異世界如何様(チート)冒険記 ~地球で平凡だった僕が神の記憶を思い出して世界を元に戻すまで~

Condor Ukiha

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第一章 ネウイの町

#14 葵の思いと秘密

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「それじゃあ、行こうか」

契約を終えた僕たちは宿の部屋に集まっていた。

「行くってどこへ?」

「僕たちの秘密のすべてがわかる場所へ、かな」

ザーシャと会話しながら転移の準備を行う。準備といっても自分の今いるところと転移先の立体的な位置関係を把握するだけだが。

「準備完了」

 “MWOSマスターWOSワールド001ゼロゼロワンrequestリクエスト openオープン the gateゲート onオン (189.15,154.254,56.22,50,0,0) 
       toトゥ (155.23,179.86,69.85)”
 “WOSワールド001ゼロゼロワンMWOSマスターclearクリアー open the gate on (189.15,154.254,56.22,50,0,0) 
       to (155.23,179.86,69.85)”
 “clearedクリアード open the gate on (189.15,154.254,56.22,50,0,0) 
       to (155.23,179.86,69.85),WOSワールド001ゼロゼロワン

※()の中が準備していた座標。(X座標 ,Y座標 ,Z座標 ,X軸に対する回転 ,Y軸に対する回転 ,Z軸に対する回転)の順に書いてある。

「ねえ、今の変な言葉は何?今まで一度も聞いたことないんだけど」

「それも後で説明するよ。とりあえず、みんな準備はいいかな?」

「いつでも行けるわ」

「はい、大丈夫です」

「いつでもいいよ、お兄ちゃん」

 最後の確認もすまし、僕は最後の言葉を発する。

 “open the gate”

 その瞬間、僕らの周りを強い光が覆う。あまりの強さに目をつぶって再び開いた時には僕たちはあの竜の巣の入り口に立っていた。

「ようこそ、ザーシャ、ラーシャ。僕たちの実家へ」

 僕は後ろで呆けている二人へそう声をかけた。レナは僕の横で両手を広げている。

「二人とも呆けてないでさ。ほら、行こ!何にもないけどさ」

 レナが困惑気味の二人を引っ張って洞窟の中へ入っていく。僕はそれを眺めながら周囲を見渡す。

 ―――しくったな。周囲にもうちょい気を配っとけばよかった

 この周囲にはもともと多くの魔獣がいた。だが、今ここには魔獣の姿が一匹も見えない。みな急に現れた生態系の頂点に君臨するものの気配を感じ取って逃げてしまったのだ。自然界では臆病なくらいがちょうどいい。命は一つしかないのだから。

  さて話がずれてしまったが僕も三人の後について中へと入っていく。

(お姉ちゃん、アオイさんとレナちゃんはこんな洞窟にきてどうするつもりなのかな?しかも、さっき実家って紹介してたし)

(わかんないけど、とりあえず二人はただものじゃないってことはわかってるのよ。これぐらいなら想定内だわ)

(ちょっとは罠とか疑ったほうがいいんじゃない?)

(大丈夫よ。罠にはめるつもりなら人に覚えられる宿は使わないと思うし何より二人からそういう黒い感情を感じないから)

(なんでそんな楽観視できるの・・・)

 後ろからついて言っているとはいえ、強化された僕の聴力の前では内緒話も無意味である。まあ、何の音もしない洞窟の中で小声でしゃべっているから耳をすませば普通の人でも聞こえる範囲だとは思われるが・・・

「とうちゃーく!」

「え?」

「何にもないですよ、レナちゃん」

「その何にもない・・・・・っていうのが重要なんだ、二人とも。さて、繰り返しになるけどようこそ僕とレナの住処へ。ここは大陸の中央付近にそびえる最高峰、ガホンフニク山の中腹にある洞窟の中。ガホンフニク山って魔獣の巣窟って言われてるけどここには何もいないから安心していいよ」

 僕はここでいったん話を区切り二人の反応を見る。二人とも驚いてはいるが話についていけなくなるほどではなかったようで、早く話の先を聞かせろ、とその目で訴えている。今まで対照的な双子だなぁと思っていたが、どちらも知識欲は相当に強いようでその視線に少し圧倒される。

「まず僕たちの一番大きな秘密について話そうか。まず、僕たちは人間ではないんだ。僕たちは古龍エンシェントドラゴンっていう世界にほんのわずかしかいない最強ともうたわれる種族で、この姿は人化っていう魔法を使って維持しているんだ。どうだろう、君たちは僕たちのことを気持ち悪いと思うかい?」

  そういいながら僕はエンシェントドラゴン(雄)へと姿を変える。そして横でレナが同じようにエンシェントドラゴン(雌)へ変身している。そう言えばレナのこの姿初めて見た。大きさは僕よりも一回りから二回り小さい。だが、それ以外はほとんど同じだ。それとなんでなのだろうか、この姿のレナのことをこの上なく愛おしく感じる。まあ、それは後で検証しよう。
 二人には刺激が強かったようで、その後しばらく呆然と突っ立ているのだった。
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