【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら

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第二章 旧都郷愁

55.聖山の美少女(2) *アイカ視点

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「どこなら、撫でても大丈夫?」


 と、待ち切れないようにタロウに視線を移した、ロマナさんが尋ねてきた。


「あ、じゃあ……」


 背中はリティアさんの紋章があしらわれたウルフコートに覆われてる。でも、美少女にお尻という訳にも……。オスだし……。


「首を……」


 私がタロウの首を撫でてやるのに続けて、ロマナさんもそっと手を置いた。


「うわぁ! 意外とモフモフ!」

「ロマナ様、お気をつけ下さい」


 と、眼帯美少女が、我慢出来なくなったように声をかけた。

 大丈夫、大丈夫と、受け流したロマナさんがジロウの首も撫でる。

 リティアさんは、軽くドヤ顔。

 相変わらずお可愛い……。いや……? ドヤ顔にもバージョンがあるのか。そりゃ、相手によって『ドヤり方』も違ってくるよね。


「ありがとう!」


 と、満足したのか、ロマナさんが声を弾ませた。


「さぁ! 狩りね! リティアも一緒させてあげてもよろしくてよ」


 ――狩り?


「あら?」と、ロマナさんが私の表情に気が付いた。「聞いてないの?」

「あのやり取りだけで、ほんとに今日かどうか分からんだろ?」


 と、リティアさんが、抗議するように口をとがらせた。


 ――王都に戻る前に、ちょっと遠駆けしよう。


 というのが、クロエさんだけを連れたリティアさんの誘い文句だった……。


 ――やっぱり、自信なかったんだ。


 ロマナさんが、ツーンっと顔を上に向けて応えた。


「だって、西南伯家が第3王女と手を結んだ、なんて評判立てる訳にいかないでしょ?」


 そんな理由だったのか……。


「誰が聞いてるか分からない公宮で、あの言い回しが限界でしょ?」


 まあねと、言いつつ口をとがらせたままのリティアさんに、ロマナさんが畳み掛ける。


「聖山の森で『総候参朝』の供物を狩りできるのは、王家にも許されてない西南伯家の特権なんだから、光栄に思いなさいよねっ」


 ――うぉぉぉぉ! こ、これは、かの有名な『高慢なお嬢様』ってヤツ?


 いや、むしろ『メスガキ』寄りか?

 リティアさんが口をへの字にして反撃する。


「西南伯家の供物の狩りを、第3王女様が手伝ってあげるっていうんだから、光栄に思うのはそっちでしょ?」


 ウチの無頼姫も負けてないっス。

 ただ、王宮で教わってきたことに比べて、ノリが際どすぎて反応に困ります。クロエさんのポーカーフェイスが羨ましいです。

 よ、要するに、2人は仲良しってことでいいんですよね?

 ふっふっふっと、ロマナさんが不敵に笑って、眼帯美少女の肩を抱き寄せた。


「チーナは西南伯お父様が付けてくれた、西南伯軍ウチ随一の弓の達人なのよ。恐れ慄いて、ひれ伏すといいわ」


 リティアさんが、わざとらしく前髪を払った。


「それでは、西南伯のご公女に、最新情報を教えて差し上げる」

「なによ?」

「我が侍女アイカに、王太后陛下でも御名おんなを聞き取れぬ、異国の弓矢の神の守護聖霊があることが、審神みわけられた」


 えぇー? と、ロマナさんと眼帯美少女のチーナさんから見詰められた。

 というか、ガン見された。

 リティアさんは勝ち誇ったように、拳を握りしめて続けた。


「事実。我が正殿参詣のため、全ての王国騎士団から集められた腕利きの騎士たちの誰もがっ、アイカには弓で叶わなかったのだっ!」


 リティアさん、なんか変なキャラ入ってますよ……。

 それに、急拵えの旅団に『腕利き』が集められたというのは初耳だけど、そっとしておこう……。

 ロマナさんが反り返って、後ろ髪を跳ね上げた。


「ふんっ」


 この姫、「ふんっ」って言ったー!

 髪を跳ね上げながら「ふんっ」って!

 本物……、初めて見ました。

 なんだか、ありがたい。


「それじゃあ、チーナが勝ったら、西南伯軍ウチの方が王国全騎士団より腕が立つってことね? うーわっ。第3王女様、ザコっぽーい」


 はい。メスガキ確定で。

 え? ていうか、勝負なの?

 眼帯美少女チーナさんも「聞いてない」って顔で見てますけど?


「ロマナ、お前……、くくっ」


 と、リティアさんが、笑いを堪えられなくなった。


「神聖な供物の狩りをだな……。『狩猟神パイパル』に怒られとけ」

「私は日頃からヴールの主祭神様には、信仰篤いから大丈夫! ……って、もう! 笑い過ぎでしょ?」


 と、ロマナさんも耐えられずに笑い出した。


「まあ、手伝うよ」


 と、リティアさんが伸びをした。


「昨晩は、皆で風呂に入って略式だが身を清めて来た」


 あれには、そんな意味が……。

 『女子大入浴会 in 旧都』とか浮かれてました。はい。すみませんでした。


「どれだけ狩ればいいんだ?」


 という、リティアさんの言葉に、ロマナさんは聖山の方に目を向けた。


「8種の獣を7匹ずつと、4種の鳥を7羽ずつ。種の数が合ってれば、種自体は問われないけど、猪とワシは入ってる方が望ましいわね」

「それは、大変だ」


 と、リティアさんが表情を引き締めた。


 ――鷲7羽って……、聖山には群生してたりするんですか? 鷲ですよ?


 てか、サバイバル生活中は結界に護られてて、私、鷲とか鷹とか狩ったことないんですよね……。大丈夫かな……?

 ロマナさんは、一昨日の清楚なお姫様スマイルに戻して、にっこりと口を開いた。


「それが、『狩猟神パイパル』のお望みですから」
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