婚約破棄の上に家を追放された直後に聖女としての力に目覚めました。

三葉 空

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第9話 火照る夜

 夕食の席にて、私はボーっとしていました。

「ユリナ様、いかがなさいましたか?」

 シスターの1人が尋ねてきます。

「あ、いえ、何でもありません」

「どこか具合でも悪いのですか? 何だか顔が赤いような……」

 指摘されて、ドキッとしてしまいます。同時に、レオルド様の優しい笑顔が浮かんで……

「ご、ごちそうさまでした。少し夜風に当たって来てもよろしいでしょうか?」

「お1人で大丈夫ですか? 何でしたら、付き添いますけど……」

「いえ、むしろ1人の方が良いので」

 少し早口で言った私は、火照った頬を冷ますために食堂から出て行きました。




      ◇


~ブリックス視点~


 正式に籍を入れて結婚パーティーをするのはまだ少し先の話だ。けれども、俺はベッドの上でアメリアを抱いていた。というより、もう何度も抱いている。あの地味で冴えない女、ユリナが地道にせっせと仕事をしている間に……

「ねえ、ブリックス様。あたしのカラダ、どうですか?」

「ああ、最高だよ。どこもかしこも敏感で、反応が楽しい」

「やだ、もう。ブリックス様が色々としてくれたおかげでしょう?」

 やはり、アメリアは良い。ロクに勉強をしていないから、頭がバカっぽいけど。女はそれくらいの方が可愛い。社交界においても、仕事をする俺の横に立ってニコニコしてくれれば良い。そして、そんな女は華やかな方が、俺の鼻も高いってもんだ。

「でも、ブリックス様」

「何だ?」

「あまり張り切り過ぎて、すぐに子供を妊娠させないで下さいね?」

「俺の子供が欲しくないのか?」

「それは欲しいけど……ほら、体型が崩れるの嫌だし」

「まあ、そうだな。当面は2人きりの時間を楽しみたいから、専属の魔法士を呼んで避妊の魔法をかけてもらおう」

「わーい。あ、そうだ、ブリックス様。あたし、欲しいバッグがあるんだけど」

「おお、何でも言ってくれ。俺は公爵子息、つまりは金持ちだ。さらには、お前のバラノン伯爵家とも業務提携を結ぶ。だから、今まで以上に利益が増えるぞ」

「わ~い、あたしってばすごく玉の輿じゃな~い」

「こらこら、結婚相手を前にそんなことを言うんじゃないよ」

「ごめんなさ~い。でも、何かちょっと悪いな~って思うの」

「誰に対して?」

「ユリナお姉さまよ。今ごろ、路頭に迷って浮浪者になっていたりして」

「ふっ、あの地味で粗末な女には似つかわしい末路だ」

「でもまあ、何だかんだ仕事はできるっぽいから、適当にどこかで働いて生き延びているかもね~。まあ、どちらにせよ、優雅な貴族である私たちよりは、随分と可哀想な人生だろうけど」

「アメリア、お前は良い性格をしているな」

「えへへ~」

 甘えて来るアメリアを抱き締めながら、俺はもう既に過去となった女の顔を思い出す。

 うん、やはり地味で、冴えない。あの女と結婚したら、俺は何も満たされず潤わない日々を送り、仕事にも嫌気が差していたことだろう。けど、今はアメリアのように良い女がそばにいてくれるから、いくらでも仕事が出来そうだ。

「ねえ、あなた~」

「おっ、もうその呼び方か」

「ダメ?」

「いや、たまらないね。で、何だい?」

「もう1回したい♡」

「ハハハ、良いよ」

 その後、1回と言わず、俺は夜通しアメリアを抱いていた。
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