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第一章 ネウイの町
#10 スタンピード
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4人で相談した次の日、宿を出ようとしたところで街に鐘の音が鳴り響いた。
「これは?」
「緊急事態を知らせる鐘よ。なにがあったのかしら?」
「とりあえずギルドへ急ぎましょう」
そう言ってザーシャたち三人が走り出す。僕はそれを追いかけながら聞き返す。
「ギルドへ?どうして?」
その質問にレナが呆れながら答える。
「どうしてって緊急事態には冒険者には冒険者ギルドへの出頭義務があるって説明されたでしょ、お兄ちゃん」
そう言えばそんなこともあったような・・・
「あったような、じゃなくて“ある”の!」
レナに叱られながらもギルドに着いた僕たちが見たのはギルドの前に集まった多くの冒険者たちであった。着いたときは騒がしかったものの、すぐに強者のオーラを纏った壮年の男が出てきて辺りは静まり返る。
「みんな、集まってくれてありがとう。知らん奴もいるだろうから一応言う。俺はこのギルドのギルドマスターのドランだ。さて、早速本題だがスタンピードが起こった。規模は最低700。最高確認ランクはAが5。到着予想は4時間後だ。そこで、ギルドとして領主と合同で緊急依頼を発行する。みな、迎撃に備えてくれ。特にランクC以上の者は最前線で戦うことになる。気を引き締めろ」
ギルドマスターがそう矢継ぎ早に告げると辺りは騒がしくなる。当たり前だ。この町に滞在している冒険者はおよそ300人。その2.5倍以上の魔物が押し寄せてくるのだ。しかも、この300人っていうのはFランクなどの魔物との戦闘を行ったことのない者も含めた数である。領兵はいるが魔物との戦闘となるとあまり期待できない。実際に戦闘する人数を考えるとその数の差は絶望的である。ただ、僕というイレギュラーがいなければの話だが。
「ねえ、アオイ。どうするの?」
「どうするとは?」
「アオイとレナは登録したばかりで依頼を受けたことも魔物と戦闘をしたこともないでしょ。今回は後方支援か戦闘に出るかを選べると思うの。あたしたちはDランクだから戦闘に参加しなくちゃならない。だから、どうするのかなって思って」
なるほど・・・僕の答えは決まっているけどレナはどうするのだろうか。
「レナ、僕は今回は―――」
「私もお兄ちゃんと一緒に戦うよ」
レナは僕が聞くよりも早く返答をくれた。
「いいのか?危険だし、僕が守れるかどうかわからないんだよ?」
「行く。お兄ちゃんも、せっかく友達になれた二人も戦っているのに、私だけ後ろにいるなんていや!」
「そうか」
「止めないの?」
「止めない。それはレナが考えて出した答えなんだろう?それを止めるなんて野暮はしない。・・・ただ、これだけは約束してくれ。絶対に自分の命を優先させること。できるか?」
「うん!」
レナは意外そうな顔をしていたが、うれしそうな顔になり、元気よく返事をした。
「まあ、こんなことを言っておきながら、今回は僕一人で終わらせるつもりだから、直接戦闘することなんてないと思うけどね」
「えっ。それってどういうことですか?」
うれしそうなレナを見ながら僕の漏らした言葉を聞いてラーシャが僕を問い詰める。それを見たレナとザーシャも参加して僕は正座で事の次第を説明する羽目になるのだった。
「これは?」
「緊急事態を知らせる鐘よ。なにがあったのかしら?」
「とりあえずギルドへ急ぎましょう」
そう言ってザーシャたち三人が走り出す。僕はそれを追いかけながら聞き返す。
「ギルドへ?どうして?」
その質問にレナが呆れながら答える。
「どうしてって緊急事態には冒険者には冒険者ギルドへの出頭義務があるって説明されたでしょ、お兄ちゃん」
そう言えばそんなこともあったような・・・
「あったような、じゃなくて“ある”の!」
レナに叱られながらもギルドに着いた僕たちが見たのはギルドの前に集まった多くの冒険者たちであった。着いたときは騒がしかったものの、すぐに強者のオーラを纏った壮年の男が出てきて辺りは静まり返る。
「みんな、集まってくれてありがとう。知らん奴もいるだろうから一応言う。俺はこのギルドのギルドマスターのドランだ。さて、早速本題だがスタンピードが起こった。規模は最低700。最高確認ランクはAが5。到着予想は4時間後だ。そこで、ギルドとして領主と合同で緊急依頼を発行する。みな、迎撃に備えてくれ。特にランクC以上の者は最前線で戦うことになる。気を引き締めろ」
ギルドマスターがそう矢継ぎ早に告げると辺りは騒がしくなる。当たり前だ。この町に滞在している冒険者はおよそ300人。その2.5倍以上の魔物が押し寄せてくるのだ。しかも、この300人っていうのはFランクなどの魔物との戦闘を行ったことのない者も含めた数である。領兵はいるが魔物との戦闘となるとあまり期待できない。実際に戦闘する人数を考えるとその数の差は絶望的である。ただ、僕というイレギュラーがいなければの話だが。
「ねえ、アオイ。どうするの?」
「どうするとは?」
「アオイとレナは登録したばかりで依頼を受けたことも魔物と戦闘をしたこともないでしょ。今回は後方支援か戦闘に出るかを選べると思うの。あたしたちはDランクだから戦闘に参加しなくちゃならない。だから、どうするのかなって思って」
なるほど・・・僕の答えは決まっているけどレナはどうするのだろうか。
「レナ、僕は今回は―――」
「私もお兄ちゃんと一緒に戦うよ」
レナは僕が聞くよりも早く返答をくれた。
「いいのか?危険だし、僕が守れるかどうかわからないんだよ?」
「行く。お兄ちゃんも、せっかく友達になれた二人も戦っているのに、私だけ後ろにいるなんていや!」
「そうか」
「止めないの?」
「止めない。それはレナが考えて出した答えなんだろう?それを止めるなんて野暮はしない。・・・ただ、これだけは約束してくれ。絶対に自分の命を優先させること。できるか?」
「うん!」
レナは意外そうな顔をしていたが、うれしそうな顔になり、元気よく返事をした。
「まあ、こんなことを言っておきながら、今回は僕一人で終わらせるつもりだから、直接戦闘することなんてないと思うけどね」
「えっ。それってどういうことですか?」
うれしそうなレナを見ながら僕の漏らした言葉を聞いてラーシャが僕を問い詰める。それを見たレナとザーシャも参加して僕は正座で事の次第を説明する羽目になるのだった。
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