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第21話 世界で1番幸せな女
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私は一度、家族にも婚約者にも捨てられた女。何もかもを失った、哀れな女でした。けれども、今は……
「ユリナ……いや、聖女さま。私はお前のことを娘として、誇らしく思うぞ」
「ユリナ、私も母親として、あなたを誇らしく思うわ」
お父さまとお母さまがおっしゃいます。
「ちょっと、2人とも。何でそんな上から目線なのよ?」
そう言うのは、アメリアでした。
「お姉さまは、この国を守って下さる聖女さまなんだから。もっと、ひざまずいて頭を垂れなさい!」
「そ、そうだね」
「え、ええ」
妹に言われて、両親は両膝を床について、はは~と深く頭を下げてくれました。
「お、おやめ下さい、お父さま、お母さま」
「良いのよ、これで。ていうか、あなたもしなさいよ」
アメリアが両手を腰に置いて睨むのは、ブリックス様です。彼は明確にうろたえていましたが……
「……申し訳ございませんでした」
彼もまた、地に額と膝をつけて、深々と謝罪をしてくれました。
「それで良いのよ」
「ていうか、するならお前もしろよ」
ブリックス様がアメリアを睨み返して言います。
「いや、あたしはこの前したから、思い切り。そうですよね、お姉さま?」
「え、ええ」
そんな私たちの様子を、オクトレイル様をはじめとした神職の方々が、やれやれと言った様子で見守っていました。
その時、神殿の扉が開きます。
「――ユリナ」
声を響かせたのは、レオルド様でした。
「まあ、お兄さま!」
私よりも先に、アメリアが反応して彼に寄り添います。
「お会いできて光栄です、お兄さま」
「ああ、うん」
レオルド様は軽く頷くと、アメリアを素通りします。それから、深々と頭を下げる体勢だった私の家族たちを見て、
「見苦しいから、もうやめなさい」
「「「あ、はい……」」」
そして、私のそばにやって来ました。
「ユリナ、僕の愛しい君よ。改めて、申し上げよう。僕と結婚をしてくれ」
彼もまた、私に対してひざまずいて下さいます。けど、先ほどのみんなとは違い、勇ましく格好の良い形で。
「はい、もちろんです」
つい少し前まで、世界で1番不幸だった女は、今この瞬間、世界で1番幸せな女になりました。
(完)
「ユリナ……いや、聖女さま。私はお前のことを娘として、誇らしく思うぞ」
「ユリナ、私も母親として、あなたを誇らしく思うわ」
お父さまとお母さまがおっしゃいます。
「ちょっと、2人とも。何でそんな上から目線なのよ?」
そう言うのは、アメリアでした。
「お姉さまは、この国を守って下さる聖女さまなんだから。もっと、ひざまずいて頭を垂れなさい!」
「そ、そうだね」
「え、ええ」
妹に言われて、両親は両膝を床について、はは~と深く頭を下げてくれました。
「お、おやめ下さい、お父さま、お母さま」
「良いのよ、これで。ていうか、あなたもしなさいよ」
アメリアが両手を腰に置いて睨むのは、ブリックス様です。彼は明確にうろたえていましたが……
「……申し訳ございませんでした」
彼もまた、地に額と膝をつけて、深々と謝罪をしてくれました。
「それで良いのよ」
「ていうか、するならお前もしろよ」
ブリックス様がアメリアを睨み返して言います。
「いや、あたしはこの前したから、思い切り。そうですよね、お姉さま?」
「え、ええ」
そんな私たちの様子を、オクトレイル様をはじめとした神職の方々が、やれやれと言った様子で見守っていました。
その時、神殿の扉が開きます。
「――ユリナ」
声を響かせたのは、レオルド様でした。
「まあ、お兄さま!」
私よりも先に、アメリアが反応して彼に寄り添います。
「お会いできて光栄です、お兄さま」
「ああ、うん」
レオルド様は軽く頷くと、アメリアを素通りします。それから、深々と頭を下げる体勢だった私の家族たちを見て、
「見苦しいから、もうやめなさい」
「「「あ、はい……」」」
そして、私のそばにやって来ました。
「ユリナ、僕の愛しい君よ。改めて、申し上げよう。僕と結婚をしてくれ」
彼もまた、私に対してひざまずいて下さいます。けど、先ほどのみんなとは違い、勇ましく格好の良い形で。
「はい、もちろんです」
つい少し前まで、世界で1番不幸だった女は、今この瞬間、世界で1番幸せな女になりました。
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ユリナが稼いだお金がどれほど大金なのか、分かる程の教養がアメリアにあったのが一番の驚きです
金なんて湯水のように沸いてくるように思ってそうなお花畑に思えたので
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