37 / 60
37.おねだり
しおりを挟む
深紅のベルベット、ふかふかの座面が心地いい豪勢なソファ。
わたしと並んで腰かけた姉トゥイッカの美しい顔が、嬉しそうにほころんだ。
「あら、そうなのねぇ~。お相手は?」
「ええ……、姉様が仰られた通り……、オクスティエルナ伯爵家の……」
「もう、私のせいにしてぇ」
わたしが頬を両手ではさみ、口をとがらせると、姉は眉を寄せて笑った。
かつての姉を彩っていたのは、ドレスも調度品も、淡い色使いだった。姉の儚げで可憐な美しさを控えめに引き立ていた。
けれど、気付けば鮮やかな色が姉を取り巻いている。緋色は特にお気に入りのよう。
侍女もメイドもすべて下がらせ、広々とした姉の居室にふたりきり。かつてでは考えられない自由気ままな姉のふる舞い。
かつてオロフ王が支配した白亜の王宮は、いまや姉ひとりのもの。
姉の意向を妨げるものは、なにもない。
「でも、勘違いしないでね、姉様? ……まだ、考えてみようかなぁ~ってだけよ?」
「んふふっ、慎重なヴェーラらしいわね」
姉がわたしに、幸せになってほしいと願っていることは、嘘偽りのない本当の気持ちだ。
純粋にわたしの幸せを願っている。
だけど、姉がわたしに勧める婿取り。
その相手が、姉自身が貶斥した西方貴族でも良いと考えている。
それは、姉の地位や権力を、わたしに脅かされる心配がなくなるからだ。
わたしに幸せになってほしい気持ちと、わたしへの警戒が、姉のなかでは矛盾なく同居している。
「……でも、ほんとうにいいの?」
「なにがよ?」
「わたしだけ……。姉様は?」
「私はいいのよ」
いびつに歪み、複雑に入り組んだ姉の心のヒダに絡め取られないよう、わたしは慎重にふる舞わなくてはいけない。
――姉様は、いま幸せ?
などと聞いては、決していけない。
姉の愛する妹ヴェーラを、わたしは演じ抜かなくてはいけない。
姉の栄達を喜び、姉のすべてを肯定し、だけどすこしワガママになって姉に甘える、
姉の求める妹ヴェーラを。
「でね……、姉様にひとつお願いがあるの……」
「なになに? なんでも言ってちょうだい」
身を乗り出してくる姉。
居室に戻って来るや、わたしの向かいではなく、となりに座り、わたしの突然の来訪を喜んだ。
自分で離宮に遠ざけておきながら、会いに来てくれるのは嬉しい。わたしに求められていたい。
わたしは可愛らしく姉に手を合わせ、おねだりしてみせる。
「……お父様とお母様のお墓参りに行きたいのよ。エルンストとのことを……真剣に考える前に……」
「あら……、そう」
「もう、いいわよね? 姉様が王国でいちばん偉くなったんだし」
「それもそうね」
姉の脳裏には、寒風に吹き付けられながら惨めな人質として歩かされた日のことが浮かんでいるかもしれない。
婚約者ペッカを同胞である長老たちに殺され、絶望と憤りのなか、怯えるわたしの手を握って歩いた日。
姉が復讐を誓い、妹を護ると誓った日。
屈強な男たちに囲まれ歩かされたその先で、待ち受けていた金ピカの男――暴虐の王オロフ。
豪勢な料理を、ひとり貪り食っていた。
そのすべてを奪い取ったのだという感慨が、姉の満足気な表情にあらわれた。
あの日、怯える妹にしてやれなかったことを、ようやく自分はしてやれるのだと――、
姉は、目をほそめた。
「いいわよ。いってらっしゃい。枢密院には私から言っておくわ」
「秋の収穫祭までには王都に戻るから」
「あら……、随分急ぐのね。それじゃあ、向こうでゆっくりする時間もとれないんじゃない?」
「お墓参りするだけだもの、パッと行って、パッと帰って来るわ。それに、姉様が王太后になられて最初の収穫祭でしょ? わたしが欠席したら、姉様に恥をかかせてしまうわ」
部族を怨み、重い貢納を課し、わたしたちを人質に差し出したことへの復讐をつづける姉。
それを、ほかの誰にも聞かれない狩り小屋で、わたしに誇って見せた。褒めてほしがった。
けれど、困窮した同胞を、実際にわたしの目に触れさせたくはない……。
「総督府に寄って、いつも使者で来てくれる者たちに案内してもらうわ」
「そんなの使者なんかじゃなくて、長老たちに案内させればいいのよ」
「……姉様から、早馬で書簡を送っておいていただけない?」
「んふっ」
姉の顔が、嬉しそうに、誇らしそうに、花ひらいた。
「姉様に任せておきなさい」
わたしの里帰りの旅に、あれこれ考えてくれ始める姉。
ウキウキと、楽しそうに。
「姉様も……、一緒に行かない?」
「私はいいわよ。忙しいし。ヴェーラひとりで行ってきて」
もし、姉が一緒に故郷に帰ってくれたら。
とても望みは薄いと思っていたけれど、もし、一緒に帰ってくれたなら。
どうにか、むこうで身柄を拘束し、姉の身の安全をはかるつもりだった。
期待はしていなかったけど。
「そうだ、ヴェーラの護衛に近衛騎士を出してあげる。私が腕利きを選んであげるわね」
「それなんだけどね……、姉様」
「なあに?」
上目遣のわたしに、今度はなによ? と、呆れたように、だけど嬉しそうに笑う姉。
――思いっきり、おねだりしてらっしゃいませ。
と、フレイヤは言った。
欲深くあればあるほど、姉はわたしを信頼するだろうと。
「……エルンストが、オクスティエルナ伯爵家の兵を出してくれるって……言ってくれてるの……よぉ……」
「あらぁ、一緒に行くつもりなのね?」
「ご、護衛よ、護衛」
「んふふふふっ」
「もう、なによその笑い方ぁ~~っ」
貴族の兵を、王宮の許可なく勝手に動かすことはできない。
王太側后であるわたしの正式な行幸ではなく、あくまでも私的なお忍びの里帰りという扱いで、姉は快く許可してくれた。
闘技場の貴賓席で、顔を寄せ合いヒソヒソと内緒話に興じていた妹のワガママを、姉が押し通したところで不自然に思う貴族はいないだろう。
せっかくの機会だからと馬車の新調を口にすると、その費用も姉が出してくれた。
王宮を出てわたしの質素な馬車に乗り込み、離宮にむけて走り出すと、どっと汗がふき出した。
「……お疲れにございましたわね」
フレイヤがお人形のようなきれいな顔に、やさしい労いの表情を浮かべてくれた。
わたしと並んで腰かけた姉トゥイッカの美しい顔が、嬉しそうにほころんだ。
「あら、そうなのねぇ~。お相手は?」
「ええ……、姉様が仰られた通り……、オクスティエルナ伯爵家の……」
「もう、私のせいにしてぇ」
わたしが頬を両手ではさみ、口をとがらせると、姉は眉を寄せて笑った。
かつての姉を彩っていたのは、ドレスも調度品も、淡い色使いだった。姉の儚げで可憐な美しさを控えめに引き立ていた。
けれど、気付けば鮮やかな色が姉を取り巻いている。緋色は特にお気に入りのよう。
侍女もメイドもすべて下がらせ、広々とした姉の居室にふたりきり。かつてでは考えられない自由気ままな姉のふる舞い。
かつてオロフ王が支配した白亜の王宮は、いまや姉ひとりのもの。
姉の意向を妨げるものは、なにもない。
「でも、勘違いしないでね、姉様? ……まだ、考えてみようかなぁ~ってだけよ?」
「んふふっ、慎重なヴェーラらしいわね」
姉がわたしに、幸せになってほしいと願っていることは、嘘偽りのない本当の気持ちだ。
純粋にわたしの幸せを願っている。
だけど、姉がわたしに勧める婿取り。
その相手が、姉自身が貶斥した西方貴族でも良いと考えている。
それは、姉の地位や権力を、わたしに脅かされる心配がなくなるからだ。
わたしに幸せになってほしい気持ちと、わたしへの警戒が、姉のなかでは矛盾なく同居している。
「……でも、ほんとうにいいの?」
「なにがよ?」
「わたしだけ……。姉様は?」
「私はいいのよ」
いびつに歪み、複雑に入り組んだ姉の心のヒダに絡め取られないよう、わたしは慎重にふる舞わなくてはいけない。
――姉様は、いま幸せ?
などと聞いては、決していけない。
姉の愛する妹ヴェーラを、わたしは演じ抜かなくてはいけない。
姉の栄達を喜び、姉のすべてを肯定し、だけどすこしワガママになって姉に甘える、
姉の求める妹ヴェーラを。
「でね……、姉様にひとつお願いがあるの……」
「なになに? なんでも言ってちょうだい」
身を乗り出してくる姉。
居室に戻って来るや、わたしの向かいではなく、となりに座り、わたしの突然の来訪を喜んだ。
自分で離宮に遠ざけておきながら、会いに来てくれるのは嬉しい。わたしに求められていたい。
わたしは可愛らしく姉に手を合わせ、おねだりしてみせる。
「……お父様とお母様のお墓参りに行きたいのよ。エルンストとのことを……真剣に考える前に……」
「あら……、そう」
「もう、いいわよね? 姉様が王国でいちばん偉くなったんだし」
「それもそうね」
姉の脳裏には、寒風に吹き付けられながら惨めな人質として歩かされた日のことが浮かんでいるかもしれない。
婚約者ペッカを同胞である長老たちに殺され、絶望と憤りのなか、怯えるわたしの手を握って歩いた日。
姉が復讐を誓い、妹を護ると誓った日。
屈強な男たちに囲まれ歩かされたその先で、待ち受けていた金ピカの男――暴虐の王オロフ。
豪勢な料理を、ひとり貪り食っていた。
そのすべてを奪い取ったのだという感慨が、姉の満足気な表情にあらわれた。
あの日、怯える妹にしてやれなかったことを、ようやく自分はしてやれるのだと――、
姉は、目をほそめた。
「いいわよ。いってらっしゃい。枢密院には私から言っておくわ」
「秋の収穫祭までには王都に戻るから」
「あら……、随分急ぐのね。それじゃあ、向こうでゆっくりする時間もとれないんじゃない?」
「お墓参りするだけだもの、パッと行って、パッと帰って来るわ。それに、姉様が王太后になられて最初の収穫祭でしょ? わたしが欠席したら、姉様に恥をかかせてしまうわ」
部族を怨み、重い貢納を課し、わたしたちを人質に差し出したことへの復讐をつづける姉。
それを、ほかの誰にも聞かれない狩り小屋で、わたしに誇って見せた。褒めてほしがった。
けれど、困窮した同胞を、実際にわたしの目に触れさせたくはない……。
「総督府に寄って、いつも使者で来てくれる者たちに案内してもらうわ」
「そんなの使者なんかじゃなくて、長老たちに案内させればいいのよ」
「……姉様から、早馬で書簡を送っておいていただけない?」
「んふっ」
姉の顔が、嬉しそうに、誇らしそうに、花ひらいた。
「姉様に任せておきなさい」
わたしの里帰りの旅に、あれこれ考えてくれ始める姉。
ウキウキと、楽しそうに。
「姉様も……、一緒に行かない?」
「私はいいわよ。忙しいし。ヴェーラひとりで行ってきて」
もし、姉が一緒に故郷に帰ってくれたら。
とても望みは薄いと思っていたけれど、もし、一緒に帰ってくれたなら。
どうにか、むこうで身柄を拘束し、姉の身の安全をはかるつもりだった。
期待はしていなかったけど。
「そうだ、ヴェーラの護衛に近衛騎士を出してあげる。私が腕利きを選んであげるわね」
「それなんだけどね……、姉様」
「なあに?」
上目遣のわたしに、今度はなによ? と、呆れたように、だけど嬉しそうに笑う姉。
――思いっきり、おねだりしてらっしゃいませ。
と、フレイヤは言った。
欲深くあればあるほど、姉はわたしを信頼するだろうと。
「……エルンストが、オクスティエルナ伯爵家の兵を出してくれるって……言ってくれてるの……よぉ……」
「あらぁ、一緒に行くつもりなのね?」
「ご、護衛よ、護衛」
「んふふふふっ」
「もう、なによその笑い方ぁ~~っ」
貴族の兵を、王宮の許可なく勝手に動かすことはできない。
王太側后であるわたしの正式な行幸ではなく、あくまでも私的なお忍びの里帰りという扱いで、姉は快く許可してくれた。
闘技場の貴賓席で、顔を寄せ合いヒソヒソと内緒話に興じていた妹のワガママを、姉が押し通したところで不自然に思う貴族はいないだろう。
せっかくの機会だからと馬車の新調を口にすると、その費用も姉が出してくれた。
王宮を出てわたしの質素な馬車に乗り込み、離宮にむけて走り出すと、どっと汗がふき出した。
「……お疲れにございましたわね」
フレイヤがお人形のようなきれいな顔に、やさしい労いの表情を浮かべてくれた。
33
あなたにおすすめの小説
もう長くは生きられないので好きに行動したら、大好きな公爵令息に溺愛されました
Karamimi
恋愛
伯爵令嬢のユリアは、8歳の時に両親を亡くして以降、叔父に引き取られたものの、厄介者として虐げられて生きてきた。さらにこの世界では命を削る魔法と言われている、治癒魔法も長年強要され続けてきた。
そのせいで体はボロボロ、髪も真っ白になり、老婆の様な見た目になってしまったユリア。家の外にも出してもらえず、メイド以下の生活を強いられてきた。まさに、この世の地獄を味わっているユリアだが、“どんな時でも笑顔を忘れないで”という亡き母の言葉を胸に、どんなに辛くても笑顔を絶やすことはない。
そんな辛い生活の中、15歳になったユリアは貴族学院に入学する日を心待ちにしていた。なぜなら、昔自分を助けてくれた公爵令息、ブラックに会えるからだ。
「どうせもう私は長くは生きられない。それなら、ブラック様との思い出を作りたい」
そんな思いで、意気揚々と貴族学院の入学式に向かったユリア。そこで久しぶりに、ブラックとの再会を果たした。相変わらず自分に優しくしてくれるブラックに、ユリアはどんどん惹かれていく。
かつての友人達とも再開し、楽しい学院生活をスタートさせたかのように見えたのだが…
※虐げられてきたユリアが、幸せを掴むまでのお話しです。
ザ・王道シンデレラストーリーが書きたくて書いてみました。
よろしくお願いしますm(__)m
【完結】消された第二王女は隣国の王妃に熱望される
風子
恋愛
ブルボマーナ国の第二王女アリアンは絶世の美女だった。
しかし側妃の娘だと嫌われて、正妃とその娘の第一王女から虐げられていた。
そんな時、隣国から王太子がやって来た。
王太子ヴィルドルフは、アリアンの美しさに一目惚れをしてしまう。
すぐに婚約を結び、結婚の準備を進める為に帰国したヴィルドルフに、突然の婚約解消の連絡が入る。
アリアンが王宮を追放され、修道院に送られたと知らされた。
そして、新しい婚約者に第一王女のローズが決まったと聞かされるのである。
アリアンを諦めきれないヴィルドルフは、お忍びでアリアンを探しにブルボマーナに乗り込んだ。
そしてある夜、2人は運命の再会を果たすのである。
子供が可愛いすぎて伯爵様の溺愛に気づきません!
屋月 トム伽
恋愛
私と婚約をすれば、真実の愛に出会える。
そのせいで、私はラッキージンクスの令嬢だと呼ばれていた。そんな噂のせいで、何度も婚約破棄をされた。
そして、9回目の婚約中に、私は夜会で襲われてふしだらな令嬢という二つ名までついてしまった。
ふしだらな令嬢に、もう婚約の申し込みなど来ないだろうと思っていれば、お父様が氷の伯爵様と有名なリクハルド・マクシミリアン伯爵様に婚約を申し込み、邸を売って海外に行ってしまう。
突然の婚約の申し込みに断られるかと思えば、リクハルド様は婚約を受け入れてくれた。婚約初日から、マクシミリアン伯爵邸で住み始めることになるが、彼は未婚のままで子供がいた。
リクハルド様に似ても似つかない子供。
そうして、マクリミリアン伯爵家での生活が幕を開けた。
人質王女の婚約者生活(仮)〜「君を愛することはない」と言われたのでひとときの自由を満喫していたら、皇太子殿下との秘密ができました〜
清川和泉
恋愛
幼い頃に半ば騙し討ちの形で人質としてブラウ帝国に連れて来られた、隣国ユーリ王国の王女クレア。
クレアは皇女宮で毎日皇女らに下女として過ごすように強要されていたが、ある日属国で暮らしていた皇太子であるアーサーから「彼から愛されないこと」を条件に婚約を申し込まれる。
(過去に、婚約するはずの女性がいたと聞いたことはあるけれど…)
そう考えたクレアは、彼らの仲が公になるまでの繋ぎの婚約者を演じることにした。
移住先では夢のような好待遇、自由な時間をもつことができ、仮初めの婚約者生活を満喫する。
また、ある出来事がきっかけでクレア自身に秘められた力が解放され、それはアーサーとクレアの二人だけの秘密に。行動を共にすることも増え徐々にアーサーとの距離も縮まっていく。
「俺は君を愛する資格を得たい」
(皇太子殿下には想い人がいたのでは。もしかして、私を愛せないのは別のことが理由だった…?)
これは、不遇な人質王女のクレアが不思議な力で周囲の人々を幸せにし、クレア自身も幸せになっていく物語。
モンスターを癒やす森暮らしの薬師姫、騎士と出会う
甘塩ます☆
恋愛
冷たい地下牢で育った少女リラは、自身の出自を知らぬまま、ある日訪れた混乱に乗じて森へと逃げ出す。そこで彼女は、凶暴な瘴気に覆われた狼と出会うが、触れるだけでその瘴気を浄化する不思議な力があることに気づく。リラは狼を癒し、共に森で暮らすうち、他のモンスターたちとも心を通わせ、彼らの怪我や病を癒していく。モンスターたちは感謝の印に、彼女の知らない貴重な品々や硬貨を贈るのだった。
そんなある日、森に薬草採取に訪れた騎士アルベールと遭遇する。彼は、最近異常なほど穏やかな森のモンスターたちに違和感を覚えていた。世間知らずのリラは、自分を捕らえに来たのかと怯えるが、アルベールの差し出す「食料」と「服」に警戒を解き、彼を「飯をくれる仲間」と認識する。リラが彼に見せた、モンスターから贈られた膨大な量の希少な品々に、アルベールは度肝を抜かれる。リラの無垢さと、秘められた能力に気づき始めたアルベールは……
陰謀渦巻く世界で二人の運命はどうなるのか
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
【完結】転生したらラスボスの毒継母でした!
白雨 音
恋愛
妹シャルリーヌに裕福な辺境伯から結婚の打診があったと知り、アマンディーヌはシャルリーヌと入れ替わろうと画策する。
辺境伯からは「息子の為の白い結婚、いずれ解消する」と宣言されるが、アマンディーヌにとっても都合が良かった。「辺境伯の財で派手に遊び暮らせるなんて最高!」義理の息子など放置して遊び歩く気満々だったが、義理の息子に会った瞬間、卒倒した。
夢の中、前世で読んだ小説を思い出し、義理の息子は将来世界を破滅させようとするラスボスで、自分はその一因を作った毒継母だと知った。破滅もだが、何より自分の死の回避の為に、義理の息子を真っ当な人間に育てようと誓ったアマンディーヌの奮闘☆
異世界転生、家族愛、恋愛☆ 短めの長編(全二十一話です)
《完結しました》 お読み下さり、お気に入り、エール、いいね、ありがとうございます☆
「白い結婚最高!」と喜んでいたのに、花の香りを纏った美形旦那様がなぜか私を溺愛してくる【完結】
清澄 セイ
恋愛
フィリア・マグシフォンは子爵令嬢らしからぬのんびりやの自由人。自然の中でぐうたらすることと、美味しいものを食べることが大好きな恋を知らないお子様。
そんな彼女も18歳となり、強烈な母親に婚約相手を選べと毎日のようにせっつかれるが、選び方など分からない。
「どちらにしようかな、天の神様の言う通り。はい、決めた!」
こんな具合に決めた相手が、なんと偶然にもフィリアより先に結婚の申し込みをしてきたのだ。相手は王都から遠く離れた場所に膨大な領地を有する辺境伯の一人息子で、顔を合わせる前からフィリアに「これは白い結婚だ」と失礼な手紙を送りつけてくる癖者。
けれど、彼女にとってはこの上ない条件の相手だった。
「白い結婚?王都から離れた田舎?全部全部、最高だわ!」
夫となるオズベルトにはある秘密があり、それゆえ女性不信で態度も酷い。しかも彼は「結婚相手はサイコロで適当に決めただけ」と、面と向かってフィリアに言い放つが。
「まぁ、偶然!私も、そんな感じで選びました!」
彼女には、まったく通用しなかった。
「なぁ、フィリア。僕は君をもっと知りたいと……」
「好きなお肉の種類ですか?やっぱり牛でしょうか!」
「い、いや。そうではなく……」
呆気なくフィリアに初恋(?)をしてしまった拗らせ男は、鈍感な妻に不器用ながらも愛を伝えるが、彼女はそんなことは夢にも思わず。
──旦那様が真実の愛を見つけたらさくっと離婚すればいい。それまでは田舎ライフをエンジョイするのよ!
と、呑気に蟻の巣をつついて暮らしているのだった。
※他サイトにも掲載中。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる