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4章
1.眠れない夜
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──不思議で、とても悲しい夢を見た。
「っ……やめ……っ!!」
俺は、自分の声に叩き起こされるように飛び起きた。全身は汗でびっしょりと濡れ、心臓は痛いほどに鼓動が早い。喉は乾ききって、荒い息を吐きだしながら肩は激しく上下する。
──なんだ、今の夢……。
俺が見たのは、悪夢だった。途切れ途切れで、全てをはっきりと覚えている訳ではないが、俺が殺される夢だった。殺された痛みも恐怖も後悔も全てがやけに生々しくて、気持ちが悪い。
「……変な、夢を見た」
いまだに心臓は激しく脈打っており、落ち着かない。部屋の中を見渡すが、夜の静けさが辺りを包んでおり、まだ深夜であることは日差しを感じ取れないことで察する。
だからこそ、もう一度ベッドに横たわり再度眠ろうと無理矢理目を閉じる。何度か体勢を変えながらベッドの上で、寝返りを打つ。それでも一向に眠気が戻ってくることはなかった。
「寝れないか……」
観念して目を開き、灯りが消えた自室の天井をぼんやりと眺める。あんな変な夢を見たのは、多分リティの言葉のせいだろう。
『──アルヴェンは、自分の人生をやり直している可能性があります』
そうであるならば、確かに今までのアルヴェンの行動について説明ができる。なぜなに一つ教えていないのに、俺のことやメラニーのことをよく知っていたのか。
なぜ教えていないこともやり通して、先を読んでいたかのように行動できたのか。
アルヴェンが回帰しているというなら、全て納得できた。
──けれど、どうしてだ。どうして、回帰してまで俺の専属使用人になろうとしたんだ。
復讐のため? いや、彼が原作通りに動いたなら必ずラクトフェル家は没落する。だから、回帰する前のアルヴェンはラクトフェル家を一度は没落させているはずなのだ。
念願の目的を果たしたのに何が気に入らなくて、回帰したのか。その理由が俺には理解できない。アルヴェンは、もっと俺を苦しめたかったのか?
そうだとすれば復讐鬼のアルヴェンらしいといえば、そう言える。しかし、それはあまりにも遠回りなやり方だ。回帰してまで、やることだと言えるのか?
更にもう一つ、なぜこの重要な情報の書かれた手帳を俺に託したのか。
「……全然、わからん」
どう考えても復讐するべき相手に渡すものではないはずだ。更に言うなら、あそこに書かれていたことが本当なら、俺が得られる恩恵は計り知れない。
捨てられた鉱山からの金の発掘や、どの事業が伸びるのか等々、事前に知ることが出来れば億万長者も夢ではないような内容ばかりが書かれている。
没落後の夢である旅の資金は潤うだろうし、そこに関する悩みは消え去ったといえるだろう。
「まるで、俺のために残したみたいじゃないか」
あり得ないことだと思いながら呟いた言葉は、なぜかそれが真実であるように思えた。
考えれば考えるほど、わからなくなって、ますます眠れなくなる。俺はついに眠ることを諦めて、体を起こす。ベッドに腰を掛けて、どうせなら日記に愚痴でも書くかと杖に手を伸ばした時だ。
控えめに扉を叩く音が室内に響き渡る。その音に驚いて、体がびくりと跳ねた。
──こんな時間に、誰だ。
俺が顔を上げると、すぐに姿を現したのはノエルだ。白い布がひらひらと揺れて、すぐさま扉の方へと飛んでいった。ノエルはすぐに安全確認のため、相手を確かめにいったのだろう。多くのキメラと魔法生物が混在する屋敷に侵入者などがいるはずもないが、もしもという場合がある。
少しして、白い布が戻ってきたが今度は俺の周りでぐるぐると回る。どうやら彼の中で危険ではないと判断したようだが、開くかどうかは俺の判断に従うといったところだろう。
「いいさ。開けてくれ、ノエル」
ノエルを信頼して頷くと、すぐさま消えてから扉が微かに開く。すると、そこから現れたのは予想していなかった人物だった。
「サタリア兄様……夜遅くにごめんね」
「……シンか?」
開いた扉からやってきたのは、別邸にいるように言いつけたはずのシンだった。
「なぜ、ここにいるんだ。私はサイラを見ているように頼んだはずだ」
「わ、わかってる。サイラはチークがちゃんと見てるから大丈夫。ぼ、僕はどうしても兄様に伝えたいことがあって、きたの」
シンは俺の言いつけを破ってここに来たことを気にしているようで、俯いて申し訳なさそうに立ち尽くしている。
俺としては咎めているつもりは一切なかったが、悪夢などのせいで少々刺々しい物言いにはなっていたのは事実だ。軽い深呼吸のあと、ベッドを軽く叩いた。
「そこにいては寒いだろう。こちらにおいで」
今度はしっかりと柔らかい声になるように意識して手招くと、シンの表情はパッと明るくなる。そして、俺の隣に座ると嬉しそうに笑う。
「それで、私に何を伝えたかったんだ?」
「……あのね。サイラのことなんだけど」
そう言って切り出したシンの話は、監視しているサイラのことだった。
「っ……やめ……っ!!」
俺は、自分の声に叩き起こされるように飛び起きた。全身は汗でびっしょりと濡れ、心臓は痛いほどに鼓動が早い。喉は乾ききって、荒い息を吐きだしながら肩は激しく上下する。
──なんだ、今の夢……。
俺が見たのは、悪夢だった。途切れ途切れで、全てをはっきりと覚えている訳ではないが、俺が殺される夢だった。殺された痛みも恐怖も後悔も全てがやけに生々しくて、気持ちが悪い。
「……変な、夢を見た」
いまだに心臓は激しく脈打っており、落ち着かない。部屋の中を見渡すが、夜の静けさが辺りを包んでおり、まだ深夜であることは日差しを感じ取れないことで察する。
だからこそ、もう一度ベッドに横たわり再度眠ろうと無理矢理目を閉じる。何度か体勢を変えながらベッドの上で、寝返りを打つ。それでも一向に眠気が戻ってくることはなかった。
「寝れないか……」
観念して目を開き、灯りが消えた自室の天井をぼんやりと眺める。あんな変な夢を見たのは、多分リティの言葉のせいだろう。
『──アルヴェンは、自分の人生をやり直している可能性があります』
そうであるならば、確かに今までのアルヴェンの行動について説明ができる。なぜなに一つ教えていないのに、俺のことやメラニーのことをよく知っていたのか。
なぜ教えていないこともやり通して、先を読んでいたかのように行動できたのか。
アルヴェンが回帰しているというなら、全て納得できた。
──けれど、どうしてだ。どうして、回帰してまで俺の専属使用人になろうとしたんだ。
復讐のため? いや、彼が原作通りに動いたなら必ずラクトフェル家は没落する。だから、回帰する前のアルヴェンはラクトフェル家を一度は没落させているはずなのだ。
念願の目的を果たしたのに何が気に入らなくて、回帰したのか。その理由が俺には理解できない。アルヴェンは、もっと俺を苦しめたかったのか?
そうだとすれば復讐鬼のアルヴェンらしいといえば、そう言える。しかし、それはあまりにも遠回りなやり方だ。回帰してまで、やることだと言えるのか?
更にもう一つ、なぜこの重要な情報の書かれた手帳を俺に託したのか。
「……全然、わからん」
どう考えても復讐するべき相手に渡すものではないはずだ。更に言うなら、あそこに書かれていたことが本当なら、俺が得られる恩恵は計り知れない。
捨てられた鉱山からの金の発掘や、どの事業が伸びるのか等々、事前に知ることが出来れば億万長者も夢ではないような内容ばかりが書かれている。
没落後の夢である旅の資金は潤うだろうし、そこに関する悩みは消え去ったといえるだろう。
「まるで、俺のために残したみたいじゃないか」
あり得ないことだと思いながら呟いた言葉は、なぜかそれが真実であるように思えた。
考えれば考えるほど、わからなくなって、ますます眠れなくなる。俺はついに眠ることを諦めて、体を起こす。ベッドに腰を掛けて、どうせなら日記に愚痴でも書くかと杖に手を伸ばした時だ。
控えめに扉を叩く音が室内に響き渡る。その音に驚いて、体がびくりと跳ねた。
──こんな時間に、誰だ。
俺が顔を上げると、すぐに姿を現したのはノエルだ。白い布がひらひらと揺れて、すぐさま扉の方へと飛んでいった。ノエルはすぐに安全確認のため、相手を確かめにいったのだろう。多くのキメラと魔法生物が混在する屋敷に侵入者などがいるはずもないが、もしもという場合がある。
少しして、白い布が戻ってきたが今度は俺の周りでぐるぐると回る。どうやら彼の中で危険ではないと判断したようだが、開くかどうかは俺の判断に従うといったところだろう。
「いいさ。開けてくれ、ノエル」
ノエルを信頼して頷くと、すぐさま消えてから扉が微かに開く。すると、そこから現れたのは予想していなかった人物だった。
「サタリア兄様……夜遅くにごめんね」
「……シンか?」
開いた扉からやってきたのは、別邸にいるように言いつけたはずのシンだった。
「なぜ、ここにいるんだ。私はサイラを見ているように頼んだはずだ」
「わ、わかってる。サイラはチークがちゃんと見てるから大丈夫。ぼ、僕はどうしても兄様に伝えたいことがあって、きたの」
シンは俺の言いつけを破ってここに来たことを気にしているようで、俯いて申し訳なさそうに立ち尽くしている。
俺としては咎めているつもりは一切なかったが、悪夢などのせいで少々刺々しい物言いにはなっていたのは事実だ。軽い深呼吸のあと、ベッドを軽く叩いた。
「そこにいては寒いだろう。こちらにおいで」
今度はしっかりと柔らかい声になるように意識して手招くと、シンの表情はパッと明るくなる。そして、俺の隣に座ると嬉しそうに笑う。
「それで、私に何を伝えたかったんだ?」
「……あのね。サイラのことなんだけど」
そう言って切り出したシンの話は、監視しているサイラのことだった。
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