛玉……しばらく家に置いてもいい。だけどさっさと飼い主を探せ」
「言われなくたって、そうするわよ」
「どうだかな。お前は絶対情を移すタイプだ」
「情けもなにもないあんたに言われたくない」
まあそうかもしれない
誠司は、美月の髪から唇を離す。すかさず美月が立ち上がった。
誠司から早く離れたいがために小走りでかけていく。
ああそうか。
彼女にてって、とついていく毛玉を見る。
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「……馬鹿馬鹿しい」
呟きは冬空に吸い込まれた。
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