嫌われ者の王子様

のぼる

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3話 2人の護衛騎士

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部屋に戻る頃には
がたいのいい2人の男が扉の前に立っていた。

「ハイルド殿下。殿下よりも先に来てしまいましたことをお詫び申し上げます。」

右手を胸に当て深々とお辞儀をする。

「大丈夫だ。こちらこそ待たせてすまぬ。それとそなた達は僕の護衛騎士の方かな?」

ここでハッとしたかのように目を見開くと慌てて口を開いた。

「名を申し遅れました。私は国王陛下の命により、ハイルド殿下の専属護衛騎士となりました。第3機魔法騎士団副団長のファランで御座います殿下。」

「ファランか。確か最年少で副団長まで上り詰めたとか。噂は聞いている。僕には勿体ないな。」

ん?一瞬目が険しくなった気がしたが…気のせいか?

「恐れ入ります。」

もう一度深々と一礼をした。
礼儀正しいな。
貴族出身だろうか?

「…もう1人のそちらの方は?」

ファランの隣にいる、あからさまに睨みつけてくる人物を見る。

「………」

…?


「………」

「あの、そなたの名は?」

「…フェイ。第2機魔法騎士団書記のフェイだ。」

「そ、そうか…宜しく。」

待て待て、プライドの高い貴族共だったら
今は亡き者となっていたぞ?
平民出身かな?

騎士は実力主義なので
平民でも貴族でも実力があれば入団出来る。
なのでフェイが平民でもおかしくないのだ。

_シーーーン

謎の沈黙が続いていたので
それを打ち破るかのようにファランが声を発した。

「…あっ、その殿下。明日視察に向かうとお聞きしております。準備は私にお任せください。」

あ、そうだった。
明日視察に行くのだったな。
任せろと言われてもなぁ。
僕は物などほとんどないし…
持っていくとしたら食料と金くらいだろう。

んーでも断るものもな。

「有難う。だが特にして貰うことはない。僕1人でするよ。今までそうしてきたように。それと今から言うのはお願いだ。国境の村付近にある大河の堤防の歴と洪水が何回起きたか書かれている資料をしっかり読んできて欲しい。」

「「え??」」

さてさて、2人はどちらに驚いたのだろうか。
勉強してこいか?支度が1人で出来ることか?

騎士はこの国の王子の立場を知らない者が多い。
だから稀に見る反応だ。
まさか、1人で支度できるとは!?
とかだろう。
でも僕はこれが普通だし、慣れてるからな。

「まぁ、そういうことだ。頼んだぞ。」

___バタン

ぽけっとしてる2人を差し置いて
僕は部屋の中に入った。

「イール。」

「はい。お呼びですか?殿下。」

あのさ。毎回思うのだが
イールって忍者の家系なのだろうか?
気配なく背後に現れるし。

「忙しいところ呼び出してすまない。急遽明日、国王陛下の命で視察に行くことになった。…普通なら1ヶ月の猶予が欲しいものだが。」

イールが石像のように固まる。

「で、ででで殿下………今すぐに斃れあの愚王め。」

…後半は聞かなかったことにしよう。

「まぁ、そういうことだから最小限で行きたい。金子きんすは僕のところから出せ。それとこれが今回の視察で行く兵とそれぞれの(金子の)割り振り表だ。食料は第4機部隊に持たせろ。」

「殿下?まさか…陛下から(お金)は出ないのですか?」

わなわなと身体を震わせている。
イールって1度キレると暴走するんだよね…
止めなくては。

「大丈夫だよイール。僕は普段から金はあまり使わないだろ?だから使い道が無くて困っていたんだ。今回、陛下の命で使うことが出来て嬉しく思うよ。」

僕ってさ、阿呆だとおもう。
もっと良い口実はなかったのか?
ちょっと反省。

「さ、左様ですか。なら良いのですが………ん?」

「…どうした?」

「殿下が小さい頃から聡明だとは存じておりましたが…」

あ。

やっべ。

僕が8歳だと言うことをすっかり忘れていた。
僕の8歳の頃はイールに抱きついt…

そ、そういうことではなくて、
今の僕が何故金銭の管理や兵などに指示書を作っているのかが分からないだろう。

うーん。
何と言おうか…
僕は適当な口実を作るのが苦手だからな…

「あー、実は前々から国境付近の視察に行こうかと考えていてな。そのためにある程度の算段はしていたし。」

いやいやだからって
この歳で金の管理が出来てたまるかぁ!

「そ、そうなのですね?」

やはり疑問点があるようだが
無理矢理納得してくれたようだ。

「見ない間に大人になられましたね。殿下。」

しみじみと言いたがら目元をシルクのハンカチで拭う。

…何か、恥ずかしくなってきたのだが。

「あぁ、まぁ。そういうことだ。手配を頼めるか?」

「はい。お任せ下さい。必ず間に合わせてみせます。」

「期待してるぞ。」

スっと消えた。
やはり、ただの女人ではないことは確かだ。


…明日。何もなといいのだがな。
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