乳だけ立派なバカ女に婚約者の王太子を奪われました。別にそんなバカ男はいらないから復讐するつもりは無かったけど……

三葉 空

文字の大きさ
12 / 24

第12話 女として優れている女

しおりを挟む
 程よく汗をかいた女は、その場に背を向けていた。

「はぁ、はぁ……こんなジジイを相手に、本気を出しおって」

「あたしの乳揺れ、すごかったっしょ?」

「ああ、確かに……良い冥土の土産だ」

「あはは、ウケる~。けど、オジサンのおかげで助かったよ~。おかげで、バカ男の子供を下ろせたし」

「マミ、このことはくれぐれも内緒だぞ? もし、バレたらわしは処刑される。もちろん、お前もだぞ?」

「分かっているって~」

「ところで、次はいつ相手をしてくれる?」

「ん? その内、気が向いたらね~」

「それ、絶対に気が向かん奴じゃろ」

 とか言われつつ、マミはその場を後にした。

「さてと……」

 マミは大きく息を吸い込むと、ただでさえ大きい胸を膨らませた。

「ふぅ~」

 そして、己の大きな乳とつい先日まで命を宿していた子宮に意識を向ける。

 女としての本能を最大限に引き出し、女としての嗅覚を発動させる。

 あの最上のオスを探すために。マミは貴族のくせにロクに学もないバカと揶揄されているが、女としての武器だけでのし上がれるだけの器であることもまた確かだ。

 ちなみに、王太子のホリミックは本当に無能なだけのバカである。

「……あッ」

 道端で、マミが艶めかしい声を漏らすと、男たちがみんな振り向いた。

「お、お嬢さん、どうしたの? どこか、具合でも悪いの?」

 思い切りマミの胸を見ながら、男は言う。マミは貴族であるが、そこまで貴族意識はない。平民でも、良い男ならば優しく接する。けど、今声をかけて来たのは、ただのエロオヤジだから……

「あたし、伯爵令嬢だけど?」

「ひッ、申し訳ありません!」

 と強引に貴族パワーでねじ伏せて、道をズンズンと歩いて行く。

 最初は不機嫌そうだったその表情が、次第に恍惚の笑みを湛えて行く。

(いる、この近くに、あのお方が……)

 マミはズンズン、と歩調を強めて行く。

 そして――見つけた。マミは獲物を前にした獣のように、舌なめずりをする。

 普通に声をかけるのではなく――自慢の大きな乳をわざと背中に当てた。

「きゃっ」

「んっ?」

 彼は振り向く。

(うっわ、間近で見ると本当にイケメン過ぎて、意識飛びそう……)

 けど、何とか保つと、

「何だい、お嬢さん?」

「あ、ごめんなさい。胸が大きすぎて、足下が覚束なくて、ぶつかってしまいました~」

「へぇ」

 男の目が、マミの胸に向く。

(ふふ、見てる、見てる。所詮、イケメンも巨乳に弱いのよ!)

 普段、オヤジとか冴えない男に見られるのは嫌だけど、イケメンに見られると格段に気分が上がった。

(ゾ、ゾクゾクする~……)

 マミは今までにないくらい、乳と子宮が疼いていた。破裂しそうな勢いで。

「確かに、デカいな」

「でしょ~? 揉んでみます~?」

「ん? いや、良いわ」

 はっ?」

「いえいえ、遠慮なさらずに。あ、人通りで恥ずかしいですか? だったら、人気の無いところで」

「悪い、俺ほかに気になる女がいるからさ。君のこと、眼中にないんだ」

「……はっ?」

「ていうかさ、確かにその乳は大きな魅力かもしれないけど……それ以外に空っぽだと、誰からも本当に愛してもらえないぞ?」

 マミはにわかに体が震え出す。

(え、こいつ、いきなり会ったばかりで、何言ってくれちゃってんの? イケメンだからって、調子に乗り過ぎじゃね?)

 とブチキレそうになるが、彼の少しワイルドながらも整った顔立ち、ローブの上からでも想像できるたくましい肉体、そして、アレもきっと……想像しただけで、また別の意味で体が震えた。

「じゃあ、俺はこれで」

 男は立ち去ろうとする。

「あのッ」

 マミはその背中に抱き付いた。

「まだ、何か?」

「……あなたが言うように、確かにあたしは乳だけの空っぽな女です。けど、そんな自分を変えたくて、だから……1度で良いから、あたしを抱いて下さい」

「その心意気は認めるが、俺が君を抱くのは……」

 彼が言いかけた時――

「――オルさん?」

 マミはその声の主に目を向けた。その女は、美しく有能でありながらも、婚約者を奪い取られた哀れな女。

 そう、この自分によって――

「ごきげんよう、シアラ様」

 普段、ロクに貴族のあいさつもしないマミは、ここぞとばかりにそう言った。

「……マミさん」

 シアラは2人のことを見比べて……

「……ごめんなさい」

 サッと、背を向けてその場から立ち去る。

「シアラ!」

 追いかけようとする彼を、ギュッとホールドした。

「あなた、オルさんって言うんですね」

「良いから、離してくれ」

「ダメでーす。無理やり突き飛ばしたりしたら、叫びますよ?」

「ちっ……面倒な女だな」

「きゃー、ゾクゾクします」

 マミは終始、女として疼きまくっていた。




しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

皇太子殿下の御心のままに~悪役は誰なのか~

桜木弥生
恋愛
「この場にいる皆に証人となって欲しい。私、ウルグスタ皇太子、アーサー・ウルグスタは、レスガンティ公爵令嬢、ロベリア・レスガンティに婚約者の座を降りて貰おうと思う」 ウルグスタ皇国の立太子式典の最中、皇太子になったアーサーは婚約者のロベリアへの急な婚約破棄宣言? ◆本編◆ 婚約破棄を回避しようとしたけれど物語の強制力に巻き込まれた公爵令嬢ロベリア。 物語の通りに進めようとして画策したヒロインエリー。 そして攻略者達の後日談の三部作です。 ◆番外編◆ 番外編を随時更新しています。 全てタイトルの人物が主役となっています。 ありがちな設定なので、もしかしたら同じようなお話があるかもしれません。もし似たような作品があったら大変申し訳ありません。 なろう様にも掲載中です。

罠に嵌められたのは一体誰?

チカフジ ユキ
恋愛
卒業前夜祭とも言われる盛大なパーティーで、王太子の婚約者が多くの人の前で婚約破棄された。   誰もが冤罪だと思いながらも、破棄された令嬢は背筋を伸ばし、それを認め国を去ることを誓った。 そして、その一部始終すべてを見ていた僕もまた、その日に婚約が白紙になり、仕方がないかぁと思いながら、実家のある隣国へと帰って行った。 しかし帰宅した家で、なんと婚約破棄された元王太子殿下の婚約者様が僕を出迎えてた。

[完結]不実な婚約者に「あんたなんか大っ嫌いだわ」と叫んだら隣国の公爵令息に溺愛されました

masato
恋愛
アリーチェ・エストリアはエスト王国の筆頭伯爵家の嫡女である。 エストリア家は、建国に携わった五家の一つで、エストの名を冠する名家である。 エストの名を冠する五家は、公爵家、侯爵家、伯爵家、子爵家、男爵家に別れ、それぞれの爵位の家々を束ねる筆頭とされていた。 それ故に、エストの名を冠する五家は、爵位の壁を越える特別な家門とされていた。 エストリア家には姉妹しかおらず、長女であるアリーチェは幼い頃から跡取りとして厳しく教育を受けて来た。 妹のキャサリンは母似の器量良しで可愛がられていたにも関わらず。 そんな折、侯爵家の次男デヴィッドからの婿養子への打診が来る。 父はアリーチェではなくデヴィッドに爵位を継がせると言い出した。 釈然としないながらもデヴィッドに歩み寄ろうとするアリーチェだったが、デヴィッドの態度は最悪。 その内、デヴィッドとキャサリンの恋の噂が立ち始め、何故かアリーチェは2人の仲を邪魔する悪役にされていた。 学園内で嫌がらせを受ける日々の中、隣国からの留学生リディアムと出会った事で、 アリーチェは家と国を捨てて、隣国で新しい人生を送ることを決める。

【完結】婚約破棄に感謝します。貴方のおかげで今私は幸せです

コトミ
恋愛
 もうほとんど結婚は決まっているようなものだった。これほど唐突な婚約破棄は中々ない。そのためアンナはその瞬間酷く困惑していた。婚約者であったエリックは優秀な人間であった。公爵家の次男で眉目秀麗。おまけに騎士団の次期団長を言い渡されるほど強い。そんな彼の隣には自分よりも胸が大きく、顔が整っている女性が座っている。一つ一つに品があり、瞬きをする瞬間に長い睫毛が揺れ動いた。勝てる気がしない上に、張り合う気も失せていた。エリックに何とここぞとばかりに罵られた。今まで募っていた鬱憤を晴らすように。そしてアンナは婚約者の取り合いという女の闘いから速やかにその場を退いた。その後エリックは意中の相手と結婚し侯爵となった。しかしながら次期騎士団団長という命は解かれた。アンナと婚約破棄をした途端に負け知らずだった剣の腕は衰え、誰にも勝てなくなった。

婚約破棄イベントが壊れた!

秋月一花
恋愛
 学園の卒業パーティー。たった一人で姿を現した私、カリスタ。会場内はざわつき、私へと一斉に視線が集まる。  ――卒業パーティーで、私は婚約破棄を宣言される。長かった。とっても長かった。ヒロイン、頑張って王子様と一緒に国を持ち上げてね!  ……って思ったら、これ私の知っている婚約破棄イベントじゃない! 「カリスタ、どうして先に行ってしまったんだい?」  おかしい、おかしい。絶対におかしい!  国外追放されて平民として生きるつもりだったのに! このままだと私が王妃になってしまう! どうしてそうなった、ヒロイン王太子狙いだったじゃん! 2021/07/04 カクヨム様にも投稿しました。

いちゃつきを見せつけて楽しいですか?

四季
恋愛
それなりに大きな力を持つ王国に第一王女として生まれた私ーーリルリナ・グランシェには婚約者がいた。 だが、婚約者に寄ってくる女性がいて……。

(完結)あなたが婚約破棄とおっしゃったのですよ? 

青空一夏
恋愛
スワンはチャーリー王子殿下の婚約者。 チャーリー王子殿下は冴えない容姿の伯爵令嬢にすぎないスワンをぞんざいに扱い、ついには婚約破棄を言い渡す。 しかし、チャーリー王子殿下は知らなかった。それは…… これは、身の程知らずな王子がギャフンと言わされる物語です。コメディー調になる予定で す。過度な残酷描写はしません(多分(•́ε•̀;ก)💦) それぞれの登場人物視点から話が展開していく方式です。 異世界中世ヨーロッパ風のゆるふわ設定ご都合主義。タグ途中で変更追加の可能性あり。

妹に婚約者を奪われたので、田舎暮らしを始めます

tartan321
恋愛
最後の結末は?????? 本編は完結いたしました。お読み頂きましてありがとうございます。一度完結といたします。これからは、後日談を書いていきます。

処理中です...