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幼馴染の男から告白されました
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乙女ゲームの世界に異世界転生していたカオルは、聖女としてもてはやされるヒロインを見てうんざりしていた。
華やかな青春の舞台は、ここ。魔法学園であった。
ヒロインのミユキは今日も天使のような笑顔を振りまき、男たちは競うように彼女に向けて花を捧げていた。
それを静かに眺めるカオルは、モブにしかすぎなかったのだ。
「いいよな、皆から愛されて」
しかしそのような呟きを、聞いていた者がいる。
幼馴染で同じくモブの、カズトであったのだ。
「……俺は、愛してるんだけど?カオルのこと」
「……は?」
朝の教室。ざわめきの中で、その言葉を聞いたのはカオルただひとりだけであった。
思わず隣を見れば、カズトはいつもと変わらぬ笑みを浮かべていた。
「冗談、だよな?」
しかしカズトの目は、真剣そのものであったのだ。
「カオル、疑ってるな?よかったら今日の帰り、デートしないか?」
頬も染めずに言うあたりが、カズトらしい。
カオルは完全に混乱しながらも、気づけばこくりと頷いていたのであった。
***
デートと言っても、実際はいつもの買い食いであった。
互いに甘党なカオルとカズトは、焼き菓子の屋台でドーナツを買っていた。
「ほら、俺のも食べてみろよ。きっと好きな味だと思う」
「……ほんとだ、おいしい」
「だろ?カオルのことは、なんでも知ってるからな」
いつもなら笑い飛ばす軽口も、今はどこか胸の奥がくすぐったくて仕方がなかった。
今朝がた言われた”愛してる”という言葉の響きが、まだ頭の中に残っていた。
ふと、横目でカズトを見る。
彼は昔からずっと、幼馴染としてカオルの隣にいたのだ。
黒目黒髪のカオルに比べて、カズトは特徴的な茶色の巻き毛に金の瞳をしていた。
幼い頃は互いの家をよく行き来したものであり、一緒に木登りをしたり悪戯をして叱られるようなこともあった。
どこに行くにも何をするにも、常に隣に並び、この魔法学園に入学した際も、カズトは当然のようにカオルの隣に立っていた。
それらの記憶が、一気にカオルの胸へと押し寄せる。
「でも、……いつから、俺のことを?」
「うん?初めて会った時だから、三歳くらいか?」
「三歳!?そんな前から?」
「そうだ。カオルのことを見て、運命だと思ったんだ」
そうカズトは軽く言うものの、三歳の運命は重すぎるとカオルは苦い笑みを浮かべていた。
そもそも、ここは乙女ゲームの世界ではなかったのか。
「ずっと、カオルのことだけを見てきた」
しかし嘘ではないのだと、その金の瞳は告げる。
思わず、カオルの胸は高鳴った。
そして、ある決意をする。
「……わかった。受け取るよ、その気持ち」
「本当か?」
「ああ。ずっと想っていてくれて、ありがとう」
その言葉に、カズトは満面の笑みを浮かべていた。
「これからは恋人として……よろしくな、カオル」
「うん。よろしく」
その日から、二人はただの幼馴染から恋人同士となるのであった。
しかしそれは、あくまで秘めやかな関係でもあったのだ。
華やかな青春の舞台は、ここ。魔法学園であった。
ヒロインのミユキは今日も天使のような笑顔を振りまき、男たちは競うように彼女に向けて花を捧げていた。
それを静かに眺めるカオルは、モブにしかすぎなかったのだ。
「いいよな、皆から愛されて」
しかしそのような呟きを、聞いていた者がいる。
幼馴染で同じくモブの、カズトであったのだ。
「……俺は、愛してるんだけど?カオルのこと」
「……は?」
朝の教室。ざわめきの中で、その言葉を聞いたのはカオルただひとりだけであった。
思わず隣を見れば、カズトはいつもと変わらぬ笑みを浮かべていた。
「冗談、だよな?」
しかしカズトの目は、真剣そのものであったのだ。
「カオル、疑ってるな?よかったら今日の帰り、デートしないか?」
頬も染めずに言うあたりが、カズトらしい。
カオルは完全に混乱しながらも、気づけばこくりと頷いていたのであった。
***
デートと言っても、実際はいつもの買い食いであった。
互いに甘党なカオルとカズトは、焼き菓子の屋台でドーナツを買っていた。
「ほら、俺のも食べてみろよ。きっと好きな味だと思う」
「……ほんとだ、おいしい」
「だろ?カオルのことは、なんでも知ってるからな」
いつもなら笑い飛ばす軽口も、今はどこか胸の奥がくすぐったくて仕方がなかった。
今朝がた言われた”愛してる”という言葉の響きが、まだ頭の中に残っていた。
ふと、横目でカズトを見る。
彼は昔からずっと、幼馴染としてカオルの隣にいたのだ。
黒目黒髪のカオルに比べて、カズトは特徴的な茶色の巻き毛に金の瞳をしていた。
幼い頃は互いの家をよく行き来したものであり、一緒に木登りをしたり悪戯をして叱られるようなこともあった。
どこに行くにも何をするにも、常に隣に並び、この魔法学園に入学した際も、カズトは当然のようにカオルの隣に立っていた。
それらの記憶が、一気にカオルの胸へと押し寄せる。
「でも、……いつから、俺のことを?」
「うん?初めて会った時だから、三歳くらいか?」
「三歳!?そんな前から?」
「そうだ。カオルのことを見て、運命だと思ったんだ」
そうカズトは軽く言うものの、三歳の運命は重すぎるとカオルは苦い笑みを浮かべていた。
そもそも、ここは乙女ゲームの世界ではなかったのか。
「ずっと、カオルのことだけを見てきた」
しかし嘘ではないのだと、その金の瞳は告げる。
思わず、カオルの胸は高鳴った。
そして、ある決意をする。
「……わかった。受け取るよ、その気持ち」
「本当か?」
「ああ。ずっと想っていてくれて、ありがとう」
その言葉に、カズトは満面の笑みを浮かべていた。
「これからは恋人として……よろしくな、カオル」
「うん。よろしく」
その日から、二人はただの幼馴染から恋人同士となるのであった。
しかしそれは、あくまで秘めやかな関係でもあったのだ。
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