異世界如何様(チート)冒険記 ~地球で平凡だった僕が神の記憶を思い出して世界を元に戻すまで~

Condor Ukiha

文字の大きさ
9 / 50
第一章 ネウイの町

#8 魔法

しおりを挟む
 翌朝。

 僕たちは泊まった宿の食堂で朝食をいただいていた。・・・ザーシャ・ラーシャも一緒に。なんと、二人が泊まっていた宿もこの“しすい亭”だったのだ。

「それで、改めてだけど魔法について教えてもらいたいんだ」

「あ、私も教えてほしいです」

「えっ?レナは魔法使えるんじゃなかったの?」

「実は昨日から急に使えなくなっちゃって・・・」

「そんなこともあるのか」

「いやいや、普通はそんなことはあり得ないわよ!やっぱりあんたたち特殊な家系なんじゃないの!?」

 朝食を食べ終えたタイミングで僕はラーシャたちにそう切り出した。いくら調べても魔法のことを知ることはできても体得することはできなかったのである。おそらく体が魔力になれていないことが原因と思われるが、体を魔力に慣らす方法なんて検索しても出てこなかったのである。この世界の人間は生まれた時から魔力を少なからず持っているのでそんなことに注目されることはなかったのであろう。

「それなら、ラーシャに教えてもらうといいわ。あたしは放出する系の魔法が使えないから教えるのには向かないしね」

「そうなのか。よろしくね、ラーシャ先生」

「よろしくお願いします、ラーシャ先生」

「そんな・・・先生なんて・・・あう・・・」

 ラーシャは顔を真っ赤にして照れてしまった。・・・かわいい。
 そのあと、ラーシャが回復してから魔法講座が始まった。ちなみにザーシャは暇だからと言ってギルドに依頼を受けに行った。

「まず、魔法とは自身の魔力を用いて何らかの現象を引き起こすことを言います。そしてすべての人は必ず少なからず魔力を持っています。ただし、例外を除いて魔法を使うには水晶が白く光ることが要求されます」

「魔法を使える人は貴重ってことか」

「そうですね。魔法を発動できるのは1000~2000人に一人ぐらいといわれています。しかし、それはあくまでも魔法が発動できるのであって、使えるというわけではありません。しっかりと戦闘や治療などで活用できるのは5000~10000人に一人だと言われています。さらに魔法使いには大まかな区別があって、初級、中級、上級に分類されます。ちなみに私たちは中級レベルですね。これは使える魔法の種類や魔力量によって分類されます。私は上級魔法に分類されているものまで使えるものの、魔力量が少ないので中級です。ちなみに、魔力量にかかわらず水晶の光る感じは変わらないはずだったんですけどね」

「なるほど。つまり、俺とレナはその貴重な魔法使いで、今までの常識では測れない何かというわけか」

「そうですね、そういう認識でいいと思います。人の限界を超えた存在とでも言えるのが葵さんとレナさんです。さて、話を戻しますが魔法を使う方法は魔法陣を書く、詠唱をするなどいくつか存在します。私は魔法名を唱えて発動させますが、お姉ちゃんはイメージするだけで発動できたりします。発動方法は、人それぞれなんです。あとは、属性についてでしょうか。基本的に人はイメージをすることができれば基本属性である水、火、風、土の四属性を使うことができます。さらに、そこから派生した氷、雷などの応用属性、全く関係ない聖、時空という上位属性そしてどこにも属さない無属性と工学魔法があり、上位属性は才能の有無が存在します。才能がなければ使用することはできません。また、無属性は攻撃タイプと非攻撃タイプに分かれていて、非攻撃タイプに限り魔力量にかかわらず使用することができます。無属性・戦闘タイプはお姉ちゃんが使う身体強化魔法などですね。非戦闘タイプは生活魔法とも呼ばれ、一見他の属性に分類されそうな“クリーン”や“着火”などがあります。というか、定義として誰でも関係なく使えれば無属性の非戦闘魔法です。ちなみに聖属性というのは教会などに属する人が使えることが多く、回復魔法や浄化魔法が分類されます」

「才能っていうのはどうやって見分けるんだい?直接発動させてみるとか?」

 もしも僕に才能がなければ誰かがけがをした場合に治すことができない。治療法などは調べればわかるだろうが、ここは技術の乏しい異世界だ。かならず治療できるとは限らない。そのためにも回復魔法の適正はあって欲しい。
 そんな僕の考えを察したのか、ラーシャは少し困ったような顔をしながら答えてくれる。

「よく分かりましたね。実は聖属性の魔法が使えるか、もっと言えば回復魔法と浄化魔法の両方使えるかそれともどちらか片方しか使えないのかを判別する方法はまだ判明していません。時空魔法に関してはどうすれば発動するのかすらわかってないんです」

 冗談で言ったんだけどな・・・

「というわけで、実際に魔法を使っていきたいと思います。まずは自分の魔力を空気中に放出します。そして、具体的に起こしたい現象をイメージします。そうすると、放出した魔力が媒体となって引き起こしたい現象に合うだけの魔力を消費します。このとき、イメージができていなかった、魔力が足らなかった、イメージを魔力に伝えることができなかったなどで魔法が発動できないときがあります。こういう場合は最初に放出した魔力分だけ魔力を消費します。そして、どれだけ少ない魔力で確実に発動させるかを突き詰めていったのが魔法陣だったり詠唱だったりというわけです。わかりましたか?」

「うん、わかったよ。レナ、僕からやっていいかな?」

「いいよ。私もお兄ちゃんが魔法を使うところ、観察させてもらうね」

「ああ」

 とりあえずやってみるか。まず、魔力を放出して・・・?まだ放出してないのに周囲に魔力を感じる?なんで?
 ・・・まあ、気にせずに使ってみるか。

「えっ?どういうことですか!?」

 ラーシャが僕の方を見ながら驚きの声をあげる。今、僕の周りには11属性・・・・の玉が浮かんでいる。順に無、火、水、氷、雷、風、土、聖、時空、工学、闇の各属性の玉だ。さらに言うと僕はいま魔力を放出せずに魔法を使った。ラーシャによるとこんなことはありえないのだとか。今までも多くの人が挑戦して、なし得なかったそうでおそらく僕が世界で初めてだろうと言われた。
 さらに、僕はこの世界の理論にはない、新しい属性、闇を生み出してしまった。さて、どうしたものか。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。 12/23 HOT男性向け1位

悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業

ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

『三度目の滅びを阻止せよ ―サラリーマン係長の異世界再建記―』

KAORUwithAI
ファンタジー
45歳、胃薬が手放せない大手総合商社営業部係長・佐藤悠真。 ある日、横断歩道で子供を助け、トラックに轢かれて死んでしまう。 目を覚ますと、目の前に現れたのは“おじさんっぽい神”。 「この世界を何とかしてほしい」と頼まれるが、悠真は「ただのサラリーマンに何ができる」と拒否。 しかし神は、「ならこの世界は三度目の滅びで終わりだな」と冷徹に突き放す。 結局、悠真は渋々承諾。 与えられたのは“現実知識”と“ワールドサーチ”――地球の知識すら検索できる探索魔法。 さらに肉体は20歳に若返り、滅びかけの異世界に送り込まれた。 衛生観念もなく、食糧も乏しく、二度の滅びで人々は絶望の淵にある。 だが、係長として培った経験と知識を武器に、悠真は人々をまとめ、再び世界を立て直そうと奮闘する。 ――これは、“三度目の滅び”を阻止するために挑む、ひとりの中年係長の異世界再建記である。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

社畜の異世界再出発

U65
ファンタジー
社畜、気づけば異世界の赤ちゃんでした――!? ブラック企業に心身を削られ、人生リタイアした社畜が目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界。 前世では死ぬほど働いた。今度は、笑って生きたい。 けれどこの世界、穏やかに生きるには……ちょっと強くなる必要があるらしい。

異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める

自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。 その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。 異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。 定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。

処理中です...