【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら

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第一章 王都絢爛

9.緋色の花園(2) *アイカ視点

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 リティアさんに紹介してもらった侍女さんたちを、もう一度、確認する。はやく覚えなきゃね。

 紫ボブのアイシェさん……、白銀水色髪のゼルフィアさん……、それからブラウン銀髪のクレイアさんは、おっぱいが大きくて……。いや…………?


「ははははっ」


 と、リティアさんが我慢し切れないというふうに、快活な笑い声を上げた。


「胸の大きさで侍女を選んでいる訳ではないぞ、アイカ」

「あ、え、あ……」

「見過ぎだ」


 リティアさんは、まだ笑いが堪えられないのか顔を背けた。

 やってしまった。でも、3人とも大きいから。見てしまうよ。女同士でも。

 ううっ。顔を上げられない。


「殿下、笑い過ぎです」


 窘めてるのは、ゼルフィアさんの声かな。


「すまん、すまん」


 と、リティアさんが呼吸を整えてる。いきなり恥ずかしい思いをしてしまった。


「アイカは山奥で一人で育ったのだそうだ。つまりまあ、何も知らない訳だ。何を知らないかも知らない訳だ。アイシェ、ゼルフィア、クレイア。ゆっくりでいいから色々教えてやってくれ」


「はっ」と、3人がリティアさんに頭を下げる。たぷん。いや、たぷんじゃねぇ。慣れよう。なるべく早く慣れよう。


「それから、改めて右衛騎士のクロエだ。衛騎士というのは、要するに王族を護衛する腕利きの騎士だ」


 クロエさんが小さく会釈してくれた。

 漆黒のツヤ髪が目にかかってて気付かなかったけど、瞳が燃えるような赤色してる。ぺたんこ……。いや、そういうこと考えるの良くない。


「ア……、アイカです……。よろしくお願いします……」


 よく言えた、私。

 スクールカースト一軍のさらに上位みたいなキラキラな人たちに囲まれて、ちゃんと挨拶できたよ。えらいな、私。

 タロウの鼻がプスリと鳴った。

 タロウとジロウの狼二頭は、ふかふかの絨毯の上で気持ち良さそうに寝そべってる。順応、早いな! お前たちそういう感じだったのか。知らなかったよ。もっと野性味あふれる子たちだとばかり思ってた。

 リティアさんが身を乗り出すようにして、優しい口調で話しを続けてくれた。


「ややこしいことは追い追い覚えてもらったらいいが、ここは宮殿の中でも私と侍女たちのプライベートなエリアだ。寝殿とか奥殿とか呼ぶが、男は入らせない。ここではクロエだけが私の護衛に付いている」


 クロエさんお強いんですね。華奢に見えるけど、よく見ると締まった身体つき。


「ところで王宮は、いわば宮殿の集合住宅になっている」


 どういうこと?


「宮殿の上に宮殿を積み重ねたような『つくり』になっていて、この南宮8階にあたる私の宮殿は私だけの建物だ。つまり、他の王族や陛下でさえ勝手に入ってくることはない。とりあえず、ここにいる私も含めた5人のことだけ覚えておけば大丈夫だ」


 なんだか感動してしまった。

 理由は分からないけど、とことん私の気持ちに気を遣ってくれてる。山奥で独りだった私が、いきなり大人数に接することを怖がってること、見抜いてくれてた。

 アイシェさん、ゼルフィアさん、クレイアさんも微笑んでくれてる。

 黒髪のクロエさんは、きっとあれは笑顔なんだ。不器用なタイプの美人さんもキライじゃないです。むしろ、愛で甲斐があります。


「いきなり大仰な場所に来させてしまった。慣れないことばかりだろうが、なにかあればまず、侍女の3人を頼れ。もちろん、私でもいい」

「は、はい……」


 リティアさんは破壊力抜群の美少女スマイルのまま、視線を落とした。


「しかし、タロウとジロウは随分くつろいでいるな。一番の心配があっという間に消えたぞ」

「それは、私もです……」


 緋色の絨毯に大きな身体の狼が二頭、我が物顔に寝そべってる。いや、むしろ狼の身体が小さく見えるくらいに部屋が広い。

 今日の午前中まで、基本野宿のサバイバル生活だったのが嘘みたいだ。


「タロウとジロウは、身体を洗ってやっているのか?」

「あ、はい。泉の側で生活してたので、よく水浴びはさせてました」

「そうか。では腹も減っているだろうが、夕飯の前に一緒に風呂に入ろう。アイカも旅の疲れを落とすといい」


 え? 風呂?

 一緒に? 誰と誰が?

  私とタロウとジロウが一緒に、ってことですよね?


「西域の技師を呼んで作らせた自慢の大浴場があるんだ。建設に5ヶ月もかかって陛下にも呆れられてしまったがな」


 だ、大浴場ですか……。


「よし、行こう。タロウとジロウも起こしてやってくれ」
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