12年越しの初恋 ―大人になってからの、ほんとの恋―

華月麗奈

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第18話 ふたりの未来を形にする準備

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両親への挨拶を終えてから数日。
春樹と小夜は次の大きな一歩に踏み出していた。

「新居、どうする? 会社への通勤考えると……やっぱり真ん中あたりかな」
春樹が広げた地図を覗き込みながら言う。

「そうだね……春樹は出張もあるから、駅近のほうがいいよね。私は電車通勤だから……急行が止まる駅だと助かるかも」
「じゃあ、この辺りがいいかもしれないな」

休日の午後。二人は不動産会社の応接室に座り、担当者が出してきた物件資料を真剣に眺めていた。

部屋に案内されると、小夜の目が輝いた。
「わぁ……明るいね。リビング広い」
「ソファを置いて、こっちにダイニングテーブルかな」
春樹は間取り図を指でなぞりながら、自然に生活のイメージを語る。

キッチンに立った小夜が振り返る。
「ねぇ、ここで料理作って、春樹さんが帰ってきたら『おかえり』って言うの……ちょっと想像できちゃった」
「……すぐにでも見たいな、それ」
不意に春樹が真剣な眼差しで言うので、小夜は顔を赤くしながら笑った。

収納や駅からの距離、周辺の雰囲気を見比べながら、二人は何軒も回った。
疲れた足取りでカフェに入ると、自然と笑みがこぼれる。
「こうして一緒に悩むの、楽しいね」
「俺も。小夜と一緒に住むんだって実感がどんどん湧いてくる」
テーブルの下で、そっと手を握り合った。

翌週末。今度はウェディングフェアへ足を運んだ。
チャペルの扉が開き、光が差し込む瞬間、小夜は思わず息をのんだ。
「……すごい。ここで歩くの?」
「小夜がここに立ったら、きっと誰よりも綺麗だろうな」
春樹の言葉に、小夜の頬が一気に熱くなる。

披露宴会場では試食もあった。
春樹がナイフで肉を切りながら「これはゲストも喜ぶだろうな」と真剣に味を確かめる姿に、小夜は胸が温かくなる。
(春樹さん、ほんとに結婚を“ふたりのこと”として考えてくれてるんだ……)

見積もりを前に「思ったより高いね」と苦笑いしながらも、二人で相談を重ねる。
「でも、来てくれる人に喜んでもらいたいから」
「うん。無理のない範囲で、一番いい形にしよう」
未来を語り合う時間が、なによりも幸せだった。

そして最後は、婚約指輪に続く「結婚指輪」。
宝石店のショーケースに並ぶシンプルなリングを前に、小夜の瞳はきらめいた。

「どれも素敵……迷っちゃう」
「小夜に似合うのがいいな。派手すぎないやつ」
春樹が店員に案内されながら、いくつか試着させる。
指にはめた瞬間、小夜の胸が高鳴る。
「……どう?」
「すごくいい。これを一生つけるんだと思うと嬉しい」

春樹は自分の指にリングを通して、小夜に微笑んだ。
「これで、どこにいても“夫婦”って証になるな」
その言葉に、小夜は胸が熱くなり、思わず涙を浮かべてしまう。
「……もう、泣かせないでよ」
笑いながら涙を拭く小夜に、春樹は優しくキスを落とした。

夜の街を並んで歩く。
「新居も、式場も、指輪も……ほんとに現実なんだね」
「これから、もっと忙しくなるぞ。だけど、全部一緒に決めていける」
「うん……春樹とだから、きっと楽しい」

肩が触れ合う距離で歩きながら、二人は未来へと歩みを進めていった。
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