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(41)父の愛
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「あ、お父さん!
ちょっとこっち来て!」
かり姉(かりねえ)が父に気がついて手を振る
あ…
お父さん今の見てたのかな
いよいよこの時が来た
ちゃんと言わなくちゃ
「礼央さん、こちら僕の父です。
そしてお父さん、こちらは高松礼央さん。」
父は目をパチパチさせると
「あ、歩夢の父です。
初めまして。
息子がいつもお世話になっております。」
右手を差し出した
僕とかり姉は、不安そうに見守る
すると礼央さんは、バッと頭を深く下げて
「あの、ご挨拶が遅れて申し訳ありません。
高松礼央といいます。
息子さんと、お付き合いさせていただいてます。」
ガヤガヤしているこの空間で、僕達の周りだけ時間が止まったようだった
数秒の沈黙のあと、父が口を開いて
「あの、高松さん。」
礼央さんは顔を上げる
そして父は続けて
「この子の、どこが良いと思ってくれたんでしょうか?」
礼央さんはちょっと考えて
「ふんわりしているようで、芯の強い所ですね。
そこに惹かれました。」
あ、そうなんだ…
思えばなんで僕を好きになってくれたのか、聞いたことなかった
「お父さん。
僕達、家族に話そうって思ほど、真面目に付き合ってるんだ。
許す、許さないじゃないけど…。
そしてきっと理解するまで時間がかかるかもしれないけど。
でも、ちゃんとしたくて。
それで今日は礼央さんんに来てもらったんだ。」
僕も伝える
かり姉も
「お父さん、驚くのは分かるけど、何か言ってあげて。」
すると父は、礼央さんの手を握って
「高松さん、君の気持ちは受け取りました。
歩夢を宜しくね。」
「えっ。」
今のは礼央さんじゃなく、僕の声
「お父さん、認めてくれるの?」
「認めるも何も 笑。
今の高松さんの言葉で、歩夢をちゃんと見てくれているのが分かった。
普通はこういうこと聞かれたら、優しいんです~とか。
または、思いやりのあるところです~とか。
そう言う人が多いと思うんだよね。
だけど高松さんは、
歩夢はふんわりしていても芯がある。
そう答えた。
これは父親の私からしても、息子の長所はここだと思っていて。
歩夢のことをきちんと理解し、そのうえでお付き合いしているんだなと。
こういう人にはなかなか出会えないものだから、歩夢は幸せだよ。」
「お父さん…。」
「今日はね、香利奈のお祝いもあってゆっくり話せないから。
また今度みんなで食事にでも行きましょう。」
そう言うと僕の背中をポンっと叩いて
「話してくれてありがとう。
じゃ、あっちに戻って親戚の相手しないと。
香利奈も戻ろう。」
「はーい。
じゃ、2人とも。
これからご飯たくさん食べて行ってね。
私も向こうに行かなきゃ。
またね。」
…
「歩夢のお父さん、すごく良い人だな。」
礼央さんは感情を込めて言った
「これは…僕も予想外でした。
父があんな反応をするなんて。」
「うん。
なんていうか…。
歩夢が歩夢な理由が分かった。
家族に愛されて育ったんだなって。」
照れくさいけれど、礼央さんに言われた事は自分でも感じていた
さっきの父の言葉は本当に嬉しかった
お父さん…ありがとう
「じゃあ礼央さん。
無事に挨拶も済んだので、あっちに行って何か食べましょう。
僕、ジュース入れて置いたままだ。
しかも炭酸。
絶対もう炭酸飛んでる 泣。」
「笑。
じゃ、また新しい飲み物もらおう。
俺もお腹すいた。」
こうして僕達もパーティーに混ざり、かり姉のお祝いをしつつ、食事を楽しんだ
あー
今日は忘れられない1日になった
「じゃ、気をつけて帰ってねー!」
パーティーは終わり、皆解散
父は今日は近くのホテルに宿泊
僕と礼央さんは、かり姉に挨拶して、駅へ向かう
「楽しかったですね。」
「うん。
楽しかったし、幸せ。」
そうか、幸せって言葉がピッタリかも
「歩夢の例の会社のコンテストって、そろそろだっけ?」
「あ、はい。
そろそろというか、もう明後日がプレゼンの日ですね。」
「明後日?!
なんかあっという間。」
「ほんと、夢中でやったので駆け抜けたって感じがします。
疲労もすごいですけど…。
でも充実感も半端なくて。
何かに頑張るって、いいですよね。」
「俺達、この半年で色々あったけど。
お互い出会って、助け合ったり影響を受けたり。
成長したよな。」
「笑。
そうですね。」
そう言って、僕達は手を繋いだ
ちょっとこっち来て!」
かり姉(かりねえ)が父に気がついて手を振る
あ…
お父さん今の見てたのかな
いよいよこの時が来た
ちゃんと言わなくちゃ
「礼央さん、こちら僕の父です。
そしてお父さん、こちらは高松礼央さん。」
父は目をパチパチさせると
「あ、歩夢の父です。
初めまして。
息子がいつもお世話になっております。」
右手を差し出した
僕とかり姉は、不安そうに見守る
すると礼央さんは、バッと頭を深く下げて
「あの、ご挨拶が遅れて申し訳ありません。
高松礼央といいます。
息子さんと、お付き合いさせていただいてます。」
ガヤガヤしているこの空間で、僕達の周りだけ時間が止まったようだった
数秒の沈黙のあと、父が口を開いて
「あの、高松さん。」
礼央さんは顔を上げる
そして父は続けて
「この子の、どこが良いと思ってくれたんでしょうか?」
礼央さんはちょっと考えて
「ふんわりしているようで、芯の強い所ですね。
そこに惹かれました。」
あ、そうなんだ…
思えばなんで僕を好きになってくれたのか、聞いたことなかった
「お父さん。
僕達、家族に話そうって思ほど、真面目に付き合ってるんだ。
許す、許さないじゃないけど…。
そしてきっと理解するまで時間がかかるかもしれないけど。
でも、ちゃんとしたくて。
それで今日は礼央さんんに来てもらったんだ。」
僕も伝える
かり姉も
「お父さん、驚くのは分かるけど、何か言ってあげて。」
すると父は、礼央さんの手を握って
「高松さん、君の気持ちは受け取りました。
歩夢を宜しくね。」
「えっ。」
今のは礼央さんじゃなく、僕の声
「お父さん、認めてくれるの?」
「認めるも何も 笑。
今の高松さんの言葉で、歩夢をちゃんと見てくれているのが分かった。
普通はこういうこと聞かれたら、優しいんです~とか。
または、思いやりのあるところです~とか。
そう言う人が多いと思うんだよね。
だけど高松さんは、
歩夢はふんわりしていても芯がある。
そう答えた。
これは父親の私からしても、息子の長所はここだと思っていて。
歩夢のことをきちんと理解し、そのうえでお付き合いしているんだなと。
こういう人にはなかなか出会えないものだから、歩夢は幸せだよ。」
「お父さん…。」
「今日はね、香利奈のお祝いもあってゆっくり話せないから。
また今度みんなで食事にでも行きましょう。」
そう言うと僕の背中をポンっと叩いて
「話してくれてありがとう。
じゃ、あっちに戻って親戚の相手しないと。
香利奈も戻ろう。」
「はーい。
じゃ、2人とも。
これからご飯たくさん食べて行ってね。
私も向こうに行かなきゃ。
またね。」
…
「歩夢のお父さん、すごく良い人だな。」
礼央さんは感情を込めて言った
「これは…僕も予想外でした。
父があんな反応をするなんて。」
「うん。
なんていうか…。
歩夢が歩夢な理由が分かった。
家族に愛されて育ったんだなって。」
照れくさいけれど、礼央さんに言われた事は自分でも感じていた
さっきの父の言葉は本当に嬉しかった
お父さん…ありがとう
「じゃあ礼央さん。
無事に挨拶も済んだので、あっちに行って何か食べましょう。
僕、ジュース入れて置いたままだ。
しかも炭酸。
絶対もう炭酸飛んでる 泣。」
「笑。
じゃ、また新しい飲み物もらおう。
俺もお腹すいた。」
こうして僕達もパーティーに混ざり、かり姉のお祝いをしつつ、食事を楽しんだ
あー
今日は忘れられない1日になった
「じゃ、気をつけて帰ってねー!」
パーティーは終わり、皆解散
父は今日は近くのホテルに宿泊
僕と礼央さんは、かり姉に挨拶して、駅へ向かう
「楽しかったですね。」
「うん。
楽しかったし、幸せ。」
そうか、幸せって言葉がピッタリかも
「歩夢の例の会社のコンテストって、そろそろだっけ?」
「あ、はい。
そろそろというか、もう明後日がプレゼンの日ですね。」
「明後日?!
なんかあっという間。」
「ほんと、夢中でやったので駆け抜けたって感じがします。
疲労もすごいですけど…。
でも充実感も半端なくて。
何かに頑張るって、いいですよね。」
「俺達、この半年で色々あったけど。
お互い出会って、助け合ったり影響を受けたり。
成長したよな。」
「笑。
そうですね。」
そう言って、僕達は手を繋いだ
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