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第一章 ネウイの町
#8 魔法
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翌朝。
僕たちは泊まった宿の食堂で朝食をいただいていた。・・・ザーシャ・ラーシャも一緒に。なんと、二人が泊まっていた宿もこの“しすい亭”だったのだ。
「それで、改めてだけど魔法について教えてもらいたいんだ」
「あ、私も教えてほしいです」
「えっ?レナは魔法使えるんじゃなかったの?」
「実は昨日から急に使えなくなっちゃって・・・」
「そんなこともあるのか」
「いやいや、普通はそんなことはあり得ないわよ!やっぱりあんたたち特殊な家系なんじゃないの!?」
朝食を食べ終えたタイミングで僕はラーシャたちにそう切り出した。いくら調べても魔法のことを知ることはできても体得することはできなかったのである。おそらく体が魔力になれていないことが原因と思われるが、体を魔力に慣らす方法なんて検索しても出てこなかったのである。この世界の人間は生まれた時から魔力を少なからず持っているのでそんなことに注目されることはなかったのであろう。
「それなら、ラーシャに教えてもらうといいわ。あたしは放出する系の魔法が使えないから教えるのには向かないしね」
「そうなのか。よろしくね、ラーシャ先生」
「よろしくお願いします、ラーシャ先生」
「そんな・・・先生なんて・・・あう・・・」
ラーシャは顔を真っ赤にして照れてしまった。・・・かわいい。
そのあと、ラーシャが回復してから魔法講座が始まった。ちなみにザーシャは暇だからと言ってギルドに依頼を受けに行った。
「まず、魔法とは自身の魔力を用いて何らかの現象を引き起こすことを言います。そしてすべての人は必ず少なからず魔力を持っています。ただし、例外を除いて魔法を使うには水晶が白く光ることが要求されます」
「魔法を使える人は貴重ってことか」
「そうですね。魔法を発動できるのは1000~2000人に一人ぐらいといわれています。しかし、それはあくまでも魔法が発動できるのであって、使えるというわけではありません。しっかりと戦闘や治療などで活用できるのは5000~10000人に一人だと言われています。さらに魔法使いには大まかな区別があって、初級、中級、上級に分類されます。ちなみに私たちは中級レベルですね。これは使える魔法の種類や魔力量によって分類されます。私は上級魔法に分類されているものまで使えるものの、魔力量が少ないので中級です。ちなみに、魔力量にかかわらず水晶の光る感じは変わらないはずだったんですけどね」
「なるほど。つまり、俺とレナはその貴重な魔法使いで、今までの常識では測れない何かというわけか」
「そうですね、そういう認識でいいと思います。人の限界を超えた存在とでも言えるのが葵さんとレナさんです。さて、話を戻しますが魔法を使う方法は魔法陣を書く、詠唱をするなどいくつか存在します。私は魔法名を唱えて発動させますが、お姉ちゃんはイメージするだけで発動できたりします。発動方法は、人それぞれなんです。あとは、属性についてでしょうか。基本的に人はイメージをすることができれば基本属性である水、火、風、土の四属性を使うことができます。さらに、そこから派生した氷、雷などの応用属性、全く関係ない聖、時空という上位属性そしてどこにも属さない無属性と工学魔法があり、上位属性は才能の有無が存在します。才能がなければ使用することはできません。また、無属性は攻撃タイプと非攻撃タイプに分かれていて、非攻撃タイプに限り魔力量にかかわらず使用することができます。無属性・戦闘タイプはお姉ちゃんが使う身体強化魔法などですね。非戦闘タイプは生活魔法とも呼ばれ、一見他の属性に分類されそうな“クリーン”や“着火”などがあります。というか、定義として誰でも関係なく使えれば無属性の非戦闘魔法です。ちなみに聖属性というのは教会などに属する人が使えることが多く、回復魔法や浄化魔法が分類されます」
「才能っていうのはどうやって見分けるんだい?直接発動させてみるとか?」
もしも僕に才能がなければ誰かがけがをした場合に治すことができない。治療法などは調べればわかるだろうが、ここは技術の乏しい異世界だ。かならず治療できるとは限らない。そのためにも回復魔法の適正はあって欲しい。
そんな僕の考えを察したのか、ラーシャは少し困ったような顔をしながら答えてくれる。
「よく分かりましたね。実は聖属性の魔法が使えるか、もっと言えば回復魔法と浄化魔法の両方使えるかそれともどちらか片方しか使えないのかを判別する方法はまだ判明していません。時空魔法に関してはどうすれば発動するのかすらわかってないんです」
冗談で言ったんだけどな・・・
「というわけで、実際に魔法を使っていきたいと思います。まずは自分の魔力を空気中に放出します。そして、具体的に起こしたい現象をイメージします。そうすると、放出した魔力が媒体となって引き起こしたい現象に合うだけの魔力を消費します。このとき、イメージができていなかった、魔力が足らなかった、イメージを魔力に伝えることができなかったなどで魔法が発動できないときがあります。こういう場合は最初に放出した魔力分だけ魔力を消費します。そして、どれだけ少ない魔力で確実に発動させるかを突き詰めていったのが魔法陣だったり詠唱だったりというわけです。わかりましたか?」
「うん、わかったよ。レナ、僕からやっていいかな?」
「いいよ。私もお兄ちゃんが魔法を使うところ、観察させてもらうね」
「ああ」
とりあえずやってみるか。まず、魔力を放出して・・・?まだ放出してないのに周囲に魔力を感じる?なんで?
・・・まあ、気にせずに使ってみるか。
「えっ?どういうことですか!?」
ラーシャが僕の方を見ながら驚きの声をあげる。今、僕の周りには11属性の玉が浮かんでいる。順に無、火、水、氷、雷、風、土、聖、時空、工学、闇の各属性の玉だ。さらに言うと僕はいま魔力を放出せずに魔法を使った。ラーシャによるとこんなことはありえないのだとか。今までも多くの人が挑戦して、なし得なかったそうでおそらく僕が世界で初めてだろうと言われた。
さらに、僕はこの世界の理論にはない、新しい属性、闇を生み出してしまった。さて、どうしたものか。
僕たちは泊まった宿の食堂で朝食をいただいていた。・・・ザーシャ・ラーシャも一緒に。なんと、二人が泊まっていた宿もこの“しすい亭”だったのだ。
「それで、改めてだけど魔法について教えてもらいたいんだ」
「あ、私も教えてほしいです」
「えっ?レナは魔法使えるんじゃなかったの?」
「実は昨日から急に使えなくなっちゃって・・・」
「そんなこともあるのか」
「いやいや、普通はそんなことはあり得ないわよ!やっぱりあんたたち特殊な家系なんじゃないの!?」
朝食を食べ終えたタイミングで僕はラーシャたちにそう切り出した。いくら調べても魔法のことを知ることはできても体得することはできなかったのである。おそらく体が魔力になれていないことが原因と思われるが、体を魔力に慣らす方法なんて検索しても出てこなかったのである。この世界の人間は生まれた時から魔力を少なからず持っているのでそんなことに注目されることはなかったのであろう。
「それなら、ラーシャに教えてもらうといいわ。あたしは放出する系の魔法が使えないから教えるのには向かないしね」
「そうなのか。よろしくね、ラーシャ先生」
「よろしくお願いします、ラーシャ先生」
「そんな・・・先生なんて・・・あう・・・」
ラーシャは顔を真っ赤にして照れてしまった。・・・かわいい。
そのあと、ラーシャが回復してから魔法講座が始まった。ちなみにザーシャは暇だからと言ってギルドに依頼を受けに行った。
「まず、魔法とは自身の魔力を用いて何らかの現象を引き起こすことを言います。そしてすべての人は必ず少なからず魔力を持っています。ただし、例外を除いて魔法を使うには水晶が白く光ることが要求されます」
「魔法を使える人は貴重ってことか」
「そうですね。魔法を発動できるのは1000~2000人に一人ぐらいといわれています。しかし、それはあくまでも魔法が発動できるのであって、使えるというわけではありません。しっかりと戦闘や治療などで活用できるのは5000~10000人に一人だと言われています。さらに魔法使いには大まかな区別があって、初級、中級、上級に分類されます。ちなみに私たちは中級レベルですね。これは使える魔法の種類や魔力量によって分類されます。私は上級魔法に分類されているものまで使えるものの、魔力量が少ないので中級です。ちなみに、魔力量にかかわらず水晶の光る感じは変わらないはずだったんですけどね」
「なるほど。つまり、俺とレナはその貴重な魔法使いで、今までの常識では測れない何かというわけか」
「そうですね、そういう認識でいいと思います。人の限界を超えた存在とでも言えるのが葵さんとレナさんです。さて、話を戻しますが魔法を使う方法は魔法陣を書く、詠唱をするなどいくつか存在します。私は魔法名を唱えて発動させますが、お姉ちゃんはイメージするだけで発動できたりします。発動方法は、人それぞれなんです。あとは、属性についてでしょうか。基本的に人はイメージをすることができれば基本属性である水、火、風、土の四属性を使うことができます。さらに、そこから派生した氷、雷などの応用属性、全く関係ない聖、時空という上位属性そしてどこにも属さない無属性と工学魔法があり、上位属性は才能の有無が存在します。才能がなければ使用することはできません。また、無属性は攻撃タイプと非攻撃タイプに分かれていて、非攻撃タイプに限り魔力量にかかわらず使用することができます。無属性・戦闘タイプはお姉ちゃんが使う身体強化魔法などですね。非戦闘タイプは生活魔法とも呼ばれ、一見他の属性に分類されそうな“クリーン”や“着火”などがあります。というか、定義として誰でも関係なく使えれば無属性の非戦闘魔法です。ちなみに聖属性というのは教会などに属する人が使えることが多く、回復魔法や浄化魔法が分類されます」
「才能っていうのはどうやって見分けるんだい?直接発動させてみるとか?」
もしも僕に才能がなければ誰かがけがをした場合に治すことができない。治療法などは調べればわかるだろうが、ここは技術の乏しい異世界だ。かならず治療できるとは限らない。そのためにも回復魔法の適正はあって欲しい。
そんな僕の考えを察したのか、ラーシャは少し困ったような顔をしながら答えてくれる。
「よく分かりましたね。実は聖属性の魔法が使えるか、もっと言えば回復魔法と浄化魔法の両方使えるかそれともどちらか片方しか使えないのかを判別する方法はまだ判明していません。時空魔法に関してはどうすれば発動するのかすらわかってないんです」
冗談で言ったんだけどな・・・
「というわけで、実際に魔法を使っていきたいと思います。まずは自分の魔力を空気中に放出します。そして、具体的に起こしたい現象をイメージします。そうすると、放出した魔力が媒体となって引き起こしたい現象に合うだけの魔力を消費します。このとき、イメージができていなかった、魔力が足らなかった、イメージを魔力に伝えることができなかったなどで魔法が発動できないときがあります。こういう場合は最初に放出した魔力分だけ魔力を消費します。そして、どれだけ少ない魔力で確実に発動させるかを突き詰めていったのが魔法陣だったり詠唱だったりというわけです。わかりましたか?」
「うん、わかったよ。レナ、僕からやっていいかな?」
「いいよ。私もお兄ちゃんが魔法を使うところ、観察させてもらうね」
「ああ」
とりあえずやってみるか。まず、魔力を放出して・・・?まだ放出してないのに周囲に魔力を感じる?なんで?
・・・まあ、気にせずに使ってみるか。
「えっ?どういうことですか!?」
ラーシャが僕の方を見ながら驚きの声をあげる。今、僕の周りには11属性の玉が浮かんでいる。順に無、火、水、氷、雷、風、土、聖、時空、工学、闇の各属性の玉だ。さらに言うと僕はいま魔力を放出せずに魔法を使った。ラーシャによるとこんなことはありえないのだとか。今までも多くの人が挑戦して、なし得なかったそうでおそらく僕が世界で初めてだろうと言われた。
さらに、僕はこの世界の理論にはない、新しい属性、闇を生み出してしまった。さて、どうしたものか。
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