乳だけ立派なバカ女に婚約者の王太子を奪われました。別にそんなバカ男はいらないから復讐するつもりは無かったけど……

三葉 空

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第19話 どこまでもバカな男

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「俺はお前を愛している。この世の誰よりも」

 今まで、そんな風に言ってくれる人、いなかった。

 所詮は政略的な婚約だったホリミック王太子……いや、元王太子は当然、私にそんな言葉をかけてくれたことはない。あまつさえ、他の女に入れ込み、大いに侮辱をしてくれた。

 こんな大勢の前で宣言されて、ちょっと恥ずかしいけど……

「……はい、私もです」

 涙に声を濡らしながら、そう伝えた。彼は優しく笑ってくれる。あの月夜でも、明るく私のことを照れしてくれた、太陽みたいな笑顔を浮かべて。

「改めて、ここに宣言する。我、ゼリオル・ストラティスは、シアラ・マークレインを妻に迎え、共に国王、王妃としてこの国を治めて行く!」

 彼が力強く、高らかに宣言すると、その場に居た大勢の人々が拍手喝采をした。

「うおおおおおおおぉ! さすが、シアラ! 我が愛娘!」

「きゃああああああぁ! こんなことってあるのかしら~!」

「お姉さま、本当に良かった……おめでとう!」

 愛する家族たちが祝福してくれる。周りの人たちも。

「シアラ様、どうぞこちらへ」

 従者たちがやって来ると、私のことをエスコートしてくれる。

 愛する彼の下まで、連れて行ってくれた。

 改めて、間近で見ると……

「……か、かっこいい……ですわね……ゼリオル様」

「呼び捨てで良いよ」

「そ、その内、慣れたらということで……」

「うん、分かったよ」

 見つめ合う私たちを見て、ギャラリーはますます盛り上がります。

 誰しもが祝福ムードで……

「――ちょっと待ったああああああああああああああああああぁ!」

 しかし、待ったをかける大声が響き渡ります。

 祝福ムードに水を差したその人物は、ズンズンと壇上にやって来ました。

「認めない、認めないぞ、こんなの……」

 いつになく怒り顔のホリミック元王太子が言う。

「どこまでも自分勝手な男なんだ、お前は! 勝手に国を出て、好き勝手に遊び回って……その間、代わりに王太子にされた僕が、どれだけ苦悩したか分かるか?」

「随分と浮かれていたではないか」

「王太子ってのは、ただふんぞり返っていれば良い訳じゃない。ちゃんと、国王になるべく勉強をいっぱいしないとなんだ」

「お前は1ミリも勉強していないだろうが」

「それに何より……その女は、元々は俺のモノだ!」

 元王太子は、私を指差して言います。

「あの、殿下。お言葉ですが、あなたは私に婚約破棄を言い渡しましたよね? しかもその理由が、他の女を妊娠させたからと……」

「うるさい、黙れ!」

「黙るのはお前の方だ、このバカ息子が!」

 国王が叫ぶ。

「父上、落ち着いて下さい。ここは、俺が相手をしてやります」

 ゼリオル様がそう言って、ホリミック様の下に歩み寄ります。

「さてと、兄弟。ここは男と男の対話をしようか」

「あぁん?」


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