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1867年、ロンドン。ウエストミンスター宮殿の再建が終了した。再建にともない、「クロックタワー」と呼ばれる巨大な時計塔が作られ、それは数百年ののちに「エリザベス・タワー」と呼ばれるロンドンのシンボルとなった。
いっぽう、ロンドン塔に注いだ謎の光はすっかり消えてなくなり、塔内は今ではすっかり静かである。
◆
古びた城壁の中、一人の男が、ロンドン塔に住む烏に餌をやっていた。金髪に碧眼で、服装は極めて簡素だ。塔を守る守衛ではない。何者かもわからないその男に、すらりとした人影が近づいて行く。美しい声が響く。
「君はアルト?」
「ん? いかにもそうだが」
アルトは顔を上げ、その男を見た。漆黒の髪に、赤い瞳。目深に帽子をかぶっている。
「ふむ」
アルトはしげしげ男を見て、くんくん匂いを嗅いだ。男がいやそうに身を引く。
「なんだ」
「ヒトデナシのにおいがする」
「人聞きの悪い」
「いや、犬? おぬしは犬か」
その言葉に、男が赤い瞳をすがめた。
「なるほど、ただの人間ではないらしいな。ただ僕は犬じゃない」
「ではなんだ」
「バアル。悪魔だ。レイチェルからの預かり物がある」
「おお、レイチェルの友人か」
バアルが差し出した袋を受け取ろうとするが、バアルは離そうとしない。
「む?」
「頼まれたが、なんとなく渡したくない」
「ああ、なるほどな」
アルトが苦笑すると、バアルが不服げに袋から何かを取り出した。ピアノ型で、ねじがついている。
「これは?」
「オルゴール。世話になったからって言っていた」
「ふむ」
彼はオルゴールを受け取り、ねじを回した。穏やかで、優しい旋律が流れ始める。
「うむ、美しい音色である。これはなんという曲なのかな?」
「僕が知るわけないだろう」
バアルは不機嫌に言う。
「初対面の人間にやきもちを妬くのはやめたほうがよいぞ。心のせまーい男は嫌われる」
「あんたは人間なのか?」
「さあどうかな。これはもらっておく。レイチェルによろしく」
アルトがそういった時には、バアルはもう消えていた。
「せっかちな犬だな」
そうカラスに話しかけたら、ぎゃあ、と返事が返ってきた。風にのって聞こえてきたメロディーに、アルトは顔を上げる。昼時には、ビッグベンの鐘が音楽を奏でるのだ。
「おお、もう昼か」
見上げた空は、どこまでも澄んだ青だった。
歴史あるロンドン塔が美しく生まれ変わるのは、まだ先のことである。
◇
同じく青い空の下――しかし、違うのはここが人の街ではないというところ。ここはロンドンでも、イギリスでもない。悪魔の街、バビロンだ。人の姿はなく、悪魔たちが空を飛び、道を歩く。
バビロンの市街地に立つ一軒の家。その裏庭で、レイチェル・キーズは、バラムと一緒に野菜を収穫していた。二人ともそろいの、麦わらの帽子をかぶっている。
「よいしょっ、と」
引き抜いた野菜の土をはらって、かごに入れていく。
「バアル、無事に向こうについたかな」
彼女のつぶやきに、バラムが首を傾げた。
――お世話になった人たちに、お礼の品を送りたい。レイチェルがそう言ったら、バアルはそんな必要があるのか、と返してきた。
「でも、向こうに行ったら、未練が残ってしまうかもしれないから」
かわりに行ってくれないか、と尋ねたら、彼は少し不服そうに頷いた。マルファスに聞いたところによると、バアルはどうやらかなりえらい悪魔らしい。使い走りみたいな真似をさせられたのが、気に入らないのだろうか?
了承はしてくれたけど、本当は怒っていたらどうしよう。だんだん不安になってきたレイチェルの服を、バラムがくいくい、と引っ張る。
「ん? どうしたの? バラム」
こぐまはぬいぐるみのような手で、空を指さした。つられて見上げたら、遠くに見えるバベルの塔から、こちらへ近づいてくる影が見えた。
「あ、バアルだ」
レイチェルとバラムは、彼にむかって手を振った。バラムはぱんぱん、と土を払い、お茶をいれるしぐさをして見せた。
「ええ、お願い。ここは片づけておくわね」
こぐまはたたた、とキッチンへ入っていく。レイチェルがスコップやじょうろを片付けていたら、バアルが翼をはためかせ、すたりと地面に降り立った。
「おかえりなさい。今バラムがお茶を入れてくれてるから、キッチンへ行って」
レイチェルはバアルに背を向けて、手を洗うために軍手を脱いだ。後ろから伸びてきた腕が、ぐい、と身体を抱き寄せる。
「っ」
「疲れた」
耳元に響いた美しい声に、びくりとする。
「お、お疲れさま……」
いまだにこの悪魔の声には慣れない。たぶん、一生慣れない。引いていった腕に、ふ、と息を吐く。後ろから声をかけるのは、心臓に悪いからやめてほしい。
「君の言う通り、会いにいってきた。アルトとかいう男と、ミシェルと、モリー」
「みんな元気だった?」
「ああ。あと」
バアルはハンカチを取り出し、振った。
「デュフォー家の墓にあいつの灰を撒いてきた。教会だから結構難儀した」
「ありがとう」
レイチェルがほほ笑むと、形のいい眉根が寄った。
「バアル?」
「あんなやつのことを、考えなくていい」
「だって……一応、血がつながってるし」
「血がつながってるのに求愛してくるなんて、気色悪い」
なんとなく拗ねているような声だった。もしかして、やきもちを焼いてるんだろうか……。初めて会ったときは冷たい印象だったのに、大人げないし、意外とわかりやすいひとだ。いや、正確にはひとじゃないけど。
「ほかの人と、バアルは違う」
「どう違う?」
赤い瞳がじっとこちらを見てくる。
「だから……」
レイチェルはちら、とキッチンの裏口を見て、背伸びをした。そっと触れるだけの口づけをする。まるでルビーのような、バアルの赤い瞳が至近距離にある。自分でしたのに、恥ずかしくなって目をそらす。
「こういうことは、あなたとしか……」
「ほかのやつにはしない?」
「当たり前でしょう。しないわ」
そう言ったら、バアルの赤い瞳が緩んだ。
「じゃあ、もっとして」
「えっ」
近づいてきた唇を、慌てて防いだ。
「だめ、バラムが待ってるのよ」
赤い瞳が少し不機嫌そうな色に変わる。
「やっぱりバラムのほうがいいのか」
バラムにまでやきもき妬くなんて。
「だから、二人は違うんだってば……」
「その違いを教えて」
囁かれてくらくらした。
「顔が真っ赤だ」
「あなたのせいよ」
バアルが笑う。レイチェルはそっと彼の冷たい手を握った。バアルの指にはソロモンの指輪、彼女の左手の薬指には、金の指輪がはまっている。
「ねえ、ウエストミンスター宮殿は、ちゃんと治ってた?」
「ああ」
「そう、よかった」
レイチェルはほ、と息をつく。バアルが瞳を揺らした。
「向こうに、行きたかったか?」
「そんな顔しないで」
「どんな顔?」
「捨てられた犬みたいな顔」
彼はむっとして、
「僕は犬じゃない」
バアルは犬扱いすると怒るけど、レイチェルは犬になったバアルにまた会いたいと思っていた。──だって、可愛かったから。くす、と笑ったレイチェルを見て、バアルが眉をあげた。
「ひとりで笑って……なにが楽しいんだ?」
「ねえ、今度ブラックになって。撫でたいから」
「いやだ」
「いいじゃない。減るものじゃないでしょう?」
バアルは目を細めてレイチェルを見ていたが、
「じゃあ、さっきのをもっとしてくれる?」
美しい声が鼓膜に響いて、指先が唇に触れて、レイチェルは真っ赤になった。
「だめ」
「どうして。それこそ、減るものじゃないだろ」
「とにかくだめ。はやく、行きましょう」
レイチェルはぐいぐいバアルの背中を押した。
「押すなよ」
その時、どこからともなく鐘の音が聞こえてきた。レイチェルは足を止め、空を見上げる。遠くで鳴っているようだ。
「これ、なんの音かしら……」
「音なんか聞こえない」
「聞こえるわよ、ほら……」
レイチェルは耳を澄ました。バアルもレイチェルの視線を追う。
「カリヨンか。ロンドンでも、時計の鐘が鳴ってた」
ロンドンの鐘が、バビロンに響くわけがない。
それでもレイチェルは、その音をもっとよく聞こうと耳を澄ました。
風花がふわりと舞って、二人の視界をすり抜けて行った。
再建されたバベルの塔に、光の柱が立っている。どこからともなく、鐘の音が聞こえてきた。それはまるで、人と悪魔を寿ぐ祝いの鐘のように、バビロンの空に鳴り響いていた。
乙女の涙と悪魔の声/end
いっぽう、ロンドン塔に注いだ謎の光はすっかり消えてなくなり、塔内は今ではすっかり静かである。
◆
古びた城壁の中、一人の男が、ロンドン塔に住む烏に餌をやっていた。金髪に碧眼で、服装は極めて簡素だ。塔を守る守衛ではない。何者かもわからないその男に、すらりとした人影が近づいて行く。美しい声が響く。
「君はアルト?」
「ん? いかにもそうだが」
アルトは顔を上げ、その男を見た。漆黒の髪に、赤い瞳。目深に帽子をかぶっている。
「ふむ」
アルトはしげしげ男を見て、くんくん匂いを嗅いだ。男がいやそうに身を引く。
「なんだ」
「ヒトデナシのにおいがする」
「人聞きの悪い」
「いや、犬? おぬしは犬か」
その言葉に、男が赤い瞳をすがめた。
「なるほど、ただの人間ではないらしいな。ただ僕は犬じゃない」
「ではなんだ」
「バアル。悪魔だ。レイチェルからの預かり物がある」
「おお、レイチェルの友人か」
バアルが差し出した袋を受け取ろうとするが、バアルは離そうとしない。
「む?」
「頼まれたが、なんとなく渡したくない」
「ああ、なるほどな」
アルトが苦笑すると、バアルが不服げに袋から何かを取り出した。ピアノ型で、ねじがついている。
「これは?」
「オルゴール。世話になったからって言っていた」
「ふむ」
彼はオルゴールを受け取り、ねじを回した。穏やかで、優しい旋律が流れ始める。
「うむ、美しい音色である。これはなんという曲なのかな?」
「僕が知るわけないだろう」
バアルは不機嫌に言う。
「初対面の人間にやきもちを妬くのはやめたほうがよいぞ。心のせまーい男は嫌われる」
「あんたは人間なのか?」
「さあどうかな。これはもらっておく。レイチェルによろしく」
アルトがそういった時には、バアルはもう消えていた。
「せっかちな犬だな」
そうカラスに話しかけたら、ぎゃあ、と返事が返ってきた。風にのって聞こえてきたメロディーに、アルトは顔を上げる。昼時には、ビッグベンの鐘が音楽を奏でるのだ。
「おお、もう昼か」
見上げた空は、どこまでも澄んだ青だった。
歴史あるロンドン塔が美しく生まれ変わるのは、まだ先のことである。
◇
同じく青い空の下――しかし、違うのはここが人の街ではないというところ。ここはロンドンでも、イギリスでもない。悪魔の街、バビロンだ。人の姿はなく、悪魔たちが空を飛び、道を歩く。
バビロンの市街地に立つ一軒の家。その裏庭で、レイチェル・キーズは、バラムと一緒に野菜を収穫していた。二人ともそろいの、麦わらの帽子をかぶっている。
「よいしょっ、と」
引き抜いた野菜の土をはらって、かごに入れていく。
「バアル、無事に向こうについたかな」
彼女のつぶやきに、バラムが首を傾げた。
――お世話になった人たちに、お礼の品を送りたい。レイチェルがそう言ったら、バアルはそんな必要があるのか、と返してきた。
「でも、向こうに行ったら、未練が残ってしまうかもしれないから」
かわりに行ってくれないか、と尋ねたら、彼は少し不服そうに頷いた。マルファスに聞いたところによると、バアルはどうやらかなりえらい悪魔らしい。使い走りみたいな真似をさせられたのが、気に入らないのだろうか?
了承はしてくれたけど、本当は怒っていたらどうしよう。だんだん不安になってきたレイチェルの服を、バラムがくいくい、と引っ張る。
「ん? どうしたの? バラム」
こぐまはぬいぐるみのような手で、空を指さした。つられて見上げたら、遠くに見えるバベルの塔から、こちらへ近づいてくる影が見えた。
「あ、バアルだ」
レイチェルとバラムは、彼にむかって手を振った。バラムはぱんぱん、と土を払い、お茶をいれるしぐさをして見せた。
「ええ、お願い。ここは片づけておくわね」
こぐまはたたた、とキッチンへ入っていく。レイチェルがスコップやじょうろを片付けていたら、バアルが翼をはためかせ、すたりと地面に降り立った。
「おかえりなさい。今バラムがお茶を入れてくれてるから、キッチンへ行って」
レイチェルはバアルに背を向けて、手を洗うために軍手を脱いだ。後ろから伸びてきた腕が、ぐい、と身体を抱き寄せる。
「っ」
「疲れた」
耳元に響いた美しい声に、びくりとする。
「お、お疲れさま……」
いまだにこの悪魔の声には慣れない。たぶん、一生慣れない。引いていった腕に、ふ、と息を吐く。後ろから声をかけるのは、心臓に悪いからやめてほしい。
「君の言う通り、会いにいってきた。アルトとかいう男と、ミシェルと、モリー」
「みんな元気だった?」
「ああ。あと」
バアルはハンカチを取り出し、振った。
「デュフォー家の墓にあいつの灰を撒いてきた。教会だから結構難儀した」
「ありがとう」
レイチェルがほほ笑むと、形のいい眉根が寄った。
「バアル?」
「あんなやつのことを、考えなくていい」
「だって……一応、血がつながってるし」
「血がつながってるのに求愛してくるなんて、気色悪い」
なんとなく拗ねているような声だった。もしかして、やきもちを焼いてるんだろうか……。初めて会ったときは冷たい印象だったのに、大人げないし、意外とわかりやすいひとだ。いや、正確にはひとじゃないけど。
「ほかの人と、バアルは違う」
「どう違う?」
赤い瞳がじっとこちらを見てくる。
「だから……」
レイチェルはちら、とキッチンの裏口を見て、背伸びをした。そっと触れるだけの口づけをする。まるでルビーのような、バアルの赤い瞳が至近距離にある。自分でしたのに、恥ずかしくなって目をそらす。
「こういうことは、あなたとしか……」
「ほかのやつにはしない?」
「当たり前でしょう。しないわ」
そう言ったら、バアルの赤い瞳が緩んだ。
「じゃあ、もっとして」
「えっ」
近づいてきた唇を、慌てて防いだ。
「だめ、バラムが待ってるのよ」
赤い瞳が少し不機嫌そうな色に変わる。
「やっぱりバラムのほうがいいのか」
バラムにまでやきもき妬くなんて。
「だから、二人は違うんだってば……」
「その違いを教えて」
囁かれてくらくらした。
「顔が真っ赤だ」
「あなたのせいよ」
バアルが笑う。レイチェルはそっと彼の冷たい手を握った。バアルの指にはソロモンの指輪、彼女の左手の薬指には、金の指輪がはまっている。
「ねえ、ウエストミンスター宮殿は、ちゃんと治ってた?」
「ああ」
「そう、よかった」
レイチェルはほ、と息をつく。バアルが瞳を揺らした。
「向こうに、行きたかったか?」
「そんな顔しないで」
「どんな顔?」
「捨てられた犬みたいな顔」
彼はむっとして、
「僕は犬じゃない」
バアルは犬扱いすると怒るけど、レイチェルは犬になったバアルにまた会いたいと思っていた。──だって、可愛かったから。くす、と笑ったレイチェルを見て、バアルが眉をあげた。
「ひとりで笑って……なにが楽しいんだ?」
「ねえ、今度ブラックになって。撫でたいから」
「いやだ」
「いいじゃない。減るものじゃないでしょう?」
バアルは目を細めてレイチェルを見ていたが、
「じゃあ、さっきのをもっとしてくれる?」
美しい声が鼓膜に響いて、指先が唇に触れて、レイチェルは真っ赤になった。
「だめ」
「どうして。それこそ、減るものじゃないだろ」
「とにかくだめ。はやく、行きましょう」
レイチェルはぐいぐいバアルの背中を押した。
「押すなよ」
その時、どこからともなく鐘の音が聞こえてきた。レイチェルは足を止め、空を見上げる。遠くで鳴っているようだ。
「これ、なんの音かしら……」
「音なんか聞こえない」
「聞こえるわよ、ほら……」
レイチェルは耳を澄ました。バアルもレイチェルの視線を追う。
「カリヨンか。ロンドンでも、時計の鐘が鳴ってた」
ロンドンの鐘が、バビロンに響くわけがない。
それでもレイチェルは、その音をもっとよく聞こうと耳を澄ました。
風花がふわりと舞って、二人の視界をすり抜けて行った。
再建されたバベルの塔に、光の柱が立っている。どこからともなく、鐘の音が聞こえてきた。それはまるで、人と悪魔を寿ぐ祝いの鐘のように、バビロンの空に鳴り響いていた。
乙女の涙と悪魔の声/end
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一気に読みました。
とっても良い内容でした。
ほわっとしましね。
感想ありがとうございます( ´ ▽ ` )
帽子……あっ。
バアルが取り返したといいなと思います(願望)
とても面白かったです!
まりこさん、感想ありがとうございます(^o^)
最後までお読みいただきありがとうございました~