12年越しの初恋 ―大人になってからの、ほんとの恋―

華月麗奈

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【最終話】永遠の約束

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春の陽射しがやわらかく降り注ぐ午前。
ホテル併設のチャペルの白い壁は、光を受けて輝き、小夜はまるで夢の中にいるような心地だった。

純白のドレスに身を包んだ自分の姿が鏡に映る。
胸元には繊細なレース、腰から裾にかけて流れるシルエットは上品で、少し背伸びした大人の花嫁らしさを与えていた。
ヴェールを整えてくれる母に「似合ってるわよ」と言われ、小夜はようやく笑みを返す。

「……ほんとに結婚するんだなぁ」
小夜の胸は緊張と喜びでいっぱいだった。

チャペルの扉の前。
父が待っていた。普段は頑固で寡黙な父が、今日は少し照れくさそうに微笑んでいる。

「小夜……きれいだな」
「……ありがとう、お父さん」

父の腕に手を添える。
扉がゆっくり開くと、オルガンの音色と共に、参列者たちの視線が一斉に注がれた。

白いバージンロードの先には、タキシード姿の春樹が立っていた。
真剣な眼差しで、ただ小夜だけを見つめている。

一歩、一歩と進むたびに胸が熱くなり、涙が溢れそうになる。

父の手から春樹の手へ。
その瞬間、小夜は強い安心感に包まれた。

誓いの言葉。
神父が問いかけると、春樹は少し声を震わせながらも、はっきりと答えた。

「松原小夜さんを、生涯愛し、守り続けることを誓います」

その言葉に、小夜の視界が滲む。
自分も同じように、しっかりと声を出した。

「小山春樹さんを、生涯愛し、共に歩むことを誓います」

指輪の交換。
春樹の手は少し汗ばんでいたけれど、その温もりが心地よく、小夜は指輪を彼の薬指にそっと通した。
唇を重ねた瞬間、チャペルに祝福の拍手が広がり、花びらが舞った。

披露宴は和やかで温かな雰囲気に包まれていた。
春樹の上司がユーモアたっぷりのスピーチをすれば、会場は笑いに包まれる。
小夜の友人代表スピーチでは、高校時代からの思い出が語られ、胸が熱くなった。

「小夜は昔から真面目で不器用で……でも、本当に優しい子です。そんな小夜が、小山くんに出会って笑顔が増えたこと、私たち友人も心から嬉しく思っています」

涙ながらの言葉に、小夜は思わずハンカチで目元を押さえた。

余興では、同級生たちが懐かしい歌を披露してくれ、会場は大きな拍手と笑顔に包まれた。

大きなウェディングケーキに二人でナイフを入れると、フラッシュが一斉に瞬いた。
ファーストバイトでは、春樹が小夜に小さな一口を食べさせ、小夜は大きなスプーンで春樹に渡す。
春樹が口いっぱいにケーキを頬張り、会場が笑いに包まれた。

「……甘いな」
ケーキのせいじゃなく、照れたように呟く春樹に、小夜は小さく笑った。

披露宴のクライマックス。
小夜は両親への手紙を読み上げた。

「お父さん、お母さん。いままで大切に育ててくれて、本当にありがとう。
私は今日から、春樹さんと新しい家庭を築いていきます。まだ未熟だけど、幸せな家庭を作れるように頑張ります。どうかこれからも見守ってください」

涙で言葉が詰まりそうになったとき、隣の春樹がそっと手を重ねてくれた。
母はハンカチで目を拭い、父は黙ってうなずきながら、目尻を赤くしていた。

花束贈呈のあと、二人はゲストたちの祝福を受けながら退場した。
フラワーシャワーの中、手を取り合って歩く二人は、どこまでも幸せそうだった。


数年後――

新居のリビング。
窓から差し込む光の中で、幼い男の子が元気に駆け回っていた。

「パパ! こっちこっち!」
もう一人の息子は積み木を一生懸命積み上げている。

春樹は笑いながら子どもを抱き上げ、小夜はキッチンから「こら、走りすぎ!」と声をかける。
エプロン姿の小夜と、子どもを肩に乗せて笑う春樹。

その光景は、小夜がかつて夢見た「幸せな家庭」そのものだった。

子どもたちの笑い声が響く中、二人は目を合わせ、穏やかに微笑んだ。

――永遠に続く、幸せな物語のように。

【完】
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